スライム級の俺がドラゴン級になるまで

燈蒼

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二次試験終了

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 曲が止まった。結構経ってたんだな。百周だ。
 立ち上がるのも面倒だがずっと座っているわけにもいかないと立つ一歩手前まで体を動かすと頭の数ミリ上に魔力を感じた。
 焦って上を見ると本当に微かだが直撃すれば脳に後遺症くらいは残りそうな火力のこもった稲妻が髪の毛を掠めていた。

 細くすることで操作性をあげてギリギリ当たらないようにした? 何故?
 そんなことをする意味があるのか?
 今のは当てれたはずだ。さすがに早すぎて何処から飛んできたのかは分からないが殺意の籠もった魔力ではなかった。

 ここで衝撃なことに曲が再開していた。つまり先ほどのは? あの攻撃は救ってくれたということか? そいつは助かったが誰だ?
 周りを見渡す。しかしそれらしいやつは見当たらない。俺から見えるうちに青い目のやつは居ないしこっから見て分かるものではないだろう。
 まぁいつか会えたら感謝の言葉を伝えさせてもらうとしよう。
 しかしあの魔法、相当鍛錬を積んだものだ。一目見りゃ分かる。魔力もかなり隠されていたし空気中ではほとんど見えない極細な雷には今の俺の魔力全てと同等かそれ以上が込められていた。
 喰らってみたい気もしなくはないが今マトモに喰らうと二度目の死を経験することになる気もする。
 ぜひとも先生になっていただきたいものだ。

 曲が再開して三分経過していた。ここで試験が本当に終了したらしい。
 よく考えたら名前すらも知らん試験官が出てきた。
「合格した者のみ今から呼びに行く。そのまま座っていてくれ」
 次々に声をかけられ一部に集められる。
 あのイケメンが呼ばれ歩いていき、周りの親衛隊は放置された。まぁ集中という条件ガン無視だったからな。
「合格だ。あそこの人が溜まってるところで待っててくれ。自己紹介がまだだったな、私はグルス・ラックと言う。覚えてくれなくてもいい」
 俺も呼ばれて歩いていく。自己紹介タイミングどうなってんだよ。次に呼ばれたのはあの小学生。まじかよ、合格したのか。飴玉で屈しそうな年だろ。

 人数は、百くらいか? 多い……のか? 分からん。
 なにはともあれ、二次試験合格だな。

「キミたち、冒険したいか」
 だーれだ。しーらね。
 まぁ誰でもいいさ。第三次試験官だろ。
 場所は変わらず知らない平地、変わったのはその試験官のみだ。
「オレはログファ・ブロル。第三次試験官だ。早速だが、冒険をしようじゃないか」
 へー? ようやく試験らしくなってきたじゃねえか。おもしれぇ。
 思わず笑みをこぼす。勘違いかもしれないがあの子供が胡散臭いものを見る目で見てきた気がした。
「ついてこい」
 と、言い残して振り向き、後ろに走り出した。
 頭を使ったらダメだ。とりあえず走れ。
 まだ追いつける。全然問題ないがこれ以上スピードが上がったり俺が止まったら危ない。
「アンタ、手加減してくれるんだな」
 なんとなく煽りを入れてみる。
「おや、そんな無駄口叩く余力があるのか。新人にしてはいいじゃないか」
 優しげな男は顔をこちらに向けて余裕の表情を見せる。さすがは冒険者ってことか。俺はあんまり余力ないんだがな。
「俺よりあそこのイケメンとかあの小学生のほうがよっぽど優秀そうだがな」
 びしょ濡れの雑巾から絞り出すような声でそう言った。
「キミ、なかなかに見る目はあるみたいだな。あのイケメンはすでに冒険者だ」
 は?
 危な、止まるとこだった。
「どういうことだ」
 これは試験なんだろ? なんですでに冒険者のやつが。
「キミ、知らないのかい。今回の四次試験はあのログプがやるんだ」
 まーた知らん名前が出てきたな。言い方からしてすごい奴なんだろうが聞いたことないぞ。俺の世間知らず舐めんな。
「誰だそいつ」
 素直に疑問をぶつける。
「は? キミ本当に冒険者になる気あんのか?」
「あるに決まってんだろ」
 何言ってんだコイツ。なる気ないのに命駆けるわけないだろ。まぁまだ賭けてないけど。
「ログプ・セロ、最強の冒険者だよ。剣豪とか何とか呼ばれてるさ。衰え知らずで二十年くらいその地位を保ってる」
 へぇ、面白いじゃないか。
 自然と口から笑みがこぼれる。
 最強、か。そんなんと手合わせできるのか? 俺の運も捨てたもんじゃなかったな。
「なんで今の聞いて笑ってんだよ」
「そりゃおもしろいからに決まってんだろ。頭大丈夫か?」
 最強に届くなんざ思っちゃいないさ。だが最強と呼ばれるほどの実力を持ってるやつ相手に体術の訓練ができるんだろ? 最高じゃないか。
「オレは一応試験官なんだぞ、そんなこと言っていいのかよ」
「ハッ、そんなことで落とすようなヤツじゃないだろ」
 なんとなく分かるさ。お前は実力主義、つまり俺向きだ。そうだろう?
 ほんと今ほど調子に乗ってる時もあるまい。
 なんだよ実力主義イコール俺向きって。イタイな。
「よく分かってるじゃないか。お前にも、今付いて来てるやつにも期待しているさ。遅れているやつに興味はない」
 やっぱりな。人を見る目だけは自信があるんだ。
 しかし、やはり俺はぼーっとすることよりも心が沸き立つようなことのほうが気質に合っている。
「そう言うと思ってたぜ」
「そうか。着いたぞ、ここはダンジョンと呼ばれる洞窟のようなものだ」
 おぉ! ダンジョン! すげー異世界って感じする! いやーようやくまともな試験か。
「キミたち、三人一組を組んでくれ。組めなかったらその時点でアウトだ」
 …………俺には効かないぞ。いーや、俺にはそんな暗い過去はない。先生と組んだことはないからな。断固として。
「おい、組もうぜぃ」
 あぁ、良かった。なんだか救われた気がするな。名前も知らん青年だがいてくれて助かった。
 いや、別にさ、コミュ力ないわけじゃない
「あぁ、んじゃあと一人だ」
 だがこれが意外と見つからない。すでに完成させた人たちがそれなりにいるし運悪く近くに人があまり居ない。
 あのイケメンもすでに完成させてやがる。親衛隊は一人としていなくなっていたが代わりに強そうなやつらが集まっていた。

「…………入れて」

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