アウトロー ~追憶~

白川涼

文字の大きさ
40 / 58
2章 ミュラー青春の謳歌

ミュラー純愛白書③

しおりを挟む
 俺は金を出し惜しむことなくルカに逢いに行った。

 逢瀬を続けた。

 誰も止めることはできなかった。

 咲き乱れる勿忘草の花弁の蜜を吸い続けた。

 咲き乱れたルカに夢中になった。

 オルマやクロエからは軽蔑された。

 ジラールは嘲り笑った。

 仲間からはあいつは快楽に溺れたと言われた。

 全て無視した。

 それでも俺とルカはまぐわい、共に海の中に浸った。

 愛おしかった。

 ただ愛おしかった。

 俺は男になり、ルカは女となって、愛し愛された。

 すでに心の歪みは消えていた。

 多分これまでの俺はこの心の咎に長く苦しんでいたと思う。

 見えない鎖に縛られていたのだと思う。

 ルカが束縛から解放してくれた。

 心の殻に閉じこもった俺を導いてくれた。

 感謝しかなかった。

 多分これが愛されるというものなんだろう。

 ルカが俺に愛を教えてくれた。

 愛を紡いでくれた。

 そして愛を育み続けた。

 勿忘草の青い花弁はより美しくなっていった。

 今まで見えなかったものが見えてきた。

 俺は今までには届かない強さが手に入るのを実感した。


 実際、それは証明された。

 今まで剣の模擬戦で完封されていたフェンディを一太刀でねじ伏せた。

 それまで目で捉えることが困難だったクロエの槍の斬撃の嵐、止まってるかのように見え、容易に避けることができた。

 狩りでは、どんな大型の野生動物も一刀両断できた。

 ブラキオサウルスを単独で仕留めた時は全員が目を疑った。

 魔法の本質、概念もより深く理解ができるようになった。

 多分核心が掴めたのだと思う。

 ブシュロンのように無詠唱で発動できるようになった。

 タオの技量も格段に進化した。

 今まで自身しか覆えなかったタオが武器にも纏えることができた。

 それどころか宿ったタオをある程度の距離まで放てるようになった。

 俺は強くなったのだ。

 愛を覚えたことで、強さの本質を理解できた。

 それは守ることだった。

 ルカとの愛の育みをこれまで以上に大切にしたかった。

 ルカとの抱擁のひと時を続けていきたい。

 大事に守りたいものだった。

 しかしルカは娼婦だ。

 会うには金が必要だ。

 ソロで討伐した方が金になると思ったが、ブシュロンに説得され、いつもの四人で組むように言われた。
 しかしクロエは俺が娼館で払う金のために働きたくないと断固として拒否した。
 侮蔑の眼差しが印象的だった。

 やむを得ず、オルマとジラールの三人で狩りをし続けた。

 最早それは狩りと呼べるものでなかった。

 草原の獣たちを蹂躙した。

 ルカに会うための金が必要なのだ。

 容赦はしなかった。

 肉食だろうが草食だろうが、大型、小型を問わず殺戮の限りを尽くした。

 ゴバ草原から獣が消えるくらい狩りに明け暮れた。

 獣だけでは足りなかった。

 賞金首のハントまで手を出した。

 国中の賞金首、同じ無法者アウトローを狩り続けた。

 いつからか、俺達は街で知らぬものはいないという存在になった。

 その悪名は国外からも轟いたようだ。

 俺の、ジラールの、オルマの命を狙いに外国の賞金首の強者がやってきた。

 無論、全員返り打ちにしてきた。
 
 気づいたら何故か俺達がブラックリストにされていた。

 ハンターをしていただけなのに。

 いつからか、俺達の背中に彫られた入れ墨にちなんだ名前が生まれた。


 三匹の餓狼。

 ブラックウルフのジラール。

 白狼のオルマ。

 蒼き狼ミュラー。

 そう呼ばれるようになった。

 畏怖の念を込めて。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...