スライム級の俺がドラゴン級になるまで

燈蒼

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魔法とは

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「次に魔法を使える者の特徴についてです。魔法を使える者の多くは瞳が青いんです。もちろん、青い目の方でも使えない方はいます。でもあなたのような黒い瞳で魔法を使える方は今まで聞いたこともありません。もしかしたらダルクと似たようなものなのかも……。私の瞳は、先ほどマシロさんがおっしゃったように、青色です。しかし、少し紺色寄りなんです。瞳の青が薄いほど魔力は攻撃寄りの魔法、濃いほど変化的な魔法に適応します。なので黒い瞳ということは超変化特化、もしくはどちらも使えるという可能性が高いです。実際には分かりませんが、どちらも使える方が有力だと思いますよ。先ほどの魔法は明らかに攻撃魔法です。私ではあのサイズの火球は三秒程度しか維持できません。魔力が噛み合わないんです。輸血と同じような話で相性が悪いんですよね」
 長々と説明してくれるが、正直いまのとこ瞳の色が魔力の相性に関係することしか分からないんだが。
 確か魔王軍幹部と名乗ったあの男はかなりどす黒い色をしていた。つまり変化寄りってわけか。
「私のような魔力を持つ者の瞳は魔力を持たない人間にはあなたと同じような黒い瞳に見えます。それは体から認識阻害の魔術回路が組み込まれた魔力が漏れ出ているからなんです。私の瞳を見る者は瞳の認識が阻害されるため黒く見えるようになっているんです。原理は不明ですが、生まれつき魔法が使える者はそうなっています。では何故あなたのような魔法を使える方に青く見えるのか、という話ですよね。この漏れ出る魔力が見る者に作用しているのですが、魔力を持つ者は自分の持つ魔力と中和されて届かないんです。漏れ出る魔力は非常に微量ですから、多少でも魔力を持っていれば青く見えます」
 よくこの文章を途切れさせずに言えたものだ。俺なら途中でめんどくさくなって大分端折っていただろう。
 そしてここでようやく深く息をついた。
「今まで私は家族以外に魔法を使える方は見たことがありませんが、黒い瞳の異常性は分かります」
 ……ルフの設定ミスとかじゃないのか?
 まあいい。もう少し魔法についての話を聞くことにしよう。
「私の家系は魔法が使える者が多いんです。その中には攻撃魔法を使える人もいます。私の父もそうですが、普通ではありません」
 つまり俺にはやっぱり主人公補正がかかっていたってことか。……後でルフに謝ろう。
「あなたの魔力量は相当です。もしかしたら漏れ出る魔力が多すぎて私のような魔力を持つものでも黒く見えるという可能性は無きにしもあらずです」
 なんか必要なさそうだしもう敬語いらんか。
「それはない。俺は生まれた時から黒だ」
 毎日風呂の鏡で見ていたから確実だ。そもそも大して多いわけではない。正確に把握していないが、あってもアルスより少し多いくらいのはずだ。
「そうですか。……あぁ、冒険者試験で魔法を使うのは当然なしですよ。身体能力強化を使えば大抵クリアできてしまいますから」
 なるほど、それではつまらない。素の身体能力で行くとしよう。
「分かった」
「ちなみに攻撃タイプの魔法使いは二千分の一程の確率だと聞いたことがあります」
 二千、か。なかなかに低いな。ありがとうルフ。
「すごい確率だな……」
「両刀は聞いたこともありませんよ。もしそうだとしたらすごいことです」
 そこまで言ってパチンッと手を叩き花開くような笑顔をこちらに向けた。
「そうだっマシロさん、うちに来てみませんか?父なら有益なことを教えてくれますよ」
 アルスがグイグイと顔を寄せてくる。
「良いのか?」
「はい、もちろん!」
 菓子折りでも用意するべきか? そのへん全くわからん。
 アルスは近寄りすぎていた事に気がついたのか顔を赤らめて座り直していた。
「……じゃあ試験の後に行かせてもらおうかな」
 そう、今は試験優先だ。体術を鍛えなければ。
「はい! 日にちを決めたら教えてください!」
 しかし、受付嬢って休みあるのか?
「受付嬢は休日ってあるの?」
「? ありませんよ?」
 ?? さも当然のように答えるが当然ではない。あの会社ですら休日はあった。休日と呼べるのか怪しいくらいの電話はあったが。
「有給使います」
 いやいやいや、有給はもっと使い道あるから。
「有給使うほどのことでもないでしょ」
「いや、私は有給を使ってでもマシロさんの成長した姿が見てみたいです!」
 それは嬉しいことだが、有給はもったいない。
「それに、私が案内したほうがスムーズでしょう?」
「ほんとに良いのか? 有給は貴重だぞ」
「いいんですよ。そもそも使うこと少ないですし」
 そこまで言うならお言葉に甘えさせていただくことにしよう。
「分かった。じゃあ頼むよ」
「はい! お任せください!」

