イケメン幼馴染たちに溺愛されてるけど鈍感な僕は気付きません

もかりん

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イケメン幼馴染たちに溺愛されてるけど鈍感な僕は気付きません

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「みのる~!カイとリクもう来てるよ~早く降りてきな~」

一階から母さんが声を張り上げている。
「今いく~」
制服を来て鞄を持って僕は階下に降りていく
玄関にはいつも通り、王子様然とした完璧な佇まいの葉山陸斗が爽やかに微笑んでいて、その斜め後ろには、ちょっと制服を着崩したワイルド系イケメンの葉山海斗が立っている。

彼らは僕のお隣さんで幼馴染みだ。
僕らはまるで3つ子のように生まれた時からずっと一緒に育ってきた。

小中高とずっと一緒。
3人で登校して、昼休みも3人で過ごして、部活も同じ。帰ったらどっちかの家でご飯食べて寝る直前までつるんでることが多い。

「ホラ、みのる行くぞ!」
海斗に後ろから肩を組まれる。
「転ぶなよ」
陸斗が僕の手を繋ぐ。

「もう!小学生じゃないんだから、家の段差で転ばないよ!」

これもいつものやりとりだ。
小学生の時にぼんやりして玄関の段差で躓いてから、毎日2人はこうして僕を支えようとする。過保護すぎるんだ。

流石に玄関を出たら2人とも離してくれるけど、僕はいつも情けない気分になる。

幼稚園の頃は、半年早く生まれた僕は2人よりも体も大きくて、しっかり者だと思い込んでたから、2人を守ってやってるつもりでいたのに、気づけば勉強だって運動だって何でも出来て、見た目までカッコいい2人に僕は追いつくだけで必死だ。
DNAの差って非情だ…

僕の身長は中3で止まってしまった。「中学の頃は3人とも大きいね~」って言われていたし、175センチは別に低い方じゃないと思うんだけど、2人は高校入っても伸び続けて、185センチを超えている。

高校だって、県で2番目に偏差値高いところだけど、どうしても2人と同じ高校に入りたくて必死に勉強して、それでもかなりギリギリで、最後は2人が一生懸命教えてくれたおかげで何とか合格できたようなものだ。

うぅ…自分で言ってて惨めになってくる…

キラキラした2人に挟まれる凡人の僕は、いつも居た堪れない気分だけど、それでも2人の事が大好きだし、居心地いいからやっぱり3人でいたいと思っちゃうんだ…

周りから紳士で爽やかって言われる陸斗が僕にだけ、ちょっぴり意地悪だけど、さりげなく優しいのも、ワイルドで近寄りがたいって言われてる海斗が僕にだけ大型犬みたいに甘えん坊なのも、みんなは知らないんだと思うとちょっと優越感だったりする。

「ハイ、みのるの分」
昼休み、3人で屋上で弁当を食べる。今日はお隣さんのママの真由美さんの当番だ。
海斗から弁当箱を受け取って、地面に腰を下ろしてから、蓋を開ける。

うっ…今日は僕の苦手なミニトマトが2つも入ってる…

「みのるのミニトマト、俺にくれよ」

目敏い陸斗が助け舟を出してくれた。
アーンって口を開けるから、ミニトマトを摘んで陸斗に差し出した。

ガリッ

「痛っ!おい!指まで食うなよな!」
甘噛みとは呼べないくらいの、ほんのちょっと強めに僕の指を噛んだ。

「わりぃ…ちょっと目測誤ったわ」
ニヤリと笑った陸斗。絶対わざとだ。

フーフー指に息を吹きかけていると

「ずりぃ…俺にもミニトマトくれよ」
海斗が口を開けた。

海斗にも同じように口に放り込んでやると、チュプっと指ごとしゃぶられた。

僕がドギマギしてるのも気にせず

「うげ~っ陸斗と間接キスしちまった!」

海斗の言葉に3人で爆笑する。

2人はまだ、じっと僕の弁当箱を覗いている…
陸斗は卵焼きを見つめてるし、海斗は唐揚げを見つめてる…

「や、やんねーからな!卵焼きも唐揚げもお前らのとこにも入ってるだろ!!」

僕は弁当箱を庇う。
でも、本当は知ってるんだ…揶揄ってるだけで、優しい2人は俺の好きなものは狙ってこない事を。

そんな優しくて穏やかな、いつも通りの昼休み。僕はこの時間が大好きだ。

****

「みのる!陸斗!部活行こうぜ」
放課後、海斗が迎えにくる。

「ちょっと待って!おれ日直なんだ」

海斗も教室に入ってきて、2人は僕が日誌を書き終わるまで待っていてくれる。

俺たちは小学校からバスケを続けてるけど、2人は1年生の時から異例のレギュラー入りしてる。僕も何とか頑張って2年からレギュラーになれたけど、まぁ、他の2年も半分以上がレギュラー入りしてるから別に珍しくもない。

