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七聖剣士VS七魔剣士①
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ロイの『聖剣』による援護は、真っすぐ『杭』に向かうエレノアたちにとって、これ以上ないくらい頼もしく感じた。
道中、魔界貴族や魔獣たちに道を阻まれる。
だが、飛んで来る『聖剣』が、様々な能力を付与された状態で飛んで来る。
追尾、爆発、氷漬け、感電、拘束……聖剣を作り出す『嫉妬』の権能。
エレノアは笑った。
「マジで頼もしい……!!」
走ればいい。
真っすぐ、自分の担当する『杭』の元へ。
魔界貴族と魔獣が左右から襲ってくるが、エレノアは見ていなかった。
何故なら、飛んで来る『聖剣』が全て倒してくれるから。
見ているのは『杭』と、戦う兵士、聖剣士たち。
「七聖剣士、頼むぞ!!」
「ここはオレたちが!!」
「任せて!! みんなで世界を守りましょう!!」
エレノアは親指を立て、ニカっと笑う。
赤い髪をなびかせ、修行の成果で得た魔力操作で身体強化し、戦場を一気に駆け抜けた。
そして、見えた。
「あれが、『吸魔の杭』……!!」
見えたのは、巨大な『釘』のような杭。
色は赤く、まるで炎のように輝いていた。
そして、杭の前に立つのは。
「来た、エレノア」
「アンタは、ヴェスタ……」
真紅の長髪、右目に漆黒の眼帯をして、黒装束に身を包んでいる。
そして、手には赤い刀身の剣。
「……エレノア、すごく強くなったね」
「そりゃどうも。アンタより強くなったかもね」
「ふふ、そうだったら楽しいかも」
ヴェスタは剣を、『炎魔剣イフリート』を向ける。
エレノアも、『炎聖剣フェニキア』をヴェスタに向けた。
「わたしを倒せば、この『杭』は止まる。人間を救うことができるよ」
「そうね。じゃあ──遠慮なくブッ潰す!!」
真紅の炎が燃え上がると同時に、ヴェスタから深紅の炎が燃え上がる。
聖なる炎と魔の炎の戦いが始まった。
◇◇◇◇◇◇
「…………」
「ふふ。あなたも如何? 戦いの前にお茶でも」
ユノは、青い杭の前に来た……が、目の前にいるのは、優雅に茶を啜る女。
貴族令嬢という言葉がふさわしい。水色のドレス、水色の髪色、水色の瞳。ティーカップも水色の、まるで水のような少女。
ユノは相手にせず、剣を構える。
「邪魔しないなら、その杭を壊したあとにお茶してあげるけど」
「それは無理なお話ですわね」
今、ユノは気付いた。
少女……アイシクルミューゼことアミュは、氷の椅子にとテーブルに座り、お茶を飲んでいた。
その椅子、テーブルの彫刻は見事だった。アミュの魔力操作により作り出されたことで、その魔力の清廉さがユノにははっきり理解できた。
「…………」
「さて、ティータイムはここまで。自己紹介を」
アミュはスカートをもち上げて一礼。
「私はアイシクルミューゼ。『氷魔剣フェンリル』の七魔剣士……ササライ様の忠実なる部下」
「ユノ。よろしく」
ユノはシンプルに答える。
アミュはクスっと微笑み、氷の台に立てかけていたレイピアを構えた。
「それでは、お相手を」
「うん」
二人の周囲に、冷気が漂い始めた。
◇◇◇◇◇◇
サリオスが向かったのは、黒い杭。
スヴァルトと話した結果、杭の色は属性を表している可能性があるという結論になり、光属性のサリオスは黒い杭を目指すことにしたのだ。
もちろん、仲間内で例外はあったが、その判断に間違いはない。
「──……いらっしゃぁい」
「ッ!!」
杭の前にいたのは……『大鎌』を杭に刺し、その柄に座る女だった。
若い女だった。だが、黒いドレスに異常なまでに長い髪で、顔が全く見えない。
見えるのは口元だけだが、どうしようもなく笑っていた。
「お前が、闇の魔剣士……!!」
