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第1章:禁断の森「ソーン樹海」
Ep21:「不純な理由の純粋な戦力」
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「グっ、げはっ。」
口から軽く吐瀉物が出た。頭がボーとして状況をうまく理解できない。
目の前からマクーが歩いてくるのが見える。
-立たなきゃ・・・たて、たて、たて!!-
頭で考え命令するが、体が言うことを聞かない。
するとレンが目の前に現れた、かと思うとものすごいスピードでマクーを蹴り飛ばした。
ショウもきて、すぐに回復魔法を唱え始めた。
「大丈夫?」
魔法のおかげか、頭がすっきりしてきて、体も動くようになってきた。
「はぁっはぁっ!」
忘れていたかのように呼吸をし始める。
「大丈夫。ゆっくり整えよう。」
ショウは魔法をかけながらゆっくり優しく語りかけた。
-何が起こった?確かに考え事はしていた。けど目の前に集中していた。マクーは来ていなかった!急に横腹に衝撃を・・・-
呼吸を整えながら考えをめぐらす。
「本能だ。ユーキ。」
「え?」
「マクーなどの中級モンスターになると、複雑な思考回路を本能として体が覚えている。つまりただ単純に殺す、逃げる、などの本能ではなく、どうやれば殺せるか、どうすれば逃げ切れるかを本能で実行している。」
「つまり・・・俺は出し抜かれた?」
「まぁ・・そういうことになるね。マクーは出し抜こうなんて考えてはいないんだけど・・・」
-くそ、迷惑をかけてしまった。ゼキもこの失態には目を瞑らないだろう・・・-
いくらか痛みも去り呼吸も整ってきた。しかしこの失態にショックを隠し切れなかった。
「ご、ごめん。」
「謝らないで。多分だけどユーキが出した水の剣を見てゼキは驚いているはずだよ。結果オーライ。」
「そ、そうだ!さっきイメージだけで弱体できるか試してみたんだ。でもできなかった。星の力が手から放たれた感覚はあったんだけど。」
慰められたユーキは思い出したかのようにショウに質問した。
「それで何も起きないなら、単純に魔法がマクーに当たらなかったか、魔祖が放たれた感覚があるのに何も起きないのは魔法失敗のよくある現象だが。。。星の力だからそこに違いがあるのかと聞かれたら答えようがないな。」
「やっぱり失敗なのか・・・?確かにそのあと炎の剣を作ろうとしたけどまったく同じ感覚だった。」
するとショウは周りを確認するようにきょろきょろ見渡した。
「大丈夫、近くにマクーはいない。レンが遠くまで突き飛ばしてくれたようだ。もう一度水の剣を出してみて。」
そういわれたとユーキは再度手に星の力を込めた。
以前と同じように手には煌めく水の剣が現れた。
「・・・これは・・・イメージしてるだけなんだよね?」
ユーキの手から伸びる水の剣を見ながらショウは聞いた。
「うん。ほんとに水が固形化しているイメージというか、なんというか・・・」
「うん。まぁ普通はありえないね。じゃあ次は炎の剣を出してみようか。」
ユーキはうなずくと再度手に星の力を込めた。
しかし、
「で、出ない・・・」
星の力が手から出た感覚は先ほど同様にあった。
「うーん。さっきと同じだ。力が出る感覚はあるけど・・・」
「じゃあ次はただの炎でいいから出してみて。」
ショウは少し考えたあと、提案してきた。
「え、うーーん。こう・・・か?」
すると手から炎が噴き出してきた。まごうことなき炎だった。
