24 / 29
第1章:禁断の森「ソーン樹海」
Ep20:「急な試練」
しおりを挟む
「お袋とリアさん、んでレアさんまで・・・何を言うかと思えば・・・。」
「すまない。勝手な頼みということは分かってはいるが、まぁお前も村を出たいと言っていたし、どうだろうか。」
「・・・」
しばらく無言が続いた。そしてゼキが何かを言おうとしたとき。
ゴゴォン
外から大きな音が響いた。場所はかなり遠いようだ。
「何だ・・・??」
ルアが窓の外を見ながら言った。
すると部屋の扉が急に開きザキが入ってきた。
「ルア様!マク―です。村から約1キロ程度のところに!」
「マクー!?中級モンスターがなぜそのようなところに・・・。発生したのか?」
「わかりません。ですが結界内での発生は考えにくく・・・何者かの手引があったか・・・」
ザキはユーキたちをチラッと見ながら言った。
「ザキ!!失礼にもほどがあるぞ!彼らは手引などしない!理由がないからな。」
かばうルアに対しユーキはありがとうとお礼を言った。
「マク―ってなんだ?中級モンスターの発生って?」
ユーキはルアに質問した。
「すまないが詳しい話はあとだ。村から1キロとはいえ、マクーなどの中級モンスターにとってこの村は"範囲内"だ。」
そう言うとルアは部屋の端に行き棚から薙刀を取り出した。
「すぐに向かう。基本的には転送で対応するが、相手はマク―。討伐も視野に入れて対処する。ついてこい。」
「は。」
ルアはそのまま部屋から出ようとする。
「君たちはここで待っていてくれ。すぐに戻る。」
するとゼキが切り出した。
「待て!ルア。」
「お、おマッ。ルア"様"と!何度・・・」
ザキは慌てたように言った。
「ザキ。良い。何だ?」
「俺がコイツらに強力して村から出て・・・ソーン樹海に行くって話だが・・・」
「な、ど、どういうことですか・・・?ルア様。」
状況をつかめないザキがルアに聞いた。
「後で説明する。・・・でソレがどうした。今は関係ないはずだが・・・?」
「いーや関係大ありだ。今回俺がついていくことのメリットは島を出れることだ。でも・・・島を出る前に死んでしまうなんてことは本末転倒だろう?」
「・・・何が言いたい?」
じろりとゼキを見ながらルアは聞いた。
「・・・わかんだろ。マク―程度のモンスターに苦戦するような輩とは旅は出来ないって言ってんだ。」
ユーキはやっと理解した。マクーを討伐しろと言っているんだ。3人で。
「馬鹿なことを・・・」
「いや!・・いい。」
ショウが遮るように言った。
「つまり。ゼキ・・・くん?」
「ゼキさん!だろうが!!おい。年上にはさんをつけろやこら。」
ショウのこめかみがピクピクと動いた気がした。
「す、すまない。ゼキさん。いや、どうにも見た目がその、年上には見えなくてね・・・あぁ、誉め言葉だよ。」
嫌味たっぷりに聞こえた。
「おぉ。まぁわかればいいんだよ。」
今にも叫びだしそうなくらいショウのこめかみが震えていた。
「つ、つまりだ。ゼキさん。マクーを私たちだけで倒すことができたら、君が旅に同行してくれる・・・ということでいいか?」
「あぁ。いいぜ。男に二言はねぇ。」
「と、いうことだ。ルア。マクーの討伐は私たちに任せてもらおう。」
「そんな・・・。中級とは言えマクーはかなり強敵だぞ。」
ルアは心配そうに聞いてきた。
「大丈夫。私は曲がりなりにも村長だったものだ。それにレンはディズの息子。中級のAランク程度なら軽くいなせるはずだ。」
