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第七章
戦い、終わって
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龍人変身を解除した俺は、その場に倒れてしまった。
「…………ぅ」
もう、声も出せないほど疲弊している。
闘気も出ない。首から下が異様に冷たい……まるで、別人の身体みたいだ。
すると、誰かがこちらへ来た。
「リュウキ!! アンタ、もう……とんでもないわね!!」
「…………ぉ、ぅ」
「おいリュウキ、見ろよ!! めっちゃ更地だぜ!? すっげぇ!!」
「…………」
「りゅ、リュウキくん!! 怪我を治すから。体力も少しは回復すると思う」
「…………ん」
「すごいです。本当に……リュウキくん、あなたは、本当に」
「…………」
レイ、レノ、サリオ、アピアだ。
そして、レイたちを押しのけ、アキューレが俺の身体を起こす。
「リュウキ、ありがと……ん」
「…………ん」
「「はぁぁ!?」」
「うお、すっげ」
「みみ、見ちゃダメだよレノ!!」
アキューレが俺の唇に口づけし、レイとアピアが叫んだ気がした。
「あああ、アキューレ!! アンタ、何してんのよ!!」
「感謝の気持ち」
「そそ、そういうのはダメです!!」
「もうしちゃった」
「「うぅぅ……っ!!」」
「リュウキ、身体起こせる?」
「…………な、んと、か」
サリオの魔法で、少しだけ体力が戻った。
身体を起こし、呼吸を整えていると……リンドブルムが、二つの生首を持って来た。
「リュウキ、お疲れ様……これ、どうする?」
「リンドブルム~~~っ!! 離しなさい、このっ!!」
「このガキ、舐めた真似してんじゃねぇぞ!!」
エキドナとテュポーンの生首だった。
俺は立ち上がり、リンドブルムから二人の頭を受け取りつつ質問する。
「これ、放っておくとどうなる?」
「時間はかかるけど、身体も再生する。頭の中にある『核』を壊さないと、わたしたちドラゴンは死なないの」
「なるほど。さて、どうするかな……生かしておけば、またギガントマキアみたいな組織を作って人に迷惑かけそうだし、ここで喰っておくか」
「「!!」」
俺の右腕が口に変化し、ガチガチと牙を鳴らす。
すると、エキドナが言う。
「ま、待って。もう悪いことはしない、ヒトで遊ばないと誓う。だから、殺さないで!!」
「……なんだ、死ぬのは怖いのか?」
「そ、そうよ。い、今まで死の恐怖なんて感じたことないわ。でも……ふ、ふふ、これが恐怖なのね」
「お前は?」
「オ、オレも、オレも死にたくない。頼む、殺さないでくれ!!」
「……さて、どうすっかな」
さすがに、命乞いする奴を食うのはなぁ。
レイたちは、喋る生首が気持ち悪いのか顔を青くしている。
「リンドブルム、どうする?」
「リュウキに任せる。わたし、お兄さまとお姉さまのことで、決定権ないから」
「わかった……じゃあ、お前たち二人はしばらくこのままで、頭のまま反省「悪いけど、それはダメ」
と、俺の隣に青髪の女が立っていた。
女は俺の肩に手を置き、にっこり笑う。
「あなた、私に借りがあるわね? 今回は譲ってもらうから」
「───その声、お前!!」
「待った。争うつもりはないわ。むしろ、助けてあげたじゃない」
「う……」
「お、お前……あ、アンフィスバエナ!? お前、どうして」
「……そういうこと。アンフィスバエナ、あなたがファフニールの……!!」
「正解」
アンフィスバエナが指をパチンと鳴らした瞬間、二つの頭部が粉々に砕け散った。
そして、水色と紫色の《核》が、アンフィスバエナの手に収まる。
「用事はおしまい。ああそう、リュウキ。ムーン公爵家がこの国に手を回したみたいよ。もうすぐ、クロスガルド王国の兵士たちが来るわ」
「え……」
「ふふ、公爵の動きは早いわね。あなたたち、有名になるわよ」
そう言い、アンフィスバエナは歩きだす。
「───……待った!!」
「ん?」
俺は、アンフィスバエナを呼び止めた。