「う、うおっ!!」
先ほど不発だったからか、星の力を込めすぎたようだ。勢いよく出てきた炎で前髪が少しチリチリした。
「うん。なるほどね。」
納得したようにショウはうなずいた。
「なんか分かったのか?」
「いや、詳しくはわからないけど、おそらくイメージしただけで様々なことが実現できるのは水の力を使用した時だけみたいだね。」
すると近くで大きな音がした。マクーが暴れているようだ。
「おっと、かなり近いな。ではこの話はまた今度にしよう。"イメージの力"が発揮するのが水の力のみか組み合わせでも適用されるのか。知りたいことはいろいろあるが・・・」
するとレンが音のする方から飛んできた。
「おいっ!もう時間稼ぎも限界だぞ!どーすんだ!!?」
マクーがすぐそこまで迫ってきているようだ。
「今回の目的は先に話した通り、実戦経験を積むことが本懐だ。私たちは基本的には待つ。ユーキ。君がマクーに弱体をかけるまではね。」
「な、なるほど。でもさっきかけようとしたけど駄目だったんだ。どうすれば弱体魔法ってかけれるんだ?」
「弱体魔法はそんなに難しい魔法じゃない。陰、陽属性は特殊なんだ。さっき空振りしたのは"イメージの力"を使おうとしたからじゃないかな。難しいことは考えずに魔法を放つんだ。・・・おっと。」
ショウめがけてマクーが飛んできた。ショウはさらりとよけ、続けた。
「どんな弱体をかけるかは任せる。じゃああとは頼んだよ!」
そう言うとまたしてもショウは森に消えていった。
先ほどショウめがけて飛んできたマクーが砂埃の中からゆっくりと出てきた。しかし標的が消えたことで困惑しているようだ。
「今なら・・・!」
手に星の力を込め弱体をかけようとした瞬間。
マクーが標的を見つけた。ユーキの方に視線が向いた瞬間にはすでに突進してきていた。
「っ!!!!」
-クソ!早い・・けど・・・とりあえず避けて・・・-
まだレンが掛けてくれた魔法が聞いているのか今回も簡単によけれた。
「ここで相手を見失わないこと・・・!」
しっかり砂埃の中にいるマクーを確認しながら再度手に星の力を込め始めるユーキ。
案の定。先ほどと同様にマクーは横にそれ、回り込むようにして距離を詰めてきた。
「見える・・・!」
突進してくるマクーを見据え。またしても難なくよけるユーキ。マクーは再度横に逸れ、回り込んだ。
「何よりも厄介なのはスピードと突進。それさえ封じればかなり戦闘は楽になるはず。・・・つまり、やっぱり足か。」
先程と同様にマクは回り込んだ先から突進してきた。ユーキはしっかりとマクーを、いやマクーの足に集中していた。
そして迫りくるマクーの足めがけて手に溜めていた星の力を放った。"イメージの力"は使用せずに、しっかりと足にとてつもなく重い重しがつくように頭で考えながら魔法を放った。
すると・・・
「---!!!」
マクーは足が急に重くなったようで、こけてしまった。
「よしっ!!かけれた!」
"イメージの力"
イメージしただけ難しい魔祖コントロールを無視して魔法を使える力。
この力を使わずにしっかりと、どこに、どのような弱体をかけるかを"イメージ"する。
「ややこしいな・・・。」
しかししっかりとユーキが放った弱体魔法は効いていた。
マクーは一番の特徴であるスピードを失い、その力は半減・・・どころかもはや脅威は無いに等しかった。
「いいぞユーキ!!よくやった!あとは・・・レン!!」
「まかせろ。」
ショウに呼ばれたレンはマクーの元まで一瞬で距離を詰め、蹴り上げた。