「ヴェンデッタ」
「……え?」
「ヴェンデッタって呼んで。サリオスくん」
「お、オレの名前……」
「ククッ……知ってるの。だってきみ、王族だもんね……くくっ、くくく」
不気味だった。
ボソボソと口元だけが動いており、何か喋っているわけではない。
はっきりと声が聞こえるのだが、今はブツブツとしか喋っていない。
「私、あなたを愛してるの」
「……は?」
「ずっとずっと会いたかった。サリオスくん。一目見た時から好きなの!! 愛してるの!! ねえ、こんな杭壊していい!! だから、私を受け入れて!!」
「……」
理解不能だった。
あったこともないのに『好き』と言われ、杭を壊していいとも言った。
というか、壊していいのだろうか。
「こ、壊していい……のか?」
「ええ!! その代わり……私を抱いて。私を、あなたの恋人にして!! 私を、私を……あなたの妻にして!!」
「ひっ」
ズイズイズイ!! と、自分の魔剣から降り、丸腰でサリオスに迫ってきた。
別の意味で、サリオスは恐怖した。
なんだこいつ……異常者だ。と思った。
「な、なんでオレを」
「運命だから」
「えっと」
「一目ぼれしたの……魔界でもずっと一人だった私は。あなたを見て恋をしたの。それ以外はもうどうでもいいの。サリオスくん。私の……サリオスくん」
「…………」
サリオスは、戦えばいいのか受け入れればいいのか、どうすればいいのかわからない。
すると、ヴェンデッタがぴたりと止まる。
「ねえサリオスくん……今、好きな人、いる?」
「え」
「いる?」
「あ、いや」
「いるんだ」
「…………好きというか、憧れというか」
「駄目。私以外を好きになっちゃダメ。ダメ、ダメ……ふふふ、忘れさせてあげる。お仕置きしてあげる、私だけを愛して!! 愛してよぉぉぉぉぉ!!」
杭に刺さっていた『闇魔剣ア・バオア・クー』が抜け、クルクル回転してヴェンデッタの手に収まった。
いきなりブチ切れたヴェンデッタ。もうサリオスには理解できなかった。
「愛ィィィィィィ!!」
「も、もう……混乱しそうだ」
頬をヒクつかせながら、サリオスの戦いが始まるのだった。
道中、魔界貴族や魔獣たちに道を阻まれる。
だが、飛んで来る『聖剣』が、様々な能力を付与された状態で飛んで来る。
追尾、爆発、氷漬け、感電、拘束……聖剣を作り出す『嫉妬』の権能。
エレノアは笑った。
「マジで頼もしい……!!」
走ればいい。
真っすぐ、自分の担当する『杭』の元へ。
魔界貴族と魔獣が左右から襲ってくるが、エレノアは見ていなかった。
何故なら、飛んで来る『聖剣』が全て倒してくれるから。
見ているのは『杭』と、戦う兵士、聖剣士たち。
「七聖剣士、頼むぞ!!」
「ここはオレたちが!!」
「任せて!! みんなで世界を守りましょう!!」
エレノアは親指を立て、ニカっと笑う。
赤い髪をなびかせ、修行の成果で得た魔力操作で身体強化し、戦場を一気に駆け抜けた。
そして、見えた。
「あれが、『吸魔の杭』……!!」
見えたのは、巨大な『釘』のような杭。
色は赤く、まるで炎のように輝いていた。
そして、杭の前に立つのは。
「来た、エレノア」
「アンタは、ヴェスタ……」
真紅の長髪、右目に漆黒の眼帯をして、黒装束に身を包んでいる。
そして、手には赤い刀身の剣。
「……エレノア、すごく強くなったね」
「そりゃどうも。アンタより強くなったかもね」
「ふふ、そうだったら楽しいかも」
ヴェスタは剣を、『炎魔剣イフリート』を向ける。
エレノアも、『炎聖剣フェニキア』をヴェスタに向けた。
「わたしを倒せば、この『杭』は止まる。人間を救うことができるよ」
「そうね。じゃあ──遠慮なくブッ潰す!!」
真紅の炎が燃え上がると同時に、ヴェスタから深紅の炎が燃え上がる。
聖なる炎と魔の炎の戦いが始まった。
◇◇◇◇◇◇
「…………」
