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第一章 まったり喫茶店
閑話05+夏の番外編
前回の付け足しです!
私がエルフの女王様が書きたかったのと、シュナイダーとミサノを少し書いた方がいいかなと思いまして。
いい男も、油断すればダメな男になるのです。
シュナイダーざまぁはお腹いっぱいって方々が多いかもしれませんので、お口直しに番外編に夏を過ごすローニャちゃん達を更新! もしかしたら、今後取り入れるかもしれないです。ちょっとまだ二章スタートできないほど、夏休みがない日々でバタバタしていますが、息抜きに書き上げました! 夏は大変そうですよね、もふもふさん達は。
たくさんのブックマークと感想と評価をありがとうございます! 一章を書き上げられたのは、励ましのおかげです! 本当にありがとうございます!
まだ感想のお返事を返せていませんが、後々しっかり書きますね。一度、感想の受け付けを止めます。
二章スタートと同時に再開しますので、感想や応援をいただけたら幸いです。
みなさん、お待ちかねの二章は、今月中にはスタート出来るようにしますね!(`^´ゝ
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シュナイダーは、頭を抱えた。
ローニャに誤解をしていたことを、そして過ちを許してもらいたいが、彼女を見付けれらないでいる。
ロナードは頑なに首を横に振って、毎日のように頼み込むシュナイダーを門前払い。
精霊オリフェドートに会いたくとも、許可を得た人間のみが移動魔法で森の中に入れる。シュナイダーは森の外に魔法で移動したあとに入ろうとしたが、ラクレインが風で吹き飛ばして追い払った。一切言葉を交わすことなく、問答無用だった。
王都や学園を駆け回り、ローニャの行方の手掛かりを探したがやはり見付からない。
ローニャの無事をこの目で確認したい気持ちに囃し立てられ、シュナイダーは苦渋の選択をとった。
同じく捜しているであろうエルフ国の王弟殿下に、心当たりを問う。シュナイダーのプライドが躊躇させ続けたが、ローニャを見付けるためにエルフ国に足を運んだ。
女王ルナテオーラがおさめるガラシア王国。豊かな緑と、石の建物が並び、穏やかなハーブの音色が響き渡る美しい国。それを一望できる艶やかな宮殿で、シュナイダーはルナテオーラと会った。
正直にあれ以来ローニャとは会えず、行方を捜していると打ち明けて、王弟殿下オルヴィアスがなんらかの情報を持っているのなら教えていただきたいと跪いて頭を下げて頼んだ。
立派な鹿の角のようなデザインの玉座に腰を下ろして見下ろしているルナテオーラは、少し沈黙した。そして、微笑みを浮かべて言い放つ。
「子どものくっついた離れたの問題を大事にしたくなくって、そちらの国王が詳細を伏せていたのかと思っていましたが……あらあら、甥がこんな最低な男に落ちぶれたなんて他国の王に言えませんわね」
最低な男、を強調した。シュナイダーはギョッとする。
ルナテオーラは、頬杖をつく。
「以前、ローニャ嬢に話したことがありますわ。わたくしは、強く美しい女性として憧れの眼差しを向けられる女王。しかし、この国や城の守りは弟と夫に任せていますわ。男性は強さを示すためにも、愛する女性を守るためにも、守りたがります。信じてその男性の背中を見つめてあげるのも、美しい女性ですわ。しかし、男性には自惚れさせてはいけません。守り抜く強さを与えているのは、紛れもなく女性の方なのだから、と」
ローニャに語ったことをシュナイダーに明かす。シュナイダーに向ける眼差しは、蔑むものだった。
「あなたは自惚れていますわ。ローニャ嬢を愛していたからこそ、素敵な男性だったのです。ローニャ嬢に愛されていたからこそ、素敵な男性だったのです。思い返せば、わかるでしょう? 彼女の支えなくして、今までのあなたがありますか? 彼女への想いなくして、今までのあなたがありますか? あなたは素敵な男性でしたわ。とてもローニャ嬢とお似合いでしたから、弟も想いを打ち明けることもなかったのです」
ルナテオーラの言葉に従い、シュナイダーは思い返す。
ローニャに出会ってから、彼女を守るために励んだことは山程あった。
「ローニャ嬢が、あなたを素敵な男性にしたのですわ」
ローニャの存在そのものが、シュナイダーをいい男にしていた。一途に想う姿勢、守りたい強い気持ち、それだ。
胸の熱さを感じていたシュナイダーは、冷水を被る羽目となる。
「そんなあなたが、婚約直後に他の女性に靡いてしまったなんて、最低ですわね。完全に自惚れていたのでしょう? 気持ち悪いですわね。婚約者がいる男性を欲して惑わせる女性も、最低な女性でしかないですわ。彼女にははっきり言って、微塵も興味ありません」
ルナテオーラは容赦なかった。
「最低な男に成り下がったあなたが、ローニャを見付けたところで許してもらえると思っているなんて、どこまで自惚れれば気がすむのかしら。もう元には戻らないのですわ。一瞬の気の迷いだとしても、他の女性の手を取ったあなたを、今でも待ってくれていると思っているのならば失礼ですわ。ローニャ嬢は、そんな惨めな女性ではありません。ローニャ嬢が再びあなたを愛することはあるわけありません。浮気をする男を許して復縁だなんて、荒唐無稽なお話ですわ」
強い口調でローニャを庇う。
「ローニャ嬢と再会なんて、わたくしはさせたくありません」
悪戯っ子のように明るくにこりと笑った。
シュナイダーはあんぐりと口を開けてしまう。
「そもそも、こちらもローニャ嬢の居場所は掴んでいませんわ。オルヴィアスは、ローニャ嬢と親しくなった思入れのある場所で会えるかもしないと、今もそこで待っているだけのようですわ」
正確な場所を、ルナテオーラは聞いていない。
「! それは確か……蓮の丘だったはずです。妖精ロトの頼みで世話をしている蓮の花の丘で……オルヴィアス殿下と会ったと聞きましたが……」
シュナイダーはローニャから聞いていたが、肝心の正確な場所までは聞いていなかった。妖精ロトの頼みで、ローニャがその場所に足を運ぶことを待っているのだと理解した。
「あの子……どうやら、そこでどうしても想いを打ち明けたいらしいの。思入れのある場所で告白なんて、素敵だと思いません?」
シュナイダーは顔を引きつらせる。
恋敵の告白なんて、聞いていいものではない。
「オルヴィアスは大切な場所を、最低な男に汚されたくないでしょう。教えないですわ。わたくしも口を閉じていなさいと命じます」
シュナイダーの頼みを断る。
「あなたも、心の底からローニャ嬢に悪いと思いのなら、二度と顔を出さないことが彼女への償いになりますわ。それがまともな男性に戻る一歩です」
ルナテオーラは、微笑んで優しく告げた。シュナイダーが最低な男であることは言い続けて、チクチクと突き刺している。
「いえ、ルナテオーラ女王陛下。自分はローニャに直接会って」
「あらまぁ」
めげずに頼み込もうとしたシュナイダーだったが、ルナテオーラは遮った。
「わたくしに食い下がろうなんて、何様のつもりですの?」
うふふ、と冗談めいた言葉を笑って口にする。しかし、目は笑っていない。威圧的な瞳。
シュナイダーは言葉を失う。
「いつまでかかっている!」
その場に、別の男の声が響く。白銀の長髪のエルフ。ザッとローブを靡かせ、苛立ちが露わになった足取りでシュナイダーを横切った。
ルナテオーラの夫、オスティクルス公爵。
シュナイダーは驚愕したまま、その姿を見送る。オルヴィアスと交代でルナテオーラの護衛を務めているオスティクルス公爵とは、面識があったが声を聞いたのはこれが初めてだった。それほど無口な男なのだ。
「急ぎの予定はなかったはずよね、オスティ」
ニコリと微笑んで、ルナテオーラは明るく愛称で応えた。オスティクルスは顔を緩ませることなく、険しい表情のまま手を差し出す。
「このような下劣な者に、時間を無駄にするな。この国の女王だぞ。ーー…身の程知らずめ」
ギロリ、とオスティクルスはシュナイダーを睨み下す。厚意に甘んじて、女王の時間を奪っていることを責めている目だ。
「あら。おバカさんを罵る暇があるのなら、自分に構ってくれと言いたいのですね?」
「……そんなこと、言っていないぞ」
「仕方ありませんね。次の予定まであなたに構ってあげますわ」
「言っていないと、言っているだろう」
ルナテオーラはからかいながら、オスティクルスの腕と絡ませて歩き出した。オスティクルスはそっぽを向きながらも、腕を解くことなくリードをする。
「わたくしも、弟も教えるつもりはありません。お引き取りくださいませ」
最終決定をシュナイダーに告げてから、ルナテオーラは夫とともにその場をあとにした。
追うことも許されないと理解して、シュナイダーは項垂れたが、すぐにエルフの国ガラシアを去った。
ルナテオーラは、オルヴィアスとローニャが上手くいくこと狙っている。オルヴィアスに直接頼んでも、無駄だと思い知った。
学園に寮の部屋に戻るなり、ミサノの声を耳にしたが、シュナイダーは扉を閉める。
「待って! シュナイダー!」
「もう会わないと言っただろ」
扉を叩くミサノに、シュナイダーは言い放った。
ローニャが無実だと知った日に、シュナイダーはミサノに別れを告げた。そして会わないとも言ったのだ。
「何故信じるの、シュナイダー! ローニャが嫉妬して私に嫌がらせをしていたことは、全部私の狂言だというの!?」
「誤解だったんだ! ミサノ、全部誤解だった!」
ミサノは首を激しく振ったが、扉の向こうにいるシュナイダーには見えない。
「俺も君も誤解だけで、ローニャをあんな目に遭わせてしまった! 俺も、君も、悪いんだ。……もう君と会えない。君を責めたくなってしまう。顔を合わせていると傷付けることを言ってしまうかもしれない。頼む、もう……諦めてくれ」
シュナイダーはもう一度、別れを告げる。
ミサノに誤解を植え付けられたのだと、責任転嫁する言葉を浴びせてしまわないためにも、シュナイダーは顔すら合わせないようにした。
「俺は……ローニャを取り戻したいんだ」
ローニャを取り戻すためにも、ミサノと別れた。
「誤解のせいだったのだと、情状酌量してもらう……。どうなるかはわからないが……俺と君の関係は終わりだ。帰ってくれ」
扉を開けることなく告げると、シュナイダーは離れる。
その足音を耳にしたミサノは、扉に凭れて震えた。順調だった関係が、いきなり終わってしまった。原因は、ローニャ。
「……どこまで、私の邪魔をするのよっ……」
ミサノは静かに涙声を震わせた。
◇◆番外編、もふもふと夏◆◇
陽射しの強い夏。ドムスカーザの街は、周囲が荒れ地ばかりのせいか、外にいると気温がとても高いように思えた。ここの街の育ちであるお客さん達は慣れっこのようだったけれども、私は心配をする。
「獣人傭兵団の皆さんは、大丈夫でしょうか……?」
十二時になってお客さんがいなくなったお店で、ぽつりと独り言を漏らす。今日は一段と陽射しが強く感じる。換気のために開いていた窓も閉めることにしよう。暑い空気を外に出して、過ごしやすい室内を保っていたつもりだけれど、そろそろ冷房代わりに魔法で涼しくした方が良さそう。
熱したフライパン状態の荒れ地から戻ってくる獣人傭兵団も、きっとその方がいいはず。彼らが飲み物を持参している様子はないため、水分不足が気になる。冷やした水を用意しておこう。
「……傭兵の制服……真っ黒だものね……」
昨日も漆黒の制服を身につけていた。熱を吸収しやすい黒い上着やズボンで、陽射しを浴び続けていたら火傷するほど熱くなると予想できる。
「シゼさんなんて、真っ黒なライオンさん……!」
黒一色の姿のシゼさんが一番熱を吸収しやすそう。賊に負けることはなくとも、熱中症で倒れてしまうのではないかと、心配が膨らむ一方となった。
そこで、カランッ。来客を報せる鐘が弾んだ。
「いらっしゃいま……せっ!?」
笑顔で出迎えようとしたけれど、いつもと違って白いチータのリュセさんではなく、黒い獅子のシゼさんがドンッと入ってきたものだから驚いてしまう。
予想通り、純黒の獅子の姿は熱を吸収してしまったようで、シゼさんが熱い。思わず離れる。シゼさんは上着もワイシャツも脱いで、上半身裸。黒い毛に覆われても、逞しい筋肉がついているとわかる。それが離れた理由でもあった。
シゼさんは息を荒くして、崩れ落ちるように特等席に腰を落とした。
「お嬢! 水! お嬢、頼む、水!」
純白のチーター姿のリュセさんは、カウンターテーブルを叩いて急かす。こちらも暑さで悶えているみたい。すぐに脱いだ上着を振り回して、シゼさんに風を送る。
「つか、魔法で吹雪でも起こしてくれよ」
舌を垂れ下げながらハァハァしている青い狼のチセさんも、一緒に上着を振ってシゼさんに風を送った。
緑のジャッカルのセナさんは、無言でカウンターテーブルに凭れて飲み物を待つ。こちらも重症。
「構いませんが……あの、いっそのこと、涼しい場所に行きませんか? 涼しい湖で、水浴びもできます。お食事の前に涼みに行きましょう」
人数分の飲み水を手渡す。
すると、チセさんもリュセさんも、上着でバサバサすることを止めた。チセさんは大いに食いついて、青い尻尾をブンブンと振り回す。それで風を起こせそう。
一同の視線は、私からシゼさんに移動をする。決定権を持つのは、シゼさんだ。
「……頼む」
呻くような低い声で、行くことを許可した。
「それでは、今すぐに移動をしますね」
トン、と爪先で床を叩いて魔力を広げる。この場にいる人とともに、湖へ魔法で移動をした。
森に囲まれた広々とした湖。鏡のように空を映し出す湖は、ひんやりとした清らかな空気を生み出す。
架け橋のように、一本の木が突き出ている。そこに私は腰をおろす。
チセさんは迷うことなく、喜んで湖に飛び込んだ。水飛沫が上がって、煌めいた。
シゼさんは湖に飛び込むつもりはないようで、私のそばにゴロンと寝転がる。木陰も手伝って涼しさは十分。シゼさんは鬣を掻き上げながらも、呼吸を整える。大丈夫そうだ。
セナさんは木に凭れて目を閉じる。落ち着いたみたい。
リュセさんは私の隣にいた。しゃがんだリュセさんの長い長い尻尾は、地面を撫でるようにゆらゆらと左右に揺れる。
「リュセさんは、水遊びしないのですか?」
チセさんはバシャバシャと泳いではしゃいでいる。それを一緒に眺めた。
「んー、考え中。オレもシゼも、毛が濡れるのは嫌なんだよねー」
猫さんだからですか。
「じゃあ、こんなのはどうですか?」
私は両手で水を掬い上げる。魔力で包み込めば、ぷるんぷるんと溢れることのない水の球体の出来上がり。それをそっとリュセさんに投げ渡す。
ぷるんぷるんと揺れながら、ふわりとリュセさんの手の中に下りた。まだ形は崩れない。
「なにこれ! なんの魔法?」
「初歩的な魔力の使い方です。ただ魔力で包み込むだけです。シャボン玉のように薄くっても、ちょっとそっとでは割れません」
「へー!」
リュセさんは興味深々。ポンポン、と掌で跳ねさせた。流石にリュセさんの爪を食い込ませれば、割れてしまうと教えておく。
私はまた掬い上げて、同じものをいくつも作る。
リュセさんは首を傾げながら、なにをするのかとじっと待った。
十数個作ったところで、私は掌を合わせる。
「粉雪の魔法を使って……」
冷たい光の粒を周囲に出す魔法。冷たさを帯びた水の玉の出来上がり。
「おお! 冷てぇー」
リュセさんは頬に当てて冷たさを味わった。
セナさんにも冷たい水の玉を投げて渡す。受け取ったセナさんはフニフニと手の中でこねたあと、ペロッと舐めた。
「……食べ物ではないですよ? セナさん」
大丈夫かしら、もしかして重症なのかもしれない。
「君の魔力なら……甘いと思って。ゼリーみたいだし」
「魔力に味はありませんよ。食べても問題はありませんけれど」
甘党なセナさんらしい疑問だった。セナさんは、水の玉を頭に乗せて冷やす。
笑ってしまうので、口元を押さえる。それから、そばに寝転がっているシゼさんに差し出そうとした。
「まー確かに、お嬢って、どこもかしこも甘そーだもんなー」
リュセさんの声が耳元に聞こえる。見れば、リュセさんが身を乗り出して急接近していた。
けれども、瞬時に消えてしまう。
バッシャンと水飛沫が上がった。
湖に落ちてしまったみたい。いえ、落とされたみたいだ。
「ふざけんなよお前ら! オレ一人だけ泳いでバカみてーじゃねーか!」
「ぶは! バカなんだろーが! ふざけんなよチセ!!」
チセさんがリュセさんを引きずり落とした。濡れたくなかったリュセさんは水面を殴ってチセさんに水をかける。
「あーもう! お嬢ー、手ぇ貸してー」
それ以上チセさんと水遊びしたくないみたいで、リュセさんは私に手を伸ばす。引き上げる手伝いをしようとは思ったけれども、水の中のチーターさんがやけに早く笑みを取り戻したと気付いてやめる。
あ、これ、私も落とされるパターンですね。
私は少し下がって、リュセさんの手から逃れる。
「ちょ、お嬢! クソ!」
やっぱり目論んでいたらしく、リュセさんは悔しそうだ。するとチセさんまでなにやら企んだ笑みを浮かべたから、私は慌てて止める。
「水を飛ばしたら、シゼさんにかかりますよ」
「……」
「……」
すぐ隣にシゼさんが横になっている。私も濡らそうとすれば、シゼさんが巻き添えになって怒られてしまう。
チセさんもリュセさんも、大人しく引き下がってくれた。私を落とすことは諦めて、泳ぎの競争を始めたので見送る。
シゼさんに目を戻して、冷たい水の玉を額に乗せた。目を閉じていたけれど、起きていたようで手を掴まれる。大きな黒い手。熱い。もう少し冷やすべきみたい。
シゼさんはなにも言うことなく、私の手を握ったまま寝返りを打つ。だらんとした姿勢からして、相当心地いいみたい。ここまで気が緩んだ様子のシゼさんを見るのは初めて。
「今日のデザートは、よく冷やしたチョコケーキにしましょうか?」
微笑んで問うと、シゼさんは軽く頷いた。このままでいたいようだから、首にも水の玉を置いて冷やしてあげる。
大きくて真っ黒な獅子さんが、私の隣でお昼寝。緑のジャッカルさんは木に凭れてうたた寝。白いチーターさんと青い狼さんは水遊び。日差しは燦々として熱くとも、ひんやりと涼しい場所。
いい夏だ、と水色の空を映し出す湖を眺めた。
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20160905
私がエルフの女王様が書きたかったのと、シュナイダーとミサノを少し書いた方がいいかなと思いまして。
いい男も、油断すればダメな男になるのです。
シュナイダーざまぁはお腹いっぱいって方々が多いかもしれませんので、お口直しに番外編に夏を過ごすローニャちゃん達を更新! もしかしたら、今後取り入れるかもしれないです。ちょっとまだ二章スタートできないほど、夏休みがない日々でバタバタしていますが、息抜きに書き上げました! 夏は大変そうですよね、もふもふさん達は。
たくさんのブックマークと感想と評価をありがとうございます! 一章を書き上げられたのは、励ましのおかげです! 本当にありがとうございます!
まだ感想のお返事を返せていませんが、後々しっかり書きますね。一度、感想の受け付けを止めます。
二章スタートと同時に再開しますので、感想や応援をいただけたら幸いです。
みなさん、お待ちかねの二章は、今月中にはスタート出来るようにしますね!(`^´ゝ
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シュナイダーは、頭を抱えた。
ローニャに誤解をしていたことを、そして過ちを許してもらいたいが、彼女を見付けれらないでいる。
ロナードは頑なに首を横に振って、毎日のように頼み込むシュナイダーを門前払い。
精霊オリフェドートに会いたくとも、許可を得た人間のみが移動魔法で森の中に入れる。シュナイダーは森の外に魔法で移動したあとに入ろうとしたが、ラクレインが風で吹き飛ばして追い払った。一切言葉を交わすことなく、問答無用だった。
王都や学園を駆け回り、ローニャの行方の手掛かりを探したがやはり見付からない。
ローニャの無事をこの目で確認したい気持ちに囃し立てられ、シュナイダーは苦渋の選択をとった。
同じく捜しているであろうエルフ国の王弟殿下に、心当たりを問う。シュナイダーのプライドが躊躇させ続けたが、ローニャを見付けるためにエルフ国に足を運んだ。
女王ルナテオーラがおさめるガラシア王国。豊かな緑と、石の建物が並び、穏やかなハーブの音色が響き渡る美しい国。それを一望できる艶やかな宮殿で、シュナイダーはルナテオーラと会った。
正直にあれ以来ローニャとは会えず、行方を捜していると打ち明けて、王弟殿下オルヴィアスがなんらかの情報を持っているのなら教えていただきたいと跪いて頭を下げて頼んだ。
立派な鹿の角のようなデザインの玉座に腰を下ろして見下ろしているルナテオーラは、少し沈黙した。そして、微笑みを浮かべて言い放つ。
「子どものくっついた離れたの問題を大事にしたくなくって、そちらの国王が詳細を伏せていたのかと思っていましたが……あらあら、甥がこんな最低な男に落ちぶれたなんて他国の王に言えませんわね」
最低な男、を強調した。シュナイダーはギョッとする。
ルナテオーラは、頬杖をつく。
「以前、ローニャ嬢に話したことがありますわ。わたくしは、強く美しい女性として憧れの眼差しを向けられる女王。しかし、この国や城の守りは弟と夫に任せていますわ。男性は強さを示すためにも、愛する女性を守るためにも、守りたがります。信じてその男性の背中を見つめてあげるのも、美しい女性ですわ。しかし、男性には自惚れさせてはいけません。守り抜く強さを与えているのは、紛れもなく女性の方なのだから、と」
ローニャに語ったことをシュナイダーに明かす。シュナイダーに向ける眼差しは、蔑むものだった。
「あなたは自惚れていますわ。ローニャ嬢を愛していたからこそ、素敵な男性だったのです。ローニャ嬢に愛されていたからこそ、素敵な男性だったのです。思い返せば、わかるでしょう? 彼女の支えなくして、今までのあなたがありますか? 彼女への想いなくして、今までのあなたがありますか? あなたは素敵な男性でしたわ。とてもローニャ嬢とお似合いでしたから、弟も想いを打ち明けることもなかったのです」
ルナテオーラの言葉に従い、シュナイダーは思い返す。
ローニャに出会ってから、彼女を守るために励んだことは山程あった。
「ローニャ嬢が、あなたを素敵な男性にしたのですわ」
ローニャの存在そのものが、シュナイダーをいい男にしていた。一途に想う姿勢、守りたい強い気持ち、それだ。
胸の熱さを感じていたシュナイダーは、冷水を被る羽目となる。
「そんなあなたが、婚約直後に他の女性に靡いてしまったなんて、最低ですわね。完全に自惚れていたのでしょう? 気持ち悪いですわね。婚約者がいる男性を欲して惑わせる女性も、最低な女性でしかないですわ。彼女にははっきり言って、微塵も興味ありません」
ルナテオーラは容赦なかった。
「最低な男に成り下がったあなたが、ローニャを見付けたところで許してもらえると思っているなんて、どこまで自惚れれば気がすむのかしら。もう元には戻らないのですわ。一瞬の気の迷いだとしても、他の女性の手を取ったあなたを、今でも待ってくれていると思っているのならば失礼ですわ。ローニャ嬢は、そんな惨めな女性ではありません。ローニャ嬢が再びあなたを愛することはあるわけありません。浮気をする男を許して復縁だなんて、荒唐無稽なお話ですわ」
強い口調でローニャを庇う。
「ローニャ嬢と再会なんて、わたくしはさせたくありません」
悪戯っ子のように明るくにこりと笑った。
シュナイダーはあんぐりと口を開けてしまう。
「そもそも、こちらもローニャ嬢の居場所は掴んでいませんわ。オルヴィアスは、ローニャ嬢と親しくなった思入れのある場所で会えるかもしないと、今もそこで待っているだけのようですわ」
正確な場所を、ルナテオーラは聞いていない。
「! それは確か……蓮の丘だったはずです。妖精ロトの頼みで世話をしている蓮の花の丘で……オルヴィアス殿下と会ったと聞きましたが……」
シュナイダーはローニャから聞いていたが、肝心の正確な場所までは聞いていなかった。妖精ロトの頼みで、ローニャがその場所に足を運ぶことを待っているのだと理解した。
「あの子……どうやら、そこでどうしても想いを打ち明けたいらしいの。思入れのある場所で告白なんて、素敵だと思いません?」
シュナイダーは顔を引きつらせる。
恋敵の告白なんて、聞いていいものではない。
「オルヴィアスは大切な場所を、最低な男に汚されたくないでしょう。教えないですわ。わたくしも口を閉じていなさいと命じます」
シュナイダーの頼みを断る。
「あなたも、心の底からローニャ嬢に悪いと思いのなら、二度と顔を出さないことが彼女への償いになりますわ。それがまともな男性に戻る一歩です」
ルナテオーラは、微笑んで優しく告げた。シュナイダーが最低な男であることは言い続けて、チクチクと突き刺している。
「いえ、ルナテオーラ女王陛下。自分はローニャに直接会って」
「あらまぁ」
めげずに頼み込もうとしたシュナイダーだったが、ルナテオーラは遮った。
「わたくしに食い下がろうなんて、何様のつもりですの?」
うふふ、と冗談めいた言葉を笑って口にする。しかし、目は笑っていない。威圧的な瞳。
シュナイダーは言葉を失う。
「いつまでかかっている!」
その場に、別の男の声が響く。白銀の長髪のエルフ。ザッとローブを靡かせ、苛立ちが露わになった足取りでシュナイダーを横切った。
ルナテオーラの夫、オスティクルス公爵。
シュナイダーは驚愕したまま、その姿を見送る。オルヴィアスと交代でルナテオーラの護衛を務めているオスティクルス公爵とは、面識があったが声を聞いたのはこれが初めてだった。それほど無口な男なのだ。
「急ぎの予定はなかったはずよね、オスティ」
ニコリと微笑んで、ルナテオーラは明るく愛称で応えた。オスティクルスは顔を緩ませることなく、険しい表情のまま手を差し出す。
「このような下劣な者に、時間を無駄にするな。この国の女王だぞ。ーー…身の程知らずめ」
ギロリ、とオスティクルスはシュナイダーを睨み下す。厚意に甘んじて、女王の時間を奪っていることを責めている目だ。
「あら。おバカさんを罵る暇があるのなら、自分に構ってくれと言いたいのですね?」
「……そんなこと、言っていないぞ」
「仕方ありませんね。次の予定まであなたに構ってあげますわ」
「言っていないと、言っているだろう」
ルナテオーラはからかいながら、オスティクルスの腕と絡ませて歩き出した。オスティクルスはそっぽを向きながらも、腕を解くことなくリードをする。
「わたくしも、弟も教えるつもりはありません。お引き取りくださいませ」
最終決定をシュナイダーに告げてから、ルナテオーラは夫とともにその場をあとにした。
追うことも許されないと理解して、シュナイダーは項垂れたが、すぐにエルフの国ガラシアを去った。
ルナテオーラは、オルヴィアスとローニャが上手くいくこと狙っている。オルヴィアスに直接頼んでも、無駄だと思い知った。
学園に寮の部屋に戻るなり、ミサノの声を耳にしたが、シュナイダーは扉を閉める。
「待って! シュナイダー!」
「もう会わないと言っただろ」
扉を叩くミサノに、シュナイダーは言い放った。
ローニャが無実だと知った日に、シュナイダーはミサノに別れを告げた。そして会わないとも言ったのだ。
「何故信じるの、シュナイダー! ローニャが嫉妬して私に嫌がらせをしていたことは、全部私の狂言だというの!?」
「誤解だったんだ! ミサノ、全部誤解だった!」
ミサノは首を激しく振ったが、扉の向こうにいるシュナイダーには見えない。
「俺も君も誤解だけで、ローニャをあんな目に遭わせてしまった! 俺も、君も、悪いんだ。……もう君と会えない。君を責めたくなってしまう。顔を合わせていると傷付けることを言ってしまうかもしれない。頼む、もう……諦めてくれ」
シュナイダーはもう一度、別れを告げる。
ミサノに誤解を植え付けられたのだと、責任転嫁する言葉を浴びせてしまわないためにも、シュナイダーは顔すら合わせないようにした。
「俺は……ローニャを取り戻したいんだ」
ローニャを取り戻すためにも、ミサノと別れた。
「誤解のせいだったのだと、情状酌量してもらう……。どうなるかはわからないが……俺と君の関係は終わりだ。帰ってくれ」
扉を開けることなく告げると、シュナイダーは離れる。
その足音を耳にしたミサノは、扉に凭れて震えた。順調だった関係が、いきなり終わってしまった。原因は、ローニャ。
「……どこまで、私の邪魔をするのよっ……」
ミサノは静かに涙声を震わせた。
◇◆番外編、もふもふと夏◆◇
陽射しの強い夏。ドムスカーザの街は、周囲が荒れ地ばかりのせいか、外にいると気温がとても高いように思えた。ここの街の育ちであるお客さん達は慣れっこのようだったけれども、私は心配をする。
「獣人傭兵団の皆さんは、大丈夫でしょうか……?」
十二時になってお客さんがいなくなったお店で、ぽつりと独り言を漏らす。今日は一段と陽射しが強く感じる。換気のために開いていた窓も閉めることにしよう。暑い空気を外に出して、過ごしやすい室内を保っていたつもりだけれど、そろそろ冷房代わりに魔法で涼しくした方が良さそう。
熱したフライパン状態の荒れ地から戻ってくる獣人傭兵団も、きっとその方がいいはず。彼らが飲み物を持参している様子はないため、水分不足が気になる。冷やした水を用意しておこう。
「……傭兵の制服……真っ黒だものね……」
昨日も漆黒の制服を身につけていた。熱を吸収しやすい黒い上着やズボンで、陽射しを浴び続けていたら火傷するほど熱くなると予想できる。
「シゼさんなんて、真っ黒なライオンさん……!」
黒一色の姿のシゼさんが一番熱を吸収しやすそう。賊に負けることはなくとも、熱中症で倒れてしまうのではないかと、心配が膨らむ一方となった。
そこで、カランッ。来客を報せる鐘が弾んだ。
「いらっしゃいま……せっ!?」
笑顔で出迎えようとしたけれど、いつもと違って白いチータのリュセさんではなく、黒い獅子のシゼさんがドンッと入ってきたものだから驚いてしまう。
予想通り、純黒の獅子の姿は熱を吸収してしまったようで、シゼさんが熱い。思わず離れる。シゼさんは上着もワイシャツも脱いで、上半身裸。黒い毛に覆われても、逞しい筋肉がついているとわかる。それが離れた理由でもあった。
シゼさんは息を荒くして、崩れ落ちるように特等席に腰を落とした。
「お嬢! 水! お嬢、頼む、水!」
純白のチーター姿のリュセさんは、カウンターテーブルを叩いて急かす。こちらも暑さで悶えているみたい。すぐに脱いだ上着を振り回して、シゼさんに風を送る。
「つか、魔法で吹雪でも起こしてくれよ」
舌を垂れ下げながらハァハァしている青い狼のチセさんも、一緒に上着を振ってシゼさんに風を送った。
緑のジャッカルのセナさんは、無言でカウンターテーブルに凭れて飲み物を待つ。こちらも重症。
「構いませんが……あの、いっそのこと、涼しい場所に行きませんか? 涼しい湖で、水浴びもできます。お食事の前に涼みに行きましょう」
人数分の飲み水を手渡す。
すると、チセさんもリュセさんも、上着でバサバサすることを止めた。チセさんは大いに食いついて、青い尻尾をブンブンと振り回す。それで風を起こせそう。
一同の視線は、私からシゼさんに移動をする。決定権を持つのは、シゼさんだ。
「……頼む」
呻くような低い声で、行くことを許可した。
「それでは、今すぐに移動をしますね」
トン、と爪先で床を叩いて魔力を広げる。この場にいる人とともに、湖へ魔法で移動をした。
森に囲まれた広々とした湖。鏡のように空を映し出す湖は、ひんやりとした清らかな空気を生み出す。
架け橋のように、一本の木が突き出ている。そこに私は腰をおろす。
チセさんは迷うことなく、喜んで湖に飛び込んだ。水飛沫が上がって、煌めいた。
シゼさんは湖に飛び込むつもりはないようで、私のそばにゴロンと寝転がる。木陰も手伝って涼しさは十分。シゼさんは鬣を掻き上げながらも、呼吸を整える。大丈夫そうだ。
セナさんは木に凭れて目を閉じる。落ち着いたみたい。
リュセさんは私の隣にいた。しゃがんだリュセさんの長い長い尻尾は、地面を撫でるようにゆらゆらと左右に揺れる。
「リュセさんは、水遊びしないのですか?」
チセさんはバシャバシャと泳いではしゃいでいる。それを一緒に眺めた。
「んー、考え中。オレもシゼも、毛が濡れるのは嫌なんだよねー」
猫さんだからですか。
「じゃあ、こんなのはどうですか?」
私は両手で水を掬い上げる。魔力で包み込めば、ぷるんぷるんと溢れることのない水の球体の出来上がり。それをそっとリュセさんに投げ渡す。
ぷるんぷるんと揺れながら、ふわりとリュセさんの手の中に下りた。まだ形は崩れない。
「なにこれ! なんの魔法?」
「初歩的な魔力の使い方です。ただ魔力で包み込むだけです。シャボン玉のように薄くっても、ちょっとそっとでは割れません」
「へー!」
リュセさんは興味深々。ポンポン、と掌で跳ねさせた。流石にリュセさんの爪を食い込ませれば、割れてしまうと教えておく。
私はまた掬い上げて、同じものをいくつも作る。
リュセさんは首を傾げながら、なにをするのかとじっと待った。
十数個作ったところで、私は掌を合わせる。
「粉雪の魔法を使って……」
冷たい光の粒を周囲に出す魔法。冷たさを帯びた水の玉の出来上がり。
「おお! 冷てぇー」
リュセさんは頬に当てて冷たさを味わった。
セナさんにも冷たい水の玉を投げて渡す。受け取ったセナさんはフニフニと手の中でこねたあと、ペロッと舐めた。
「……食べ物ではないですよ? セナさん」
大丈夫かしら、もしかして重症なのかもしれない。
「君の魔力なら……甘いと思って。ゼリーみたいだし」
「魔力に味はありませんよ。食べても問題はありませんけれど」
甘党なセナさんらしい疑問だった。セナさんは、水の玉を頭に乗せて冷やす。
笑ってしまうので、口元を押さえる。それから、そばに寝転がっているシゼさんに差し出そうとした。
「まー確かに、お嬢って、どこもかしこも甘そーだもんなー」
リュセさんの声が耳元に聞こえる。見れば、リュセさんが身を乗り出して急接近していた。
けれども、瞬時に消えてしまう。
バッシャンと水飛沫が上がった。
湖に落ちてしまったみたい。いえ、落とされたみたいだ。
「ふざけんなよお前ら! オレ一人だけ泳いでバカみてーじゃねーか!」
「ぶは! バカなんだろーが! ふざけんなよチセ!!」
チセさんがリュセさんを引きずり落とした。濡れたくなかったリュセさんは水面を殴ってチセさんに水をかける。
「あーもう! お嬢ー、手ぇ貸してー」
それ以上チセさんと水遊びしたくないみたいで、リュセさんは私に手を伸ばす。引き上げる手伝いをしようとは思ったけれども、水の中のチーターさんがやけに早く笑みを取り戻したと気付いてやめる。
あ、これ、私も落とされるパターンですね。
私は少し下がって、リュセさんの手から逃れる。
「ちょ、お嬢! クソ!」
やっぱり目論んでいたらしく、リュセさんは悔しそうだ。するとチセさんまでなにやら企んだ笑みを浮かべたから、私は慌てて止める。
「水を飛ばしたら、シゼさんにかかりますよ」
「……」
「……」
すぐ隣にシゼさんが横になっている。私も濡らそうとすれば、シゼさんが巻き添えになって怒られてしまう。
チセさんもリュセさんも、大人しく引き下がってくれた。私を落とすことは諦めて、泳ぎの競争を始めたので見送る。
シゼさんに目を戻して、冷たい水の玉を額に乗せた。目を閉じていたけれど、起きていたようで手を掴まれる。大きな黒い手。熱い。もう少し冷やすべきみたい。
シゼさんはなにも言うことなく、私の手を握ったまま寝返りを打つ。だらんとした姿勢からして、相当心地いいみたい。ここまで気が緩んだ様子のシゼさんを見るのは初めて。
「今日のデザートは、よく冷やしたチョコケーキにしましょうか?」
微笑んで問うと、シゼさんは軽く頷いた。このままでいたいようだから、首にも水の玉を置いて冷やしてあげる。
大きくて真っ黒な獅子さんが、私の隣でお昼寝。緑のジャッカルさんは木に凭れてうたた寝。白いチーターさんと青い狼さんは水遊び。日差しは燦々として熱くとも、ひんやりと涼しい場所。
いい夏だ、と水色の空を映し出す湖を眺めた。
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20160905
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