「ユーキ。見ておいた方がいい。レンが使用する身体強化魔法はいいレベルまで行ってる。その身体強化がなせる技を。」
ユーキは強化された目でしっかりとレンを見ていた。
蹴り上げられたマクーの体は地上50M付近で頂点に達し、一瞬の無重力になろうとしていた。
レンは蹴り上げたと同時に地面を蹴り、高く飛び上がっていた。ほぼ同じタイミングで無重力状態になった時、レンはマク―を蹴り落とそうとしていた。
「メテオ:ギベオン!!」
レンが叫ぶ前に体がさらわれる感覚があった。ショウがユーキを担いでものすごいスピードで移動している。
瞬間、先ほどまでいた場所が爆発した。いや、マクーが落下してきたのだ。隕石のように。
衝撃が二人を包む。ショウは体勢を崩し、ユーキは投げ出されてしまった。
鼓膜に残るほどの衝撃。目の前は砂埃で覆われていて何も見えなかった。
2,3分ほどユーキはショウと砂埃が収まるのを待っていた。次第に落ち着きユーキは目の前の光景に息をのんだ。
半径約50Mほどのクレータができていた。
「こ、これは・・・・」
あっけにとられるユーキ。
「あ、あいつ、やりすぎだバカ・・・。」
あきれるようにそう呟くショウ。
するとどこからともなく村の討伐隊、ルア、ゼキが近くまで来ていた。
「すげーな。こりゃあ・・・」
ゼキもルアも目の前にできたクレータに驚き、目を見開いていた。
「これは・・・奴・・・ディズの息子がやったのか??」
ルアは質問した。
「あぁ。すまない。これは・・・やりすぎだと思う。おそらく・・・ゼキにいいところを見せつけようとしたんだと思うが・・・」
ショウはゼキを伺うように言った。
「・・・・」
ゼキは黙ったままクレータの中央付近にある砂埃を見ていた。
砂埃の中からゆっくりと出てきたのは・・・マクー。
「「!!」」
一同身を構える。・・・が。出てきたのはマク―、ではなくマクーを抱えたレンだった。
「ふぅ~。いやぁ、つい力が入っちまった。すまん!!でもこれで俺たちの強さがわかったろ?」
体の砂埃を払い、笑いながら歩いてくるレン。
「いや、うん。よくわかった。すごいな君は。」
ルアは感心したように言った。
「・・・まぁ。お前の強さはわかった。んで、ショウの戦闘経験も、戦闘中の余裕さなんかからも把握した。」
ショウはホッとしたような表情を浮かべた。
「けど・・・」
ゼキはユーキの方を横目で見ながら続けた。
「ギクッ」
ユーキはどきりとしたが決してゼキと目を合わせないようにしていた。
「レアさんもどきの方はお世辞にも強いとは言えない。魔祖コントロールには恐れ入ったが・・・」
ゼキは水の剣を思い出しながら言った。
「最悪こいつが足を引っ張って全滅・・・なんてこともあり得るな。」
-く、くそッ!やっぱり俺のせいで・・・-
「ってことで、俺はこんな弱いやつと旅をするのはゴメンだね!!」
「そんな・・・そこをなんー」
ショウが説得しようとした時
「っと思ったけど・・・」
ゼキが切り出した。
「まぁ確かに・・・弱いやつとの旅はゴメンだけど・・・」
ゼキはショウに近づきながら更に続けた。
「他にお前らと旅をする目的ができた!!」
人一倍大きい声が更に大きく、耳に響くその声はもはや不快以外の何物でもなかった。
「まぁ。その理由を詳しく言うことはしない。なぁショウ。言ってほしくないよなぁ?」
ゼキはショウを下から上まで舐め回すように見ながら言った。
ユーキとショウは気づいた。
ゼキはショウの"秘密"に気づいている!!