部活中もいつものように2人のファンがキャーキャー言ってたけど、2人は気にすることもなく、いつも通り3人で帰る。

今日はうちの母さんが夕飯の当番らしくて、一緒にうちで晩ご飯食べて僕の部屋でゴロゴロして、2人は帰って行った。

2人が別に部屋にいても気を使うことはない。
いつも通り、海斗はゲームしてるし、陸斗は雑誌を読んでて、おれもスマホで読書をしてるだけ。何するわけでもないけど、なんとなく3人でいるのが当たり前になってる。

****

そんなある日の帰り道…
「あ、やべ!物理の問題集机に忘れてきたわ…宿題出てるから取ってくる。追いかけるからゆっくり駅まで歩いてて!」

「おぅ!じゃ、あとでな」

僕は早足で教室に戻った。教室には数人の生徒が残ってて、雑談してるっぽかった…

入ろうとしたら俺たちの名前が出てきたから思わずドアの陰に隠れてしまった。


「オレ、こないだ葉山くんたち2人がモデル事務所にスカウトされてんの見ちゃってさー」

「マジで?2人ともカッコいいもんね~」

「イケメン双子のツーショット、見た~い!どこの雑誌?」

「それがさ、あいつら、高橋と一緒にいられなくなるからって断ってたんだよ」

高橋ってのは僕の事だ

「は?なんで?」

「たしかにあいつら、いつも3人でいるよな」

「他のやつを寄せ付けない空気っていうかさ~まるで高橋のこと守ってるみたいな感じ?近づくと睨まれたりするから怖いんだよな」

「高橋くんに、なんか弱みでも握られてるんじゃない?」

「僕を1人にしたら君たちの秘密バラしちゃうよ~とかね」

「あははは!」

モデル?断った?
何それ…僕、何も知らない…

また僕が足を引っ張ってしまったのか…
僕さえいなければ…せっかくのチャンスだったのに…

僕は、教室に入らず、そのままフラフラと校内を彷徨っていた。

2人に問いただしたいけど、多分真実だろう…また僕のためにチャンスを棒に振ったんだ。
あの2人はいつも僕に過保護なんだ。
1人じゃ、玄関でさえ転ぶような鈍臭い奴だと思ってる。
いつも僕を守ろうとして…

この高校だって、僕には必死に勉強してようやく入れた高校だけど、2人は本当は県内一の学校にだって入れたはずなんだ。そっちの方が家からも近かったのに、僕が入れるギリギリの学校にこっそり志望校を落としたことを僕は知ってる。

これ以上2人のお荷物になるのは嫌だ…

ポタポタと上履きに落ちる雫に、僕は自分が泣いているのだと気づいた。

これ以上、大好きな2人のお荷物になりたくない…2人と距離を置こう…
僕は決心した。

なかなか戻って来ない僕を心配して、海斗から電話がかかってきた。
僕は泣いてるのを悟られないように元気な声を繕って、「急用思い出したから先に帰って」と伝えた。

その足で職員室に向かい、バスケ部の顧問に部活を辞める事を伝えた。

引退試合の直前で残念がってくれたけど、一身上の都合で、と言い張った。

部活がなければ帰りは1人になるし、朝は苦手だけど、いつもより早く家を出れば問題ない。
できるだけ2人との接点をなくして距離をおけば、ただの友達の距離感になるだろう…

あまりにも一緒にいすぎたから、案外離れようと思うと大変だなと僕は嘆息した。

2人はいつまでも僕なんかと一緒にいちゃいけない。
あいつらには才能があるんだ…なのに僕といると優しい2人は凡人の僕に合わせてしまう…モデルだって、僕が2人くらいカッコよかったら3人でできたかもしれないけど、凡人の僕にできるのは2人から距離を置いてあげることくらいだ。

