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対決の結末は 2
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退室するように命じるが、姉妹は父親を待つというが、きっとどうにかしてもらおうと思っているのだろう。
だがそれを許すわけがない。姉妹を連れていくように侍女に命じた。
次はデニスの元へ向かう。
「あのふたりがいると話しが進まないからな」
確かに。邪魔をしてくるのは間違いない。
デニスは何が起きていたかまったく解っていない。そのために遠い部屋に案内したそうだ。
「セルジュ様、お待ちして……なぜお前がここにいる!」
セルジュと娘のどちらかが一緒ならわかるが来たのがヴェルネルだ。
「娘たちはどうしたのでしょうか、それにどうしてヴェルネルが」
「結果から言おう。婚約は白紙だ。そしてヴェルネルは俺の保護下に入る」
「な、なんですとっ」
このような展開になろうとは思わなかっただろう。
立ち上がってすぐに力なく座り込んだ。
「一体何が……」
そしてはじかれるように顔を上げヴェルネルを睨んだ。
「貴様か、貴様が娘たちの邪魔を」
「は、またヴェルネルせいか。それはもう聞き飽きた」
もうやめよと手を払うような動きをする。
「こ奴が姉妹を妬んで嘘をついたのでしょう!」
「はー、フレット、こいつらがヴェルネルにしたことを話してやれ」
「はっ。それでは」
姉妹に告げたことにプラスし、監禁に近いことをしていたこと、食事を十分に与えなかったこと、主としての責任を問うものだと告げる。
精神的に追い詰められて顔色が悪くなったデニスに、セルジュは優しく肩に手を置いた。
「本来であれば罰を与えられるところだが……」
と、そこで言葉を止めた。都合の良い方向へ言葉がとれるように。
罪を問われて牢獄行きや鉱山送りとなったとしても、高額な金を納めることで回避できる。
痛手をおわせることはできるが、反省をするところか恨みを持つだけ。
それよりも別のやり方で痛い目にあわせてやらないか、と、この部屋に行く間にセルジュから提案された。
自分では何もできないから任せることにしたのだ。
「ありがとうございます、セルジュ様」
許してもらえたと思って安心したのだろう。何度もお礼の言葉を口にする。
「姉妹には謹慎をするように申しつけてあるので期間はデニスに任せる。話しは終わりだ。帰るといい」
「はい。失礼します」
脇目もふらずに急ぎ部屋を後にする。その様子を眺めていたふたりは、
「いつもは上品ぶってるのに」
「あはは、そんな余裕はないだろうさ。急いで帰って姉妹に何があったか聞くんだろう」
フレットが砕けた調子で話し始めた。相手は王子なのに不敬にならないかとアタフタとしていると、側近の二人は学生時代の友人なのだと教えてくれた。
なんとも羨ましい。学園で学ぶことも、友人がいることもだ。
「私生児である私には憧れるものです」
「勉強なら教えられるし、友人だってすでにいるではないか」
そういうとセルジュは自分自身を親指でさす。
「え、えぇっ」
なんと恐れ多い。
無理だというように両手を横に振るが、セルジュに掴まれてしまった。
「俺では友にはなれないか?」
「そそそ、そんなことはないです」
こんなに素敵で優しい人と友達になれるなんて光栄でしかない。
だけど庶民である自分なんかが友達になっていいものなのか。そう思ってしまうのだ。
「うむ、では勝手に友として扱うことにする」
「え?」
「俺のことはセルジュと呼ぶように。解ったなヴェルネル」
「え、あ……はい」
名を呼んでよい。
じわじわと耳が熱くなってくる。
ふ、とセルジュの口角が上がった。
「真っ赤だ」
片方の耳を掴まれて動かす。さらに熱が上がる。
それでなくとも顔が良いのに、しかもヴェルネルはこういうことに慣れていないのだ。
「王子殿下じゃなくてセルジュ様っ」
「ふ、あははは、可愛い奴め」
ぽふんと頭の上に手がおかれ、ぐりぐりとかきまぜられる。
「あわわわ」
頭が揺れるし照れくさい。
「さて、お前を連れ出せたことだし、タズリー伯爵家の者には痛い目にあってもらおうか」
すごくよい笑顔で恐ろしいことを言う。
これが本当の姿だよとフレットがヴェルネルに囁く。
「おい、減俸するぞ」