「あぁ。速攻で倒してやるぜ。」
ルアはなおも心配そうにしていたが、ユーキは内心汗だらだらだった。
念のため、村の討伐隊も同行し、ルアの転送魔法でマクーが居ると思われる場所の近くまで移動した。
「では、ショウ。頼むぞ。」
そういわれるとショウとレンは前に歩き始めた。
ユーキは我関せずと二人を見送っていたが・・・
「何をしているユーキ?行くぞ?」
「お、おう。」
二人で行けよ!お前らが勝手に決めたんだから!とは言えず、、、
前を歩いていく二人に近づき、ユーキは小声で聞いた。
「な、なぁ。俺低級モンスターで死にそうになったんだが・・・今回はお前らでやってくれるんだよな?なぁ?」
するとレンが答えた。
「まぁさすがに今回は俺がやるよ。いいよな?ショウ。」
ショウは横に首を振った。
「いや、今回はユーキも一緒に戦ってもらう。いい機会だ。このままソーン樹海に行くにしても経験がなさすぎる。私たちとの連携も慣れておかなくては。」
冷汗が垂れてきた。
「お、俺死んじゃわないよね?」
「ショウ。確かに慣れることは大切だけどユーキがマクーと戦えるとは思えない。ましてや今回はあっさりにでも倒した方がゼキの心象もいいんじゃない?」
ナイスレン!
「いや、だめだ。ソーン樹海までに中級モンスターは基本的にはいない。今回マクーがここに出たことは私も驚いている。かなり珍しい。ここで経験を積むことは必須と考える。」
そのままショウはつづける。
「確かに今のユーキにはマクーを倒すほどの力はない。だから今回はあくまでサポートに徹してもらう。倒すのは私かレンでやる。」
「なるほどね。オッケー。作戦とか立てる?」
「いや。実戦はいつも急だ。今回は場の適応能力経験も積みたい。」
「待て待て、本当に言ってんのか?俺が死んだら旅にも影響が出るんじゃないのか?」
ショウはゆっくりと微笑んだ。
「大丈夫。絶対に死なせない。私たちをなめるな。中級程度のモンスターに苦戦という文字はない。」
「いや、頼りになるけど・・・」
やはり一抹の不安は消えない。
3人はマクーの痕跡を探しながら森を歩いた。
「そういえば、さっき中級モンスターのAランク・・・とかなんとか言ってたけどどういうことだ?」
思い出したかのようにユーキが聞いた。
「あぁ。言ってなかったね。モンスターには低級、中級、上級、超級とあるがそれぞれにランクがある。Cランク、Bランク、Aランク、Sランクと細分化されている。低級のSランクの一つ上が中級のCランクになる。」
なるほど・・・と声に出すユーキ。
「超級はSランクの上にSSとSSSランクがあるよ。」
「果てしないなぁ。ちなみにタンゴと今回のマクーはどのランクに属するんだ?」
するとショウは少し考えながら答えた。
「んー。個体差があるからな。タンゴは基本的には低級のBランクかな。マクーは中級のBランクって感じかな。」
「大丈夫か・・・俺ほんと・・・。・・・リヴァイアサンはどうなんだ?」
またしてもショウは少し考えるように答えた。
「ンー。前にも少し話したんだけど。リヴァイアサンはモンスターじゃないんだ。それに計り知れない・・というより本当にわからない。戦ったことがないからね。」
「モンスターじゃない?」
「まぁ難しい話はあとにしよう。今はマクーに気を集中して。いつどこから現れるかわからないよ。」
しばらく三人は黙ったまま森を歩きつづけた。
