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プロローグ 始動
予想外
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全員がエレベーターに乗ると、イアンは左手をセンサーのようなものにかざした。
するとエレベーターは動き出し、ボタンにはない地下へと向かっていく。
モーガンが「秘密基地みたいだ…」と呟いた。
それに対してイアンはこう返す。
「まあ実際秘密の基地だし。いろいろ最新鋭の設備が国から届くんだよね。…テストさせられてるだけだけど、なかなか楽しめるんじゃないかな。」
その言葉を聞いてヴィクターは目を輝かせた。相当こういうのが好きらしい。僕もそうなので話が合うかもしれない。
フォン、と音がなってエレベーターが止まる。
エレベーターのドアが開いていく。
綺麗な廊下だ。窓はないので少しひんやりしている。
無言で廊下を歩いていく。
3つほど部屋を過ぎたあたりでイアンがぴたりと止まった。
司令室と書いてある。
「ここが俺たちが一番よくいる場所だ。ま、オフィスみたいなもんさ。…最初は空気に慣れないだろうが徐々に慣れていってくれ。」
先頭を歩いていた僕は後ろの2人に目配りする。2人は無言で頷いた。
ドアを押して入っていく。
部屋は真っ暗だ。「あれ?」と思っていると、
「まあまあ、早く入って入って。」
とイアンに押し込められた。
すると、パァンと音が鳴って、目の前が真っ白になった。
銃声!?…にしては音が軽すぎる。弾丸の風を切るような音もない。じゃあ一体何なんだ。
目をしかめながらゆっくりと開けていく。
もう電気は付いていた。
「…何だ、これ。」
そう思わず声を漏らしてしまうほどに、視界の先には予想外の光景が広がっていた。
広々とした部屋だ。部屋の一番奥には壁一面の大きさのモニターが設置されていて、椅子と机とコンピューターが端にずらりとどけられている。だがそれ以上に目を引くのが部屋中に施された装飾。足元に散らばる紙片。中央の机に置かれた様々な料理たち。、
「「「入隊、おめでとう!!!!」」」
口笛を吹く人もいれば囃し立てる人もいた。
イアンが「…どう?驚いた?」と言うと、
「そりゃ驚きますよ!!」
「はは…びっくりしました。」
「予想外すぎる…」
3人が口々に答えると、イアンは全員に号令をかけた。
「よーし、みんな!これより作戦を開始する!作戦名は『ウィーアーチームメイト』!歓迎会の始まりだ!」
部屋中に歓声が響き渡った。どんどん話が勝手に進んでいく。
「じゃ、荷物は寮に運んどくから。…今日はお硬いことは抜きで。明日から自己紹介とかいろいろやるから、歓迎会終わったらさっさと寝ちゃって。疲れてるだろうし。」
「あぁ……はい。わかりました。ありがとうございます。」
そうしてイアンは部屋を立ち去っていった。
「想像してたのとかなり違うな…」
モーガンが愚痴のようなものをこぼす。
先輩が近寄ってきた。
「はは、すまん。久々の新人でこっちも浮かれてるんだよ。…こいつら、普段はこんな感じのノリだが、仕事となると真面目になるから安心してくれ。」
僕が
「これからよろしくお願いします。マックス・ベルです。」
と言うと、先輩は苦笑いをしながら答えた。
「あー、名前なら司令からもう聞いたよ。大喜びしてたさ、今年は豊作だ、ってな。…自己紹介が遅れたな。俺の名前はスティーヴン・リードだ。細かい話は明日で。これからよろしく。」
3人が「よろしくお願いします」と挨拶をすると、
「お、威勢のいい返事じゃねえか。さすがは天才3人組だな!!ガハハハ!!!!!!」
その少ししゃがれた大きな声に戸惑っていると、スティーヴンがその声の主の首根っこを掴んだ。
「おい、ランドルフ!…お前、もう酔ってんのか?」
スティーヴンは苦虫を潰したような顔でこちらを向いた。
「…こいつの名前はランドルフ・バクスター。普段は陽気でいいやつなんだが、酒を飲むとすぐこう荒っぽくなるんだ。こいつと飲みにいく時は気をつけろよ。何があるかわかったもんじゃない。」
ヴィクターが、
「はは。…わかりました。気をつけます。」
と答えると、ランドルフはニヤリと笑った。
「…おい、新人。こいつ、こんな真面目を装ってるけどな、実はめちゃくちゃ
女癖が悪ー」
そう言いかけると、スティーヴンはそれを静止して、
