継母の心得

トール

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第二部 第4章

497.鑑定眼

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クレオ枢機卿からは、ぺーちゃんには特殊な力がある事、そして瞳に魔方陣が浮かぶ事しか聞いていなかったが、ぺーちゃんの力がその瞳にあるのなら、『鑑定眼』というのが一番しっくりくる。それに、以前クレオ枢機卿から聞いた、あの神託……『夜の帳が下りる時、全てを見通す瞳持つ赤子立つ。その者未来を知り、信心なる者を導く』。
その全てを見通す、という一節が、鑑定できるという事なら矛盾はない。

もしかして、今までテオ様を見て気絶していたのは、鑑定していたから?

「おかぁさま、ぺーちゃん、だいじょぶかちら……」
「ふりょ、がぉーちた……ふりょ、めっ」

ノアが心配そうに、フロちゃんは泣きそうな顔でわたくしに言うのだ。

「フロちゃんのがぉーは、ぺーちゃんもとっても楽しんでおりましたわ。ノアも、心配いりませんわよ。ぺーちゃんはきっと、遊び疲れてねんねしてしまいましたのよ。だから大丈夫ですわ」

優しい子供たちを慰め、ムーア医師の到着を待ちながら庭を見る。エリス王女は見当たらなかったので、屋敷内に戻ったのだろう。

『ベル、子供たちを領地に戻した方が安全じゃないかな?』

なーたんが言う事はもっともだが……

「……わたくしもそれは考えましたわ。けれど、ノアが一人でも転移出来るようになったでしょう。そうなると、寂しがって戻って来てしまう可能性がありますのよ」
『ベルも一緒に領地に戻れば大丈夫でしょ?』
「いいえ。イーニアス殿下に会いたいと、もし一人で皇宮に行ってしまったら? その方が危険ですわよ」
『だけど……』

ノアは一度、一人で皇宮に転移しておりますわ。もちろんとても反省していましたし、賢い子ですから、わたくしに心配をかけるような事はしないと思いますけれど……もしもの事がありますもの。それに……

「もしかしたら、どこにいても危険は変わらないのかもしれませんわ」
『変わらないって……、だけどここに───』
「だからこそ、テオ様が駆けつけやすい場所に、纏まっている方が良いのではないかと思いますの」

お父様やオリヴァー、フロちゃんにぺーちゃん、ノアとバラバラになってしまう方が怖い。

『そっか、わかったよ。なら、ボクはフローレンスとドニーズ、それにエンツォとオリヴァーを守るよ!』
『アオも、ノアとベルとペーまもる!!』
『チロモ~。ベルト、ノアト、ペーチャンマモルノ~』

なーたんとアオ、チロの頼もしい言葉に頷く。

アオとチロは見当たらないと思ったら、ノアについて行って、お勉強しておりましたのね。もしかしたら、アオやチロなりに、ノアを守ってくれていたのかしら。

「ではウォルト、参りましょうか」
「はい。奥様」

ムーア医師に診察してもらい、ぺーちゃんの健康が確認できた所で、背筋を伸ばしウォルトを見た。

『チロ、ベルト、イッショナノ~』

肩にとまったチロのマッシュルーム帽子を、人差し指で撫でる。ふわふわで気持ちがいいが、あまり撫ですぎると、チロが嫌がってしまうので、適当な所で手を離す。

「おかぁさま、じょこ、いくの?」
「ノア、おかぁさまはお客様にご挨拶してきますから、フロちゃんと遊んでいてね」
「おきゃくさま……、わたちも、ごあいさちゅ、しゅるのよ」

ノアがそんな事を言い出すものだから、少し焦りましたわ。

「ノアがご挨拶したら、フロちゃんやぺーちゃんもご挨拶しなくてはいけませんわね」
「しょうね!」
「けれど、お客様はお怪我をされていて、たくさんの人に会う事ができませんの」
「!? おけが、だいじょぶ?」

優しいノアは、怪我をしているという所に引っかかってしまったらしく、心配そうに見上げてくるではないか。

さすが天使。人一倍優しいですわ。

「まだ少しいたた、ですのよ。なので、ノアたちのご挨拶は、またの機会にしましょうね」
「はい……」

納得してくれたのか、小さくお返事をしてフロちゃんの所へ行ってしまった。

子供たちを、会わせるわけにはいきませんものね。

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