その日は、葉山家での夕飯の日だったから、体調が悪いとメッセージを送って部屋に篭った。
翌朝、寝不足のせいか、泣きすぎたせいか、身体がだるくて、
2人はいつも通りの時間に迎えに来たけど、僕は人生初のズル休みをした。

二度寝してもまだ頭がぼーっとするから、熱を測ったら、本当に熱があった。

普段使わない頭を使ったから知恵熱かな…

夕方、まだ早い時間に陸斗が見舞いにきた。部活はどうしたんだろ…

慌てた僕は咄嗟にどうしたらいいか分からず、寝たふりをすることにした。

「みのる、寝てるの?」
陸斗は部屋に入ると当然のように僕のベットに腰掛けて、僕の額に陸斗のそれを合わせた。
かぁっと顔に血が昇る。
「顔赤いし、熱が下がってないんだな…辛そうだな…あぁ代わってやりたい」

うぅ…カッコ良すぎる…
そうなんだ…陸斗は意地悪するけど、根はすげ~いい奴
なんだ。じわっと涙腺が潤みそうになったけど、離れるって決めたんだから頑張って寝たフリする。

陸斗が帰って、夕飯の匂いがしてきた頃、海斗が来た。
油断してて、うっかりノックに返事してしまったので、寝たふりをするわけにも行かず、僕はベッドから体を起こした。

「くっそ!陸斗のヤツが部活サボったせいでオレが抜けられなくなっちまったよ…みのる、大丈夫か?」

海斗は真剣な顔で右手で僕の額の熱を測り左手で脈を取る仕草をした。僕限定ワンコ属性の海斗の見えない耳としっぽがしゅんと垂れてる気がした。
「うん、もう大丈夫」

「そっか…は~っ…もう心配させんなよな」

海斗は僕を大きな胸板に抱き込み、ヨシヨシと頭を撫でてくれた。
海斗の匂いがフワッと鼻腔を掠めて、ドキッとする。僕は気づかれないように俯く。

「ゆっくり休めよ、明日また迎えに来るから」

帰っていく海斗の後ろ姿に、聞こえないように小さくつぶやいた。

「ごめん…明日は先に行くよ…」

翌日から、僕は2人から徹底的に距離を置いた。というのも、なんか2人の視線が痛くて、一度でも捕まったら問い詰められると思ったからだ。また足手まといに戻りたくない。
朝は早めに出て、マックで時間潰して、昼もいろんな場所で1人で食べたり、バッタリ会った部活の仲間に混ぜてもらったりして、帰りは部活をやめたからさっさと帰る。夕飯も勉強のキリが悪いからと言って部屋で食べた。母さんは「遅れてきた反抗期かしら…」なんて心配してたけど、心の中だけで謝る。
今まで、いかに2人に甘えていたのかを実感する。部活のメンバーを除くと、僕と交流のある人はほとんどいない。あっという間に一人ぼっちだ。これからはちゃんと1人で何でもできるように、誰とでも仲良くできるように自立しなくっちゃ!

いよいよ、計画の最終段階だ。
「相談があるんだけど…」
僕は、真面目な顔で母さんに話をした。

「来年は受験生だし、勉強に集中しようと思って…部活も辞めたんだけど、通学時間が長いんだよね…学校の近くにアパートを借りて通学できないかな?お金の普段をかけちゃうけど、大学受かったらバイトして少しずつ返すから、お願い!」

正座して、母さんに向かって手を合わせる。

「う~ん…そうねぇ…片道1時間以上かかるもんね~…この辺じゃちゃんとした塾もないから帰りも遅くなるだろうし…う~ん……でも家事とかもしなくちゃならなくなるし、あんた1人で大丈夫かしら…色々心配だわ~…
ん~まぁ、とりあえず、お父さんに話しだけはしておくわね」

****

母さんは難色を示していたけど、結論から言うと、アパートへの引っ越しの件はあっさりと決まった。
2週間、話題に上らなかったから父さんに反対されたのかと思ってたのに…

「お知り合いのおじいちゃんがね、息子さん達と同居することになって、しばらく空き部屋になるんですって。家具とか荷物が残ってるけど、それでいいならって貸してもらえることになったのよ。家電も家具もそのまま使っていいんですって。学校から近いから明日の帰りに行ってごらん」

