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第二部 第5章
555.妖精たちの活躍
しおりを挟む『アオ、そっちちがう。こっちのて、うごかす!』
『アカ、そっちが、ちがう。こっちのて、うごかす!!』
『テディ、なかはいると、うごかす、むずかしい⋯⋯!』
『まえ、ベルおどろかしたとき、おもいだす!!』
何故、ノアの白いテディが動いたのか。真相は、テディの中に妖精が取り憑き、操っていたのだ。
『そとでる、てあし、もったほうが、はやい!』
『ダメ!! そとからさわる、テディきえる!!』
しかもおかしな話だが、外から触ると、妖精が見えない人からは物が消えて見え、取り憑くと、操れるようになる。まるで幽霊のようだと、イザベルがここにいれば言うだろう。
『ルネ、はやく、ごまかす!』
『ロギオンこくおー、こっちくる!!』
アカとアオは、テディを抱き上げているルネに叫ぶが、もちろんルネの耳には全く届いていない。しかし、ルネが一番状況を把握しているのだ。お包みでテディを隠しながら、ロギオン国王を睨みつける。という、イザベルが取りそうな行動を考え、演技をする。もしかしたら、演技ではないのかもしれないが、それは本人にしかわからない。
「⋯⋯未来を予知するとはいえ、所詮は赤子か。まだ使えんな」
ゴソゴソ動く、赤ん坊擬きを見ながら、ロギオン国王は興味を失ったようにエリス王女に視線を移す。
「エリス、赤子を連れて行け。泣き出すと面倒だ」
つまり、イザベルのみこの場に残れ、という事なのだ。
これにはさすがに焦るルネだったが、エリス王女は冷静だった。
「兄上、そろそろ皇帝も、皇后が行方不明だという事に気付く頃です」
話をそらし、皇后の誘拐に触れたのだ。
その途端、ロギオン国王の顔付きが変わる。
「それがどうだというんだ。女一人いなくなった所で、どうにでもなる。グランニッシュ帝国の皇帝はそう考えるだろう。いや、どこの王もそのはずだ。にもかかわらず、何が副帝だ!」
「兄上、一国の妃の行方がわからぬのです。この部屋も調査対象になるやもしれません」
「そのような事はありえん! 私は王だぞ! いくら皇帝であろうと、王の泊まる部屋の調査などはできん!」
外交問題になるから、というのが普通の考えなのだが、ロギオン国王はどうも、自分が一番偉いから、という言葉が語尾に付きそうな言い方で怒りを顕にしている。
「兄上、グランニッシュ帝国はロギオン国とは比べものにならぬほど格上の大国です。たとえ外交問題になろうとも、王妃の行方を探す為ならば、ロギオンを敵に回す事も厭わないでしょう」
「バカな事を! 我が国が、グランニッシュ帝国より格下だと!?」
お前は何を言っている!? と顔を真っ赤にし、怒りに震えるロギオン国王に、ルネは何と愚かな王だろう。とグランニッシュ帝国の皇帝夫妻と比べながら侮蔑の目を向けた。
「とにかく、ディバイン公爵夫人がここにいては、兄上も疑われてしまいます」
兄上の為にも、ディバイン公爵夫人とフェリクス教皇を、シモンズ伯爵のいる場所に移動させた方がいい、とエリス王女は訴えた。
ロギオン国王は自分の為という言葉に弱いのか、渋々了承したが、エリス王女ではなく、監視者ともう一人部下をイザベルたちに付けるよう指示を出す。
どこまでも疑り深い男だった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
イザベル視点
『───テオ、ロギオンこくおーのへや、いま、ごにん、いる!』
『カクニンした!!』
テオ様とお父様について話していたその時、正妖精のなーたんの口から、アカとアオの声が響いた。
「アカ、アオ、間違いないか」
『まちがい、ナイ!』
『てんじょー、かべ、うらまで、タマゴたち、しらべた!!』
テオ様は戸惑う事なく、アカたちと話し出す。
姿が見えないと思ったら、なーたんと同じようにテオ様を手伝っておりましたのね⋯⋯。
『せーあつ、する?』
『せーあつ、しよう!!』
五人なら何とかなると思っているのか、アカとアオが暴走気味に怖い事を口走っている。テオ様が「まだだ」と止めてくれたから良かったものの、妖精たちがおかしな事をすれば、ルネさんやエリス王女を危険に晒してしまうかもしれない。
「とりあえず戻って来い」
『わかったー!』
『すぐ、もどるー!!』
アカとアオが戻ってきてくれるなら、ノアが喜びますわね。
朝、起きたら大喜びしている我が子を想像し、緊張が解れましたのよ。
わたくしは、何が起きているのかもわからないまま、そんな事をのんびり考えていたのだ。
まさか、あんな事が起こるだなんて、想像もしていなかった───
ーーーーーーーーーーーーーーー
いつも【継母の心得】をお読みいただきありがとうございます。
体調不良でご心配をおかけしましたが、何とか回復いたしました。
コメントをくださった皆様、そしていつも楽しんでくださる皆様から元気をいただきまして、本当に感謝しても、したりないほどです!
コメントは、お返事が出来なかった事が申し訳なかったのですが、全て拝見しております。
フロちゃんのピカッも効いたようです!
また更新を再開いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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