「酷いっ」
やめてと縋りつくフレット、それを引き離そうとするセルジュ。そのやりとりに自然と口元が緩んだ。
だがそれを許すわけがない。姉妹を連れていくように侍女に命じた。
次はデニスの元へ向かう。
「あのふたりがいると話しが進まないからな」
確かに。邪魔をしてくるのは間違いない。
デニスは何が起きていたかまったく解っていない。そのために遠い部屋に案内したそうだ。
「セルジュ様、お待ちして……なぜお前がここにいる!」
セルジュと娘のどちらかが一緒ならわかるが来たのがヴェルネルだ。
「娘たちはどうしたのでしょうか、それにどうしてヴェルネルが」
「結果から言おう。婚約は白紙だ。そしてヴェルネルは俺の保護下に入る」
「な、なんですとっ」
このような展開になろうとは思わなかっただろう。
立ち上がってすぐに力なく座り込んだ。
「一体何が……」
そしてはじかれるように顔を上げヴェルネルを睨んだ。
「貴様か、貴様が娘たちの邪魔を」
「は、またヴェルネルせいか。それはもう聞き飽きた」
もうやめよと手を払うような動きをする。
「こ奴が姉妹を妬んで嘘をついたのでしょう!」
「はー、フレット、こいつらがヴェルネルにしたことを話してやれ」
「はっ。それでは」
姉妹に告げたことにプラスし、監禁に近いことをしていたこと、食事を十分に与えなかったこと、主としての責任を問うものだと告げる。
精神的に追い詰められて顔色が悪くなったデニスに、セルジュは優しく肩に手を置いた。
「本来であれば罰を与えられるところだが……」
と、そこで言葉を止めた。都合の良い方向へ言葉がとれるように。
罪を問われて牢獄行きや鉱山送りとなったとしても、高額な金を納めることで回避できる。
痛手をおわせることはできるが、反省をするところか恨みを持つだけ。
それよりも別のやり方で痛い目にあわせてやらないか、と、この部屋に行く間にセルジュから提案された。
自分では何もできないから任せることにしたのだ。
「ありがとうございます、セルジュ様」
許してもらえたと思って安心したのだろう。何度もお礼の言葉を口にする。
「姉妹には謹慎をするように申しつけてあるので期間はデニスに任せる。話しは終わりだ。帰るといい」
「はい。失礼します」
脇目もふらずに急ぎ部屋を後にする。その様子を眺めていたふたりは、
「いつもは上品ぶってるのに」
「あはは、そんな余裕はないだろうさ。急いで帰って姉妹に何があったか聞くんだろう」
フレットが砕けた調子で話し始めた。相手は王子なのに不敬にならないかとアタフタとしていると、側近の二人は学生時代の友人なのだと教えてくれた。
なんとも羨ましい。学園で学ぶことも、友人がいることもだ。
「私生児である私には憧れるものです」
「勉強なら教えられるし、友人だってすでにいるではないか」
そういうとセルジュは自分自身を親指でさす。
「え、えぇっ」
なんと恐れ多い。
無理だというように両手を横に振るが、セルジュに掴まれてしまった。
「俺では友にはなれないか?」
「そそそ、そんなことはないです」
こんなに素敵で優しい人と友達になれるなんて光栄でしかない。
だけど庶民である自分なんかが友達になっていいものなのか。そう思ってしまうのだ。
「うむ、では勝手に友として扱うことにする」
「え?」
「俺のことはセルジュと呼ぶように。解ったなヴェルネル」
「え、あ……はい」
名を呼んでよい。
じわじわと耳が熱くなってくる。
ふ、とセルジュの口角が上がった。
「真っ赤だ」
片方の耳を掴まれて動かす。さらに熱が上がる。
それでなくとも顔が良いのに、しかもヴェルネルはこういうことに慣れていないのだ。
「王子殿下じゃなくてセルジュ様っ」
「ふ、あははは、可愛い奴め」
ぽふんと頭の上に手がおかれ、ぐりぐりとかきまぜられる。
「あわわわ」
頭が揺れるし照れくさい。
「さて、お前を連れ出せたことだし、タズリー伯爵家の者には痛い目にあってもらおうか」
すごくよい笑顔で恐ろしいことを言う。
これが本当の姿だよとフレットがヴェルネルに囁く。
「おい、減俸するぞ」
「酷いっ」
やめてと縋りつくフレット、それを引き離そうとするセルジュ。そのやりとりに自然と口元が緩んだ。
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