【完結】＞自殺の報いに、世界を救いましょう！

休戦

初日

　意図的に、二度目の死をジェネラルに与える存在の可能性が浮上したため、ダイブが禁止となった。
　また、幹部が対策会議で監督できないため、施設での訓練も二日間の休暇と決まった。
　そもそも、施設にも休日はあるのだが、誰もが休まずに自主訓練をするので、事故を警戒して教官らが立ち会うので、実質無休になっている。
　 訓練を休むのが、皆不安なのだ。
「ねー、遊びいこーよー」
　ダイブ禁止、休暇が通達された後の朝食の席で、ミチルが絡んで来た。
　外に出るのは、逃げ出していた時の居場所がない感覚が思い出されて、気持ちが縮む。
　もともと、施設には、二十四時間営業の売店があり、必要なものは、購入できる。
　ただし、請求は、明細入りで、家族にいくので、気をつけなければいけない。
「ミチルも補導されただろ、もうやだよ」
「なにいってんの、大丈夫だってー」
　何を根拠に？
「土日だよ、お休み！」

　久しぶりの外だ。
　施設が元精神病院のため、大人数で出入りしないように、注意されていたが、外出する者は少なかった。
 　夜にはもどらないと、招集される危険があるからだ。
　電車が止まると怖いので、徒歩で移動する。
　駅のまわりには、繁華街があるようなので、そちらへ向かう。
「お昼、何食べよっか」
　食べたくない方のリクエストなら、ある。
　ファストフードは、嫌だ。
「食堂で食べられないのがいいよねー」
　アレルギー対策を始め、食堂では、様々な料理が供されているから、メニューに不満はない。
　とはいえ、高価なご馳走は出ないから、そういうのもいいか。
「肉食べたいかも」
「いいよねー肉」
　女子高生的にそれでいいのか、と思いながら、肉々言うミチルと歩く。
　駅に近づくにつれ、通行人が増えて来た。
　喧騒の中、スピーカーからの声が響く。
「政府は、ジェネラルの存在を隠している！　ジェネラルが、世界を救うヒーローだというのにだ！」
「なに、あれ？」
　大学生らしき青年が、拡声器を手に叫んでいる。
　意外と、まわりに人が集まってきいている。
　雑誌の影響だろうか。
「不実な市役所は崩れたぞ！　鉄槌は下ったのだ！　次は、どこだ！？」
「あっちいこ」
　ミチルが、手をぎゅうぎゅう引っ張り、ファストフード店に入ろうとしている。
「え？　肉でしょ？」
「女子高生にとっての肉は、ハンバーガーよ」
「ハンバーガーなら、売店でも売ってるじゃないか！」
「あんな、顎が外れそうに分厚いのは違うの！　ペラッペラであるからこそ、なの！」
　せめてもの抵抗で、違うチェーン店にしてもらった。