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獣人ト出逢ウ
日常と大好きな獣人(シリル)②
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次の日。午後を少し回ったころに荷物を沢山持ったランベールとゾフィードが屋敷へと到着した。
「ランベール!」
掃除をしていたのでシャツの腕を捲った恰好だ。汚れているので抱きつくこともできず、尻尾だけを揺らす。
「おや、抱きついてはくれないのかい?」
寂しそうにランベールがシリルを見る。
「だって、掃除してたから汚いし」
「おやおや、旅から戻ったばかりの私たちのほうが汚れているだろうに」
それでも迎え入れて抱きついてくれたよねと、ランベールが手を広げた。
「うん。おかえりなさい」
その腕に飛び込むとランベールが抱きしめてくれる。旅をしてきたというのにランベールからは良いにおいしかしない。
「ただいま。会いたかったよシリル」
「僕も」
鼻先をこすりあわせようとしたら、ランベールの顔が離れてしまう。
「ランベール様、外ですよ」
ゾフィードだ。獣人は外だろうが気にしないのだが、彼はシャイなのか時折邪魔をされる。
「ちょっと、久しぶりに会ったのだからいいじゃない」
「ダメです。シリル様、お久しぶりです」
ランベールに向けていた冷めた目は、シリルの前では優しいものとかわり丁重に頭を下げる。
ファブリス同様にここでは敬語は禁止と彼にも伝えてあるのだが、ランベールに使うのにシリルに使わないわけにはいかないとそのまま使い続けている。
「いいよ、中でするから」
いこうとランベールが腰に腕を回す。そのままドローイングルームへと向かった。
ランベールとこのままくっついていたいが、まだ掃除が終わっていない。
「掃除があと少しで終わるから、少し待っていてはくれないだろうか」
「あぁ。ここでゆっくりとさせてもらうよ」
行っておいでと言われ、部屋を出ていく。掃除の続きをしようとしたが、ファブリスから着替えるように言われ、二人の事を頼まれる。
「キッチンにお茶とお菓子の用意は出来ている。お湯を沸かしてお茶を入れてあげて欲しい」
「わかった」
着替えてキッチンへと向かいお茶の用意をする。
お盆の上のモノを落とさないように慎重に運ぶ。部屋では二人が寛ぎながら話をしている途中だった。
「おや、掃除は終わったのかい?」
「おもてなしを頼まれた。お茶とお菓子をどうぞ」
カップを置きお茶を入れる。手が震えてしまったが、なんとかこぼさずに入れることができた。
「嬉しいねぇ、シリルにお茶を入れて貰えるなんて」
「美味しいです。シリル様」
二人に喜んでもらえて嬉しい。
十分にお茶を楽しんだ後、
「さてと、ファブリスの手伝いをしてきますので、シリル様、ランベール様の相手をお願いします」
とゾフィードがキッチンルームへと向かった。
働き者だなと思いながらその背中を見送ると、ランベールがおいでと自分の膝の上を叩く。
「ランベール」
昔から彼の膝の上が好きだ。近くで顔が見れるから。
「いい子にしていたかい」
と額に自分の額をくっつける。
「あぁ。いい子で待っていたぞ、ランベール」
鼻と鼻をこすりつけ合い、唇を軽く重ねて離れる。愛情をたくさん感じることができて幸せな気持ちになり、尻尾がふるふると揺れてしまう。
「ランベール、人の子の友達ができたんだ」
「おや、それは本当かい」
屋敷に移された時、王である父に王族だということを口にしてはいけないと言われている。
元より告げるつもりはない。第一、この屋敷の近くに家はなく、近い村へも行くのには半日かかるのだから。
ファブリスの役に立ちたい、食べ物を集めるくらいならできるだろうと森にやってきたのだが軽率な考えであった。
シリルは獣人であっても身体は小さくて非力だった。
