猛獣・災害なんのその! 平和な離島出の田舎娘は、危険な王都で土いじり&スローライフ! 新品種のジャガイモ(父・作)拡散します!

花邑 肴

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第八章 真実は何処に

或る騎士の噂

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「昨日の試合……私の兄を相手に、良くやったと思いますわ。ただ、その田舎者まで騎士に取り立てた国王様の采配には、全く同意しかねますけれど」

 そう言って、豊かな栗色の髪を跳ね上げるイヴォンヌに。
 ミリアはムッとしながらこう言い返す。

「私は、国王様のお話と采配には心からの感動を覚えましたけど」

 そう言って、ムスッとした顔でイヴォンヌを見つめるミリア。
 そんなミリアに、イヴォンヌは得意げな顔でこう言い放つ。

「あんなの、田舎者へのリップサービス。田舎者の不満を抑え込むためのパフォーマンスに決まってるじゃない。はぁ、これだから田舎者は……」

 そう言って、肩を竦めて見せるイヴォンヌに。
 ミリアは憮然とした顔でこう言う。

「そんなこと、ありませんから」

(だって、陛下は言っていたもの。「グレックは、なかなか良いよねぇ」って)

 そう心の中で力強く反論すると、ミリアはイヴォンヌをキッと睨んだ。
 そんな反抗的なミリアに、イヴォンヌは鼻を鳴らすと、人差し指をミリアの眼の前に突きつけてこう言った。

「いい? 田舎者の騎士なんて、ろくな人はいませんわ。自惚れが強くてお金が好きな人ばかり……。そう、数年前に亡くなった騎士なんか、まさにそうでしたわね!」
「数年前に、亡くなった騎士?」

 嫌な予感に、ミリアは顔を強張らせる。

 そんなミリアを「ほら見ろ」とばかりに眺め遣ると。
 イヴォンヌは、ミリアを指さしていた手で口元を隠すと、眉を大袈裟に顰めてこう言った。

「確か、リーフ、ウッド……って言ったかしら。噂では、金の亡者だったらしいじゃない?」

 そう言って、せせら笑うイヴォンヌに。
 ミリアはキュッと唇を噛むと、憤りに任せてこう言った。

「金の、亡者って……あなた、その人のこと直接知っているんですか!」
「知らなけど、みんなそう言っているわよ。あら、リーフウッドって、ひょっとして……貴方の親族か、お知り合いか何かだったりして?」

 いやらしくそう言うイヴォンヌに。
 ミリアは、唇を震わせながらこう言った。

「その人のこと、よく知らないくせに。よく、そんなこと!」

 そう言って、イヴォンヌに詰め寄るミリア。

 と、その時――。

「あれー? 今、俺の兄さんのこと話してたりした?」

 紅茶色の髪を片手でくるくると弄びながら。
 アキが、そう言って話に割って入って来る。

「あなた……」

 そう言って、露骨に嫌そうな顔をするイヴォンヌに。
 アキは、にっこり笑って見せると、いつもの軽い口調でこう言った。

「俺も、リーフウッドっていう名前なんだけどさー。それで、俺の兄さんが何だって?」

 口元に薄い笑みを浮かべ、瞳に剣呑な光を湛えたアキの異様さに。
 イヴォンヌも二の句が継げず、苦し紛れにこう言った。

「な、なによ……なんだっていうのよ」

 狼狽えた様にそう言うと。
 イヴォンヌは、顔を青くしながらこう言った。

「もう、いいわ! ほんと、これだから礼儀を知らない田舎者は……」

 そう言って、ブツブツ呟きながら去って行くイヴォンヌを見詰めながら。
 ミリアはアキの冷たい横顔を不安そうに見つめながらこう言った。

「アキさん、今の話、聞いて……」

 躊躇いがちにそう声を掛けるミリアに。
 アキは、ふと表情を緩めると、少し疲れたような笑みを浮かべてこう言った。

「ミリアちゃん、少しいいかな?」

 そう言うと、アキは王都へ続く大通りの方に向かい、ゆっくりと歩きだすのであった。
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