異世界チートはお手の物

スライド

文字の大きさ
3 / 37

第2話 こんにちは異世界

しおりを挟む
 俺は今、広場の噴水の近くに立っている。
 そして、目の前の光景に呆気にとられている。

 無事に異世界転移し、俺の目に飛び込んできたのはまさにファンタジーそのものだった。
 中世ヨーロッパを思わせる街並み。そして、そこを歩く人、エルフ、ドワーフ、獣人。魔法らしきものを使っている人もちらほらいる。

「本当に異世界に来たのか、俺……」

 思わずそうポツリと呟いてしまう。というか誰だってこの光景を見たら俺みたいになるに決まってる。やべー、わくわくしてどうにかなりそうだ。

 さて、これからどうするかな。
 よし、まずは王道の冒険者ギルドで冒険者登録を済ませるとしよう。でも、冒険者ギルドってどこにあるんだろうか。てか、そもそもここはどこなんだろう。かなりの大都市っぽいが……。

 まあいいや。その辺の人に聞けば。
 俺は近くにあった果物屋の店主らしきおっさんに話しかけてみた。

「あのー、ここって何て言う街なんだ?」

 俺がそう質問すると、おっさんは一瞬キョトンとしてから笑いだした。

「ガハハハハ! 兄ちゃん面白い事言うねぇ。どこってここは王都ジールに決まってるじゃねえか。世界でもトップクラスのこの大都市だぜ。まさか知らねえはずはあるめえ」

 やけにでかい都市だとは思ってたが、まさか世界トップクラスとは。そりゃ笑われるのも仕方ないな。

「いやー、俺、だいぶ無知なもんで。ははは……」

「そりゃ無知ってレベルじゃねえぞ兄ちゃん。……待てよ? もしかしてお前さん、なんか変な格好だし、髪も黒いし、さては相当な田舎から出てきたな?」

 田舎ねぇ。田舎どころか異世界からやって来たわけだが、そんなこと言えるわけがない。更に大声で笑われることが容易に想像できる。

「まあそんな感じだな。だからちょっと聞きたい事があるんだ。冒険者ギルドってどこにあるんだ?」

「冒険者ギルド? ああ。それならそこの通りをまっすぐ歩いて行けば右手にあるぜ。つーか兄ちゃん冒険者になるのかい? 見たところだいぶヒョロヒョロだけど大丈夫か?」

 少し心配そうに俺を見てくる店主のおっさん。
 確かに俺は特に鍛えてた訳でもないし、見た感じは弱そうだもんな。心配されるのも仕方がないか。

「大丈夫だよ。何せ俺には女神から貰ったチート能力があるからな。じゃ、そういうことで。道教えてくれてありがとよー。そのうちなんか買いに来るわー」

 俺の発言で更に心配そうな表情(というか可哀想な人を見る表情)になったおっさんを尻目に、俺は冒険者ギルドへと向かうのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...