「あーもううるせえぞランドルフ!…すまんな、3人ら。俺はこいつを寮にぶち込んでおくわ。じゃあな。」
そう言うと、スティーヴンはランドルフを引きずるようにして去っていった。
ヴィクターが、
「なんか、どっと疲れた…」
と言うと、モーガンは軽く笑った。
「まあな。…、適当に飯食ってさっさと寝ようぜ。」
僕は「そうしようか。」と言って、ご飯を口に運んだ。
3人の腹が膨れた。
まだ歓迎会の途中ではあるが、こっそりと抜け出して寮へと向かう。
どうやら地下から直接寮へと向かうようだ。
廊下を歩いていって曲がり角を曲がり、階段を上っていく。
階段の途中に張り紙が貼ってあった。
『ごめん、3人。寮の部屋番伝えんの忘れてた。209・208・207の部屋を適当に使っといて。部屋は中に置いてあるから。この紙は捨てといて。』
「ガサツな人だな…」
と僕が言うと、2人も同意した。
2階に向かいながら部屋を2人と相談するが、特にこの部屋が良い、というのはないらしい。
2階に向かうと既に荷物がそれぞれの部屋の前に置かれていた。
「ははっ。もう勝手に決まってんじゃん。…まあどこでもいいけどさ。」
モーガンが言った。
先が思いやられるが、ひとまず今日はさっさと寝よう。気疲れした。
309号室の扉を開ける。
ベッドにテーブルにクローゼット。必要最低限なものは揃っている。寮なので色々なものは共有なのだろう。
ベッドに飛び込んだ。
僕たちはPMCとしても活動する。
護衛だったり支援の任務も行う。だが、忘れてはいけないのが僕たちは特殊部隊であるということ。
なぜPMCという皮をかぶるのか。それは僕たちが使い捨てであるからだと思う。
詳しい理由はわからないが、PMCである理由は少ないように思える。そもそも国の機関ではないとしても敵国に怪しまれるのは当然のことだ。特殊部隊とそれほど変わらないだろう。
唯一の利点といえば戦死者として数えられないぐらいだろう。
…詳しいことを考えても国のお偉いさん方のことなんて何にもわからない。
一つ言えるのは、今イギリスは危ういということ。失業率が増えたことによるデモ、東側との中東での石油争奪戦も激化しつつある。貿易戦争も厳しい状況だ。
いつ何が起きてもおかしくない。備えておかなければならないのは事実だ。
目を瞑る。着替えるのも面倒になった。明日は研修だろう。早く寝ておかなければ。
するとエレベーターは動き出し、ボタンにはない地下へと向かっていく。
モーガンが「秘密基地みたいだ…」と呟いた。
それに対してイアンはこう返す。
「まあ実際秘密の基地だし。いろいろ最新鋭の設備が国から届くんだよね。…テストさせられてるだけだけど、なかなか楽しめるんじゃないかな。」
その言葉を聞いてヴィクターは目を輝かせた。相当こういうのが好きらしい。僕もそうなので話が合うかもしれない。
フォン、と音がなってエレベーターが止まる。
エレベーターのドアが開いていく。
綺麗な廊下だ。窓はないので少しひんやりしている。
無言で廊下を歩いていく。
3つほど部屋を過ぎたあたりでイアンがぴたりと止まった。
司令室と書いてある。
「ここが俺たちが一番よくいる場所だ。ま、オフィスみたいなもんさ。…最初は空気に慣れないだろうが徐々に慣れていってくれ。」
先頭を歩いていた僕は後ろの2人に目配りする。2人は無言で頷いた。
ドアを押して入っていく。
部屋は真っ暗だ。「あれ?」と思っていると、
「まあまあ、早く入って入って。」
とイアンに押し込められた。
すると、パァンと音が鳴って、目の前が真っ白になった。
銃声!?…にしては音が軽すぎる。弾丸の風を切るような音もない。じゃあ一体何なんだ。
目をしかめながらゆっくりと開けていく。
もう電気は付いていた。
「…何だ、これ。」
そう思わず声を漏らしてしまうほどに、視界の先には予想外の光景が広がっていた。
広々とした部屋だ。部屋の一番奥には壁一面の大きさのモニターが設置されていて、椅子と机とコンピューターが端にずらりとどけられている。だがそれ以上に目を引くのが部屋中に施された装飾。足元に散らばる紙片。中央の机に置かれた様々な料理たち。、
「「「入隊、おめでとう!!!!」」」
口笛を吹く人もいれば囃し立てる人もいた。
イアンが「…どう?驚いた?」と言うと、
「そりゃ驚きますよ!!」
「はは…びっくりしました。」
「予想外すぎる…」
3人が口々に答えると、イアンは全員に号令をかけた。
