52 / 120
贈物、まで
串物
しおりを挟む
よくある定番のつまみで好きなのは、焼き鳥だ。
本当に美味しい焼き鳥に出会う、と本当に嬉しい。
焼き鳥もやきとりも、やきとんも好きだ。
子供のころは、焼き鳥屋に連れていってもらい、注文のたびに、「これ内臓のドコ?」と聞く、迷惑で嫌なガキだったが。
ただ、自分の店で出すとなる、と問題なのは、焼く時間だ。
ビール、他のつまみの注文などが入ったら、対応できるか。
更に、たくさんの注文があったら、提供に時間がかかりすぎる。
無理かなあ。
でも、串から引き抜きながら食べて、ビールって、格別だからなあ。
串揚げなら、まだ可能?
揚げ時間に差があると難しいから、串カツのみ?
うーん。
なんてことを、オヤジに話したところ。
「串煮込みなら、提供の問題は少ないな」
串煮込み?
「知らないのか?」
「やれやれ」と首を振る。
(本当に、この仕草は、ムカつく)
簡単に説明してしまえば、串に刺したモツでのモツ煮。
その味は、簡単には説明できず、味噌仕立てで、モツの部位ごとに串の種類があり、奥深いらしい。
これは、一度食べてみなければ。
店に入る前から、ぷーんと味噌のいい匂いがした。
店に入る、と「らっしゃい!」と景気いい声がした。
日曜日は、少し早めに店が始まるので、やってきたら、もう常連らしき方々で、ほぼ満席状態だった。
何名様? の声に、指を一本出す、とカウンターに案内された。
失礼します、と隣席のお姉様に挨拶して座る。
飲み物を聞かれて、なんとなく瓶ビールの気分だったので、お願いしたら、赤星だった。
珍しいなあ。
串煮込みのお任せ五本セットと、煮豆腐をお願いした。
隣のお姉様が、僕の脇腹を突く。
「アキレス腱、絶対、アキレス腱!」
ウェイトレスを見る、と苦笑しながらも頷いたので、追加した。
お姉様が、グラスにビールを注いでくれたので、ありがたく頂戴した。
『乾杯!』
お姉様のジョッキは、どピンクだ。
「これは、バイスサワー」
僕の目線に気づいて、答えてくれて、
「梅の酢と書いて、バイスサワーなの」
僕の顏が? になったので、更に教えてくれた。
「お待たせしました、串煮込みお任せ五本、煮豆腐、アキレス腱です」
もう、料理がきた。
待ってないです。
早い!
適温に近い状態でキープされているのだから、提供は早い。
その分、どれだけ仕込みに、手間と時間がかかっているのだろう。
「食べて、熱いうちに食べて」
お姉様が急かすが、猫舌の僕としては、慎重にいきたい。
「いただきます」
手を合わせて、まず串を一本。
これは、テッポウかな。
肉厚で、肉の味が強い。
味付けの味噌味が、濃厚で複雑だ。
何種類、使っているのか、想像もつかない。
次は、シロかな。
脂が、にじみ出てくる。
ビールが、グビグビ進む。
ここで、煮豆腐。
味が染みている。
しかも、染みているのは、大量のモツと煮られている汁なのだ。
更には、アキレス腱。
このネットリした感触は、煮溶ける寸前の、絶妙さだ。
すでに、ビールは、一本目ではない。
「お腹、空いてるの?」
ガツガツと呑み食いしている僕に、お姉様が、聞いてきた。
腹ペコって、わけではないけど、空いてはいるので、頷く。
「大将、焼きオニギリ茶漬け頂戴。裏の方ね」
「あいよ!」
裏の方?
