パサディナ空港で

トリヤマケイ

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#218 荒野にかえろう

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口利き役の男に、今回はトラブルに巻き込まれたが、なんとか回避できたと伝え、礼を述べた




ペイン上等それも生きてる証し、待つことも厭わない、死んでいる蝿みたいな荏苒だけはいやだ




このあたりはシャクテ族の土地だらうとユナンチマウテパウロはいった




パンツどろぼうという人気のエロ本がシュリンク包装されていて立ち読み出来なかったので盗んでみたが万引きという罪の重さに震え未だに開封できないでいる




さっきM&Aに平本蓮に似たヤツが来たが、さすがに本人なわけなかった




PAULのクロワッサンは美味しいのか、とか、SNIDELのターゲット層がまったくわからないとか、ベトナム料理店でフォーを食べなければ人としてどうなの? であるとか、考えなければならないことは山ほどあるが、雨上がりの東京はサウナみたいに蒸していてビルから出るとメガネが曇るほどだった





I guess sometime I will die.





まるで、「伊予はまだ16だから」のノリで推しメンの誕生日が近づいてきてソワソワしてる米寿八十八歳




カンディンスキーとマハトマ・ガンジーあるいは、シェーンベルクはたまたラ・モンテ・ヤング



病院に行ってきた、妊娠5週目だった




月曜日の昼下がり大遅刻してハローワークに駆け込んだ。月に一度の給付認定日だった




金曜日までには振り込まれるはずだ。まだとても働く気になどなれない




さっきまで死ぬほど眠たかったのに認定を待つ見知らぬ老若男女の顔を見ていたらまるで酔いが醒めていくみたいに眠気は消えていった




認定を無事済ませて渋谷駅に向かう道すがら、あと何日自分の足で歩けるだろうか、そんなフレーズが頭の中をグルングルンまわっていた




大口を叩いていた自分はたんなる井蛙なつまらない存在にすぎなかった。給付はまだ始まったばかりの頃は、天国だった




働き先をどうするか、行末越し方を一切思い悩む事もなく、いつも通り主現場で推し色のサイリウムを焚き、きのおけないヲタクたちと打ち上げを楽しむ日々




そんなお気楽な毎日は、飛ぶように過ぎ去り、物理的な金銭の問題と無職のオッサンという苦悩にじわじわと責め苛まれていく




人は働かないと腐っていくという仕様になっているらしい




そして泣きっ面に蜂ダメ押しの重大発表




いつものことでどうせ対バンが決まったとかそんなんでしょと高を括っていた





結婚という文字が読めなかった
いや、涙のせいじゃなくゲシュタルト崩壊で




イケてるヲタクとのツーショット




「わたしたち、結婚しました」




推しメンもいつかは確実に自分以外の誰かの嫁になるだろうこともむろんわかっていた




おめでとう 推しメン




さようなら 推しメン




キミのkissプリクラを見た、あの時の衝撃に比べたらこんなのなんでもないよ




Every breath take I think of you



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