鍵と住所が書かれた紙を手渡された。

家具家電付きなんてラッキーだ。

僕は、衣類や勉強道具なんかを段ボールに詰めて、明日の夕方受け取りにして宅急便で送った。

****

母さんの記した住所に辿り着くとアパートといっても小さめのマンションって感じだ。
家庭用なんじゃないだろうか…

鍵を開けて中に入る。
思ってたよりずっと広い。1人暮らしには大きすぎる家。リビングにはテレビやソファも置いてある。

リビングの隅に段ボールが積まれている。
きっとおじいさんの荷物なんだろう。この家をすぐに売りに出さなかった理由はこれか。

LDKの他にいくつか扉があった。
僕は順番に扉を開けて中を確認する。
トイレ、洗面所とお風呂、そして次の部屋で僕は信じられないものを見た。

「…海斗?」

「あ!みのる、おかえり~!」

なぜかその部屋には海斗がいてベッドで寛いでいた。海斗はガバッと起き上がると僕の方にズンズンやってきてガバッと僕に抱きついた。
状況が飲み込めない僕は、オロオロするしかない。

2人を避けるために一人暮らしを決めたのに、何で海斗がここにいるんだ?後を付けられてた?いや、そんなはずない、海斗の方が先に来てたみたいだし…

「陸斗~!みのるが帰ってきたよ~」

海斗の声に、ドタバタっと足音がして、背後からもう1人にも抱きしめられた。

「な、な、な、何で2人がここにいるの?!」

「そりゃ、引っ越してきたからさ♪」
「これから一緒に暮らすからよろしくな☆」

キラキラしい笑顔でそう言われて、僕は放心した。

え?僕は何のために家を出たんだっけ?
せっかく2人から離れて自立する決心をしてきたのに…

「最近みのるの様子がおかしかったからさ、朱音さんにカマかけたんだ。」

「母さんに?」

「そう。『なんかみのる、思い詰めてますねー1人で大丈夫でしょうか』ってね」

「そしたら、一人暮らししようとしてるって聞いてさ、びっくりして3人で暮らせる家を急いで母さんに聞いてもらったんだ」

どうやら知り合いのお爺さんというのは、葉山家の知り合いだったようだ…

「家事負担も3分の1になるし」
「俺ら2人の家庭教師付きだし」
「サボらないように見張ることもできるし」
「ボディガードにもなるしって言ったら、まゆみさんあっさり了承してくれたよ」

高校受験のこともあってか、母さんの2人への信頼は厚い…息子より、よほど信用できるってわけか…
なんだか情けなくなってきた…

***

「…んで、なんで俺たちを避けてたんだ?」

今、僕はリビングの絨毯の上に正座させられている。
目の前には陸斗と海斗がソファに腰掛けて僕を尋問中だ。

「クラスメイトが話してるのが聞こえたんだ…モデルの仕事断ったって…僕、また2人の足を引っ張って…もう迷惑かけたくなくて…2人から自立しようと思ったんだ」

ポツリポツリと僕は懺悔した。

「バカだなぁ…」

はぁっとため息をついて陸斗が続けた。

「俺らが断ったのは、みのるの事を不憫に思った訳じゃない。3人で過ごす時間が減るのが嫌だったんだよ」

「それだけ、俺らにとっては3人で過ごす時間が大切ってこと。もう変な気を起こすなよな」

海斗は僕の頭をくしゃっと撫でるとキッチンへ向かい、夕飯の支度を始めた。
僕の胸に甘い気持ちが広がって泣きそうになった。

陸斗はムニっと僕の頬を引っ張ると「もうこの話は終わりな」といって部屋に戻っていった。

それ以上辛い言葉を口にしないで済んで助かった。
これ以上話したらきっと泣いてしまっただろう…


さりげない2人の優しさに、僕はじんわり温かくなった胸を気づかれないように1人その場に俯いていた……

***

結局、今までと変わらない生活に戻ってしまった。
僕は部活に復帰し、登下校もお昼も2人とまた一緒に過ごすようになった。部活の奴らからは仲直りしたのかと生ぬるい眼を向けられた。

1つだけ変わった事は、2人の僕に対する態度が一層過保護になったことだ。
何をするにもべったりと付き纏う2人に僕は動揺しっぱなしだ。
僕は、あの一件以来、2人に対する気持ちがただの友情の範囲を超えている事を自覚し始めた。
たぶん、自覚する前からもうずっと2人の事をそういう対象として見ていたんだと思う。
今思うと2人から離れた1番の理由は、2人に迷惑をかける事じゃなくて、この気持ちを悟られることが怖かったんだと思う。