「どういう心境の変化かは知らねぇけどこれから旅についてきてくれるってことでいいのか?」
何も知らないレンがゼキに聞いた。
「あぁ、ついていってやるぜ。」
「おぉ!ラッキだな!ショウ!結果オーライってやつだ!!」
嬉しそうに小躍りするレンを他所にショウはゼキに小さな声で言った。
「ゼキ!・・・ユーキは知っているから問題ないが、頼むからレンには言わないでくれ!」
するとそのニヤついた顔が更にニヤついた。
「ほーんディズの息子は知らないのか。わかったよ。ショウ。」
-年端も行かぬ少年(見た目だけ)にエロい目で見られていい気分はしないだろうなぁ-
ユーキは完全に引いた目でゼキを見ながら思った。
「さぁ。そうと決まれば明日にでも出発だな。理由は不純でも俺は純粋な戦力になるぜ!」
意味不明な発現にユーキは更に引いたのだった。
口から軽く吐瀉物が出た。頭がボーとして状況をうまく理解できない。
目の前からマクーが歩いてくるのが見える。
-立たなきゃ・・・たて、たて、たて!!-
頭で考え命令するが、体が言うことを聞かない。
するとレンが目の前に現れた、かと思うとものすごいスピードでマクーを蹴り飛ばした。
ショウもきて、すぐに回復魔法を唱え始めた。
「大丈夫?」
魔法のおかげか、頭がすっきりしてきて、体も動くようになってきた。
「はぁっはぁっ!」
忘れていたかのように呼吸をし始める。
「大丈夫。ゆっくり整えよう。」
ショウは魔法をかけながらゆっくり優しく語りかけた。
-何が起こった?確かに考え事はしていた。けど目の前に集中していた。マクーは来ていなかった!急に横腹に衝撃を・・・-
呼吸を整えながら考えをめぐらす。
「本能だ。ユーキ。」
「え?」
「マクーなどの中級モンスターになると、複雑な思考回路を本能として体が覚えている。つまりただ単純に殺す、逃げる、などの本能ではなく、どうやれば殺せるか、どうすれば逃げ切れるかを本能で実行している。」
「つまり・・・俺は出し抜かれた?」
「まぁ・・そういうことになるね。マクーは出し抜こうなんて考えてはいないんだけど・・・」
-くそ、迷惑をかけてしまった。ゼキもこの失態には目を瞑らないだろう・・・-
いくらか痛みも去り呼吸も整ってきた。しかしこの失態にショックを隠し切れなかった。
「ご、ごめん。」
「謝らないで。多分だけどユーキが出した水の剣を見てゼキは驚いているはずだよ。結果オーライ。」
「そ、そうだ!さっきイメージだけで弱体できるか試してみたんだ。でもできなかった。星の力が手から放たれた感覚はあったんだけど。」
慰められたユーキは思い出したかのようにショウに質問した。
「それで何も起きないなら、単純に魔法がマクーに当たらなかったか、魔祖が放たれた感覚があるのに何も起きないのは魔法失敗のよくある現象だが。。。星の力だからそこに違いがあるのかと聞かれたら答えようがないな。」
「やっぱり失敗なのか・・・?確かにそのあと炎の剣を作ろうとしたけどまったく同じ感覚だった。」
するとショウは周りを確認するようにきょろきょろ見渡した。
「大丈夫、近くにマクーはいない。レンが遠くまで突き飛ばしてくれたようだ。もう一度水の剣を出してみて。」
そういわれたとユーキは再度手に星の力を込めた。
以前と同じように手には煌めく水の剣が現れた。
「・・・これは・・・イメージしてるだけなんだよね?」
ユーキの手から伸びる水の剣を見ながらショウは聞いた。
「うん。ほんとに水が固形化しているイメージというか、なんというか・・・」
「うん。まぁ普通はありえないね。じゃあ次は炎の剣を出してみようか。」
ユーキはうなずくと再度手に星の力を込めた。
しかし、
「で、出ない・・・」
星の力が手から出た感覚は先ほど同様にあった。
「うーん。さっきと同じだ。力が出る感覚はあるけど・・・」
「じゃあ次はただの炎でいいから出してみて。」
ショウは少し考えたあと、提案してきた。
「え、うーーん。こう・・・か?」