しかも森に一度も行ったことがないのに、シャツと半ズボン、そして革靴というスタイルで入ってしまい、木の根っこに足をとられて転んで怪我を負ってしまった。しかもその時に草むらに突っ込んでしまったのだ。
「ランベール!」
掃除をしていたのでシャツの腕を捲った恰好だ。汚れているので抱きつくこともできず、尻尾だけを揺らす。
「おや、抱きついてはくれないのかい?」
寂しそうにランベールがシリルを見る。
「だって、掃除してたから汚いし」
「おやおや、旅から戻ったばかりの私たちのほうが汚れているだろうに」
それでも迎え入れて抱きついてくれたよねと、ランベールが手を広げた。
「うん。おかえりなさい」
その腕に飛び込むとランベールが抱きしめてくれる。旅をしてきたというのにランベールからは良いにおいしかしない。
「ただいま。会いたかったよシリル」
「僕も」
鼻先をこすりあわせようとしたら、ランベールの顔が離れてしまう。
「ランベール様、外ですよ」
ゾフィードだ。獣人は外だろうが気にしないのだが、彼はシャイなのか時折邪魔をされる。
「ちょっと、久しぶりに会ったのだからいいじゃない」
「ダメです。シリル様、お久しぶりです」
ランベールに向けていた冷めた目は、シリルの前では優しいものとかわり丁重に頭を下げる。
ファブリス同様にここでは敬語は禁止と彼にも伝えてあるのだが、ランベールに使うのにシリルに使わないわけにはいかないとそのまま使い続けている。
「いいよ、中でするから」
いこうとランベールが腰に腕を回す。そのままドローイングルームへと向かった。
ランベールとこのままくっついていたいが、まだ掃除が終わっていない。
「掃除があと少しで終わるから、少し待っていてはくれないだろうか」
「あぁ。ここでゆっくりとさせてもらうよ」
行っておいでと言われ、部屋を出ていく。掃除の続きをしようとしたが、ファブリスから着替えるように言われ、二人の事を頼まれる。
「キッチンにお茶とお菓子の用意は出来ている。お湯を沸かしてお茶を入れてあげて欲しい」
「わかった」
着替えてキッチンへと向かいお茶の用意をする。
お盆の上のモノを落とさないように慎重に運ぶ。部屋では二人が寛ぎながら話をしている途中だった。
「おや、掃除は終わったのかい?」
「おもてなしを頼まれた。お茶とお菓子をどうぞ」
カップを置きお茶を入れる。手が震えてしまったが、なんとかこぼさずに入れることができた。
「嬉しいねぇ、シリルにお茶を入れて貰えるなんて」
「美味しいです。シリル様」
二人に喜んでもらえて嬉しい。
十分にお茶を楽しんだ後、
「さてと、ファブリスの手伝いをしてきますので、シリル様、ランベール様の相手をお願いします」
とゾフィードがキッチンルームへと向かった。
働き者だなと思いながらその背中を見送ると、ランベールがおいでと自分の膝の上を叩く。
「ランベール」
昔から彼の膝の上が好きだ。近くで顔が見れるから。
「いい子にしていたかい」
と額に自分の額をくっつける。
「あぁ。いい子で待っていたぞ、ランベール」
鼻と鼻をこすりつけ合い、唇を軽く重ねて離れる。愛情をたくさん感じることができて幸せな気持ちになり、尻尾がふるふると揺れてしまう。
「ランベール、人の子の友達ができたんだ」
「おや、それは本当かい」
屋敷に移された時、王である父に王族だということを口にしてはいけないと言われている。
元より告げるつもりはない。第一、この屋敷の近くに家はなく、近い村へも行くのには半日かかるのだから。
ファブリスの役に立ちたい、食べ物を集めるくらいならできるだろうと森にやってきたのだが軽率な考えであった。
シリルは獣人であっても身体は小さくて非力だった。
しかも森に一度も行ったことがないのに、シャツと半ズボン、そして革靴というスタイルで入ってしまい、木の根っこに足をとられて転んで怪我を負ってしまった。しかもその時に草むらに突っ込んでしまったのだ。
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