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九戦

鏡像世界/ジャイアント・ワーム

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 両手と左腰に、装備の重さが加わる。
 ショート・ソードは、プラス二になったことで、逆に軽くなっている。
 前に使っていた、ノーマルのショート・ソードは、腰に装備していた。
「あれ? 二刀流?」
 サクラが聞いてきたが、念のための予備として、吊るしているだけだ。
「進もう」
 ガイドカーソルは、一つで、全身鎧のサイゾウを先頭に歩き出す。
 ミトンは、無言で最後尾をついてくる。
 自己紹介をした以降、彼女は口をきいていない。
 レベルは三になっていて、ライフルが、前に見たものより、強力になっていた。
 矢印が、赤くなるが、まだ世界の敵の姿が見えない。
「どこだ?」
「見えない敵?」
 矢印が、回転しはじめる。
 どういうことだ?
 どこにいる?
「ライフル中心に、円陣!」
 サイゾウが叫んだ瞬間に、クラタの足元から、何かが飛び出た。
 ジャイアント・ワームの名、バーが現れ、クラタのバーが真っ黒になった。
 ワームは、そのまま頭上を越え、近くのビルに突っ込んで、倒壊させる。
 そのまま、姿が見えなくなり、名前の表示もバーも消えた。
「ばらけろ!」
 コンクリートの破片を避けながら、崩れていく建物に、既視感を覚えた。
 矢印が赤くなる。
 足元が振動した。
 思い切り、バックステップする。
 目の前から、ワームが飛び出てきた。
 ショート・ソード・プラス二を突き立てる。
 ダメージを与えるが、すぐ踏ん張りきれなくなり、剣が刺さったまま、身体が持ち上がったので、慌てて蹴りを入れて、飛びのく。
 着地したときには、またワームは、消えていた。
 矢印が、くるくると回る。
 赤くなった。
 サイゾウが、サイドステップした着地点から、ワームが飛び出した。
 辛うじて、直撃は避けたが、左腕が食いちぎられ、転がる。
 ズガン! と銃声が響き、ワームに穴が開くが、感じていないのか、三度地面に消えた。
 次も、サイゾウが狙われたら、逃げられない。
 近寄り、鎧の出っ張りに手をかけて、待機。
 矢印の色を見ながら、足元の振動を探る。
 来た・・・今だ!
 身体を捻るように、サイゾウを振り、その勢いのまま、飛ぶ。
 ワームが、かすった。
 サクラが走りより、カタナを刺す。
 浮きそうになる彼女の脚を掴み、サイゾウとの体重で、押さえつける。
 ワームは、自分の動きで、固定されたカタナに切られていく。
 バーが激しく削れ、真っ赤になる。
 ワームが、直立して、止まった。
 再び、ズガン! と銃声がして、先頭部分が、吹き飛んだ。
 バーが黒くなり、湯気のようなものを上げて、水鏡が現れた。
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