追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
91 / 109
第七章

戦い、終わって

しおりを挟む
 龍人変身を解除した俺は、その場に倒れてしまった。

「…………ぅ」

 もう、声も出せないほど疲弊している。
 闘気も出ない。首から下が異様に冷たい……まるで、別人の身体みたいだ。
 すると、誰かがこちらへ来た。

「リュウキ!! アンタ、もう……とんでもないわね!!」
「…………ぉ、ぅ」
「おいリュウキ、見ろよ!! めっちゃ更地だぜ!? すっげぇ!!」
「…………」
「りゅ、リュウキくん!! 怪我を治すから。体力も少しは回復すると思う」
「…………ん」
「すごいです。本当に……リュウキくん、あなたは、本当に」
「…………」

 レイ、レノ、サリオ、アピアだ。
 そして、レイたちを押しのけ、アキューレが俺の身体を起こす。

「リュウキ、ありがと……ん」
「…………ん」
「「はぁぁ!?」」
「うお、すっげ」
「みみ、見ちゃダメだよレノ!!」

 アキューレが俺の唇に口づけし、レイとアピアが叫んだ気がした。
 
「あああ、アキューレ!! アンタ、何してんのよ!!」
「感謝の気持ち」
「そそ、そういうのはダメです!!」
「もうしちゃった」
「「うぅぅ……っ!!」」
「リュウキ、身体起こせる?」
「…………な、んと、か」

 サリオの魔法で、少しだけ体力が戻った。
 身体を起こし、呼吸を整えていると……リンドブルムが、二つの生首を持って来た。

「リュウキ、お疲れ様……これ、どうする?」
「リンドブルム~~~っ!! 離しなさい、このっ!!」
「このガキ、舐めた真似してんじゃねぇぞ!!」

 エキドナとテュポーンの生首だった。
 俺は立ち上がり、リンドブルムから二人の頭を受け取りつつ質問する。

「これ、放っておくとどうなる?」
「時間はかかるけど、身体も再生する。頭の中にある『核』を壊さないと、わたしたちドラゴンは死なないの」
「なるほど。さて、どうするかな……生かしておけば、またギガントマキアみたいな組織を作って人に迷惑かけそうだし、ここで喰っておくか」
「「!!」」

 俺の右腕が口に変化し、ガチガチと牙を鳴らす。
 すると、エキドナが言う。

「ま、待って。もう悪いことはしない、ヒトで遊ばないと誓う。だから、殺さないで!!」
「……なんだ、死ぬのは怖いのか?」
「そ、そうよ。い、今まで死の恐怖なんて感じたことないわ。でも……ふ、ふふ、これが恐怖なのね」
「お前は?」
「オ、オレも、オレも死にたくない。頼む、殺さないでくれ!!」
「……さて、どうすっかな」

 さすがに、命乞いする奴を食うのはなぁ。
 レイたちは、喋る生首が気持ち悪いのか顔を青くしている。

「リンドブルム、どうする?」
「リュウキに任せる。わたし、お兄さまとお姉さまのことで、決定権ないから」
「わかった……じゃあ、お前たち二人はしばらくこのままで、頭のまま反省「悪いけど、それはダメ」

 と、俺の隣に青髪の女が立っていた。
 女は俺の肩に手を置き、にっこり笑う。

「あなた、私に借りがあるわね? 今回は譲ってもらうから」
「───その声、お前!!」
「待った。争うつもりはないわ。むしろ、助けてあげたじゃない」
「う……」
「お、お前……あ、アンフィスバエナ!? お前、どうして」
「……そういうこと。アンフィスバエナ、あなたがファフニールの……!!」
「正解」

 アンフィスバエナが指をパチンと鳴らした瞬間、二つの頭部が粉々に砕け散った。
 そして、水色と紫色の《核》が、アンフィスバエナの手に収まる。

「用事はおしまい。ああそう、リュウキ。ムーン公爵家がこの国に手を回したみたいよ。もうすぐ、クロスガルド王国の兵士たちが来るわ」
「え……」
「ふふ、公爵の動きは早いわね。あなたたち、有名になるわよ」

