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第207話・フリアエの最終計画
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ファーレン王国は、気味が悪いほど静まり返っていた……いや、違う。
「な、なんだこれ……」
「ひ、人が……」
ライトとリンは、ファーレン王国が静まり返っている原因が、町の人々が倒れているからだとわかった。
近くに倒れていた男性を起こし確認すると、脈はある。
だが、まるで眠っているように目を覚まさない。ライトとリンは顔を見合わせ、この現象の正体を確認した。
「間違いなく「フリアエの仕業ね……」……って」
いつの間にか、背後に二人の美女が立っていた。
驚いた二人だが、すぐに安堵する。
「あんたらか……」
「ええ。妙な気配を感じたから来てみたけど……どうやらフリアエの計画も最終段階みたいね」
「やっほー、元気だった?」
パティオンとブリザラだった。
二人の女神の視線は、ファーレン王城へ向けられている。ライトにもすぐにわかった……妙に重苦しい重圧が、胸に押しかかるのを。
『ケケケケッ、相棒……妙な気配がしやがる』
「ああ。俺も感じてる……」
『気を付けな。強い弱いとかじゃねぇ、もっと異質な何かだ……うっげぇ、気持ち悪ぃぜ。吐き気しやがる』
「お前がそこまで言うなんてな……ま、気を付けるよ」
『おう。ま、いざとなったら……』
「わかってる。頼りにさせてもらうぜ」
『ああ。ケケケ……美味いモン喰わせてくれよ? 相棒』
「……ああ」
ライトはカドゥケウスを構え発砲。発砲した先にいたのは、ドロドロした人形のような何かだった。
弾丸は額に吸い込まれるが効果はない。
「これは……ラスラヌフが作った人形ね」
パティオンがそう言うと、ブリザラがウゲッと吐きそうなポーズをした。
「あいつ、気味悪いモン作って……こんなのどうしようっての?」
「さぁ? フリアエに言われたからじゃない? あの子、おだてればなんでもやっちゃうバカな子だったしね」
「おい、話してるとこ悪いけどよ、何もしないなら帰れ。邪魔だ」
「ら、ライト!!」
ライトは祝福弾を装填し、パティオンの前に。するとライトの肩をパティオンが摑み引っ張った。
「ここは任せなさい。恐らくこれはお母様……母なる女神テレサの実験用肉体。ほんの少しだけ神性を感じるし、フリアエがラスラヌフに作らせたものでしょうね」
「で、どうするんだ?」
「女神の失態は女神がケリを付ける。でも、フリアエはあなたに任せるわ」
「俺は喰うぞ」
「……甘いかもしれないけど、それだけはやめて」
「…………」
ライトはパティオンを睨む。だがパティオンは引かなかった。
「あの子は強がってる。でもね、本質はお母さんっ子の甘えん坊なのよ……なんとなくだけど、あの子は純粋にお母様を生き返らせたいだけ」
『そのために、人間の世界にギフトをばら撒いて信仰心を集めてもいいのかよ? なーんとなくオレ様にはわかるぜ。勇者の召喚……恐らく、人間界、神界、魔界とは違う次元から来た人間を触媒にするためのモンだろ?』
「え……」
「な、カドゥケウス……マジか?」
『恐らくな』
「…………私もそう考えてる。あの子はお母様を蘇らせるためなら犠牲をいとわない。たとえ同族の女神だろうとね」
ライトは鼻で笑った。
「はっ……じゃあ俺も言ってやる。お前たち女神の事情なんか知るか。いいか、女神フリアエは俺の獲物の一匹だ。好き勝手やった落とし前を付けさせる。この世界で暴れたツケは、命を持って支払ってもらう」
「…………止めても無駄、なのね」
「おう。それとも、俺と戦うか? 言っておくけど、今の俺は負ける気がしない」
「…………わかった。でも、覚えておいて……あの子はただ、お母様に会いたいだけなの」
「……行くぞ、リン」
「あ……う、うん」
パティオンとブリザラにこの場を任せ、ライトとリンはファーレン王城へ向かった。
ブリザラは、パティオンに言う。
「いーの? フリアエ、死んじゃうかも」
「……たぶん、フリアエは死なない。そんな気がするわ」
「ふーん……ま、ウチはどっちでもいいや。それよりさ、さっさと終わらせてメシくうべ」
「……あんた、お気楽すぎ」
ラスラヌフが残した肉人形がゾロゾロ集まり、パティオンとブリザラを包囲した。
だが、たかが肉の人形……女神の敵ではない。
「さ、やるかー」