するとどこからともなく声が聞こえてきた。ゼキだ。
「ったく。お前ら魔祖感知もできねぇのか?14時の方向に進めばいるぞ。」
討伐隊やルア、ゼキは気配を消して着いて来ているようだ。
「・・・いちいち癇に障るやつだが、確かに、私もレンも感知能力が薄い。ありがたい助言だ。」
ゼキに言われるまま、14時の方向に3人は進んだ。
本当にいるののだろうか?そんなに強いモンスターが。そう思わせるほど静かな森だった。
「ユーキ!よけろ!!」
レンが急に叫んだかと思うと思い切り突進してきた。
間一髪。何かサッカーボールくらいのものが頭をかすめていった。
それは後ろの木を何本もなぎ倒して森の奥に消えていった。
「ぐっ。あ、ありがとう。」
「気をつけろ。気を張り詰めなきゃ死んじゃうぞ。」
かなり神妙な面持ちで答えるレン。
「今のはなんだ。マクーの攻撃か?」
「今のがマクーだ。奴はゴリゴリの肉弾戦。突進や殴打を繰り出す。中でも突進が厄介で、スピードが桁違いだ。」
-今のがマクー・・・?-
「いや、よく見てたか?俺もあんまり見えた方じゃないけど、これくらいの大きさだったぞ?」
サッカーボールくらいの大きさを手で表しながらユーキが言った。
「何言って・・・あぁ、そうかマクーの特徴を教えてなかったな。」
「マクーは小さなぬいぐるみみたいな大きさだよ。中級って聞いて大きい動物を想像した?」
笑いながらショウが聞いてきた。
「おっしゃる通り・・・。」
その小さなぬいぐるみがあんなに木をなぎ倒して・・・・。
生唾を飲み込むユーキ。
「おい、おい、まじか。大丈夫かよ。マクーごときに苦戦してるような奴らと旅はできねぇなぁ。」
嫌味たっぷりなゼキの声が聞こえてきた。
-いちいちイラつくやつだな。ほんとに!-
「気にするな。ベストを尽くそう。」
ショウが肩を軽く叩きながら言った。体が軽くなっていき、擦り傷がなくなっていく。回復魔法だ。
「ありがとう・・・だけど・・・。」
こういう感じは好きじゃない。自分が足を引っ張ている。チームのメンバーに迷惑をかけたくない・・・。
「来るぞ。」
レンが小さな声で言った。
目の前に立ち込める砂ぼこりに小さな影が浮かぶ。
「まずは自分の役割を確認しよう。レンは戦闘 兼 強化支援。私は戦闘支援 兼 回復。そしてユーキは弱体支援だ。」
ショウは計反で確認した色で役割を分けた。
「なるほど。わかりやすいな。」
弱体支援。デバフ。ゲームなどで弱体効果はイメージはできるが・・・
-どうやって防御力を下げるんだ・・・?-
考えているうちにマクーが姿を現した。この時ユーキは初めて姿を見た。
「え・・・?」
目の前にはぬいぐるみくらいの大きさの、"ぬいぐるみ"だった。
「なんだこれ。ぬいぐるみじゃんか。熊の!」
「くるぞ。集中しー」
レンが言い終わる前にマクーは突進してきた。ものすごい速さだ。
-けど・・・-
今度はマクーを目の前に捉えていたためか、容易によけられた。
「っは!余裕で避けられた!」
簡単によけられたことに喜びを隠せないユーキ。
「俺がお前の目と体に軽く強化をかけたからだよ!!油断するなって言ったろ!」
その真実にがっかりするユーキ。
「・・・けどありがとう。助かる。」
話しながらもユーキはマクーから目を離さなかった。
見える。目がよくなったような感じ。細かい砂ぼこりの一粒一粒まで目を凝らせば見えてくる。
「強化支援か・・・。俺も弱体支援しなきゃ。」
