スライム級の俺がドラゴン級になるまで

燈蒼

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青目の魔法使い

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 こうして歩いていると、やはり体力がついたことが分かる。前までならそれなりに疲れていただろうが、あまり疲れなくなった。
 ギルドに入ると喧嘩をしているグループがいた。それを華麗にスルーしてアルスの下へ向かう。
「いらっしゃいませ! ……あれ? マシロさん、こんにちは! 本日はどういったご要件で?」
 その青い瞳に吸い込まれてしまいそうだ。
 すごいな。俺なんて会社のお得意様の名前覚えるのに二週間かかったぞ。
「ちょっとここだとまずい話なんですけど、場所を変えることってできませんか?」
 …………まずいな。これはナンパだと思われてもおかしくない。訂正するか? だが他にどう言えばいいんだ……。
「……分かりました。こちらへどうぞ」
 速やかにギルドの事務所らしき部屋に案内される。見たことのない文字で応接室と書かれている。物わかりは良さそうだ。
「……告白でしたら、申し訳ありません。そういうのはお断りしています」
 ぜーんぜんそんなことなかったわ。こんなところまで案内して先に断られるとは。
「いや、違います。魔法について————」
 違うと言うと顔を少し赤くしたが魔法という言葉を言った途端雰囲気が豹変してとても女性とは思えないスピードで口を塞いだ。
 いや、時代的にそういうのはダメか。
「な、何故あなたがそれを知っているのですか!?」
 いや、口塞がれてるんだけど。
 先ほどまでの笑顔からは想像もできない恐ろしい表情で睨みつけているアルスの手に指差して主張する。
「あ、あぁ、すみません」
「いや、大丈夫です。えーと、俺も使えるんです」
 おそらく魔法という言葉は出さないほうがいいのだろう。軽く指を立てて直径一センチ程の火球を生成する。
「!? 目を見せてください」
 言うだけ言って目を覗き込みに来る。ルフと比べて見るからに胸がある。少し緊張するんだが……。
 俺は慣れている人ならどこまでも緊張しないし慣れてない人だととことん緊張するおかしな人間なのだ。
「これは……生まれつきの色ですか?」
「そりゃ、まぁ」
 カラコンとか痛そうだから入れたくない。
「……では、私の目を見てください」
 少し視線を落としてその瞳を見つめる。
「…………胸を見ろだなんて言ってませんよ。何色に見えますか?」
 見ていない。見てはいないが本当に少し手を動かせば極上の柔らかさを味わえるだろう。ちょうどいい位置にある。……やらないからな? んなもんただのセクハラだ。
 それに怒られかねないからな……。
「そりゃ、青ですね……」
 さすがに青だよな? 綺麗な青だ。
「…………本当なんですね」
 アルスが一歩下がり、改めて全身が確認できる。胸だけでなく全体的にスタイルがいい。俺の目線の少し下程の身長だ。
「……分かりました。確かに魔法は使えるようです。分かっていると思いますが、魔法は隠してください」
「あぁ、大丈夫ですよ」
「ちなみに……何故私の下へ?」
 どうやって説明したらいいのだろうか。さすがに女神がどうとか言っても信じられんよな。
「正直に話してください。お望みなら私の能力も知識もお話します」
 能力や知識、か。それは知りたい。ならば言われた通り素直に話すしかないか。
「……分かりました、話します。……女神に導かれてきました」
 いやいや……これをどう信じればいいんだ。俺なら絶対信じないぞ。
「女神!? あなたは女神の加護も受けているのですか!?」 案内された通りソファに腰掛ける。部長のソファよりいいやつだぞこれ。
 納得できるようで納得できない事を言うアルスは反対の椅子に腰を下ろした。
「アルスさんもこっち座ったらどうです? 硬くありません?」
「いえ、そういうわけにはいきません。あとさん付けもいりません」
「隣が嫌なら俺は椅子でもいいんでこっち座ってください」
 アルスの笑顔がまた戻ってきた。ポーカーフェイスってすごいな。真の感情が読み取れない。
「私はもともと体は鍛えています。この程度なんてことありません」
 とても鍛えているようには見えない体つきなのだが……足も腕もとても細く、簡単に折れてしまいそうだ。背もあまり高くない。
 というか、そもそも鍛えているかは関係ない、俺は男でアルスは女性だ。
「アルスは女性なんだから遠慮しなくていいですよ。こっち座ってください」
 俺が立ち上がるとようやくアルスがソファに来てちょこんと座る。
「すみません。マシロさんもこちらへ」
 ……さすがに予想外だ。本当に大丈夫なのか?これで隣に座ったら訴えられるとかないか?
 さすがにないか。
「……とりあえず、私の能力について説明しましょう。私は身体能力強化と身体強化の魔法のみしか使えません」
 こちらに真剣な眼差しを向ける。
 その二つに違いなどあるのか。
「当然、先ほど口を押さえた時も使っています。私が体を鍛えているのはこの力に対応するためなんです。体が弱くては魔法に追いつけません」
 手をグッパと閉じたり開いたりする。
 なにやら長いセリフでも吐こうとしているのか大きく息を吸った。
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