異世界チートはお手の物

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第16話 ミーシャの今後とS級登場

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「いやー、評判通りなかなかうまいな、この店」

「そうね。いくらでも食べられそうだわ」

「はい! とっても美味しいです」

 俺達3人は最近できた美味しいと評判の店に足を運び、そこの料理に舌鼓を打ちながら会話を楽しんでいた。会話の内容としては、まず今日のクエストの振り帰りから始まり、そのあと他愛ない世間話をして、今はミーシャの今後について話し始めるところである。

「ふう、じゃあそろそろミーシャの今後のことを話し合いましょうか」

「おお、そうだな」

 ミーシャはマリス村とかいう遠くの村に住んでるって言ってたし、やっぱそこに帰りたいよな。だいぶ遠い村らしいから送り届けてやるべきだろうか。
 しかし、俺の予想に反してミーシャはこんなことを言ってきた。

「あの……、その事なんですけど、私もユウトさん達と一緒のギルドに入って冒険者をやってみようと思います」

「え、本気かミーシャ?」

 俺は思わずすぐ聞き返す。

「はい、本気です。ダメ……でしょうか?」

「いや、ダメって事はないんだけどな……。どう思うエミリア?」

「うーん、私もミーシャがなりたいなら反対はしないけど。でもミーシャ、急にいなくなって親や村の人たちも心配してると思うし、一度村には戻った方がいいんじゃない?」

 俺もエミリアと同意見だ。無事でいることを報告するのは必須だろう。

「大丈夫です。手紙を送って無事は伝えるので。親も村の人も優しいですから、きっとみんな分かってくれると思います」

 なるほど手紙ね。そういう手段もあるか。

「それにダンジョンでも話したように元々冒険者にはなってみたかったですし、さっきの2人の戦う姿を見て決心がついたんです。私も2人みたいな冒険者になりたいって」

 まっすぐな目でそう言うミーシャ。その本気さがすごく伝わってくる。そこまで言われたら俺もエミリアももう何も言う事はない。

「よし分かった。じゃあ明日ギルドに冒険者登録しに行こう。そんで俺達とパーティー組もう」

「はい! よろしくお願いします!」

 こうしてめでたくミーシャが冒険者になる事が決定した。

「よし、腹もいっぱいになったし、ミーシャの今後についても話せたし、そろそろお開きにするか」

「そうね。ミーシャは今夜はとりあえず私の部屋に泊っていいわよ。というかなんなら私の部屋に一緒に住みましょう」

「え、いいんですか?」

「もちろんよ。ミーシャなら大歓迎だわ」

「ありがとうございます! いろいろ良くしてもらって本当に助かります」

「じゃ、俺も宿に戻るわ。明日の朝ギルドに集合な」

「ええ」

「はい!」

 俺達は会計を済ませて宿へと戻った。



****************************************



 翌日早朝、俺たちはミーシャの冒険者登録を行うために約束どおりギルドに集まった。そして早速ミーシャの冒険者登録のため、エマのところへ向かう。

「おはようエマ。ミーシャの冒険者登録をお願いしたいんだけど」

「おはようございます。ミーシャさんも冒険者になるんですね。最近ギルドのメンバーがどんどん増えてきて嬉しい限りです。では冒険者カードを発行するので、こちらの用紙に記入をお願いします」

「はい」

 言われた通りミーシャは渡された紙に記入する。
 あー、そういや俺もこんなの書いたなぁ。そこまで昔のことでもないけど、なんだかもう懐かしいな。
 俺が思い出に浸っている間にミーシャは記載事項を書き終え、エマに提出した。

「できました」

「ありがとうございます。では、カードができるまでミーシャさんに冒険者について説明を……」

「あっ、大丈夫よエマ。私が昨日の夜寝る前にミーシャに一通り説明したから」

「あ、そうなんですね。エミリアさんが説明してくれたならバッチリですね」

「はい! すごく分かりやすかったです」

「ちなみに今日すぐにクエストに出掛ける予定ですか?」

「は、はい。挑戦してみようと思います。もちろんユウトさん達にサポートしてもらいながらですけど」

「では、今のうちにクエスト掲示板にあるクエストを吟味して、挑戦したいクエストを選んでみてはどうでしょうか」

「そうですね。そうしてみます」

うむ、エマの言うとおりそれが良さそうだな。ただ待ってるのも時間がもったいないし。
 でもその前に一つエマに聞いとかなくちゃな。

「なぁエマ。昨日話した昇級クエストの不具合についてなんだけど、どんな感じだ?」

「あ、その件なんですが、昨日あのあといくらか調査したんですが、今のところ原因は不明です」

「そうかー」

 まあ流石にそんなすぐに原因が分かったら苦労しないよな。

「なので原因が判明するまでは、ギルド専用のダンジョンを使用するわけにはいかないので、昇級クエストはしばらく開催しないことになりました」

「え、マジで」

 じゃあしばらくはB級のままってことか。とっととA級に上がってやろうと思ってたのになあ。俺は少し肩を落とす・

「まあまあユウト、そう落ち込まないの。普通のクエスト依頼はこれまで通りあるわけだし。ねえエマ」

「そうですね。普通のクエストの依頼はギルドダンジョンには関係ないですし、依頼を解決しないわけにもいかないですから」

「ほら、しばらくはそっちで腕を磨くとしましょうよ」

「そ、そうだな。うーし、バンバン依頼を解決してやるぜ」

 俺達はクエストを選ぶべくクエスト掲示板のほうへ移動した。すると掲示板の前に身長2メートルはありそうな筋肉質の大男が立っていた。でっけー。
 その大男もクエストを選んでいるようだったが、俺達の存在に気付いたようで。

「お? 兄ちゃんたちもクエスト選びか。なんか面白そうなクエストが色々貼ってあるぜ」

 そう言ってその大男は俺達が掲示板を見られるように少し横にずれてくれた。
 ほう、面白そうなクエストだって? さっそく見て見よう。
 俺が掲示板に目をやろうとした時だった。

「あ、あなたは……まさか……」

 突然息を飲むエミリア。思わずその顔を見るとエミリアは大男の顔を見て目を見開き、驚愕の表情となっている。一体どうしたというのだろう。

「なんだよエミリア、驚いた顔して。このおっさんがどうかしたのか? 見た感じ冒険者みたいだけど……」

「な、何言ってるのよあんた! この人は世界で5人しかいないS級冒険者のベイルさんよ!」

「…………えっ!?」

 俺が驚きの声を上げると、そのベイルという男が口を開く。

「おうよ。俺の名はベイル・ガンドレン。このギルドに所属するS級冒険者だ。以後、よろしく」
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