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第15話 昇級クエストを終えて
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なんとかボスを撃破した俺達3人は、ボス部屋の奥の部屋にあった魔法陣でギルドに戻って来た。
そして、受付のエマの元へ向かうと、エマは満面の笑顔で迎えてくれた。
「ユウトさん! エミリアさん! B級昇級クエストクリアおめでとうございます! なんだか自分のことみたいに嬉しいです!」
「おう。ありがとう、エマ。なかなか手応えのあるクエストで割と苦戦しちゃったよ。なあエミリア」
「ええ、思ってたよりも難しいクエストだったわ」
俺とエミリアは素直な感想を述べる。正直楽勝でクリアしてドヤ顔してやりたかったので少し悔しい。
「ギルドとしてもあんまり簡単にクリアされても困りますからね。でも、2人ならきっとクリアできると信じてました。本当におめでとうございます」
拍手をしながらもう一度お祝いの言葉を贈ってくれるエマ。
よーし、これで今日からB級冒険者を名乗れるわけだ。この調子でどんどん昇級目指すぞー。
「あのー、ところでユウトさん。さっきから気になっていたんですけど、2人と一緒いるその女の子は一体誰なんでしょうか?」
エマがミーシャのことを見ながらそう尋ねてきた。
あ、そうか。ミーシャのことを説明してあげないとな。
「あー、ちょっと訳ありなんだが。この子はだな――――」
俺はエミリアと一緒にミーシャと出会った経緯をエマに説明した。
「そ、そんなことがあったんですか。珍しい事もあるもんですね。転移魔法が暴発してダンジョン内に……。なるほどー。ミーシャさん、怪我などはなかったですか?」
「は、はい。ユウトさんとエミリアさんが私を優先して守ってくれたので、大丈夫でした」
「そうでしたか、お2人が。それは良かったです。2人のいるダンジョンに転移したのは不幸中の幸いかもですね。ユウトさんもエミリアさんも強いし、優しいですから。酷い冒険者だと置いてきぼりにされてたかもしれません」
「はい。本当に2人がいてくれて助かりました」
ミーシャとエマのやりとりが一段落したところで、俺とエミリアはさっきのクエストで少し気になっていたことをエマに切り出した。
「なあエマ。クエストボスのゴーレム2体なんだけどさ。途中から合体して戦って来るのはB級昇級クエストにしてはレベル高くないか? 正直積んだかと思ったぜ」
「そうそう。あれはA級昇級クエストでもおかしくない強さだったわ」
「が、合体ですか? おかしいですね。そんな仕様にはなっていないはずなんですが……」
表情が曇るエマ。
「ん、そうなのか? でも、確かに合体して俺らに襲いかかって来たぞ」
「そ、そうでしたか……。すみません。なにかクエストに不具合があったのかもしれません」
仕様じゃないとしたらそうなんだろう。まあ人が運営してる以上何かしらトラブルが起きてしまうのは仕方ないしな。
「あ、そうだ。不具合って言えば、マンドラゴラのいたフロアでも黒いマンドラゴラが紛れ込んでたけど、ひょっとするとあれもなのか?」
「黒いマンドラゴラですか? そ、そうですね。そんなモンスターは配置されてないので、それも不具合かと思います。す、すみません。大至急こちらで調査しますので……。本当にご迷惑をおかけしました」
深々と頭を下げるエマ。どうやら落ち込んでいるらしく、先程までの笑顔はどこかへ行ってしまっていた。
「まあ、無事クリアできたし、俺たちはそんなには気にしてないから大丈夫だよ」
「そうよ、エマ。気を落とさないで。いつもの元気なエマでいて」
俺とエミリアでフォローを入れると、エマは少しは元気になったようで、
「そ、そうですね。落ち込んでもしょうがないですもんね。お2人ともありがとうございます! 少し元気が出ました。原因究明頑張ります!」
と笑顔で言ってくれた。うん、女の子はやっぱり笑顔が一番だ。
「さて、じゃあめでたくB級に昇級したってことで、なんか上手いもんでも食いに行こうぜ」
「お、いいわね。じゃあミーシャも一緒に行きましょう」
「わ、私もご一緒していいんですか!?」
「当たり前じゃない。ミーシャがいたからクエストがクリアできたのよ? それに今後のあなたのことも話したいしね。大丈夫、ミーシャのご飯代はユウトが全部出してくれるから」
「そうそう俺が全部……って、おいっ! ミーシャも一緒に来るのはもちろんかまわんけど、最後の一言はおかしいだろっ」
俺は即座にツッコミを入れる。何で俺が奢る流れになってるんだ?
