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第1話 女神エレナ
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「あのー、もしもし? 秋月悠斗さーん。起きてくださーい」
誰かに名前を呼ばれたので目を開けると、周りには白い何もない空間が広がっており、目の前に椅子に座った女の子がいた。しかもかなりの美少女だった。
「えーっと……、誰?」
俺は当然の疑問を美少女へと投げかけた。
「私ですか? 私はエレナと言います。ここで女神をやってる者です」
「…………はい?」
め、女神? 何を言っているんだこの女は。 というかこの状況は何だ? 俺はトラックにはねられて死んだはずじゃなかったか?
「はい、その通りです。悠斗さんは確かにトラックにはねられて絶命しました」
「そっかー、やっぱ俺死んだのかー。……って、今俺の心を読んだ!?」
「ええ、女神ですからね。それくらい朝飯前です。まあ今日はもう朝ご飯は食べちゃいましたけど」
後半のどうでもいい情報は今言う必要あったか? まあここはスルーしておこう。
「えーっと、死んだって事は、ここは死後の世界ってことになるのか?」
「うーん、そういう言い方もできますが、正確には不幸な死をとげた者を救済する世界って感じですかね」
「救済する世界? ……ってことはまさか、俺を元の世界に生き返らせてくれるのか!?」
それは非常にありがたい。生き返って俺をひき殺しやがったトラックの運ちゃんに文句の1つでも言ってやる。
「生き返って最初にしたいことがそれですか……。まあいいです。残念ながらそれは不可能ですので」
「へ? そうなの? なぜ?」
「説明しましょう。悠斗さんのおっしゃった通り、生き返るというのは正しいです。ただし、それは元の世界ではなく異世界で生き返るという意味なのです」
「ああー、なるほど。そりゃあ異世界で生き返っても運ちゃんに文句を言うのは不可能だよなー。納得納得ー。…………って、異世界いいい!!?」
エレナの返答の意味を時間差で理解した俺は、思わず叫んでしまった。
「い、異世界ってのはなんというかその、よ、よくあるファンタジー的な世界のこと!?」
「はい、そうです。悠斗さんには剣と魔法のファンタジー世界『レイアード』に異世界転移していただきます」
「ま、まじか」
こんなことがあり得ていいのか。
トラックにひかれて死んだと思ったら女神が現れて異世界に転移させてくれるとか、俺がよく読むライトノベルにありがちなシチュエーションじゃないか。じゃあもしかすると。
「なあ、もしかして俺にチート能力を与えてくれるってことあったりする?」
「な、なぜそれを!? そ、そうです。いきなり普通の人間を異世界に転移してもすぐにモンスターやら悪人やらに殺されてしまうので、何かしら能力を与えて転移させる決まりになってます」
やっぱりか。となるとこれは俺がチートによって異世界で無双できるっていうパターンだな。なんかみなぎってきたぞ。
「というわけでこれを飲んでください」
そう言って女神エレナは俺に液体の入った瓶を差し出してきた。その液体は限りなく黒に近い紫色という物騒な色をしており、飲めと言われても躊躇いたくなる見た目だった。
「これはなんなんだ?」
「私の作った特製の女神ドリンクです。飲めば身体能力と魔力が飛躍的に向上する超優れ物です」
向上するどころか飲んだら死んじゃいそうな色あいなんだが……。まあもう俺死んでるんだけど。
ええい、ここで躊躇してもしょうがない。
俺はエレナの言葉を信じてドリンクを一気に飲み干した。
「お味はいかがでしたか?」
「ん、なんか悪いのは見た目だけで普通においしかったよ。程良い甘さでいい感じだったわ」
「それは良かったです。では、転移していただきますが、心の準備はよろしいですか? 何か不安なことがあれば今のうちに聞いていただいてかまいませんが」
「問題ないさ。チートがあるならこっちのもんだぜ」
ふふふ、異世界でチートする系のラノベは今まで散々読んできたんだ。何も不安がることなんかねえ。むしろわくわく感しかないぜ。
「わかりました。それでは異世界へ行ってらっしゃいませー」
エレナがそう言うと俺の体は光に包まれ、異世界へと転移するのだった。
誰かに名前を呼ばれたので目を開けると、周りには白い何もない空間が広がっており、目の前に椅子に座った女の子がいた。しかもかなりの美少女だった。
「えーっと……、誰?」
俺は当然の疑問を美少女へと投げかけた。
「私ですか? 私はエレナと言います。ここで女神をやってる者です」
「…………はい?」
め、女神? 何を言っているんだこの女は。 というかこの状況は何だ? 俺はトラックにはねられて死んだはずじゃなかったか?