そして、頭を下げる。
「……ありがとう、お前のおかげで俺は生きていられる」
「お礼はなし。私も、私の目的で動いてたからね。それに……」
「……?」
「ふふ。また会いましょう、リュウキ。そして仲間たちに、リンドブルム」
今度こそ、アンフィスバエナは去って行った。
◇◇◇◇◇
その後は、あっという間だった。
聖王国クロスガルドの兵士とムーン公爵家の私兵が宮殿に到着。生存者、チーム『アークライト』の面々、イザベラを拘束。そのままクロスガルドへ連れ帰った……もちろん、罪人として。
俺たちは、ワイバーンではなく公爵家が用意した馬車に揺られてクロスガルドへ。
俺は馬車で気を失い、三日ほど寝込んでしまった。
その三日は、大変な騒ぎになったらしい。
まず、チーム《アークライト》が『ギガントマキア』に加担したことが広がった。これによりチーム《アークライト》に所属する冒険者は全員が冒険者資格をはく奪。学園の生徒は全員が強制的に退学となった。
キルト、プリメラは主犯各として重い罪になるそうだ。
キルトは鉱山で五十年の強制労働。プリメラはクロスガルド王家の管理する孤島の農園で三十年の強制労働らしい。あまりにも早い裁判、判決だった。
レイ曰く、ムーン公爵家が関わっているのでは? とのことだ。
イザベラは『ギガントマキア』のリーダーということで、問答無用の処刑。
毒杯を飲まされ、苦しみぬいて死んだそうだ。
俺たちが見た姿は十代前半くらいだったけど、死刑執行前のイザベラは七十代前半の老婆のような姿だったらしい……憐れな最後だ。
チーム《アークライト》の解散は、学園でもニュースになっていた。
新入生最強チームがギガントマキアの構成員。それをチーム《エンシェント》が討伐した。というニュースが学園中に流れたようだ。
チーム《エンシェント》の面々は、冒険者等級が上がった。
レイはS級冒険者。レノ、サリオはB級へ昇格。俺とアピアはC級、アキューレもD級に昇格。チーム《エンシェント》の名は一気に学園に広がり、新入生最強チームとして認知されている。
こうして……あっという間に時間が流れ、一年生の一学期が終わった。
「…………ぅ」
もう、声も出せないほど疲弊している。
闘気も出ない。首から下が異様に冷たい……まるで、別人の身体みたいだ。
すると、誰かがこちらへ来た。
「リュウキ!! アンタ、もう……とんでもないわね!!」
「…………ぉ、ぅ」
「おいリュウキ、見ろよ!! めっちゃ更地だぜ!? すっげぇ!!」
「…………」
「りゅ、リュウキくん!! 怪我を治すから。体力も少しは回復すると思う」
「…………ん」
「すごいです。本当に……リュウキくん、あなたは、本当に」
「…………」
レイ、レノ、サリオ、アピアだ。
そして、レイたちを押しのけ、アキューレが俺の身体を起こす。
「リュウキ、ありがと……ん」
「…………ん」
「「はぁぁ!?」」
「うお、すっげ」
「みみ、見ちゃダメだよレノ!!」
アキューレが俺の唇に口づけし、レイとアピアが叫んだ気がした。
「あああ、アキューレ!! アンタ、何してんのよ!!」
「感謝の気持ち」
「そそ、そういうのはダメです!!」
「もうしちゃった」
「「うぅぅ……っ!!」」
「リュウキ、身体起こせる?」
「…………な、んと、か」
サリオの魔法で、少しだけ体力が戻った。
身体を起こし、呼吸を整えていると……リンドブルムが、二つの生首を持って来た。
「リュウキ、お疲れ様……これ、どうする?」
「リンドブルム~~~っ!! 離しなさい、このっ!!」
「このガキ、舐めた真似してんじゃねぇぞ!!」
エキドナとテュポーンの生首だった。
俺は立ち上がり、リンドブルムから二人の頭を受け取りつつ質問する。
「これ、放っておくとどうなる?」
「時間はかかるけど、身体も再生する。頭の中にある『核』を壊さないと、わたしたちドラゴンは死なないの」
「なるほど。さて、どうするかな……生かしておけば、またギガントマキアみたいな組織を作って人に迷惑かけそうだし、ここで喰っておくか」
「「!!」」
