継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 公園の完成2 〜 ノア5歳

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秘境駅のような簡単な作りの駅は、上がるのに階段と緩やかなスロープの二つがあり、ベビーカーや車椅子でも押しながら上がれるようになっている。
もちろん新素材で出来た庇もあり、ベンチも等間隔に置いてあるので、座ってレール馬車を待つ事も可能だ。

このベンチに座ると、レールの向こう側が大きな湖になっているので、穏やかな時間が流れる素敵な眺めを楽しめる。

「湖面が輝いてとても綺麗ね……」
「うむ。レーテの美しさには負けるが、綺麗なのだ」
「っもう、変な事言わないでよね!」
「? 本当の事なのだ」

あら、皇后様と皇帝陛下はラブラブだわ。

お二人で仲良くベンチに座った皇后様と皇帝陛下は、太陽の光を反射して輝く湖面を、目を細めて穏やかな表情で見ていた。

この湖、実は整地中に地下水が湧き出て出来た偶然の産物だったりする。しかも相当量湧き出て、貴族街から庶民街にかけての巨大な湖となってしまい、計画も大幅に変更されたものだから大変だった。

けれど地下水だけあり、透明度も高く、本当に美しいのだ。
雨降って地固まるとはこの事だろう。

「アベル、みずうみ、きれいね」
「だぁ~っ」
「リュークもみるのだ。とてもきれいなのだぞ」
「に~、ちえ~?」

子供たちも嬉しそうで良かったわ。

接触事故を避ける為、20分毎にやって来るようになっているレール馬車は、前世よりひと回り大きく筋肉隆々な二頭の馬に引かれ、こちらに向かって来る。

目の前までやって来た馬車の大きさに、皆が驚き目を輝かせた。
見た目は前世の海外で走っているあのカラフルな路面電車に近いかもしれない。

駅が高い位置にあるので、レール馬車にも階段を使う事なく乗れる為、ドレスを着た女性でもエスコートなく楽に乗車出来る。が、どうしても駅と馬車の間に隙間があいてしまうので、馬車の乗車口の床からスロープが伸びるようになっている。残念ながら自動ではないけれど、それを伸ばす事でベビーカーや車椅子、子供も安全に乗り込む事が出来るのだ。

馬車の中にいた乗務員さんがスロープを伸ばし、乗車を促してくれる。
本来はここで料金を支払うが、本日はご招待なのでそれはなしだ。

子供たちは嬉しそうに、ベビーカーを押してレール馬車へと乗り込むと、馬車内の広さに驚いて声を上げた。

「わぁ! アスでんか、ばしゃがひろーい!」
「うむ! とってもひろいのだ!」

広い。と子供たちがはしゃぐにも理由がある。もちろんレール馬車の大きさもあるが、座席が……、

「座る所が、ないのだ!!」

皇帝陛下が驚いてわたくしとテオ様を見た。
わたくしはホホホッ、と笑って説明しようと口を開いたのだが、

「あら……これ、座席一つ一つが折り畳んであるのよ! こうやって座面を下ろして座ると……ほら、座れるわ!!」
「す、すごいのだ!!」

そう、座席は映画館のあの椅子のようにして、ベビーカーは椅子を畳んだ所へ入れられるようにしたのだ。

前世の電車にベビーカースペースがあったけど、あれだとベビーカーを押す人は座れなかったので、こうした作りにしてみたのよね。

「初めは驚いたが、これはスペースも有効的に使えて良い」

テオ様がそう言って頷くので、嬉しくてつい顔が緩んでしまいましたわ。

ちなみに、映画館タイプの椅子は景色が楽しめるよう、窓が正面にくるように設置されており、前方には御者席に向かって座れるような普通タイプの座席が設置されている。

お年寄りの方は、前方の普通タイプの椅子の方が安全に座れるかと思いこうして二通り作ったのだ。

「へんけいばしゃだ!」
「へんけいばしゃよ!」

キャーッとはしゃぐノアと殿下を微笑ましく見ながら席に着くと、レール馬車がゆっくりと出発した。

巨大な湖の周りを一周するように作られたレール馬車には、貴族街側と庶民街側の合わせて八ケ所の駅がある。

今日はその一つ、グランピングゾーンが目的地だ。

「普通の馬車に比べて揺れも少ないし、音も煩くないのね!」
「こんなに大勢乗せて走れる馬車、すごいのだ!」
「すごいなんてもんじゃないわよ! 人や物を一気に大量に運べるようになるのよ! もし、レールが国中に設置出来たら……革命が起こるわ」

皇后様がキラキラした目でわたくしを見たので、それはテオ様に仰ってというように目をそらした。

「ノア、スピードがとてもはやいな!」
「はい! けしきが、ながれていくのよっ」
「ぁ~う」
「まーま」

子供たちの賑やかな声を聞きながら、流れていく風景を楽しんだ後、レール馬車はようやくグランピングゾーンの駅へ到着する。

「これから、確実に帝国は大きな転換期を迎えるわ……」

皇后様がボソッと呟いた言葉は、これからバーベキューだわ! とはしゃぐわたくしの耳には残念ながら届かなかった。


「───ふぉ~!! ドーム型の大きなテントなのだ! 一部が窓のように透明になっていて、外が見えるのだな! うむ、初めて見る形なのだ」
「ちちうえ、あっちになにか、ぶらさがっています!」
「うむ。イーニアス、あれはハンモックと言うのだぞ」
「はんもっく……、ちちうえはものしりですね!」

ハンモックに興味を示したイーニアス殿下に、皇帝陛下がどう使うのか張り切って教えてあげている。

お父さんしてますわね。

「おかあさま、あれはなぁに?」

ノアがバーベキューコンロを指差すので、「あれはね、お肉やお野菜を焼くコンロなのよ」と教えていると、

『ご飯!?』
『ゴハンタベルー!』
『ゴハンノアト、スイーツモー!!』
『ベル、チロモ~』

妖精たちが群がってきた。

チロは分かるけど、あなたちもついてきましたのね……。

「はいはい。分かりましたわ。料理はキャンプの醍醐味ですから、楽しみましょう」

こうして、皇后様はハンモックで昼寝を楽しみ、皇帝陛下はシェフと一緒に料理を、わたくしとテオ様はリューク殿下とアベルと一緒に近くの林を散歩したり、イーニアス殿下とノアは近くに作ったジップラインで遊んだりと、それぞれがリラックスして過したのだ。

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