レベルアップがない異世界で転生特典のレベルアップしたら魔王として追われケモ耳娘たちとひっそりスローライフ。けど国を興すか悩み中

まみ夜

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魔王国滅亡編

温泉みつけました

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「こっちの小川、あったかいよ!」
「前の洞窟より小さいですけど、住めそうですね」
 街から逃げ出して十日以上たち、俺たちは、涌き出した温泉が近くの小川に流れ込む中州のような場所の岩壁に洞窟を見つけていた。

 温泉水は、しょっぱいので、煮詰めれば塩が取れるかもしれない。
 その脇の洞窟は、『白い部屋の管理者』に用意してもらったものに比べれば小さいが当面、三人でも雨風を凌げるだろう。
 そのうち、近くの森から、木を伐りだして、小屋をつくってしまえば、問題ない。
 自分で家を建てるのは、この世界では一般常識の範囲内だ。
 木材加工は、ヤトが素手でも可能だし、木材の伐採は、俺の魔素を使っての武器強化の良い練習になるだろう。

 なにより、この周辺の魔物は、肉がおいしい。
 駝鳥のようなキッカー・バード。
 猪のようなチャージ・ボア。
 その羽根も、毛皮も、骨などからとれるニカワも、いろいろと役に立つだろう。
 レベルを上げるには、物足りないが逆に、簡単にレベルアップするような魔物が近くにいたら、安心して住めないし、開拓できない。
 少し離れた森の奥底には、強力な魔物がいるのかもしれないが。

 とりあえず洞窟に荷物を置き、温泉の流れが小川と合流する手前を掘って、露天風呂をつくった。
「このくらいの大きさでいいかな?」
「お父様は、身体が大きいから、もう少し広い方がいいかもしれません」
「ヨウコがちっちゃいから、みんなではいれると思うよ?」
「小さいって、身体の大きさの話ですよね、お姉様?」

 まあ、単に屋根がつくれてないから、露天なのだが。
 それでも、満天の星の見える夜空の下は、最高だ。
「ふわー」
「ふぅー」
「ちょうどいい湯加減だな」
 小川から冷水を引くことも考えての場所取りだが不要だった。
 考えてみれば、この世界に転生して、ずっと身体を拭いたり、行水だったので、初の風呂だ。
 娘たちにしても、人型になって、風呂初体験だ。
 全員全裸で、おっぱいおっぱいな状況ではあるが、親子だから見てみぬふりで、少し先の焚火の下のものを考えて誤魔化す。

 街で、ジャガイモとサツマイモの中間のようなアネ芋を大量に買っていた。
 じっくり焼いたり煮たりすると甘くなり、強火だとあっさりした味の芋で、荒れ地でも育つから、一部は種芋として、植えて育てる予定だ。
 だから、ヤトには、「絶対に全部食べるな」と言ってある。
 まあ、ヨウコが主に調理を担当しているので、大丈夫だろう。
 既に道中、生のままの芋をヤトは齧って、お腹の調子を悪くする経験をしたし、調理は不得意なので、大丈夫だろう。
「どうした、ヤト?」
「パパ、ちょっとだけ、お腹痛い」
「あ!お芋を生で食べましたね。食いしん坊なんですから、お姉様は」
「だって、前はなんでも、生で食べて平気だったもん」
 魔物のときは当然、調理なんてしないから、なんでも生で食べていて、お腹は壊さなかったし、ヴォーパル・バニーのヤトは植物しか食べていなかったようだが、人型になったことで、体調も味覚も『人』に近寄っているようだ。
 ヤトは、バーサーカー・ベアの塊肉を焼いたのを食べてから、肉に目覚めて、肉々うるさい。
「でも、お肉食べる」
「お腹の調子が良くなるまでは、ダメです」

 そのアネ芋が、キッカー・バードの腿肉といっしょに、大きめの葉っぱに包んで、焚火の下に埋めてある。
 一風呂浴びたら、それで、夕食だ。
「・・・パパ」
「・・・お父様」
 娘たちが湯の中で、抱き着いてきたので、おっぱいおっぱいには気づかないふりをして、俺は二人の頭を撫でた。
 ここが、安住の地となりますように。
 そう思ってから、誰に祈ればいいのか、わからなかった。
 なぜなら、俺に刷り込まれた一般常識では、この世界に「神」はいないからだ。
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