「あくまで今回はユーキの経験を積むってのが目的だから・・・ユーキは弱体かけることと攻撃をよけることに専念して。」
俺たちでサポートするからと言い残しレンは森に消えていった。気がつけばショウも近くにいなかった。
タンゴの時と同じ。多分本気でやばいときは助けてくれるんだろう。でも・・・つまりは本気でやばくなるまでは助けてくれない。
「あー。この世界での生き方というか、進み方というか。肝くくらなきゃ。ほんとに俺自身が強くならなきゃ・・・」
砂ぼこりの中からゆっくりと出てきたマクーを目で見据えながらつぶやくように言った。
またしても物凄いスピードで突進してくるマクー。
-でも。いつレンの強化魔法がなくなるかわからない。早めに弱体をかけないと。-
マクーの突進を問題なくよけるユーキ。
-弱体か。まずはこのスピードをどうにかしないとだな。でもどうやって・・・?闇属性の魔法は色が関係ないとはいえ・・・星の力で。イメージするだけで実現できる力で・・・-
奥からゆっくり歩いてくるマクーに向けユーキは魔法を放つ。
「属性は闇!星の力・・・ジャミング・足!!」
とりあえず名前は適当に考えた。
しかし
「あれ・・・」
そのままマクーは突進してきた。スピードは遅くなったような感じはしない。
「なんでっ・・・だ?」
マクーをよけながらつぶやく。
おかしい。力が手から放たれた感じはあった。
試しに手から水の剣を出してみた。ユーキの手に煌めく水の剣が現れた。
============
それを少し遠くから眺めていたゼキ。
「ん?ありゃあ・・・レアさんもどき。えげつないことしやがる。どんな魔祖コントロールしてんだ。どうやって・・・」
驚きを隠せないゼキ。
「あいつを観察してみるか・・・」
============
「やっぱり出る。イメージしただけで。」
今度はかなり奥の方まで突進していったのか、いまだ見えてこないマクー。
ユーキは次に火の剣をイメージしながら手に星の力を込めてみた。
すると手から火が・・・出ない!!
「な、なんで・・・?」
「ユーキ!!危ない!!」
ショウの声が聞こえた気がした。
しかし聞こえたと、考えた瞬間には横腹に衝撃を感じていた。
途端に視界がぐるぐるとすごい勢いで回り、背中が木に打ち付けられたのが分かった。
「すまない。勝手な頼みということは分かってはいるが、まぁお前も村を出たいと言っていたし、どうだろうか。」
「・・・」
しばらく無言が続いた。そしてゼキが何かを言おうとしたとき。
ゴゴォン
外から大きな音が響いた。場所はかなり遠いようだ。
「何だ・・・??」
ルアが窓の外を見ながら言った。
すると部屋の扉が急に開きザキが入ってきた。
「ルア様!マク―です。村から約1キロ程度のところに!」
「マクー!?中級モンスターがなぜそのようなところに・・・。発生したのか?」
「わかりません。ですが結界内での発生は考えにくく・・・何者かの手引があったか・・・」
ザキはユーキたちをチラッと見ながら言った。
「ザキ!!失礼にもほどがあるぞ!彼らは手引などしない!理由がないからな。」
かばうルアに対しユーキはありがとうとお礼を言った。
「マク―ってなんだ?中級モンスターの発生って?」
ユーキはルアに質問した。
「すまないが詳しい話はあとだ。村から1キロとはいえ、マクーなどの中級モンスターにとってこの村は"範囲内"だ。」
