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神様はいません
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俺に刷り込まれた一般常識にないので、ワー・ウルフ兄妹に聞いた。
「神様っていないのか?」
「神、様?ですか?」
古の種族の子孫で、一般人にはない知識を伝えているハイロウは、いぶかし気に首を傾げた。
「神様?聞いたことありませんね。何者なんですか?主様」
俺は、前世の知識で、世界を創造したとか、人々を導くとか、例えば実りや天候を司り願うと良くしてくれるとか、神について説明した。
キラは、首をかしげ、
「世界をつくったのが誰かは存じ上げません。でも、誰かがつくれるものなんでしょうか?」
確かに、神の設定って規格外だよな。
「人を導くのは、国の王や貴族がやっておりますな。畑は、農作業を頑張れば良い結果が出ますし、天候は考えるだけ仕方ない存在ですな」
確かに、神が実際に導いたり、司ってるのを実感したことは、前世でもない。
それこそ、受験の結果なんて、努力の賜物だろう。
「何かに縋りたい気持ちは、わからないでもありません。ですが、魔物のいる世界は、残酷で。願っても救われないことは、ワー・ウルフの一族である我々は、よく知っていますのでな」
確かに前世でも、神に祈ろうとも、死ぬ。
願いが絶対にかなうなんて、嘘だ。
本当ならば、人々の願いで死なない者がいておかしくないからだ。
肉親や英雄などの死に「死なないで」との願いが、足りないなら、足りた願いって、どんなに狂気を含んでいるんだろう?
そして、魔物がいるこの世界では、救ってくれる存在がないことが、残酷なくらい理解されている。
だから、誰も祈らない。
祈っても、誰も救われないのだから。
そのために、宗教が、神が存在しない。
いや、救えないから、存在できない。
宗教がないから、死後の世界観も、あいまいだ。
「ハイロウたちは、死んだらどうなると思ってるんだ?」
ちょっとだけ、ハイロウは少しだけ遠い目をして、
「先に逝った者たちに、会えたらいいですな」
しかし俺は、俺を『死』から、異世界転生させた『白い部屋の管理者』の存在を知っている。
『あれ』は、何なんだろう?
この世界には神がいないから、相対する邪神も魔王もいないのかもしれない。
では、この世界の『魔王』っていったい?
「ハイロウには、願いってあるのか?」
滅ぼされようとしたワー・ウルフ一族の過去を思い出し、暗くなった雰囲気を吹き飛ばすかのように、笑顔で言い放たれた。
「せっかく若返ったのですから、ワー・ウルフの嫁さんがほしいですな。しかも、美人の!」
「あ、兄さま、それ。キラもキラも」
「ああ、絶対に、見つけような」
理想の異性を語りだす二人に、俺は頷いた。
そして、気がついてしまった。
娘たちは、いつか結婚するのか?
いや、人型の魔物として、できるのか?
いやいや、でも恋愛しちゃうのか?
いやいやいや。
神だとか魔王とか、『人』だとか。
そんなことより、もっと難しくて、考えたくない問題だった。
「神様っていないのか?」
「神、様?ですか?」
古の種族の子孫で、一般人にはない知識を伝えているハイロウは、いぶかし気に首を傾げた。
「神様?聞いたことありませんね。何者なんですか?主様」
俺は、前世の知識で、世界を創造したとか、人々を導くとか、例えば実りや天候を司り願うと良くしてくれるとか、神について説明した。
キラは、首をかしげ、
「世界をつくったのが誰かは存じ上げません。でも、誰かがつくれるものなんでしょうか?」
確かに、神の設定って規格外だよな。
「人を導くのは、国の王や貴族がやっておりますな。畑は、農作業を頑張れば良い結果が出ますし、天候は考えるだけ仕方ない存在ですな」
確かに、神が実際に導いたり、司ってるのを実感したことは、前世でもない。
それこそ、受験の結果なんて、努力の賜物だろう。
「何かに縋りたい気持ちは、わからないでもありません。ですが、魔物のいる世界は、残酷で。願っても救われないことは、ワー・ウルフの一族である我々は、よく知っていますのでな」
確かに前世でも、神に祈ろうとも、死ぬ。
願いが絶対にかなうなんて、嘘だ。
本当ならば、人々の願いで死なない者がいておかしくないからだ。
肉親や英雄などの死に「死なないで」との願いが、足りないなら、足りた願いって、どんなに狂気を含んでいるんだろう?
そして、魔物がいるこの世界では、救ってくれる存在がないことが、残酷なくらい理解されている。
だから、誰も祈らない。
祈っても、誰も救われないのだから。
そのために、宗教が、神が存在しない。
いや、救えないから、存在できない。
宗教がないから、死後の世界観も、あいまいだ。
「ハイロウたちは、死んだらどうなると思ってるんだ?」
ちょっとだけ、ハイロウは少しだけ遠い目をして、
「先に逝った者たちに、会えたらいいですな」
しかし俺は、俺を『死』から、異世界転生させた『白い部屋の管理者』の存在を知っている。
『あれ』は、何なんだろう?
この世界には神がいないから、相対する邪神も魔王もいないのかもしれない。
では、この世界の『魔王』っていったい?
「ハイロウには、願いってあるのか?」
滅ぼされようとしたワー・ウルフ一族の過去を思い出し、暗くなった雰囲気を吹き飛ばすかのように、笑顔で言い放たれた。
「せっかく若返ったのですから、ワー・ウルフの嫁さんがほしいですな。しかも、美人の!」
「あ、兄さま、それ。キラもキラも」
「ああ、絶対に、見つけような」
理想の異性を語りだす二人に、俺は頷いた。
そして、気がついてしまった。
娘たちは、いつか結婚するのか?
いや、人型の魔物として、できるのか?
いやいや、でも恋愛しちゃうのか?
いやいやいや。
神だとか魔王とか、『人』だとか。
そんなことより、もっと難しくて、考えたくない問題だった。
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