以前は、陸斗に対する気持ちも海斗に対する気持ちも同じ気持ちだから、コレは恋愛感情じゃないって思っていたけど、2人と離れて他の奴らとも過ごすようになって、他の奴らへの気持ちと2人への気持ちは全く違うってハッキリわかった。僕は2人に同時に恋心を抱いているんだと気づいてしまった。

だから、2人が僕を甘やかす度に、恥ずかしくて赤くなったり、気づかれるんじゃないかと不安で青くなったりして忙しい。



今夜は僕が夕飯係なので、カレーライスを作っている。
ルーを溶かし込み、調味料で味を整えて、味見皿に少しよそって口元に持って行くと、背後から頸をツツっと指が這い上がる感覚がして、ビックリした僕は顔中カレーまみれになってしまった!

「あちっ!ちょっと陸斗ビックリさせないでよ」

背後の長身の男を睨む

「陸斗も味見したいならよそってあげるから」

僕が海斗の分の小皿を手に取ろうとすると

「これでいい」

陸斗は僕の頬に飛び散ったカレーをベロっと舐め上げて「うまい」と言って立ち去った。

真っ赤になった僕に海斗が駆け寄ってきた。

「ひでぇなぁ…熱かっただろ?」

右手に保冷剤を持って僕の頬に当てながら僕の顔を覗き込んだ。
海斗の手は大きくて、保冷剤からはみ出ている手が熱い。保冷剤を持っていない方の手も僕を包み込んできて、キスされそうなくらい近くにある海斗の綺麗な瞳に吸い寄せられそうになる。

「もう大丈夫だから!顔洗ってくる」

僕は真っ赤になりながら、俯いて洗面所に駆け込んだ。隠し通せる気がしない。ボロが出て気持ち悪いと思われるのが怖い…
洗面所で顔を洗い、カレーの付いたTシャツを着替えて戻ると、3人で食事を取った。

カレーの匂いがまだ体に残ってる気がして、僕は先にお風呂を使わせてもらい、リビングのソファに寝転がっていつものようにスマホをいじっていると、お風呂から上がって陸斗が雑誌を片手に歩いてきた。

「あ、座る?」
「いや、そのままでいい」
僕が頭を上げようとすると、陸斗は僕の後頭部を支えて、スルッと僕の頭とソファの隙間に入り込んで、僕の頭を戻した。
陸斗に膝枕されてある状態になってしまった。
自分と同じ石鹸香りのはずなのに、なんだかドキドキしてしまう。
陸斗は雑誌を読みながら、無意識のようにゆっくりと僕の髪を手慰みにすいている。僕はドギマギした気持ちを悟られないように平然を装いながらスマホをいじるけど、ちっとも内容が入ってこない。

「あ~!膝枕ずりぃ!俺もする」

最後にお風呂から出た海斗が僕の足元の床にペタンと座ると僕の太腿に横顔を埋めてゲームを始めた。
「あ~クソ…また死んだ…」

拗ねるように僕の太腿に顔をぐりぐり押し付けて、ついでに太腿の間にさするように手を挟んできた。
「ちょっ!海斗やめろ!くすぐったいだろ!」

十数センチ上には僕のアレがあるわけで、意識するとそこが熱を持ちそうで、焦った僕は身を捩った。

「おい、暴れるな」

陸斗は僕の頭を押さえるように足を組んだので、その勢いで陸斗のお腹の方に頭が滑ってガッチリ固定されてしまった。
そうなると僕の頭の下には、陸斗のアレがあるわけで…意識しないなんて無理だ。

もうスマホの画面は完全に僕の頭の中を素通りしている。
「僕もう寝るわ!」

10分も持たずにドキドキする心臓に耐えられなくなった僕は、そそくさと部屋に戻った。

布団に横になるも、気持ちは落ち着かず、寝返りを打つばかり。
2時間ほどして、喉の渇きを感じた僕はキッチンに水を飲みにいった。

キッチンはもう真っ暗だった。僕は電気をつけずに冷蔵庫から水をだして、コップに注いで一気に飲むと部屋に戻ろうとして、こんな時間に海斗の部屋のドアの隙間から漏れる光に気づく。

海斗、まだ起きてたんだ…

ドアの向こうから声が聞こえてきたので、陸斗と話してるのかな…
2人だけの時はどんな事を話すのか、僕はつい興味半分でドアに近づくと、中から2人分の嬌声が聞こえてギョッとした。