俺の右腕が口に変化し、ガチガチと牙を鳴らす。
すると、エキドナが言う。
「ま、待って。もう悪いことはしない、ヒトで遊ばないと誓う。だから、殺さないで!!」
「……なんだ、死ぬのは怖いのか?」
「そ、そうよ。い、今まで死の恐怖なんて感じたことないわ。でも……ふ、ふふ、これが恐怖なのね」
「お前は?」
「オ、オレも、オレも死にたくない。頼む、殺さないでくれ!!」
「……さて、どうすっかな」
さすがに、命乞いする奴を食うのはなぁ。
レイたちは、喋る生首が気持ち悪いのか顔を青くしている。
「リンドブルム、どうする?」
「リュウキに任せる。わたし、お兄さまとお姉さまのことで、決定権ないから」
「わかった……じゃあ、お前たち二人はしばらくこのままで、頭のまま反省「悪いけど、それはダメ」
と、俺の隣に青髪の女が立っていた。
女は俺の肩に手を置き、にっこり笑う。
「あなた、私に借りがあるわね? 今回は譲ってもらうから」
「───その声、お前!!」
「待った。争うつもりはないわ。むしろ、助けてあげたじゃない」
「う……」
「お、お前……あ、アンフィスバエナ!? お前、どうして」
「……そういうこと。アンフィスバエナ、あなたがファフニールの……!!」
「正解」
アンフィスバエナが指をパチンと鳴らした瞬間、二つの頭部が粉々に砕け散った。
そして、水色と紫色の《核》が、アンフィスバエナの手に収まる。
「用事はおしまい。ああそう、リュウキ。ムーン公爵家がこの国に手を回したみたいよ。もうすぐ、クロスガルド王国の兵士たちが来るわ」
「え……」
「ふふ、公爵の動きは早いわね。あなたたち、有名になるわよ」
そう言い、アンフィスバエナは歩きだす。
「───……待った!!」
「ん?」
俺は、アンフィスバエナを呼び止めた。
そして、頭を下げる。
「……ありがとう、お前のおかげで俺は生きていられる」
「お礼はなし。私も、私の目的で動いてたからね。それに……」
「……?」
「ふふ。また会いましょう、リュウキ。そして仲間たちに、リンドブルム」
今度こそ、アンフィスバエナは去って行った。
◇◇◇◇◇
その後は、あっという間だった。
聖王国クロスガルドの兵士とムーン公爵家の私兵が宮殿に到着。生存者、チーム『アークライト』の面々、イザベラを拘束。そのままクロスガルドへ連れ帰った……もちろん、罪人として。
俺たちは、ワイバーンではなく公爵家が用意した馬車に揺られてクロスガルドへ。
俺は馬車で気を失い、三日ほど寝込んでしまった。
その三日は、大変な騒ぎになったらしい。
まず、チーム《アークライト》が『ギガントマキア』に加担したことが広がった。これによりチーム《アークライト》に所属する冒険者は全員が冒険者資格をはく奪。学園の生徒は全員が強制的に退学となった。
キルト、プリメラは主犯各として重い罪になるそうだ。
キルトは鉱山で五十年の強制労働。プリメラはクロスガルド王家の管理する孤島の農園で三十年の強制労働らしい。あまりにも早い裁判、判決だった。
レイ曰く、ムーン公爵家が関わっているのでは? とのことだ。
イザベラは『ギガントマキア』のリーダーということで、問答無用の処刑。
毒杯を飲まされ、苦しみぬいて死んだそうだ。
俺たちが見た姿は十代前半くらいだったけど、死刑執行前のイザベラは七十代前半の老婆のような姿だったらしい……憐れな最後だ。
チーム《アークライト》の解散は、学園でもニュースになっていた。
新入生最強チームがギガントマキアの構成員。それをチーム《エンシェント》が討伐した。というニュースが学園中に流れたようだ。
チーム《エンシェント》の面々は、冒険者等級が上がった。
レイはS級冒険者。レノ、サリオはB級へ昇格。俺とアピアはC級、アキューレもD級に昇格。チーム《エンシェント》の名は一気に学園に広がり、新入生最強チームとして認知されている。
こうして……あっという間に時間が流れ、一年生の一学期が終わった。
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