「あのねえ、今言ったようにミーシャのおかげでクエストがクリアできたの。ご飯ぐらい奢ってあげるのが筋ってもんでしょ?」
ぐぬぬ。確かにミーシャの転移魔法のおかげでゴーレムを倒せたわけだし、エミリアの言うことは筋が通ってるか。まあここは素直に言う事を聞くか。
「わ、分かったよ。俺が奢るよ」
「分かればよろしい。良かったわね、ミーシャ」
「はい! ユウトさん。ありがとうございます!」
「へいへい、どういたしまして」
……ん? いや待てよ。その論理だとエミリア、お前も半分出すべきなんじゃないか? 俺だけ払うのは不公平というものだろう。でもなあ、今出すって言っちゃったし……。ええい! 男に二言はねえ。何も言うまい。
「じゃ、2人とも行きましょ」
俺達3人はギルドを出て店へと向かった。
そして、受付のエマの元へ向かうと、エマは満面の笑顔で迎えてくれた。
「ユウトさん! エミリアさん! B級昇級クエストクリアおめでとうございます! なんだか自分のことみたいに嬉しいです!」
「おう。ありがとう、エマ。なかなか手応えのあるクエストで割と苦戦しちゃったよ。なあエミリア」
「ええ、思ってたよりも難しいクエストだったわ」
俺とエミリアは素直な感想を述べる。正直楽勝でクリアしてドヤ顔してやりたかったので少し悔しい。
「ギルドとしてもあんまり簡単にクリアされても困りますからね。でも、2人ならきっとクリアできると信じてました。本当におめでとうございます」
拍手をしながらもう一度お祝いの言葉を贈ってくれるエマ。
よーし、これで今日からB級冒険者を名乗れるわけだ。この調子でどんどん昇級目指すぞー。
「あのー、ところでユウトさん。さっきから気になっていたんですけど、2人と一緒いるその女の子は一体誰なんでしょうか?」
エマがミーシャのことを見ながらそう尋ねてきた。
あ、そうか。ミーシャのことを説明してあげないとな。
「あー、ちょっと訳ありなんだが。この子はだな――――」
俺はエミリアと一緒にミーシャと出会った経緯をエマに説明した。
「そ、そんなことがあったんですか。珍しい事もあるもんですね。転移魔法が暴発してダンジョン内に……。なるほどー。ミーシャさん、怪我などはなかったですか?」
「は、はい。ユウトさんとエミリアさんが私を優先して守ってくれたので、大丈夫でした」
「そうでしたか、お2人が。それは良かったです。2人のいるダンジョンに転移したのは不幸中の幸いかもですね。ユウトさんもエミリアさんも強いし、優しいですから。酷い冒険者だと置いてきぼりにされてたかもしれません」
「はい。本当に2人がいてくれて助かりました」
ミーシャとエマのやりとりが一段落したところで、俺とエミリアはさっきのクエストで少し気になっていたことをエマに切り出した。
「なあエマ。クエストボスのゴーレム2体なんだけどさ。途中から合体して戦って来るのはB級昇級クエストにしてはレベル高くないか? 正直積んだかと思ったぜ」
「そうそう。あれはA級昇級クエストでもおかしくない強さだったわ」
「が、合体ですか? おかしいですね。そんな仕様にはなっていないはずなんですが……」
表情が曇るエマ。
「ん、そうなのか? でも、確かに合体して俺らに襲いかかって来たぞ」
「そ、そうでしたか……。すみません。なにかクエストに不具合があったのかもしれません」
仕様じゃないとしたらそうなんだろう。まあ人が運営してる以上何かしらトラブルが起きてしまうのは仕方ないしな。
「あ、そうだ。不具合って言えば、マンドラゴラのいたフロアでも黒いマンドラゴラが紛れ込んでたけど、ひょっとするとあれもなのか?」
「黒いマンドラゴラですか? そ、そうですね。そんなモンスターは配置されてないので、それも不具合かと思います。す、すみません。大至急こちらで調査しますので……。本当にご迷惑をおかけしました」
深々と頭を下げるエマ。どうやら落ち込んでいるらしく、先程までの笑顔はどこかへ行ってしまっていた。
「まあ、無事クリアできたし、俺たちはそんなには気にしてないから大丈夫だよ」
「そうよ、エマ。気を落とさないで。いつもの元気なエマでいて」
俺とエミリアでフォローを入れると、エマは少しは元気になったようで、
「そ、そうですね。落ち込んでもしょうがないですもんね。お2人ともありがとうございます! 少し元気が出ました。原因究明頑張ります!」
と笑顔で言ってくれた。うん、女の子はやっぱり笑顔が一番だ。
「さて、じゃあめでたくB級に昇級したってことで、なんか上手いもんでも食いに行こうぜ」
「お、いいわね。じゃあミーシャも一緒に行きましょう」
「わ、私もご一緒していいんですか!?」
「当たり前じゃない。ミーシャがいたからクエストがクリアできたのよ? それに今後のあなたのことも話したいしね。大丈夫、ミーシャのご飯代はユウトが全部出してくれるから」
「そうそう俺が全部……って、おいっ! ミーシャも一緒に来るのはもちろんかまわんけど、最後の一言はおかしいだろっ」
俺は即座にツッコミを入れる。何で俺が奢る流れになってるんだ?
「あのねえ、今言ったようにミーシャのおかげでクエストがクリアできたの。ご飯ぐらい奢ってあげるのが筋ってもんでしょ?」
ぐぬぬ。確かにミーシャの転移魔法のおかげでゴーレムを倒せたわけだし、エミリアの言うことは筋が通ってるか。まあここは素直に言う事を聞くか。
「わ、分かったよ。俺が奢るよ」
「分かればよろしい。良かったわね、ミーシャ」
「はい! ユウトさん。ありがとうございます!」
「へいへい、どういたしまして」
……ん? いや待てよ。その論理だとエミリア、お前も半分出すべきなんじゃないか? 俺だけ払うのは不公平というものだろう。でもなあ、今出すって言っちゃったし……。ええい! 男に二言はねえ。何も言うまい。
「じゃ、2人とも行きましょ」
俺達3人はギルドを出て店へと向かった。
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