「ふふ。あなたも如何? 戦いの前にお茶でも」
ユノは、青い杭の前に来た……が、目の前にいるのは、優雅に茶を啜る女。
貴族令嬢という言葉がふさわしい。水色のドレス、水色の髪色、水色の瞳。ティーカップも水色の、まるで水のような少女。
ユノは相手にせず、剣を構える。
「邪魔しないなら、その杭を壊したあとにお茶してあげるけど」
「それは無理なお話ですわね」
今、ユノは気付いた。
少女……アイシクルミューゼことアミュは、氷の椅子にとテーブルに座り、お茶を飲んでいた。
その椅子、テーブルの彫刻は見事だった。アミュの魔力操作により作り出されたことで、その魔力の清廉さがユノにははっきり理解できた。
「…………」
「さて、ティータイムはここまで。自己紹介を」
アミュはスカートをもち上げて一礼。
「私はアイシクルミューゼ。『氷魔剣フェンリル』の七魔剣士……ササライ様の忠実なる部下」
「ユノ。よろしく」
ユノはシンプルに答える。
アミュはクスっと微笑み、氷の台に立てかけていたレイピアを構えた。
「それでは、お相手を」
「うん」
二人の周囲に、冷気が漂い始めた。
◇◇◇◇◇◇
サリオスが向かったのは、黒い杭。
スヴァルトと話した結果、杭の色は属性を表している可能性があるという結論になり、光属性のサリオスは黒い杭を目指すことにしたのだ。
もちろん、仲間内で例外はあったが、その判断に間違いはない。
「──……いらっしゃぁい」
「ッ!!」
杭の前にいたのは……『大鎌』を杭に刺し、その柄に座る女だった。
若い女だった。だが、黒いドレスに異常なまでに長い髪で、顔が全く見えない。
見えるのは口元だけだが、どうしようもなく笑っていた。
「お前が、闇の魔剣士……!!」
「ヴェンデッタ」
「……え?」
「ヴェンデッタって呼んで。サリオスくん」
「お、オレの名前……」
「ククッ……知ってるの。だってきみ、王族だもんね……くくっ、くくく」
不気味だった。
ボソボソと口元だけが動いており、何か喋っているわけではない。
はっきりと声が聞こえるのだが、今はブツブツとしか喋っていない。
「私、あなたを愛してるの」
「……は?」
「ずっとずっと会いたかった。サリオスくん。一目見た時から好きなの!! 愛してるの!! ねえ、こんな杭壊していい!! だから、私を受け入れて!!」
「……」
理解不能だった。
あったこともないのに『好き』と言われ、杭を壊していいとも言った。
というか、壊していいのだろうか。
「こ、壊していい……のか?」
「ええ!! その代わり……私を抱いて。私を、あなたの恋人にして!! 私を、私を……あなたの妻にして!!」
「ひっ」
ズイズイズイ!! と、自分の魔剣から降り、丸腰でサリオスに迫ってきた。
別の意味で、サリオスは恐怖した。
なんだこいつ……異常者だ。と思った。
「な、なんでオレを」
「運命だから」
「えっと」
「一目ぼれしたの……魔界でもずっと一人だった私は。あなたを見て恋をしたの。それ以外はもうどうでもいいの。サリオスくん。私の……サリオスくん」
「…………」
サリオスは、戦えばいいのか受け入れればいいのか、どうすればいいのかわからない。
すると、ヴェンデッタがぴたりと止まる。
「ねえサリオスくん……今、好きな人、いる?」
「え」
「いる?」
「あ、いや」
「いるんだ」
「…………好きというか、憧れというか」
「駄目。私以外を好きになっちゃダメ。ダメ、ダメ……ふふふ、忘れさせてあげる。お仕置きしてあげる、私だけを愛して!! 愛してよぉぉぉぉぉ!!」
杭に刺さっていた『闇魔剣ア・バオア・クー』が抜け、クルクル回転してヴェンデッタの手に収まった。
いきなりブチ切れたヴェンデッタ。もうサリオスには理解できなかった。
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