「よーし、みんな!これより作戦を開始する!作戦名は『ウィーアーチームメイト』!歓迎会の始まりだ!」
部屋中に歓声が響き渡った。どんどん話が勝手に進んでいく。
「じゃ、荷物は寮に運んどくから。…今日はお硬いことは抜きで。明日から自己紹介とかいろいろやるから、歓迎会終わったらさっさと寝ちゃって。疲れてるだろうし。」
「あぁ……はい。わかりました。ありがとうございます。」
そうしてイアンは部屋を立ち去っていった。
「想像してたのとかなり違うな…」
モーガンが愚痴のようなものをこぼす。
先輩が近寄ってきた。
「はは、すまん。久々の新人でこっちも浮かれてるんだよ。…こいつら、普段はこんな感じのノリだが、仕事となると真面目になるから安心してくれ。」
僕が
「これからよろしくお願いします。マックス・ベルです。」
と言うと、先輩は苦笑いをしながら答えた。
「あー、名前なら司令からもう聞いたよ。大喜びしてたさ、今年は豊作だ、ってな。…自己紹介が遅れたな。俺の名前はスティーヴン・リードだ。細かい話は明日で。これからよろしく。」
3人が「よろしくお願いします」と挨拶をすると、
「お、威勢のいい返事じゃねえか。さすがは天才3人組だな!!ガハハハ!!!!!!」
その少ししゃがれた大きな声に戸惑っていると、スティーヴンがその声の主の首根っこを掴んだ。
「おい、ランドルフ!…お前、もう酔ってんのか?」
スティーヴンは苦虫を潰したような顔でこちらを向いた。
「…こいつの名前はランドルフ・バクスター。普段は陽気でいいやつなんだが、酒を飲むとすぐこう荒っぽくなるんだ。こいつと飲みにいく時は気をつけろよ。何があるかわかったもんじゃない。」
ヴィクターが、
「はは。…わかりました。気をつけます。」
と答えると、ランドルフはニヤリと笑った。
「…おい、新人。こいつ、こんな真面目を装ってるけどな、実はめちゃくちゃ
女癖が悪ー」
そう言いかけると、スティーヴンはそれを静止して、
「あーもううるせえぞランドルフ!…すまんな、3人ら。俺はこいつを寮にぶち込んでおくわ。じゃあな。」
そう言うと、スティーヴンはランドルフを引きずるようにして去っていった。
ヴィクターが、
「なんか、どっと疲れた…」
と言うと、モーガンは軽く笑った。
「まあな。…、適当に飯食ってさっさと寝ようぜ。」
僕は「そうしようか。」と言って、ご飯を口に運んだ。
3人の腹が膨れた。
まだ歓迎会の途中ではあるが、こっそりと抜け出して寮へと向かう。
どうやら地下から直接寮へと向かうようだ。
廊下を歩いていって曲がり角を曲がり、階段を上っていく。
階段の途中に張り紙が貼ってあった。
『ごめん、3人。寮の部屋番伝えんの忘れてた。209・208・207の部屋を適当に使っといて。部屋は中に置いてあるから。この紙は捨てといて。』
「ガサツな人だな…」
と僕が言うと、2人も同意した。
2階に向かいながら部屋を2人と相談するが、特にこの部屋が良い、というのはないらしい。
2階に向かうと既に荷物がそれぞれの部屋の前に置かれていた。
「ははっ。もう勝手に決まってんじゃん。…まあどこでもいいけどさ。」
モーガンが言った。
先が思いやられるが、ひとまず今日はさっさと寝よう。気疲れした。
309号室の扉を開ける。
ベッドにテーブルにクローゼット。必要最低限なものは揃っている。寮なので色々なものは共有なのだろう。
ベッドに飛び込んだ。
僕たちはPMCとしても活動する。
護衛だったり支援の任務も行う。だが、忘れてはいけないのが僕たちは特殊部隊であるということ。
なぜPMCという皮をかぶるのか。それは僕たちが使い捨てであるからだと思う。
詳しい理由はわからないが、PMCである理由は少ないように思える。そもそも国の機関ではないとしても敵国に怪しまれるのは当然のことだ。特殊部隊とそれほど変わらないだろう。
唯一の利点といえば戦死者として数えられないぐらいだろう。
…詳しいことを考えても国のお偉いさん方のことなんて何にもわからない。
一つ言えるのは、今イギリスは危ういということ。失業率が増えたことによるデモ、東側との中東での石油争奪戦も激化しつつある。貿易戦争も厳しい状況だ。
いつ何が起きてもおかしくない。備えておかなければならないのは事実だ。
目を瞑る。着替えるのも面倒になった。明日は研修だろう。早く寝ておかなければ。
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