聞き慣れた2人の聞いたこともない甘い声…
2人は僕のいない間にそういう事をしているんだ…

2人は兄弟だけど、愛し合っていたんだ。だから、周囲に悟られないように僕を隠れ蓑にしていたのか…

ストンと腹に落ちた…
魅力的な2人となんの変哲もない僕。
何で2人が僕にこんなに構うのか、不思議だったんだ…そうか、2人はそういう関係なのか…
僕は…2人の将来の足を引っ張るどころか、完全なお邪魔虫じゃないか

今すぐここから立ち去りたいのに足が根を張ったように動かない。
2人分の失恋をいっぺんに体験して心が悲鳴を上げている。
僕は、その場にへたり込んでしまった。
僕は、思っていた以上に2人の事を好きだったんだな…
こんなに、傷つくなんて…
3人で暮らし始めて、僕を甘やかしてくれる2人に、無理だと分かっていても、心のどこかで期待していたのかも知れない。
少しくらいは思いを返してもらえるんじゃないかって…
3人で過ごしていたって2人は兄弟でそこに入り込めないのはわかっていたけど、まさか恋愛対象としても海斗の1番が陸斗で、陸斗の1番は海斗だったなんて…

浮かれていた僕は本当にピエロだ…
ポタポタと足元に落ちる雫に自分が泣いてる事に気づいた。
いくら思ったところで2人に思いが通じる事はないんだ…

絶望感に打ちひしがれているのにも関わらず、初めて聞いた彼らの嬌声に体が興奮してしまい、一層惨めな気持ちになった



「みのる!みのるぅ~!」

扉の向こうから海斗の声が聞こえた。

はっとして顔を上げたが、扉は閉まったままだ。
僕がココにいる事に気づかれてしまったのだろうか…

引っ越してすぐにまた家に戻るわけにも行かないし、2人と気まずいまま暮らしていく自信もない。
でも、ここにいることが気づかれてしまった以上、知らないふりもできない。

僕に残っているのは、2人を応援するピエロを演じ続ける選択肢だけだ。

僕は観念してそうっと扉を10センチほど開けた。心のどこかで2人の淫らな姿を見たい欲があったのは否定できないけど…

10センチくらいの隙間から漏れた光の中には、あられもない姿で陸斗に向かって尻を突き出している海斗がいた。背後にはこれまた真っ裸で下半身をいきり勃たせながら海斗の尻に指を突っ込んでいる陸斗の姿があった。

「あは…ん…みのる~♡……え!?」
僕に気づいた海斗と目が合う。

「…………………」

「…………………」

「そんな雑魚まんこじゃ、みのるを満足させられ…え!?」
陸斗とも目が合った…

「…………………」

「ごめ!僕、覗くつもりじゃなかったんだ!
呼ばれた気がしたから…おやすみなさい!」

「待て!」
慌てて立ち去ろうとしたが、陸斗にがっしりと腕をつかまれ、後ろから抱き寄せられる。
「誤解だ!ちゃんと説明させてくれ!」

絞り出すような声に、ふつふつと怒りが湧いてきた。

「バカにするな!いくら疎い俺だって、こんな状況見れば、2人が何してたのかぐらいわかるよ!2人はそういう関係なんだろ?!だからセック…               」
「「違う!!」」

2人から食い気味に否定の言葉が返ってきた。

今度は、前に回ってきた海斗に抱きしめられた。2人の裸の美形に抱きしめられている。

「気持ち悪いと思うかもしれないけど、聞いてくれ…俺たちは…」

「気持ち悪いなんて思わないよ。2人は愛し合ってるんでしょ?」

「「ちがう!!」」

「そうじゃない!俺たちはお前の事が好きなんだ…」

「お前が離れてから、寂しくて仕方なかったから、こうやって3人暮らしを始めたら我慢できなくなって…俺達はお前をオカズにオナニーしてたんだ…」

最後は小さい声になった海斗の背後にしゅんと垂れた耳と尻尾が見える気がする。

2人の言っている事が理解できず、頭がフリーズした。
陸斗も海斗も僕の事が好き?僕をオカズにオナニーしてた?

えええ??