そう言うとルアは部屋の端に行き棚から薙刀を取り出した。
「すぐに向かう。基本的には転送で対応するが、相手はマク―。討伐も視野に入れて対処する。ついてこい。」
「は。」
ルアはそのまま部屋から出ようとする。
「君たちはここで待っていてくれ。すぐに戻る。」
するとゼキが切り出した。
「待て!ルア。」
「お、おマッ。ルア"様"と!何度・・・」
ザキは慌てたように言った。
「ザキ。良い。何だ?」
「俺がコイツらに強力して村から出て・・・ソーン樹海に行くって話だが・・・」
「な、ど、どういうことですか・・・?ルア様。」
状況をつかめないザキがルアに聞いた。
「後で説明する。・・・でソレがどうした。今は関係ないはずだが・・・?」
「いーや関係大ありだ。今回俺がついていくことのメリットは島を出れることだ。でも・・・島を出る前に死んでしまうなんてことは本末転倒だろう?」
「・・・何が言いたい?」
じろりとゼキを見ながらルアは聞いた。
「・・・わかんだろ。マク―程度のモンスターに苦戦するような輩とは旅は出来ないって言ってんだ。」
ユーキはやっと理解した。マクーを討伐しろと言っているんだ。3人で。
「馬鹿なことを・・・」
「いや!・・いい。」
ショウが遮るように言った。
「つまり。ゼキ・・・くん?」
「ゼキさん!だろうが!!おい。年上にはさんをつけろやこら。」
ショウのこめかみがピクピクと動いた気がした。
「す、すまない。ゼキさん。いや、どうにも見た目がその、年上には見えなくてね・・・あぁ、誉め言葉だよ。」
嫌味たっぷりに聞こえた。
「おぉ。まぁわかればいいんだよ。」
今にも叫びだしそうなくらいショウのこめかみが震えていた。
「つ、つまりだ。ゼキさん。マクーを私たちだけで倒すことができたら、君が旅に同行してくれる・・・ということでいいか?」
「あぁ。いいぜ。男に二言はねぇ。」
「と、いうことだ。ルア。マクーの討伐は私たちに任せてもらおう。」
「そんな・・・。中級とは言えマクーはかなり強敵だぞ。」
ルアは心配そうに聞いてきた。
「大丈夫。私は曲がりなりにも村長だったものだ。それにレンはディズの息子。中級のAランク程度なら軽くいなせるはずだ。」
「あぁ。速攻で倒してやるぜ。」
ルアはなおも心配そうにしていたが、ユーキは内心汗だらだらだった。
念のため、村の討伐隊も同行し、ルアの転送魔法でマクーが居ると思われる場所の近くまで移動した。
「では、ショウ。頼むぞ。」
そういわれるとショウとレンは前に歩き始めた。
ユーキは我関せずと二人を見送っていたが・・・
「何をしているユーキ?行くぞ?」
「お、おう。」
二人で行けよ!お前らが勝手に決めたんだから!とは言えず、、、
前を歩いていく二人に近づき、ユーキは小声で聞いた。
「な、なぁ。俺低級モンスターで死にそうになったんだが・・・今回はお前らでやってくれるんだよな?なぁ?」
するとレンが答えた。
「まぁさすがに今回は俺がやるよ。いいよな?ショウ。」
ショウは横に首を振った。
「いや、今回はユーキも一緒に戦ってもらう。いい機会だ。このままソーン樹海に行くにしても経験がなさすぎる。私たちとの連携も慣れておかなくては。」
冷汗が垂れてきた。
「お、俺死んじゃわないよね?」
「ショウ。確かに慣れることは大切だけどユーキがマクーと戦えるとは思えない。ましてや今回はあっさりにでも倒した方がゼキの心象もいいんじゃない?」
ナイスレン!