すると手から炎が噴き出してきた。まごうことなき炎だった。
「う、うおっ!!」
先ほど不発だったからか、星の力を込めすぎたようだ。勢いよく出てきた炎で前髪が少しチリチリした。
「うん。なるほどね。」
納得したようにショウはうなずいた。
「なんか分かったのか?」
「いや、詳しくはわからないけど、おそらくイメージしただけで様々なことが実現できるのは水の力を使用した時だけみたいだね。」
すると近くで大きな音がした。マクーが暴れているようだ。
「おっと、かなり近いな。ではこの話はまた今度にしよう。"イメージの力"が発揮するのが水の力のみか組み合わせでも適用されるのか。知りたいことはいろいろあるが・・・」
するとレンが音のする方から飛んできた。
「おいっ!もう時間稼ぎも限界だぞ!どーすんだ!!?」
マクーがすぐそこまで迫ってきているようだ。
「今回の目的は先に話した通り、実戦経験を積むことが本懐だ。私たちは基本的には待つ。ユーキ。君がマクーに弱体をかけるまではね。」
「な、なるほど。でもさっきかけようとしたけど駄目だったんだ。どうすれば弱体魔法ってかけれるんだ?」
「弱体魔法はそんなに難しい魔法じゃない。陰、陽属性は特殊なんだ。さっき空振りしたのは"イメージの力"を使おうとしたからじゃないかな。難しいことは考えずに魔法を放つんだ。・・・おっと。」
ショウめがけてマクーが飛んできた。ショウはさらりとよけ、続けた。
「どんな弱体をかけるかは任せる。じゃああとは頼んだよ!」
そう言うとまたしてもショウは森に消えていった。
先ほどショウめがけて飛んできたマクーが砂埃の中からゆっくりと出てきた。しかし標的が消えたことで困惑しているようだ。
「今なら・・・!」
手に星の力を込め弱体をかけようとした瞬間。
マクーが標的を見つけた。ユーキの方に視線が向いた瞬間にはすでに突進してきていた。
「っ!!!!」
-クソ!早い・・けど・・・とりあえず避けて・・・-
まだレンが掛けてくれた魔法が聞いているのか今回も簡単によけれた。
「ここで相手を見失わないこと・・・!」
しっかり砂埃の中にいるマクーを確認しながら再度手に星の力を込め始めるユーキ。
案の定。先ほどと同様にマクーは横にそれ、回り込むようにして距離を詰めてきた。
「見える・・・!」
突進してくるマクーを見据え。またしても難なくよけるユーキ。マクーは再度横に逸れ、回り込んだ。
「何よりも厄介なのはスピードと突進。それさえ封じればかなり戦闘は楽になるはず。・・・つまり、やっぱり足か。」
先程と同様にマクは回り込んだ先から突進してきた。ユーキはしっかりとマクーを、いやマクーの足に集中していた。
そして迫りくるマクーの足めがけて手に溜めていた星の力を放った。"イメージの力"は使用せずに、しっかりと足にとてつもなく重い重しがつくように頭で考えながら魔法を放った。
すると・・・
「---!!!」
マクーは足が急に重くなったようで、こけてしまった。
「よしっ!!かけれた!」
"イメージの力"
イメージしただけ難しい魔祖コントロールを無視して魔法を使える力。
この力を使わずにしっかりと、どこに、どのような弱体をかけるかを"イメージ"する。
「ややこしいな・・・。」
しかししっかりとユーキが放った弱体魔法は効いていた。
マクーは一番の特徴であるスピードを失い、その力は半減・・・どころかもはや脅威は無いに等しかった。
「いいぞユーキ!!よくやった!あとは・・・レン!!」
「まかせろ。」
ショウに呼ばれたレンはマクーの元まで一瞬で距離を詰め、蹴り上げた。
「ユーキ。見ておいた方がいい。レンが使用する身体強化魔法はいいレベルまで行ってる。その身体強化がなせる技を。」
ユーキは強化された目でしっかりとレンを見ていた。
蹴り上げられたマクーの体は地上50M付近で頂点に達し、一瞬の無重力になろうとしていた。