「ふん……久しぶりに暴れてやろうじゃねぇか!!」
パティオンの口調が変わると同時に、肉人形が襲い掛かってきた。
「な、なんだこれ……」
「ひ、人が……」
ライトとリンは、ファーレン王国が静まり返っている原因が、町の人々が倒れているからだとわかった。
近くに倒れていた男性を起こし確認すると、脈はある。
だが、まるで眠っているように目を覚まさない。ライトとリンは顔を見合わせ、この現象の正体を確認した。
「間違いなく「フリアエの仕業ね……」……って」
いつの間にか、背後に二人の美女が立っていた。
驚いた二人だが、すぐに安堵する。
「あんたらか……」
「ええ。妙な気配を感じたから来てみたけど……どうやらフリアエの計画も最終段階みたいね」
「やっほー、元気だった?」
パティオンとブリザラだった。
二人の女神の視線は、ファーレン王城へ向けられている。ライトにもすぐにわかった……妙に重苦しい重圧が、胸に押しかかるのを。
『ケケケケッ、相棒……妙な気配がしやがる』
「ああ。俺も感じてる……」
『気を付けな。強い弱いとかじゃねぇ、もっと異質な何かだ……うっげぇ、気持ち悪ぃぜ。吐き気しやがる』
「お前がそこまで言うなんてな……ま、気を付けるよ」
『おう。ま、いざとなったら……』
「わかってる。頼りにさせてもらうぜ」
『ああ。ケケケ……美味いモン喰わせてくれよ? 相棒』
「……ああ」
ライトはカドゥケウスを構え発砲。発砲した先にいたのは、ドロドロした人形のような何かだった。
弾丸は額に吸い込まれるが効果はない。
「これは……ラスラヌフが作った人形ね」
パティオンがそう言うと、ブリザラがウゲッと吐きそうなポーズをした。
「あいつ、気味悪いモン作って……こんなのどうしようっての?」
「さぁ? フリアエに言われたからじゃない? あの子、おだてればなんでもやっちゃうバカな子だったしね」
「おい、話してるとこ悪いけどよ、何もしないなら帰れ。邪魔だ」
「ら、ライト!!」
ライトは祝福弾を装填し、パティオンの前に。するとライトの肩をパティオンが摑み引っ張った。
「ここは任せなさい。恐らくこれはお母様……母なる女神テレサの実験用肉体。ほんの少しだけ神性を感じるし、フリアエがラスラヌフに作らせたものでしょうね」
「で、どうするんだ?」
「女神の失態は女神がケリを付ける。でも、フリアエはあなたに任せるわ」
「俺は喰うぞ」
「……甘いかもしれないけど、それだけはやめて」
「…………」
ライトはパティオンを睨む。だがパティオンは引かなかった。
「あの子は強がってる。でもね、本質はお母さんっ子の甘えん坊なのよ……なんとなくだけど、あの子は純粋にお母様を生き返らせたいだけ」
『そのために、人間の世界にギフトをばら撒いて信仰心を集めてもいいのかよ? なーんとなくオレ様にはわかるぜ。勇者の召喚……恐らく、人間界、神界、魔界とは違う次元から来た人間を触媒にするためのモンだろ?』
「え……」
「な、カドゥケウス……マジか?」
『恐らくな』
「…………私もそう考えてる。あの子はお母様を蘇らせるためなら犠牲をいとわない。たとえ同族の女神だろうとね」
ライトは鼻で笑った。
「はっ……じゃあ俺も言ってやる。お前たち女神の事情なんか知るか。いいか、女神フリアエは俺の獲物の一匹だ。好き勝手やった落とし前を付けさせる。この世界で暴れたツケは、命を持って支払ってもらう」
「…………止めても無駄、なのね」
「おう。それとも、俺と戦うか? 言っておくけど、今の俺は負ける気がしない」
「…………わかった。でも、覚えておいて……あの子はただ、お母様に会いたいだけなの」
「……行くぞ、リン」
「あ……う、うん」
パティオンとブリザラにこの場を任せ、ライトとリンはファーレン王城へ向かった。
ブリザラは、パティオンに言う。
「いーの? フリアエ、死んじゃうかも」
「……たぶん、フリアエは死なない。そんな気がするわ」
「ふーん……ま、ウチはどっちでもいいや。それよりさ、さっさと終わらせてメシくうべ」
「……あんた、お気楽すぎ」
ラスラヌフが残した肉人形がゾロゾロ集まり、パティオンとブリザラを包囲した。
だが、たかが肉の人形……女神の敵ではない。
「さ、やるかー」
「ふん……久しぶりに暴れてやろうじゃねぇか!!」
パティオンの口調が変わると同時に、肉人形が襲い掛かってきた。
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