 俺とアルスが部屋から出ると待ち構えていたのかもう一人の受付嬢がいた。
「ちょっとアンタ! 先輩と何話してたの!」
 アルス同様顔は良いのだが、どことなく尖った性格をしていそうだ。アルスよりも北欧感がある。北欧感ってのもよく分からんけど。
「ちょっとアモレアちゃん、お客様だよ」
 何を話していた、か。どう説明すればいいのだろうか。
「……ちょっとね」
 とりあえず誤魔化そうとするが嘘をつく才能がなかったらしくロクな言葉は思い浮かばなかった。
「……エッチなことですか? そうなら許しませんよ」
 僅かに顔を赤らめながらアモレアと呼ばれた女性がそんなことを言い出す。
「そんなわけないだろ……残念ながら」
 手をひらひらさせながらそんな心はないとアピールする。
「なっ……やっぱり先輩のこと狙ってるのか!?」
 なんで俺がアルスを狙えると思っているんだ。
 完全に高嶺の花と言うやつだ。
 ……合ってるよな? 国語は苦手だ。まぁ国語だけじゃないんだがな。
「俺にはもったいない存在だよ」
「はぇっ!? そ、そんな……褒めても何もでませんよ」
 今度はアルスの方が赤くなる。
 こうしてみれば魔法使い以前に女の子だということがよくわかる。
「……わかってるなら良いんですよ。…………そんなことより! 何を話してたのか聞いてるだろ!」
 可愛い顔して恐ろしい言葉遣いだ。口だけなら俺はボコボコだな。
 睨むような、というか二つのエメラルドグリーンアイズがこちらを睨んでくる。
 アルスの方を向くと任せてくださいと言わんばかりの笑顔を見せていた。
「冒険者試験について説明してたの。ちょーっとしつこくてね」
 なんか俺がしつこいことにされたんだが……。
 先ほどの全幅の信用を返してくれ。
「やっぱり先輩を狙ってたんですか」
「違う違う、冒険者試験について知りたかっただけだよ」
 さらに険しくなる目に対して抵抗の意はないということを表現しようとするのだが、俺には表現力も無かったらしい。
「……はぁ~まぁいいです。先輩を信じます」
 大きくため息をついてこちらを睨むのをやめるアモレアさんに俺も安堵の息をつく。
「先輩に手を出したら容赦しませんからね」
 アモレアさんの細い腕なら今の俺でも折ることはできる。もちろんしないが、俺は受付嬢くらいになら勝てる。
 ……受付嬢に勝ったところでか。
「分かったよ、手は出さない」
 アルスが頭を軽く撫でると恍惚とした表情で上機嫌に立ち去ってしまった。
「……すいません。あの子血の気が多くて」
 アルスが頭を下げるがそんなことするくらいなら俺も頭を撫でて欲しい。
 そんなこと言ったらアモレアさんが飛びかかってくるだろう。もしかしたら世界の壁すら越えてくるかもしれない。
「いやいや、いいんだよ。あのくらいの方がかわいいってもんだ」
「……? そうですか……」
 そんな何言ってんだコイツ見たいな顔を向けないでくれ。
 冒険者ギルドの表まで戻り、アルスがカウンターの中へ入っていく。
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