 そう言い、アンフィスバエナは歩きだす。

「───……待った!!」
「ん?」

 俺は、アンフィスバエナを呼び止めた。
 そして、頭を下げる。

「……ありがとう、お前のおかげで俺は生きていられる」
「お礼はなし。私も、私の目的で動いてたからね。それに……」
「……?」
「ふふ。また会いましょう、リュウキ。そして仲間たちに、リンドブルム」

 今度こそ、アンフィスバエナは去って行った。

 ◇◇◇◇◇

 その後は、あっという間だった。
 聖王国クロスガルドの兵士とムーン公爵家の私兵が宮殿に到着。生存者、チーム『アークライト』の面々、イザベラを拘束。そのままクロスガルドへ連れ帰った……もちろん、罪人として。
 俺たちは、ワイバーンではなく公爵家が用意した馬車に揺られてクロスガルドへ。
 俺は馬車で気を失い、三日ほど寝込んでしまった。

 その三日は、大変な騒ぎになったらしい。
 まず、チーム《アークライト》が『ギガントマキア』に加担したことが広がった。これによりチーム《アークライト》に所属する冒険者は全員が冒険者資格をはく奪。学園の生徒は全員が強制的に退学となった。
 キルト、プリメラは主犯各として重い罪になるそうだ。
 キルトは鉱山で五十年の強制労働。プリメラはクロスガルド王家の管理する孤島の農園で三十年の強制労働らしい。あまりにも早い裁判、判決だった。
 レイ曰く、ムーン公爵家が関わっているのでは? とのことだ。

 イザベラは『ギガントマキア』のリーダーということで、問答無用の処刑。
 毒杯を飲まされ、苦しみぬいて死んだそうだ。
 俺たちが見た姿は十代前半くらいだったけど、死刑執行前のイザベラは七十代前半の老婆のような姿だったらしい……憐れな最後だ。

 チーム《アークライト》の解散は、学園でもニュースになっていた。
 新入生最強チームがギガントマキアの構成員。それをチーム《エンシェント》が討伐した。というニュースが学園中に流れたようだ。

 チーム《エンシェント》の面々は、冒険者等級が上がった。
 レイはS級冒険者。レノ、サリオはB級へ昇格。俺とアピアはC級、アキューレもD級に昇格。チーム《エンシェント》の名は一気に学園に広がり、新入生最強チームとして認知されている。

 こうして……あっという間に時間が流れ、一年生の一学期が終わった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

【完結】緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
※本編を加筆修正しますので、一旦一部公開とさせていただいています。 〜花が良く育つので「緑の手」だと思っていたら「癒しの手」だったようです〜 王都の隅っこで両親から受け継いだ花屋「ブルーメ」を経営するアンネリーエ。 彼女のお店で売っている花は、色鮮やかで花持ちが良いと評判だ。 自分で花を育て、売っているアンネリーエの店に、ある日イケメンの騎士が現れる。 アンネリーエの作る花束を気に入ったイケメン騎士は、一週間に一度花束を買いに来るようになって──? どうやらアンネリーエが育てている花は、普通の花と違うらしい。 イケメン騎士が買っていく花束を切っ掛けに、アンネリーエの隠されていた力が明かされる、異世界お仕事ファンタジーです。 ※本編を加筆修正する予定ですので、一旦一部公開とさせていただいています。 *HOTランキング1位、エールに感想有難うございました!とても励みになっています! ※花の名前にルビで解説入れてみました。読みやすくなっていたら良いのですが。(;´Д`)  話の最後にも花の名前の解説を入れてますが、間違ってる可能性大です。  雰囲気を味わってもらえたら嬉しいです。 ※完結しました。全41話。  お読みいただいた皆様に感謝です!(人´∀`).☆.。.:*・゚

処理中です...