大将が、炭火でオニギリを焼き始めた。
しかし、タレとか味噌とかをつける様子はない。
焼きあがったそれを器に入れ、串煮込みの汁を注ぐ。
揉み海苔に、ワサビを添えて、
「裏メニューの方の焼きオニギリ茶漬け、お待ち!」
これ、絶対、美味しいヤツだ。
裏の方って、裏メニューのことか。
常連なんだな。
お姉様の前に置かれたそれが、横スライドで僕の前に置かれた。
「食べて、食べて」
いやいや。
「おごり、おごり」
それは、申し訳ないし、お出かけ三つの誓いの一つを破ることになる。
しかし、
「オンナに恥かかせないでね」
と、まで言われた。
しかも、この料理は、賞味期限が短いだろうから、口をつけないのは、逆に失礼だ。
この料理のためなのだ、致し方ない。
焼きオニギリの端を箸で切り、口に入れる。
カリッとした食感がいい。
器に残った、切り取った白い断面に、茶色い汁が染みていく。
ちょっと潤びたオニギリを箸で崩して、汁ごとかき込む。
海苔の風味と、甘い汁に、ワサビが合う。
肉成分を追加したくて、串を取る。
これは、ハチノスかな。
肉を噛み締めながら飯、ちょっとワサビ多め。
ビールを呑み干した。
はふうぅぅぅぅ、っと息をつく。
まだ、串もつまみも、オニギリ茶漬けも残ってる。
顏を上げる、とお姉様が、ニヤニヤしていた。
「瓶ビール、もう一本ください」
さて、どれから食べるのが正解ルートか、攻略法を考えなければ。
本当に美味しい焼き鳥に出会う、と本当に嬉しい。
焼き鳥もやきとりも、やきとんも好きだ。
子供のころは、焼き鳥屋に連れていってもらい、注文のたびに、「これ内臓のドコ?」と聞く、迷惑で嫌なガキだったが。
ただ、自分の店で出すとなる、と問題なのは、焼く時間だ。
ビール、他のつまみの注文などが入ったら、対応できるか。
更に、たくさんの注文があったら、提供に時間がかかりすぎる。
無理かなあ。
でも、串から引き抜きながら食べて、ビールって、格別だからなあ。
串揚げなら、まだ可能?
揚げ時間に差があると難しいから、串カツのみ?
うーん。
なんてことを、オヤジに話したところ。
「串煮込みなら、提供の問題は少ないな」
串煮込み?
「知らないのか?」
「やれやれ」と首を振る。
(本当に、この仕草は、ムカつく)
簡単に説明してしまえば、串に刺したモツでのモツ煮。
その味は、簡単には説明できず、味噌仕立てで、モツの部位ごとに串の種類があり、奥深いらしい。
これは、一度食べてみなければ。
店に入る前から、ぷーんと味噌のいい匂いがした。
店に入る、と「らっしゃい!」と景気いい声がした。
日曜日は、少し早めに店が始まるので、やってきたら、もう常連らしき方々で、ほぼ満席状態だった。
何名様? の声に、指を一本出す、とカウンターに案内された。
失礼します、と隣席のお姉様に挨拶して座る。
飲み物を聞かれて、なんとなく瓶ビールの気分だったので、お願いしたら、赤星だった。
珍しいなあ。
串煮込みのお任せ五本セットと、煮豆腐をお願いした。
隣のお姉様が、僕の脇腹を突く。
「アキレス腱、絶対、アキレス腱!」
ウェイトレスを見る、と苦笑しながらも頷いたので、追加した。
お姉様が、グラスにビールを注いでくれたので、ありがたく頂戴した。
『乾杯!』
お姉様のジョッキは、どピンクだ。
「これは、バイスサワー」
僕の目線に気づいて、答えてくれて、
「梅の酢と書いて、バイスサワーなの」
僕の顏が? になったので、更に教えてくれた。
「お待たせしました、串煮込みお任せ五本、煮豆腐、アキレス腱です」
もう、料理がきた。
待ってないです。
早い!
