レベルアップがない異世界で転生特典のレベルアップしたら魔王として追われケモ耳娘たちとひっそりスローライフ。けど国を興すか悩み中

まみ夜

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神と魔王編

国をおこすかなやみちゅう?

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「あれ?」
「あれ?」
 ダンジョン内で会ったときのように、真っ白い空間で、俺たちは互いに驚いていた。
 目の前には、豪華な椅子にローブ姿のセレナが座っていた。
 俺も、あのときと同じ粗末な椅子に座っている。
 「命・エネルギー」の浪費も終わっているし、「もう一人の魔王」も喰った。
 彼女と会話が成立するはずがないのだが。
 どういうことだ?と聞く前に、
「これは、推測に過ぎないけど」
「かまわない、聞かせてくれ」
「これは、木霊のようなものかもしれない」
 意味がわからない。
「ダンジョン内で君が、私の推測が予想外で驚いたから、相談相手に私を選んでいるのかも」
「・・・自問自答を一人でやるのは寂しいから、凄かったヤツから相手を選んで、想像で創造したってことか?」
「そんな感じ。自分の言葉が返ってくるだけだから、木霊」
 脳内会議の別人格設定か。
 きっと、俺は眠っているのだろう。
 道理で、やりとりが阿吽の呼吸に感じるわけだ。
 事実だとしたら、寂しいヤツだな、俺。
 いやいや、魔王として、誰とも相談できない重圧あるしな。
「だから、独走して怒られるんじゃないの?」
 ほっとけ。
「・・・いや、今のは、口にしてないぞ、俺」
「だから、木霊」
 便利、なのか?
「もしかしたら、喰われたことで、何かがチョッピリ、君の中に混ざっているのかも、しれないけど」
 それは、確かめようがないな。
「で?私がいるってことは、相談したいんでしょ?」
 確かに、いろいろとある。
「ああ、セレナが、」
「あ、まってまって。私もセレナなのよ。区別するために、呼び名が欲しい」
 これは、俺が言いそうなことだ。
 確かに、木霊かもしれない。
「えーと、教皇だったから、『キョウたん』にしよう。決定!」
 本当に、俺のセンスなのだろうか?
 客観的にみてるから、そう感じるのであって、ナギコがいつも嗤うのは、そのせい?
 頭をふって、気を取り直して、
「セレナが、『名づけ』たのに、剣に戻ってしまった。どうしてだろう?」
「『名づけ』って基本、魔物に対してやるんでしょ?」
「元魔王のナギコ以外は、そうだ」
「だったら、魔物として未熟だったからじゃない?」
 未熟な魔物?
「あ」
「セレナの剣って、付喪神になりかけみたいな魔物なんじゃない?」
 古道具が命?をもった妖怪、付喪神。
 あの剣は、教皇を斬り殺して、「命・エネルギー」靄に触れた、曰くつきだ。
 とはいえ、元々は単なる剣なので、人型を維持し続けるには、魔物としては未熟なのかもしれない。
 つまり、
「君の得意な『レベルアップ』で、人型の時間も長くなっていくんじゃない?」
 その可能性はある。
「言い方が悪いが、フィリピン人なのに、よく付喪神を知っていたな」
「私の知識じゃなくて、君が私がおまじない好きだったとかから発想して、自分で思い出したんだと思うよ」
 確かに、付喪神は、俺も知っていた。
 だとすると、さっきの推測も、自分が望む方向へキョウたんを使って誘導しているだけかもしれない。
 じゃあ、俺が知らないこと聞いてみよう。
「セレナが言った、タタイとアテって、フィリピン語か?」
「うーん。フィリピンのことは、うろ覚えだけど。文脈から、お父さんとかお姉さんの意味じゃない?」
 それは、俺にも想像できた。
 本当に、単なる脳内会議なのか。

「タタイ」
 呼ばれて振り向く、とセレナがヤトお気に入りの毛布を被って全裸で立っていた。
 朝食が終わり、ヤトは羊の放牧、ヨウコはサクラやレッドと昼食のグループ分けや献立の相談、シランはコンミョウの寺子屋を手伝いに、出かけた後だった。
 セレナが再び、人型になれたことは喜ばしいが、その時間が限られていることへの裏づけでもある。
 パス通信で三姉妹を呼び戻すが、待つ間を惜しみ、申し訳ないがヨウコの服を漁って着せた。
 その間にも、言葉を交わす。
「シランに髪を梳かされている最中に、寝てしまった?」
「うん、アテの手が気持ちよかったから、寝ちゃった」
「アテって?」
「あ、お姉ちゃんのこと。タタイは、お父さんだよ」
「さっき、目が覚めた?」
「うん、アテの誰かが、毛布で包んでくれたのはわかったけど。すっごく眠くって、おやすみって言えなくて、ごめんなさい」
「ああ、気にしなくていいよ」
「セレナ、アテがいっぱいできて嬉しい!一人じゃないから、嬉しい!あ、タタイもだよ」
「そうか、よかった」
「アテは?」
「すぐ、戻ってくるよ」
「・・・あれ?」
 セレナが、眉を寄せた。
「すごく、眠い」
 急に、身体から力が抜けたのを支え、俺は床に座り、セレナを膝に乗せた。
「タタイ、あったかい」
 三姉妹が、全速力で帰ってきて見たものは、娘の服や下着を散らかした中で抜き身の剣を抱えて座り込む父親、という地獄絵図だった。

