283 / 369
第二部 第4章
497.鑑定眼
しおりを挟むクレオ枢機卿からは、ぺーちゃんには特殊な力がある事、そして瞳に魔方陣が浮かぶ事しか聞いていなかったが、ぺーちゃんの力がその瞳にあるのなら、『鑑定眼』というのが一番しっくりくる。それに、以前クレオ枢機卿から聞いた、あの神託……『夜の帳が下りる時、全てを見通す瞳持つ赤子立つ。その者未来を知り、信心なる者を導く』。
その全てを見通す、という一節が、鑑定できるという事なら矛盾はない。
もしかして、今までテオ様を見て気絶していたのは、鑑定していたから?
「おかぁさま、ぺーちゃん、だいじょぶかちら……」
「ふりょ、がぉーちた……ふりょ、めっ」
ノアが心配そうに、フロちゃんは泣きそうな顔でわたくしに言うのだ。
「フロちゃんのがぉーは、ぺーちゃんもとっても楽しんでおりましたわ。ノアも、心配いりませんわよ。ぺーちゃんはきっと、遊び疲れてねんねしてしまいましたのよ。だから大丈夫ですわ」
優しい子供たちを慰め、ムーア医師の到着を待ちながら庭を見る。エリス王女は見当たらなかったので、屋敷内に戻ったのだろう。
『ベル、子供たちを領地に戻した方が安全じゃないかな?』
なーたんが言う事はもっともだが……
「……わたくしもそれは考えましたわ。けれど、ノアが一人でも転移出来るようになったでしょう。そうなると、寂しがって戻って来てしまう可能性がありますのよ」
『ベルも一緒に領地に戻れば大丈夫でしょ?』
「いいえ。イーニアス殿下に会いたいと、もし一人で皇宮に行ってしまったら? その方が危険ですわよ」
『だけど……』
ノアは一度、一人で皇宮に転移しておりますわ。もちろんとても反省していましたし、賢い子ですから、わたくしに心配をかけるような事はしないと思いますけれど……もしもの事がありますもの。それに……
「もしかしたら、どこにいても危険は変わらないのかもしれませんわ」
『変わらないって……、だけどここに───』
「だからこそ、テオ様が駆けつけやすい場所に、纏まっている方が良いのではないかと思いますの」
お父様やオリヴァー、フロちゃんにぺーちゃん、ノアとバラバラになってしまう方が怖い。
『そっか、わかったよ。なら、ボクはフローレンスとドニーズ、それにエンツォとオリヴァーを守るよ!』
『アオも、ノアとベルとペーまもる!!』
『チロモ~。ベルト、ノアト、ペーチャンマモルノ~』
なーたんとアオ、チロの頼もしい言葉に頷く。
アオとチロは見当たらないと思ったら、ノアについて行って、お勉強しておりましたのね。もしかしたら、アオやチロなりに、ノアを守ってくれていたのかしら。
「ではウォルト、参りましょうか」
「はい。奥様」
ムーア医師に診察してもらい、ぺーちゃんの健康が確認できた所で、背筋を伸ばしウォルトを見た。
『チロ、ベルト、イッショナノ~』
肩にとまったチロのマッシュルーム帽子を、人差し指で撫でる。ふわふわで気持ちがいいが、あまり撫ですぎると、チロが嫌がってしまうので、適当な所で手を離す。
「おかぁさま、じょこ、いくの?」
「ノア、おかぁさまはお客様にご挨拶してきますから、フロちゃんと遊んでいてね」
「おきゃくさま……、わたちも、ごあいさちゅ、しゅるのよ」
ノアがそんな事を言い出すものだから、少し焦りましたわ。
「ノアがご挨拶したら、フロちゃんやぺーちゃんもご挨拶しなくてはいけませんわね」
「しょうね!」
「けれど、お客様はお怪我をされていて、たくさんの人に会う事ができませんの」
「!? おけが、だいじょぶ?」
優しいノアは、怪我をしているという所に引っかかってしまったらしく、心配そうに見上げてくるではないか。
さすが天使。人一倍優しいですわ。
「まだ少しいたた、ですのよ。なので、ノアたちのご挨拶は、またの機会にしましょうね」
「はい……」
納得してくれたのか、小さくお返事をしてフロちゃんの所へ行ってしまった。
子供たちを、会わせるわけにはいきませんものね。
6,187
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。