レンは蹴り上げたと同時に地面を蹴り、高く飛び上がっていた。ほぼ同じタイミングで無重力状態になった時、レンはマク―を蹴り落とそうとしていた。
「メテオ:ギベオン!!」
レンが叫ぶ前に体がさらわれる感覚があった。ショウがユーキを担いでものすごいスピードで移動している。
瞬間、先ほどまでいた場所が爆発した。いや、マクーが落下してきたのだ。隕石のように。
衝撃が二人を包む。ショウは体勢を崩し、ユーキは投げ出されてしまった。
鼓膜に残るほどの衝撃。目の前は砂埃で覆われていて何も見えなかった。
2,3分ほどユーキはショウと砂埃が収まるのを待っていた。次第に落ち着きユーキは目の前の光景に息をのんだ。
半径約50Mほどのクレータができていた。
「こ、これは・・・・」
あっけにとられるユーキ。
「あ、あいつ、やりすぎだバカ・・・。」
あきれるようにそう呟くショウ。
するとどこからともなく村の討伐隊、ルア、ゼキが近くまで来ていた。
「すげーな。こりゃあ・・・」
ゼキもルアも目の前にできたクレータに驚き、目を見開いていた。
「これは・・・奴・・・ディズの息子がやったのか??」
ルアは質問した。
「あぁ。すまない。これは・・・やりすぎだと思う。おそらく・・・ゼキにいいところを見せつけようとしたんだと思うが・・・」
ショウはゼキを伺うように言った。
「・・・・」
ゼキは黙ったままクレータの中央付近にある砂埃を見ていた。
砂埃の中からゆっくりと出てきたのは・・・マクー。
「「!!」」
一同身を構える。・・・が。出てきたのはマク―、ではなくマクーを抱えたレンだった。
「ふぅ~。いやぁ、つい力が入っちまった。すまん!!でもこれで俺たちの強さがわかったろ?」
体の砂埃を払い、笑いながら歩いてくるレン。
「いや、うん。よくわかった。すごいな君は。」
ルアは感心したように言った。
「・・・まぁ。お前の強さはわかった。んで、ショウの戦闘経験も、戦闘中の余裕さなんかからも把握した。」
ショウはホッとしたような表情を浮かべた。
「けど・・・」
ゼキはユーキの方を横目で見ながら続けた。
「ギクッ」
ユーキはどきりとしたが決してゼキと目を合わせないようにしていた。
「レアさんもどきの方はお世辞にも強いとは言えない。魔祖コントロールには恐れ入ったが・・・」
ゼキは水の剣を思い出しながら言った。
「最悪こいつが足を引っ張って全滅・・・なんてこともあり得るな。」
-く、くそッ!やっぱり俺のせいで・・・-
「ってことで、俺はこんな弱いやつと旅をするのはゴメンだね!!」
「そんな・・・そこをなんー」
ショウが説得しようとした時
「っと思ったけど・・・」
ゼキが切り出した。
「まぁ確かに・・・弱いやつとの旅はゴメンだけど・・・」
ゼキはショウに近づきながら更に続けた。
「他にお前らと旅をする目的ができた!!」
人一倍大きい声が更に大きく、耳に響くその声はもはや不快以外の何物でもなかった。
「まぁ。その理由を詳しく言うことはしない。なぁショウ。言ってほしくないよなぁ?」
ゼキはショウを下から上まで舐め回すように見ながら言った。
ユーキとショウは気づいた。
ゼキはショウの"秘密"に気づいている!!
「どういう心境の変化かは知らねぇけどこれから旅についてきてくれるってことでいいのか?」
何も知らないレンがゼキに聞いた。
「あぁ、ついていってやるぜ。」
「おぉ!ラッキだな!ショウ!結果オーライってやつだ!!」
嬉しそうに小躍りするレンを他所にショウはゼキに小さな声で言った。
「ゼキ!・・・ユーキは知っているから問題ないが、頼むからレンには言わないでくれ!」
するとそのニヤついた顔が更にニヤついた。
「ほーんディズの息子は知らないのか。わかったよ。ショウ。」
-年端も行かぬ少年(見た目だけ)にエロい目で見られていい気分はしないだろうなぁ-
ユーキは完全に引いた目でゼキを見ながら思った。
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