「はい、その通りです。悠斗さんは確かにトラックにはねられて絶命しました」
「そっかー、やっぱ俺死んだのかー。……って、今俺の心を読んだ!?」
「ええ、女神ですからね。それくらい朝飯前です。まあ今日はもう朝ご飯は食べちゃいましたけど」
後半のどうでもいい情報は今言う必要あったか? まあここはスルーしておこう。
「えーっと、死んだって事は、ここは死後の世界ってことになるのか?」
「うーん、そういう言い方もできますが、正確には不幸な死をとげた者を救済する世界って感じですかね」
「救済する世界? ……ってことはまさか、俺を元の世界に生き返らせてくれるのか!?」
それは非常にありがたい。生き返って俺をひき殺しやがったトラックの運ちゃんに文句の1つでも言ってやる。
「生き返って最初にしたいことがそれですか……。まあいいです。残念ながらそれは不可能ですので」
「へ? そうなの? なぜ?」
「説明しましょう。悠斗さんのおっしゃった通り、生き返るというのは正しいです。ただし、それは元の世界ではなく異世界で生き返るという意味なのです」
「ああー、なるほど。そりゃあ異世界で生き返っても運ちゃんに文句を言うのは不可能だよなー。納得納得ー。…………って、異世界いいい!!?」
エレナの返答の意味を時間差で理解した俺は、思わず叫んでしまった。
「い、異世界ってのはなんというかその、よ、よくあるファンタジー的な世界のこと!?」
「はい、そうです。悠斗さんには剣と魔法のファンタジー世界『レイアード』に異世界転移していただきます」
「ま、まじか」
こんなことがあり得ていいのか。
トラックにひかれて死んだと思ったら女神が現れて異世界に転移させてくれるとか、俺がよく読むライトノベルにありがちなシチュエーションじゃないか。じゃあもしかすると。
「なあ、もしかして俺にチート能力を与えてくれるってことあったりする?」
「な、なぜそれを!? そ、そうです。いきなり普通の人間を異世界に転移してもすぐにモンスターやら悪人やらに殺されてしまうので、何かしら能力を与えて転移させる決まりになってます」
やっぱりか。となるとこれは俺がチートによって異世界で無双できるっていうパターンだな。なんかみなぎってきたぞ。
「というわけでこれを飲んでください」
そう言って女神エレナは俺に液体の入った瓶を差し出してきた。その液体は限りなく黒に近い紫色という物騒な色をしており、飲めと言われても躊躇いたくなる見た目だった。
「これはなんなんだ?」
「私の作った特製の女神ドリンクです。飲めば身体能力と魔力が飛躍的に向上する超優れ物です」
向上するどころか飲んだら死んじゃいそうな色あいなんだが……。まあもう俺死んでるんだけど。
ええい、ここで躊躇してもしょうがない。
俺はエレナの言葉を信じてドリンクを一気に飲み干した。
「お味はいかがでしたか?」
「ん、なんか悪いのは見た目だけで普通においしかったよ。程良い甘さでいい感じだったわ」
「それは良かったです。では、転移していただきますが、心の準備はよろしいですか? 何か不安なことがあれば今のうちに聞いていただいてかまいませんが」
「問題ないさ。チートがあるならこっちのもんだぜ」
ふふふ、異世界でチートする系のラノベは今まで散々読んできたんだ。何も不安がることなんかねえ。むしろわくわく感しかないぜ。
「わかりました。それでは異世界へ行ってらっしゃいませー」
エレナがそう言うと俺の体は光に包まれ、異世界へと転移するのだった。
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