「いや、だめだ。ソーン樹海までに中級モンスターは基本的にはいない。今回マクーがここに出たことは私も驚いている。かなり珍しい。ここで経験を積むことは必須と考える。」
そのままショウはつづける。
「確かに今のユーキにはマクーを倒すほどの力はない。だから今回はあくまでサポートに徹してもらう。倒すのは私かレンでやる。」
「なるほどね。オッケー。作戦とか立てる?」
「いや。実戦はいつも急だ。今回は場の適応能力経験も積みたい。」
「待て待て、本当に言ってんのか?俺が死んだら旅にも影響が出るんじゃないのか?」
ショウはゆっくりと微笑んだ。
「大丈夫。絶対に死なせない。私たちをなめるな。中級程度のモンスターに苦戦という文字はない。」
「いや、頼りになるけど・・・」
やはり一抹の不安は消えない。
3人はマクーの痕跡を探しながら森を歩いた。
「そういえば、さっき中級モンスターのAランク・・・とかなんとか言ってたけどどういうことだ?」
思い出したかのようにユーキが聞いた。
「あぁ。言ってなかったね。モンスターには低級、中級、上級、超級とあるがそれぞれにランクがある。Cランク、Bランク、Aランク、Sランクと細分化されている。低級のSランクの一つ上が中級のCランクになる。」
なるほど・・・と声に出すユーキ。
「超級はSランクの上にSSとSSSランクがあるよ。」
「果てしないなぁ。ちなみにタンゴと今回のマクーはどのランクに属するんだ?」
するとショウは少し考えながら答えた。
「んー。個体差があるからな。タンゴは基本的には低級のBランクかな。マクーは中級のBランクって感じかな。」
「大丈夫か・・・俺ほんと・・・。・・・リヴァイアサンはどうなんだ?」
またしてもショウは少し考えるように答えた。
「ンー。前にも少し話したんだけど。リヴァイアサンはモンスターじゃないんだ。それに計り知れない・・というより本当にわからない。戦ったことがないからね。」
「モンスターじゃない?」
「まぁ難しい話はあとにしよう。今はマクーに気を集中して。いつどこから現れるかわからないよ。」
しばらく三人は黙ったまま森を歩きつづけた。
するとどこからともなく声が聞こえてきた。ゼキだ。
「ったく。お前ら魔祖感知もできねぇのか?14時の方向に進めばいるぞ。」
討伐隊やルア、ゼキは気配を消して着いて来ているようだ。
「・・・いちいち癇に障るやつだが、確かに、私もレンも感知能力が薄い。ありがたい助言だ。」
ゼキに言われるまま、14時の方向に3人は進んだ。
本当にいるののだろうか?そんなに強いモンスターが。そう思わせるほど静かな森だった。
「ユーキ!よけろ!!」
レンが急に叫んだかと思うと思い切り突進してきた。
間一髪。何かサッカーボールくらいのものが頭をかすめていった。
それは後ろの木を何本もなぎ倒して森の奥に消えていった。
「ぐっ。あ、ありがとう。」
「気をつけろ。気を張り詰めなきゃ死んじゃうぞ。」
かなり神妙な面持ちで答えるレン。
「今のはなんだ。マクーの攻撃か?」
「今のがマクーだ。奴はゴリゴリの肉弾戦。突進や殴打を繰り出す。中でも突進が厄介で、スピードが桁違いだ。」
-今のがマクー・・・?-
「いや、よく見てたか?俺もあんまり見えた方じゃないけど、これくらいの大きさだったぞ?」
サッカーボールくらいの大きさを手で表しながらユーキが言った。
「何言って・・・あぁ、そうかマクーの特徴を教えてなかったな。」
「マクーは小さなぬいぐるみみたいな大きさだよ。中級って聞いて大きい動物を想像した?」
笑いながらショウが聞いてきた。
「おっしゃる通り・・・。」
その小さなぬいぐるみがあんなに木をなぎ倒して・・・・。
生唾を飲み込むユーキ。
「おい、おい、まじか。大丈夫かよ。マクーごときに苦戦してるような奴らと旅はできねぇなぁ。」
嫌味たっぷりなゼキの声が聞こえてきた。
-いちいちイラつくやつだな。ほんとに!-
「気にするな。ベストを尽くそう。」
ショウが肩を軽く叩きながら言った。体が軽くなっていき、擦り傷がなくなっていく。回復魔法だ。
「ありがとう・・・だけど・・・。」
こういう感じは好きじゃない。自分が足を引っ張ている。チームのメンバーに迷惑をかけたくない・・・。
「来るぞ。」
レンが小さな声で言った。
目の前に立ち込める砂ぼこりに小さな影が浮かぶ。
「まずは自分の役割を確認しよう。レンは戦闘 兼 強化支援。私は戦闘支援 兼 回復。そしてユーキは弱体支援だ。」
ショウは計反で確認した色で役割を分けた。
「なるほど。わかりやすいな。」
