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妹に婚約者を奪われました。それはいいのですが、このままだと戦争が起きますけど大丈夫ですか?
しおりを挟む「だから、何度言ったら分かるんだ!お前との婚約は破棄する、そう言ってるだろ!」
いらいらした様子で私を怒鳴りつけるケルンは、私の婚約者......つい先ほどまでは。名君と名高いマーキス王のご子息という触れ込みだったが、まさかここまで酷いとは思ってもみませんでした。
「全く、お前にはがっかりだ!愛想もない、家事もできない、おまけに頭も悪い!この俺様の伴侶にふさわしいのは、このジュリアだ!」
と、こんな有様です。
まあ私にしても、こんなやつと結婚させられるのはごめんだったし、この宣言に依存は全くありません。お前のようなやつを愛せというのは無理な話だし、宮廷料理人レベルの食事を求められても困るし、少なくともお前よりは賢いと思いますが、その辺の反論は置いておいてあげましょう。
お前が今肩を抱いているジュリアとかいうその女は、使用人いじめと庶民への暴言、その他レッドフィールド家の名誉を傷つける振る舞いが多すぎて勘当された私の妹なのですが、そんなこともどうでもいい。
私が不服というか疑問なのは、このままだと戦争が起きますが大丈夫ですか、ということです。
私がそのことを口にすると、ケルンは鼻で笑った。
「戦争?望むところだ。貴様らの薄弱な軍隊など、父上が吹き飛ばしてくれるわ!」
やはり、こいつはどうも事態が分かっていないようです。
けれど、私が説明しようとする前に、彼はジュリアを連れて部屋を出て行ってしまいました。
あーあ、お父様ももうかんかんです。
大丈夫でしょうかね、あの二人......。
その数日後、マーキスに軍隊がなだれ込みました。
と言っても、相手はもちろん私たちではありません。遠く北方からやってきた、フレイミア帝国です。
そもそも、マーキスは名君の統治で国は円満でしたが、軍事力はそれほど高くない国でした。
そこに、フレイミア帝国が侵攻を開始したとの知らせが入ります。このままでは、十日ほどで首都への侵入を許してしまうでしょう。
そこで、軍の侵攻ルート上の我々が帝国の足止めをする。そうすれば、もともと遠くから遠征してきた彼らは、途中で物資が尽きて戻らざるを得なくなる。
人々の避難と後の復興のサポートはマーキスが責任を持って行う。私とケルンの結婚は、そういう目的を持った、言わば急ごしらえの軍事同盟でした。
それを、ケルンはあの馬鹿馬鹿しい茶番で、台無しにしてしまったのです。
激怒した父上は、兵士を引揚げさせて、帝国に領土を素通りさせました。あんなやつのために、一人だって犠牲者を出したくないですからね。
その結果が、このざまです。
どうにか帝国を撤退させることはできたようですが、可哀相に、多くの兵士や一般国民が亡くなりました。国民の批判を一身に受ける立場になった王様は、全ての原因をケルンとジュリアに押し付けた......という言い方は正しくありませんね、実際そうですから。
とにかく、二人は処刑台に立つことになりそうです。我々の国に逃げたい、という申し出と言うか泣き言が送られて来ましたが、無視無視。
まあジュリアは、一般庶民から歴史に名を残す女になれたわけですから、あながち不幸でもないかもしれませんね。ケルンは......自業自得でしょう。まったく、あんな王子を持った国民にも、あんな息子を持った王様にも、本当に同情します。
その王様は、我々のところに自らやってきて、土下座してきました。
どうやら帝国は再びマーキスに侵攻する準備を進めているらしく、第二王子を私の婿に差し上げるから、どうか同盟を、ということらしいです。
その王子をとりあえずは傍に置いていますが、返事は保留です。だって、また私のことを裏切らないとも限りませんからね。
彼は、ケルンの弟だとは信じられないくらい優しくて、美しい方です。
でも彼とはなしていると、体がむずむずしたり、頬が熱くなったりするのですが、これは一体何なんでしょうかね......?
fin.
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