固まっている僕の顎を持ち上げると、海斗は吸い込まれそうに綺麗な瞳を切なそうに歪めキスをした。

そこで、ようやく海斗と陸斗が言っている僕を好きっていう言葉が脳内で意味を成す言葉として理解できた。

本当に恋愛として、キスしたいとかそういう意味で僕を好きって思ってくれているんだ。
嬉しくて涙が出そうだ…

泣きそうになったけど、陸斗が海斗を無理やり僕から引き剥がして後ろからそのまま唇を奪ったから、びっくりして涙は引っ込んでしまった。そのまま歯の隙間から舌をねじ込まれ、口腔内を舐め回された。

やっと唇が離れた時には、僕はゼイゼイ肩で呼吸をしていた。

「海斗、陸斗、ありがとう…2人の気持ちすっごく嬉しい…僕も2人のことが好き…たぶん友達としてじゃなくて…恋愛的な意味で。気づいたのは最近だけど、きっと子供の頃からずっと好きだったんだと思う。だから2人の気持ちがめちゃくちゃ嬉しい。僕も2人の関係に混ぜてくれるってことかな?」

「みのる、なんか勘違いしてないか?」
陸斗が苦笑いをする。

「お前は俺達に夢を見過ぎてる。俺と海斗はお前が思ってるほど仲良し兄弟じゃない。
俺達がずっと3人でいたのはお前がいたからだ。お互いがみのるに抜け駆けしないように見張っていたんだよ。」

「えっ?でもこないだモデルにスカウトされた日だって、僕がいなくても2人で出かけてただろ?」

「あの日はお前の誕生日プレゼントを買いに行ってたんだ。2人合わせて1つの物を買った方が争いにならないからな」

「そ、そうだったんだ…」

「実は、あの時ちゃんと話してなかったんだが、本当は俺らのどっちか1人でもいいからモデルやらないかって食い下がられてさ…

俺は『陸斗がやればいいって、みのるのことは俺に任せろ』って言ったんだけど…
陸斗は『海斗がやればいいだろ…俺がみのるの世話するから』って言い張ってお互いに押し付け合いになって、結局2人とも断ったってのが本当のところなんだよ…」

「俺らがどれだけ、みのるを思ってるか正しく理解できたか?」

僕は黙って頷いた。

「でもさ、お前が俺らを避け始めるからさ~流石に焦って、もうお互いを牽制してる場合じゃないって、協力することにしたんだ」

「俺ら2人でみのるを堕とす事にしたんだよ。海斗は、みのるの童貞を貰う。代わりに俺がみのるの処女を貰うことにした」

「は?え?…ええ!?」

え?それ決定事項なの??
そりゃたしかに2人と恋人になったら、いつかはそういう事もしたいし、2人のあんな姿を見ちゃったら興奮してしまう自分がいるのも事実だけど…

1人で悶々と考え込んでいたら、海斗が僕のスエットをパンツごとぐいっと引き下ろして、ペニスをぱくっと口に咥え込んだ。海斗の舌が亀頭を這いまわる。

「ああ…ん…ちょっ…かい…だめ…♡」

悶える僕を後ろから抱きしめていた陸斗が首筋を舐め回しながら乳首をコリコリと刺激する。

何も考える余裕がなくなって、快楽に支配されて、すっかりちんこが勃ち上がった僕の腕を海斗がぐいっと引っ張るから、勢いに負けて海斗の上に覆いかぶさる体制になった。

海斗の顔が目の前に来て、海斗は僕の頬を手で包むと、優しいけれど濃厚なキスをした。

キスに夢中になっている間に陸斗が僕の陰茎を握って海斗の後穴に当てがった。既に解されてたそこは僕を容易く飲み込んで僕を誘うように吸い付いてくる。無意識に腰を振ってしまい、ズブズブと中に進んでしまった。

「ああん…♡本物の天使みのるが俺の中に…あん♡」

さっきまで、攻めるように僕に舌を絡めていた海斗が色っぽく悶えている様に嗜虐心がムクムクと湧き上がる。

普段はワイルドでカッコいい海斗の僕にしか見せない可愛い姿に興奮する

海斗とのセックスに夢中になって腰を振っていると、忘れるなと言わんばかりに、背後の陸斗がぼくの乳首をカリカリと引っ掻く。

「ああん…♡」

慣れない上下の刺激に思わず声が出て、自分の声にびっくりした。

気を良くした陸斗は、ローションをたっぷり塗った指で僕の会陰やアナルの周りを刺激し始めた。
驚いて動きが止まってしまった僕の腰を陸斗が掴んで前後に揺さぶるので、ズンと海斗の奥に当たって、海斗が甘い声を上げた。