適温に近い状態でキープされているのだから、提供は早い。
その分、どれだけ仕込みに、手間と時間がかかっているのだろう。
「食べて、熱いうちに食べて」
お姉様が急かすが、猫舌の僕としては、慎重にいきたい。
「いただきます」
手を合わせて、まず串を一本。
これは、テッポウかな。
肉厚で、肉の味が強い。
味付けの味噌味が、濃厚で複雑だ。
何種類、使っているのか、想像もつかない。
次は、シロかな。
脂が、にじみ出てくる。
ビールが、グビグビ進む。
ここで、煮豆腐。
味が染みている。
しかも、染みているのは、大量のモツと煮られている汁なのだ。
更には、アキレス腱。
このネットリした感触は、煮溶ける寸前の、絶妙さだ。
すでに、ビールは、一本目ではない。
「お腹、空いてるの?」
ガツガツと呑み食いしている僕に、お姉様が、聞いてきた。
腹ペコって、わけではないけど、空いてはいるので、頷く。
「大将、焼きオニギリ茶漬け頂戴。裏の方ね」
「あいよ!」
裏の方?
大将が、炭火でオニギリを焼き始めた。
しかし、タレとか味噌とかをつける様子はない。
焼きあがったそれを器に入れ、串煮込みの汁を注ぐ。
揉み海苔に、ワサビを添えて、
「裏メニューの方の焼きオニギリ茶漬け、お待ち!」
これ、絶対、美味しいヤツだ。
裏の方って、裏メニューのことか。
常連なんだな。
お姉様の前に置かれたそれが、横スライドで僕の前に置かれた。
「食べて、食べて」
いやいや。
「おごり、おごり」
それは、申し訳ないし、お出かけ三つの誓いの一つを破ることになる。
しかし、
「オンナに恥かかせないでね」
と、まで言われた。
しかも、この料理は、賞味期限が短いだろうから、口をつけないのは、逆に失礼だ。
この料理のためなのだ、致し方ない。
焼きオニギリの端を箸で切り、口に入れる。
カリッとした食感がいい。
器に残った、切り取った白い断面に、茶色い汁が染みていく。
ちょっと潤びたオニギリを箸で崩して、汁ごとかき込む。
海苔の風味と、甘い汁に、ワサビが合う。
肉成分を追加したくて、串を取る。
これは、ハチノスかな。
肉を噛み締めながら飯、ちょっとワサビ多め。
ビールを呑み干した。
はふうぅぅぅぅ、っと息をつく。
まだ、串もつまみも、オニギリ茶漬けも残ってる。
顏を上げる、とお姉様が、ニヤニヤしていた。
「瓶ビール、もう一本ください」
さて、どれから食べるのが正解ルートか、攻略法を考えなければ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。
でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。
今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。
なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。
今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。
絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。
それが、いまのレナの“最強スタイル”。
誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。
そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜
音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった!
スキルスキル〜何かな何かな〜
ネットスーパー……?
これチートでしょ!?
当たりだよね!?
なになに……
注文できるのは、食材と調味料だけ?
完成品は?
カップ麺は?
え、私料理できないんだけど。
──詰みじゃん。
と思ったら、追放された料理人に拾われました。
素材しか買えない転移JK
追放された料理人
完成品ゼロ
便利アイテムなし
あるのは、調味料。
焼くだけなのに泣く。
塩で革命。
ソースで敗北。
そしてなぜかペンギンもいる。
今日も異世界で、
調味料無双しちゃいます!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
異世界ショコラティエの甘い革命~チョコレートが存在しない世界でカカオを育ててバレンタインを流行らせます~
黒崎隼人
ファンタジー
【2月14日はバレンタイデー!】
現代日本でパティシエを目指していた記憶を持つ少年ルカは、貧しい農村の三男坊として異世界に転生した。しかし、そこは「チョコレート」が存在しない世界だった!
砂糖はある、ミルクもある。けれど、あの芳醇で甘美な黒い宝石だけがない。
「ないのなら、作るしかない」
ルカは森の奥で嫌われ者の「オニノミ」がカカオの原種であることを見抜き、独自に栽培を開始する。発酵、乾燥、焙煎――前世の知識と魔法を駆使して、ついに完成した「ショコラ」。その味は、粗悪な菓子しか知らなかった異世界の人々に衝撃を与え、やがて頑固な父、商魂たくましい商人、そして厳格な領主や宗教家までも巻き込んでいく。
これは、甘いお菓子で世界を変える、少年のサクセスストーリー。
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる