犬とご主人様

希紫瑠音

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飼い犬に噛まれる

【2】

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 こんな犬はいらないと、別の犬を望むように、そう思っていたのに。

「あの客が気に入ったのか?」

 と、鞭をユーエンの背中におもいきり打ちつけ、首輪を引っ張る。

「くはっ」
「お前の駄犬ぶりをみせてやろうとしていたのに、そんなにあの客がよかったのか!」

 と、その頬を張る。

 見栄えの良さから彼を欲しがる客は多い。だが、その度に駄犬ぶりを見せつけてきた。そうやって売らずにきたというのに。

「お前は、私のモノだっ」

 ついに本心が声となりでてしまう。

 調教師にとって、商売道具に特別な想いなどもってはいけない。それなのに、ユーエンだけは駄目だった。

「主……」

 床に這いつくばりながら見上げるユーエンの視線は、挑発的な目をしている。その奥の奥に、欲情に満ちたモノを漂わせて。

 その目を見る度に、心がかき乱されて熱に犯されていく。

 リキョウの目はいつも冷たい。それなのに今は熱を含んで色っぽかった。

 もっとぎらつく目で見るがいい。

 髪を鷲掴みし、視線を合わす。するとぬるりとしたモノが首筋に触れた。

「誰が舐めてよいと言った? 待てもできないようだな」

 顔の前に掌を向ける。これは待ての合図だ。身体に散々と覚えさせたものなのに、そこに頬を摺り寄せた。

「バカ犬」

 甘えろの合図は主人が自分の頬を指さす。それが全くできていない。

 感情はいらない、命令に忠実であれ。騎士であったのだからそれは身体にしみついているはず。それなのに命令に背くのはわざとでしかない。

 そう、リキョウの本心をわかっていて、そういう態度をとっているのだ。

 口づけをするのをやめない。ピリッとした痺れと共に鬱血の痕が残る。

 リキョウの中で何かが弾ける様な音がして、ユーエンの髪を掴み、

「俺をその気にさせた罰だ。楽しませろよ?」

 と囁くと、ユーエンの枷を全てとりはらう。

 許しと自由を得たユーエンは、欲情のままリキョウに襲い掛かる様に覆いかぶさって服を乱し、その肌をゆっくりと撫でまわす。

「主」

 うっとりとした声に、リキョウは下唇を舐めて微笑む。

「行為の間だけ、俺の名を呼べ。上手に出来たらご褒美にお前の名を呼んでやる」

「解りました」

 リキョウを腰の上にのせたまま、乳首を舌先で舐め。

 その刺激に胸を張り仰け反るリキョウに、優しく噛みついて。

 腰を支えながらもう一方の手は後ろの孔へと忍び込む。

「ん、はぁっ」

 優しく抱かれるのも、じれったいのも嫌だ。はやく中を熱く大きいモノで突いて欲し。

「よこせよ、お前のモノを」

 愛しい男から与えられる快楽に涙を浮かべながら、それでも強いまなざしをユーエンに向けてそういえば、ウットリとした表情を浮かべた。

「ずっと待てをしてました」

 と、体を乱していくユーエンに、爪を立てその快楽を受け入れる。

 深く食い込んだ爪は彼の皮膚を傷つけたようで、鼻孔をくすぐる血の香がした。

「ん、リキョウ……」

 陶酔するようにうっとりとユーエンが笑う。

 そんな顔をするユーエンを見て、リキョウも妖艶に微笑んだ。





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