「そのまま続けてろ」
陸斗はそういうと、つぷっと僕の後穴に指を一本突き入れた。ゆっくり探るように指が動き、僕の敏感なところを見つけるとぐりぐりと指で押しつぶす。
快感を逃がそうと腰を揺らしてしまい、下にいる海斗がさらに悶えた。
僕の腰の動きに合わせて、海斗の穴と陸斗の指が連動するように動く。海斗はひくひくと穴を痙攣させ僕のモノを咥え込んでいる。

陸斗の指が2本に増えて浅いところを抜き差しするもどかしい刺激に僕は、もっと奥まで入れてほしくて、自分からおねだりする。

「りく…と…お願いもう来て」

「まだだ…今入れたらまだ痛いだろう」

そう言いながら指を3本に増やされた。

もどかしい刺激に焦れた身体は欲求をすり替えるように必死に腰を振ってしまう。
その刺激に海斗は嬌声を上げながら、腹の上に精液をぶちまけた。ビクビクと痙攣する後穴に僕もいきそうだ。
「海斗、いきそうだから一度抜くね。」
「だめ!離れないで」

海斗は足を絡めて離してくれない。

「そろそろ入れるぞ」

後ろから陸斗の大きなものがズブリと入ってきた。先ほどの悦いところを押し潰しながら陸斗の大きな怒張が僕の中に入り込んでくる感覚に僕はそのまま、海斗の中に白濁をぶち撒け後穴をひくひくと痙攣させた。

「うぐっ…そんなに締め付けるな…うっかり出そうだ」

「むり~だって海斗が締め付けるんだもん…」

陸斗が僕の頭をよしよししてくれる。

「お互い初めてだし、みのるの負担が少ないように、ちゃんとコンドームは付けてあるから、安心しろ」

普段は、ちょっと意地悪な陸斗だけど、本当にいつも僕のこと考えてくれてるな~と感動する…

って!感動してる場合じゃない!僕ゴム付けないで海斗にしちゃってる!

「ごめん!海斗!コンドームのこと忘れてたよ。僕、生で出しちゃって…」

引き抜こうとした僕に、海斗は足を絡ませて離さない。

「ちゃんと洗ってきたし、後でちゃんと掻き出すから中に出し大丈夫。初めては…中で出してほしかったんだ」

ワイルドイケメンのはにかむ姿が可愛すぎて心臓に悪い…

海斗に意識が持っていかれている間に、陸斗が動き出して緩やかな抽送のはずなのに脳天まで快感が突き抜けた

「あ~~っ♡陸斗!海斗!気持ちいいよぅ♡」

「俺もだ。みのる、愛してる」

その後、何度果てても終わらない行為に絶頂から降りられなくなり、明け方僕が気絶するまで、僕らは愛し合った。










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中山(ほ)
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「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

囚われの聖女様を救いに行っただけなのに、なぜこうなったのかわかりません。

なつか
BL
史上最悪の王に囚われてしまった聖女を救うため、王宮に忍び込んだグレン。 いざ見つけた聖女には逃走防止用に魔法が籠められた魔道具の足輪が付けられていた。 それを壊すためには魔力を聖女に受け渡してもらう必要があるという。 ではその方法は? 「僕を抱けばいい」 そんな感じで型破りな聖女様(♂)に振り回される男の話。

「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜

中山(ほ)
BL
「ルイン、少し口開けてみて」 仕事終わりの静かな執務室。 差し入れの食事と、ポーションの瓶。 信頼していた従兄のトロンに誘われるまま、 ルインは「大人の相性確認」を始めることになる。

アルファの双子王子に溺愛されて、蕩けるオメガの僕

めがねあざらし
BL
王太子アルセインの婚約者であるΩ・セイルは、 その弟であるシリオンとも関係を持っている──自称“ビッチ”だ。 「どちらも選べない」そう思っている彼は、まだ知らない。 最初から、選ばされてなどいなかったことを。 αの本能で、一人のΩを愛し、支配し、共有しながら、 彼を、甘く蕩けさせる双子の王子たち。 「愛してるよ」 「君は、僕たちのもの」 ※書きたいところを書いただけの短編です(^O^)

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
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ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

気絶したと思ったら闇落ち神様にお持ち帰りされていた

ミクリ21 (新)
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闇落ち神様に攫われた主人公の話。

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