猛獣・災害なんのその! 平和な離島出の田舎娘は、危険な王都で土いじり&スローライフ! 新品種のジャガイモ(父・作)拡散します!

花邑 肴

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第八章 真実は何処に

たとえ契約を破るとしても

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「初めまして、ユウです」

 王太子殿下はシャインの隣に座るとそう言って、真面目に自己紹介した。

「あの……失礼を承知でお伺いしますが、貴方はその、この国の……」

 そう言って、片手を口元に当てて唖然とするミリアに。
 アイザックは間髪入れずこう言った。

「ミリア、ストップ! こいつは、ユウだ」
「そうだよ、彼はユウ。どこにでもいる、ちょっと年取っただけの普通の青年だよ」

 そう言って、シャインも含むように笑いながらそういう。
 だが、そんな二人の言葉を一蹴するように、アキは眉間に皺を寄せると、真面目な顔でこう言った。

「でもどう見たってこれは、でん……」
「ストーップ!」

 アキの言葉をかき消すように、アイザックが辺りを見回し、慌てた様にそう叫ぶ。
 そんな二人を肩を竦めて眺めていたシャインは、ユウを意味ありげに見遣ると、皮肉な笑みを浮かべてこう言った。
 
「殿下は日々、国家の平和と安全を守るためと称して、政務の時間を縫っては、王都内外を巡回警備しているような方。そんな仕事の鬼のような方が、こんな安酒場で貴重な時間を潰そうだなんて考えると思うかい?」

 そんなシャインの皮肉交じりの言葉に、ユウはにやりと笑うとこう言い返す。

「一理あるね。でも、王太子だって人間だ。ちょっとした休息は必要じゃないか?」

  暗に、『王太子だって、休息したい』そう反論するユウに。
 アキは、呆れた顔でこう言った。

「それで、城を抜け出してきたんですか」
「城って……」
 
 そう言って、苦笑いするアイザックに。
 シャインが含み笑いつつこう注釈する。

「城じゃなくて、家だよ、ふふ」

 そう言って、適当なことを適当に話す男たちを呆れ顔で見遣ると。
 アキは、大きなため息をひとつ吐きつつ、冷静な口調でこう言った。

「家でも城でもどっちでもいいですけど。俺に会わせたい人って、まさかこの人なんてことは……」

 そう言って、テーブルの上に両手を組むアキに。
 ユウは、アキに向き直ると、真面目な顔でこう言った。

「出来るだけ早く会えればと思っていたんだけど。思いのほか早く会えて良かったよ、アキ・リーフウッド君」



     ※     ※     ※



「それで、話って何なんです?」

 そう言って、ウェイトレスに白ワインを酒を注文するアキに。
 ユウは、一瞬沈黙するも、直ぐにアキの目をじっと見つめてこう言った。

「君のお兄さん、ガイ・リーフウッドの真実を」
「兄の、真実ですか」

 冷めた様にそう答えるアキに。
 ミリアはふと疑問に思ったことを口に出してこう言った。

「えっ、でもそれは昨日、『検討はする、でも殿でん……ユウさんの一存じゃ話せない』って、言ってましたよね?」

 そう言って、首を捻るミリアに。
 ユウは、深く頷くとこう言った。

「僕も、あれから少し考えてね。ガイには感謝してもしきれない恩が沢山ある。何より、アキ君は、ガイが心底大事にしていた弟だ。やっぱり、どうにも放って置けなくてね。そんな訳で、僕は今日、騎士の機密保持契約を破るつもりで来た」

 その言葉に、アイザックが神妙な顔でこう言った。

「……そうか」

 そう言って、沈黙するアイザックを一瞥すると、シャインは真剣な眼差しでユウを見つめてこう言った。

「契約を破るってことは、それなりの処罰があるだろうけど」
「覚悟の上だよ」

 躊躇うことなくそう答えるユウ。
 そんなユウの決意に、ミリアは動揺を隠せずこう言った。

「そんな……ガイさんのことを話すだけなのに、処罰って……」

 そう言って、俯くミリアに優しい笑みを浮かべつつも。
 ユウは、ふと視線を下に落とすと、テーブルの上に乗せた両手をグッと握り締め、口惜しそうにこう言った。

「これは、僕が招いた僕の罪だ。どんな圧力があっても、あのことは隠すべきではなかった」
「あのこと?」

 そう、眉間に皺を寄せ尋ねるアキに。
 ユウは、柔らかな笑顔を向けると、目を閉じつつこう言った。

「ことと場合によっては、僕を恨んで貰っても構わない」

 そう言って目を開くと、ユウは、アキを真っ直ぐに見つめるのであった。
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