弱体支援。デバフ。ゲームなどで弱体効果はイメージはできるが・・・
-どうやって防御力を下げるんだ・・・?-
考えているうちにマクーが姿を現した。この時ユーキは初めて姿を見た。
「え・・・?」
目の前にはぬいぐるみくらいの大きさの、"ぬいぐるみ"だった。
「なんだこれ。ぬいぐるみじゃんか。熊の!」
「くるぞ。集中しー」
レンが言い終わる前にマクーは突進してきた。ものすごい速さだ。
-けど・・・-
今度はマクーを目の前に捉えていたためか、容易によけられた。
「っは!余裕で避けられた!」
簡単によけられたことに喜びを隠せないユーキ。
「俺がお前の目と体に軽く強化をかけたからだよ!!油断するなって言ったろ!」
その真実にがっかりするユーキ。
「・・・けどありがとう。助かる。」
話しながらもユーキはマクーから目を離さなかった。
見える。目がよくなったような感じ。細かい砂ぼこりの一粒一粒まで目を凝らせば見えてくる。
「強化支援か・・・。俺も弱体支援しなきゃ。」
「あくまで今回はユーキの経験を積むってのが目的だから・・・ユーキは弱体かけることと攻撃をよけることに専念して。」
俺たちでサポートするからと言い残しレンは森に消えていった。気がつけばショウも近くにいなかった。
タンゴの時と同じ。多分本気でやばいときは助けてくれるんだろう。でも・・・つまりは本気でやばくなるまでは助けてくれない。
「あー。この世界での生き方というか、進み方というか。肝くくらなきゃ。ほんとに俺自身が強くならなきゃ・・・」
砂ぼこりの中からゆっくりと出てきたマクーを目で見据えながらつぶやくように言った。
またしても物凄いスピードで突進してくるマクー。
-でも。いつレンの強化魔法がなくなるかわからない。早めに弱体をかけないと。-
マクーの突進を問題なくよけるユーキ。
-弱体か。まずはこのスピードをどうにかしないとだな。でもどうやって・・・?闇属性の魔法は色が関係ないとはいえ・・・星の力で。イメージするだけで実現できる力で・・・-
奥からゆっくり歩いてくるマクーに向けユーキは魔法を放つ。
「属性は闇!星の力・・・ジャミング・足!!」
とりあえず名前は適当に考えた。
しかし
「あれ・・・」
そのままマクーは突進してきた。スピードは遅くなったような感じはしない。
「なんでっ・・・だ?」
マクーをよけながらつぶやく。
おかしい。力が手から放たれた感じはあった。
試しに手から水の剣を出してみた。ユーキの手に煌めく水の剣が現れた。
============
それを少し遠くから眺めていたゼキ。
「ん?ありゃあ・・・レアさんもどき。えげつないことしやがる。どんな魔祖コントロールしてんだ。どうやって・・・」
驚きを隠せないゼキ。
「あいつを観察してみるか・・・」
============
「やっぱり出る。イメージしただけで。」
今度はかなり奥の方まで突進していったのか、いまだ見えてこないマクー。
ユーキは次に火の剣をイメージしながら手に星の力を込めてみた。
すると手から火が・・・出ない!!
「な、なんで・・・?」
「ユーキ!!危ない!!」
ショウの声が聞こえた気がした。
しかし聞こえたと、考えた瞬間には横腹に衝撃を感じていた。
途端に視界がぐるぐるとすごい勢いで回り、背中が木に打ち付けられたのが分かった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界でカイゼン
soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)
この物語は、よくある「異世界転生」ものです。
ただ
・転生時にチート能力はもらえません
・魔物退治用アイテムももらえません
・そもそも魔物退治はしません
・農業もしません
・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます
そこで主人公はなにをするのか。
改善手法を使った問題解決です。
主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。
そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。
「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」
ということになります。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる