101 / 132
女神聖教にて
「ぐうぅぅ~~~……ッっっ!!」
エレナは、右腕を失った。
全て計画通りだった。『水の宝玉』を手に入れ、世界中にS級危険組織が手を組んだと見せつけた。エルクを殺せれば最高だったが、やはりエレナとリリィではできなかった。
撤退し、エルクの弱点を持ちかえれば終わり。作戦は完璧……だった。
だが、最後の最後。エルクの銃によってエレナの右腕が吹き飛ばされた。
転移したのは三人。エレナ、リリィ、アザゼルだ。
転移した場所は、女神聖教の本部。地下転移場。
エレナは右腕を押さえ、蹲ってしまった。
「あらら、大丈夫ですか? あー、医療スキル持ってる子、呼んできますね」
アザゼルは心配する風でもなく、水の宝玉を見つめたまま適当に言う。
そのままスタスタ行ってしまった。リリィは、心配そうにエレナを見る。
「腕、取れちゃった……」
「やられたわね……最後の最後、油断したわ」
二の腕がねじ切られた。
問題なのは、怪我をしたのがエレナということ。
「ぐっ……参ったわね。自分で自分の怪我は治せない、それが私のチートスキルの弱点……」
すると、暴王の医療系スキルを持つ人間が何人かやってきた。
全員、優秀なのは間違いない。だが、腕を生やすレベルの能力者はいない。
ピアソラにスキルを与えられ、レベルを上げられた者もいるが……それでも、腕を生やすほどのスキルは誰も持っていない。
エレナは、治療を受けながら呟いた。
「エルクくん……この借り、必ず返すから」
エレナは、歯をギギギと食いしばった。
◇◇◇◇◇
女神聖教、地下最深部。
ここに、アザゼルとピアソラはいた。
アザゼルは、手に持った『水の宝玉』をピアソラに渡す。それをピアソラは、地下の四方に設置されている台座の一つに納めた。
台座に乗せると、水の宝玉は青く輝きだす。
「一個目、設置完了……ふふっ」
「理想世界の第一歩、だね」
「うん。ありがとね、アザゼル。大変だったでしょ?」
「まぁね。雑魚構成員をほとんど失ったし、最後の最後、エレナが腕をやられちゃったよ」
「うで?」
「うん。エルクくんに吹っ飛ばされた。今、治療してる」
「そっかー……腕を生やすほどのスキルは作れないなぁ。ま、死んでるワケじゃないからいいや」
ピアソラは、それだけで興味を失った。
そして、台座に納められた『水の宝玉』を見てニコニコする。
「あと三つ……」
「で、次はどこの狙う? 間違いなく、残りを保管してる国は厳戒態勢だよ?」
「三か所同時は無理かなぁ。残った構成員にも仕事あるし、うちの神官クラスじゃないと宝玉の奪取は無理かも」
「だよねぇ。ボク、ヒナギク、バロッコはそこそこ強いけど、残りは全員ダメだね。たぶん、数で押し切られる」
「うん。基本的に、アザゼルたちはうちの神官をサポしてもらうね。あと、次に狙う場所は決まってる。戦わせろ戦わせろってしつこいんだよねぇ」
「……誰?」
ピアソラは、肩をすくめて言った。
「タケルだよ。というわけで、次の目的地はヤマト国にある『火の宝玉』だね。ふふっ、タケル……久しぶりの帰省で興奮しなきゃいいけど」
ヤマト国。
遥か東にある島国。そこにある『火の宝玉』を狙う。
すると、ラピュセルが入ってきた。
「おお……!! これが水の宝玉……素晴らしい!!」
「あ、ラピュセル。ふふ、綺麗だよねぇ」
「ええ、ええ……素晴らしいです」
ラピュセルは、うっとりしながら水の宝玉を眺めている。
そして、思い出したように言った。
「ああ、先ほど入った情報ですが───……ふふ、敵ながら褒めるしかありませんね」
「ん? なになに?」
「四つのS級危険組織連合軍、名称を『女神を崇めし者たち』とするそうです。なかなかセンスのある組織名です」
「ん、いいね! じゃあ今日から、この組織を『女神を崇めし者たち』にしよう!」
「ええ。では、ピピーナ様に祈りましょうか」
ラピュセルとピピーナは、水の宝玉に向かって祈り始めた。
「…………じゃ、ボクは休もうかな」
アザゼルは、大きな欠伸をして部屋を出ていった。
◇◇◇◇◇
「来たか」
タケルは、右手に持ったダイスを握り潰した。
「あ、何してるんだよ!! ダイス、それしかないんだぞ!!」
ロロファルドが抗議する。
二人は、ダイスゲームで盛り上がっていた。
タケルの部下が、タケルに指令を持ってきた。それを聞いたタケルが歓喜し、ダイスを握りつぶしたのだ。ロロファルドは、砕けたダイスを手に取りいう。
「で、何?」
「次は、オレの番だ……クククッ、エルクめ、見てろ」
「……どこ行くの?」
「ヤマト国だ。そこにある火の宝玉を手に入れる」
「ふーん。あのさ、ヤマト国にエルクくん来るの?」
「…………あ」
タケルは、たった今思い出したような顔で停止した。
エレナは、右腕を失った。
全て計画通りだった。『水の宝玉』を手に入れ、世界中にS級危険組織が手を組んだと見せつけた。エルクを殺せれば最高だったが、やはりエレナとリリィではできなかった。
撤退し、エルクの弱点を持ちかえれば終わり。作戦は完璧……だった。
だが、最後の最後。エルクの銃によってエレナの右腕が吹き飛ばされた。
転移したのは三人。エレナ、リリィ、アザゼルだ。
転移した場所は、女神聖教の本部。地下転移場。
エレナは右腕を押さえ、蹲ってしまった。
「あらら、大丈夫ですか? あー、医療スキル持ってる子、呼んできますね」
アザゼルは心配する風でもなく、水の宝玉を見つめたまま適当に言う。
そのままスタスタ行ってしまった。リリィは、心配そうにエレナを見る。
「腕、取れちゃった……」
「やられたわね……最後の最後、油断したわ」
二の腕がねじ切られた。
問題なのは、怪我をしたのがエレナということ。
「ぐっ……参ったわね。自分で自分の怪我は治せない、それが私のチートスキルの弱点……」
すると、暴王の医療系スキルを持つ人間が何人かやってきた。
全員、優秀なのは間違いない。だが、腕を生やすレベルの能力者はいない。
ピアソラにスキルを与えられ、レベルを上げられた者もいるが……それでも、腕を生やすほどのスキルは誰も持っていない。
エレナは、治療を受けながら呟いた。
「エルクくん……この借り、必ず返すから」
エレナは、歯をギギギと食いしばった。
◇◇◇◇◇
女神聖教、地下最深部。
ここに、アザゼルとピアソラはいた。
アザゼルは、手に持った『水の宝玉』をピアソラに渡す。それをピアソラは、地下の四方に設置されている台座の一つに納めた。
台座に乗せると、水の宝玉は青く輝きだす。
「一個目、設置完了……ふふっ」
「理想世界の第一歩、だね」
「うん。ありがとね、アザゼル。大変だったでしょ?」
「まぁね。雑魚構成員をほとんど失ったし、最後の最後、エレナが腕をやられちゃったよ」
「うで?」
「うん。エルクくんに吹っ飛ばされた。今、治療してる」
「そっかー……腕を生やすほどのスキルは作れないなぁ。ま、死んでるワケじゃないからいいや」
ピアソラは、それだけで興味を失った。
そして、台座に納められた『水の宝玉』を見てニコニコする。
「あと三つ……」
「で、次はどこの狙う? 間違いなく、残りを保管してる国は厳戒態勢だよ?」
「三か所同時は無理かなぁ。残った構成員にも仕事あるし、うちの神官クラスじゃないと宝玉の奪取は無理かも」
「だよねぇ。ボク、ヒナギク、バロッコはそこそこ強いけど、残りは全員ダメだね。たぶん、数で押し切られる」
「うん。基本的に、アザゼルたちはうちの神官をサポしてもらうね。あと、次に狙う場所は決まってる。戦わせろ戦わせろってしつこいんだよねぇ」
「……誰?」
ピアソラは、肩をすくめて言った。
「タケルだよ。というわけで、次の目的地はヤマト国にある『火の宝玉』だね。ふふっ、タケル……久しぶりの帰省で興奮しなきゃいいけど」
ヤマト国。
遥か東にある島国。そこにある『火の宝玉』を狙う。
すると、ラピュセルが入ってきた。
「おお……!! これが水の宝玉……素晴らしい!!」
「あ、ラピュセル。ふふ、綺麗だよねぇ」
「ええ、ええ……素晴らしいです」
ラピュセルは、うっとりしながら水の宝玉を眺めている。
そして、思い出したように言った。
「ああ、先ほど入った情報ですが───……ふふ、敵ながら褒めるしかありませんね」
「ん? なになに?」
「四つのS級危険組織連合軍、名称を『女神を崇めし者たち』とするそうです。なかなかセンスのある組織名です」
「ん、いいね! じゃあ今日から、この組織を『女神を崇めし者たち』にしよう!」
「ええ。では、ピピーナ様に祈りましょうか」
ラピュセルとピピーナは、水の宝玉に向かって祈り始めた。
「…………じゃ、ボクは休もうかな」
アザゼルは、大きな欠伸をして部屋を出ていった。
◇◇◇◇◇
「来たか」
タケルは、右手に持ったダイスを握り潰した。
「あ、何してるんだよ!! ダイス、それしかないんだぞ!!」
ロロファルドが抗議する。
二人は、ダイスゲームで盛り上がっていた。
タケルの部下が、タケルに指令を持ってきた。それを聞いたタケルが歓喜し、ダイスを握りつぶしたのだ。ロロファルドは、砕けたダイスを手に取りいう。
「で、何?」
「次は、オレの番だ……クククッ、エルクめ、見てろ」
「……どこ行くの?」
「ヤマト国だ。そこにある火の宝玉を手に入れる」
「ふーん。あのさ、ヤマト国にエルクくん来るの?」
「…………あ」
タケルは、たった今思い出したような顔で停止した。
あなたにおすすめの小説
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。