 セレナは、二日おきに数時間程度、人型になるペースで安定してきた。
 レベルアップが、時間延長に直結しているわけではなさそうだが少しづつ、いっしょに過ごせる時間が延びている。
 キラとサクラが、競って黒髪に合わせた服を大量に仕立てたが、同じ黒髪のヤトがムクれたので、落ち着いた。
 もっとも、ヤトはフリフリした服を好まない上で巨乳というデザイナー泣かせだったので、ある意味、自業自得でもあるのだが。
(「お父様、どうしてヨウコの胸を見たのですか?」)
 キョウたんも、たまに夢に現れては、脳内会議している。
 時々、「センスないなコイツ」と思うことがあって、自分へのブーメランに気づかされ、戦々恐々している。
 ダンジョンは、「命・エネルギー」の浪費が終わったためか、地下一階が、前世の街ではなく、石畳の地下迷宮に変貌した。
 モンスターが出現し、倒すと魔石を残すのは変わらない。
 羽猫で簡単にマッピングしたが、バーサーカー・ベアが再生していて、地下二階への階段があるかは、まだ不明だ。
 魔石は、魔素を宿していることがわかり、エルフが握る、と自分の魔素を使わずに魔法を使うことができた。
 ただ、魔素の出力、前世でいう電池の電圧が低いため、ささやかな魔法にしか影響しなかった。
 では、魔石が大量ならば大魔法が使えるのでは、と集めたが反発するようで、逆に出力が下がってしまう。
 しかも、魔石の魔素は有限なので、使い切れば、消滅してしまう。
 ところが、とんでもないことがわかった。
 信用できる「人」、寺子屋の生徒を使った実験で、「人」が魔石で魔法を使えることが判明した。
 しかし、出力は低いので、例えば、ロウソクに火を灯すくらいにしか使えない。
 しかも、短時間に何度も魔法を使うと、「魔素酔い」(命名俺)と名づけた症状になる。
 これは、激しい二日酔いに似ていて、眩暈・頭痛・吐き気が起こる。
 もしかしたら、症状としては眩暈だけで、頭痛や吐き気は二次的なものかもしれないが、罹った「人」には、何の慰めにもならない。
 それでも、今まで「人」に不可能だった魔法が、ゼロから壱になったことは、大きかった。
 更に、ダンジョン内には魔素が溢れているようで、「人」が入ると同じく魔素酔いした。
 これら全てをまとめて報告書にし、魔石のサンプルをつけて、街の領主へ提出すると同時に、公表を握りつぶされないように、「魔王」として、魔石の販売を開始した。
 「魔王」を含め、半信半疑の街の「人」々は、試して驚いたが、馬鹿にもした。
 こんな、ちっちゃな魔法が使えて、何の意味があるのか?と。
 「魔王」が本当だとしても、程度の低さが知れる、というものだ。
 そして、家へ帰り、灯りをつけようと火打石を手にして何度か失敗する、と火がつく前に放り投げ、魔石を買いに走った。
 当然のごとく、ダンジョンへも「人」が殺到したが、祠の脇に、ゲロまみれで転がるだけだった。 
 魔素酔いが判明してから、立ち入りを規制する見張りは置いていなかったが、この状況を見て、エルフ先生特製吐き気止め薬の販売は行った。
 報告書が、領主から国へ届くころには、魔石を割ると出力そのままに、魔素含有量のみ分けられることがわかり、より安価に、より大量に販売が可能になり、更に普及した。
 一度、ロウソクに火を灯したり、遠くから風で消したりを魔石一つで簡単にできることに慣れると、もう手放せなかった。
 発光の魔法で魔石を光らせることは可能だったが、すぐ魔素が尽きてしまう。
 しかし、それが逆に富の象徴としての魔石照明が、貴族の間で流行した。
 「人」は、「人型の魔物」が生産する魔石ナシには、生活レベルを維持できなくなった。
 つまり、「人」は自分の生活のために、「人型の魔物」を、それを統べる「魔王」を殺せなくなったのだ。
 ダンジョン脇に、シランを魔王「様」、ナギコを町長として、第二の町をつくった。
 隠れていた「人型の魔物」が集まってきて、どんどんそれは大きくなっている。

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 けど国を興すか悩み中。
 まあ、もう国にする必要もないのか?
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