5 / 6
5・「聖には渡さない」
結局、学校を早退することにした。
聖から何度も着信があったが、今は声を聴きたくなかった。
双子だけあって、電話越しだと同じ声に聞こえる。今、あの声を聞いたら泣いてしまいそうだ。
だけど心配をかけたままになってしまうので、メールを送ることにした。
体調が悪くて早退した事、今まで寝ていたと嘘をついた。すぐに返事が送られてきて、その文章から、相当心配をかけてしまったようだ。
「ごめんね、聖」
スマートフォンを握りしめ、そのまま小さく丸くなる。
だけど頭の中に浮かぶのは聖ではなく、洸のことだった。
嫌いだから正直に答えた。それなのに、どうしてこんなにモヤモヤするのだろう。
「どうして、俺を苦しめるんだよ、洸」
心を落ち着かせようと、傍に置いてあるお香を取り出して焚く。爽やかなにおいを、いっぱいに吸い込む。
聖の笑顔、頭を撫でられたときの心地よさ、美味しいお弁当、ひとつずつ大好きなものを思い浮かべていくが、唇の感触、絡みつく舌、切なげにリオを見つめる洸の表情となる。
「どうして」
口元を手で覆い隠し、小刻みに震える。
嫌だったはずなのに、あの時の熱を求めている自分がいる。
「そんな筈はない!」
洸のことなんて、何とも思ってない。 自分自身を否定するように、違うと言いながら首を横に振るい続ける。
「俺は、アイツの事なんて……」
そんな時、来客を告げるチャイムの音が聞こえ、聖が来たのだと、助けを求めるようにドアを開いたが、そこに立っていたのは、同じ顔をした、今一番、会いたくない相手だった。
すぐにドアノブを掴んでドアを閉めようとするが、それよりも早く、相手がドアを掴んでそれを止めた。
両手で引っ張っているというのに、片手でドアを掴んでいる洸に敵わない。
力負けをしてしまい、リオは仕方なく洸の前に俯きながら立った。
「なんで来たの」
嫌いだと告げたのに、よく顔をだせたものだ。
「弁当を届けに」
と、風呂敷を開き、重箱を見せる。
「ありがとうって言っておいて。もう、用はないよね」
それを両手で受け取り、感情のこもらぬ声を出す。出ていってと目で訴えるが、洸は突っ立ったままだ。
リオは無視して部屋へ戻ろうとしたが、腕を掴まれて引き止められた。
それに驚いて手を払いのけようとするが、洸に引き寄せられて腕の中へと囚われてしまう。
「何をするの」
洸の温もり。
「お願い、俺を嫌わないで」
「嫌っ!」
声が重なり、腕の中から逃れようとした時に、弁当が落ちてしまい中身が飛び出して床に散らばった。
「あ……」
聖の作ってくれた弁当。リオの為に好物ばかりを詰めてくれたのだろう。
「離せっ、お前のせいで、聖の作ってくれたお弁当が」
力いっぱい洸を突き飛ばし、一瞬、身体が離れたが、すぐに抱きすくめられて唇を奪われた。
「んっ」
「聖には渡さない」
と、玄関の床に押し倒された。
聖から何度も着信があったが、今は声を聴きたくなかった。
双子だけあって、電話越しだと同じ声に聞こえる。今、あの声を聞いたら泣いてしまいそうだ。
だけど心配をかけたままになってしまうので、メールを送ることにした。
体調が悪くて早退した事、今まで寝ていたと嘘をついた。すぐに返事が送られてきて、その文章から、相当心配をかけてしまったようだ。
「ごめんね、聖」
スマートフォンを握りしめ、そのまま小さく丸くなる。
だけど頭の中に浮かぶのは聖ではなく、洸のことだった。
嫌いだから正直に答えた。それなのに、どうしてこんなにモヤモヤするのだろう。
「どうして、俺を苦しめるんだよ、洸」
心を落ち着かせようと、傍に置いてあるお香を取り出して焚く。爽やかなにおいを、いっぱいに吸い込む。
聖の笑顔、頭を撫でられたときの心地よさ、美味しいお弁当、ひとつずつ大好きなものを思い浮かべていくが、唇の感触、絡みつく舌、切なげにリオを見つめる洸の表情となる。
「どうして」
口元を手で覆い隠し、小刻みに震える。
嫌だったはずなのに、あの時の熱を求めている自分がいる。
「そんな筈はない!」
洸のことなんて、何とも思ってない。 自分自身を否定するように、違うと言いながら首を横に振るい続ける。
「俺は、アイツの事なんて……」
そんな時、来客を告げるチャイムの音が聞こえ、聖が来たのだと、助けを求めるようにドアを開いたが、そこに立っていたのは、同じ顔をした、今一番、会いたくない相手だった。
すぐにドアノブを掴んでドアを閉めようとするが、それよりも早く、相手がドアを掴んでそれを止めた。
両手で引っ張っているというのに、片手でドアを掴んでいる洸に敵わない。
力負けをしてしまい、リオは仕方なく洸の前に俯きながら立った。
「なんで来たの」
嫌いだと告げたのに、よく顔をだせたものだ。
「弁当を届けに」
と、風呂敷を開き、重箱を見せる。
「ありがとうって言っておいて。もう、用はないよね」
それを両手で受け取り、感情のこもらぬ声を出す。出ていってと目で訴えるが、洸は突っ立ったままだ。
リオは無視して部屋へ戻ろうとしたが、腕を掴まれて引き止められた。
それに驚いて手を払いのけようとするが、洸に引き寄せられて腕の中へと囚われてしまう。
「何をするの」
洸の温もり。
「お願い、俺を嫌わないで」
「嫌っ!」
声が重なり、腕の中から逃れようとした時に、弁当が落ちてしまい中身が飛び出して床に散らばった。
「あ……」
聖の作ってくれた弁当。リオの為に好物ばかりを詰めてくれたのだろう。
「離せっ、お前のせいで、聖の作ってくれたお弁当が」
力いっぱい洸を突き飛ばし、一瞬、身体が離れたが、すぐに抱きすくめられて唇を奪われた。
「んっ」
「聖には渡さない」
と、玄関の床に押し倒された。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺以外を見るのは許さないから
朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。
その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。
(女性と付き合うシーンもあります。)
※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
魔性の男
久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります