青春の悪夢

Zero

文字の大きさ
18 / 30
Story編

11話

しおりを挟む
ミチル
 「刑事さん?」
浅蔵 刑事
 「あなた達は、浜松里奈さんと知り合いですか?」
ミチル
 「え?浜松里奈って言いました?」
浅蔵 刑事
 「この家は、浜松里奈さんの住所なんで当たり前です。」
ミチル
 「じゃあ俺を襲ったのは、やっぱりその人です!」
浅蔵 刑事
 「襲った?詳しく教えてください。」

俺は思い出せる限り、何があったかを言った。深山先生に会ったことから誰かに殴られたことまで。すると刑事さんは深山先生をパトカーに乗せ警察署へと連れていった。俺はそれをただ見てることしかできなかった。

そして、深山先生の事情聴取がされることとなった。俺は無事に自分の家へと戻ってきた。しばらくして携帯がないことに気づく。刑事さん達に深山先生が持っているか聴こうとしたが携帯がないので連絡できなかった。

そこで家の電話を使い刑事さんに電話した。櫻井刑事によると、深山先生はそのようなものは持っていなかったらしい。

その日は日曜日と言うこともあって京花に、ストーカー男について話を聞こうと思い京花の家へと向かった。チャイムを鳴らしても返答はなかった。帰ろうと思ったが何かを察しドアを引いてみると家の鍵は開いていた。

俺は、中に吸い込まれるように家の中へと入っていく。家には誰もいなかった。何か頭の中で思うことがあった俺は、その何かが分からないまま京花を探しに行った。

学校は日曜のためもちろん居なかった。近くの図書館やカフェ、本屋にも行ったが京花の姿らしき人物は居なかった。

諦めて帰ろうと思い学校近くの横断歩道で信号が青になるのを待っていると横切った一台の車を見て絶望した。車の後部座席に京花らしき人物が口にガムテープをした状態で乗っていた。

運転手は京花のストーカー(仲田秀哉)だった。その車は奥の方へと走っていってしまった。それは完全な誘拐だった。信号が青になり俺は必死に車が行った方向へと走っていった。

ナンバープレートや車種も頭の中に入れ追いかけた。そして、そこにたどり着いた先は廃病院だった。俺は足がすくんでしまった。

龍生の兄(北野勇星)が死んでいたことを思い出し、もうあの時の絶望を味わいたくなかった。しかし、京花に危険が及ぶと思った俺は廃病院へと一歩踏み出した。

外は夜で暗くて、室内も電気がついていなかった。手すりを頼りにしながら前に歩いていく。

すると上の方から何か大きい音がした。急いで階段を登り2階に行くと、誰かの立っている姿が見えた。俺はその人物に近づいていく。

その人物は京花ではない、白衣を着た20代くらいの若い男性だった。その人は目を開けたままどこか一点を見続けていた。

俺がその人に声をかけると、その男性は白衣のポケットから液体の入った瓶を取り出す。そして、フタを開けその液体を口にした。

すると男性は両手で心臓を押さえ苦しみだし倒れた。俺は携帯を持っていなかったため、何か連絡できるものを探そうと走った。

すると男性は急に俺を引っ張り倒し俺の体にまたがり両手で首を絞めてきた。死ぬと悟った俺は、右手で男の頭を殴ると彼は後ろに倒れた。

そして、逃げようとしたが彼に足を捕まれてしまった。俺は自分の身を守るため近くにあった消火器を彼の頭めがけ振り下ろした。

痛々しい音と共に彼の血が飛び散った。ヤバイと思った俺は廃病院から抜け出した。そして、自宅に戻り布団に籠った。

しばらくして家のチャイムが鳴った。俺はおそるおそる扉を開けると、そこには刑事さんたちがいた。俺は逮捕されるんじゃないかと不安がっていると刑事さんから、
「深山先生が全ての真実を語り、罪を認めました。まずはあなたに聞いて欲しいです。」
と言われ、深山先生の取り調べの録画を見せてもらった。

その録画には、以下の情報が述べられていた。
・西道虚は深山紲星の秘密を握っていること。
・西道虚だと勘違いし充を襲おうとしたこと。
・監禁画像は自作自演であったこと。
・GOD先生のアカウントは深山先生だったこと。
・脱獄した浜松里奈と知り合いであったこと。

情報量が多く処理に時間がかかったが、深山先生は俺たちを欺いていたと言うことは分かった。そして、深山先生から気になる発言があった。それは、

・このSSK事件の首謀者は洗脳させる薬を流通させている可能性が高い。
・その薬を服用すると、本校の生徒を集中的に襲う。
・その洗脳薬には浜松里奈が大きく関わっている

と言うことだった。そして、俺は先ほど廃病院での出来事と結びつけた。おそらくあの男性は、とある人物に飲むよう脅されてたのだろうか。俺がその事を話すと廃病院での捜査で俺が殺した男性が発見されるので、言えなかった。

浅蔵 刑事
 「そして、深山さんとは違う話になるんですが、」
ミチル
 「はい…」
浅蔵 刑事
 「北野龍生さんが学校長を殺害した件について、ひたすら「僕がやりました。」としか言わないんですよ」
ミチル
 「え?」
浅蔵 刑事
 「殺害方法に関して、何も教えてくれないんです。」
ミチル
 「…なんで」
浅蔵 刑事
 「多分、お兄さんが発見されたことにショックを受けすぎたんでしょう。」
ミチル
 「…そうですか。」
浅蔵 刑事
 「あ、あと!」
ミチル
 「え?まだ、あるんですか?」
浅蔵 刑事
 「西道 清さんについてですが」
ミチル
 「あ、妻を殺した村長さんですね」
浅蔵 刑事
 「動機は、口封じらしいです」
ミチル
 「何のですか?」
浅蔵 刑事
 「奥さんが、罪を告白しようとしたんですって」
ミチル
 「誘拐したことをですか?」
浅蔵 刑事
 「はい、」
ミチル
 「これって実質、誘拐事件の犯人は村長と奥さんってことですよね?どこに誘拐したんですか?」
浅蔵 刑事
 「それがどうも、本当の犯人が捕まってない以上、それは言えない。とのことでして」
ミチル
 「本当の犯人?」
浅蔵 刑事
 「北野勇星さんたちを殺害した人のことらしいです。」
ミチル
 「じゃあその犯人は?誰なんですか?」
浅蔵 刑事
 「村の人じゃないことは確からしいです。」
ミチル
 「そうですか…」

俺は玄関で刑事さんを見送り家の中に戻ると家のポストに失くしたはずのスマホがあった。きっと戻ってきたのだろう。電源をつけ見てみるとスマホの通知が30件ほど溜まっていた。何だろうと思い見てみるとクラス間でのメッセージが騒々しい様子だった。

それを見て俺は絶望した。とある女子が「京花がヤバイ」と言い、それにSNSのURLが添付されていた。URLを押し画面を見た俺は驚愕した。

それは京花が秀哉を包丁で刺している動画だった。しかも、そのアカウント名は『充電100%』それは、紛れもない俺がふざけて作ったSNSアカウントだった。俺のアカウントからこの動画が投稿された。俺は何がなんだか分からなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...