スライム級の俺がドラゴン級になるまで

燈蒼

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第三次試験

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 ………………は?
 全く気が付かなかった。突然後ろに気配が表れた。俺の気配察知はそれなりのもののはずだ。
 毎日森にいるんだからな。自らを魔王軍幹部だと名乗ったあの男は……まぁ置いといて。
 その声の主はあの生気を失った小学生。
 気配を消し去って近づき、俺の背中を指で軽く突いていた。
 個人的な意見としては絶対入れたくない。なんたって得体が知れなさすぎる。
 改めて見たその少女は割と可愛らしい服装をまとっていた。
 ロリータファッションと言うのか分からないがフードの付いたグレーのマント、中にはボタンが縦に並んだ白いブラウスを着ている。
 下半身は白のスカート、その前方以外をマントが隠していた。
「……どうする?」
 と、声を潜めた青年。
「………………」
 俺は一つとして余計なことをしたくない。コイツの火種なんか作りたくないんだ。
 拒否も肯定もしたくない。断って逆上、肯定して近くに置きリスクを増やすのも嫌だ。

 …………無理だ、どうしようもない。
 どう足掻いても危険だ。ならば青年の意見に賛成するか? ……そうだな、それが一番リスクが低い。

「お前に委ねる」
 ただの責任転嫁だ。悪いが俺は自分優先なんでな。死んだら葬式には出てやる。
「小学生を入れてもな……足手まといになるだけだろう」
「いや、実力はある」

 ………………俺はなんてことを。つい口に出してしまったぞ。これはダメな展開だ。
 あぁあ、もうなるようになれ。
「そうか?」
「……………………」
 俺の無言をどう受け取ったのか頷いた。お願いだ、拒否してくれ。下手したら蛇に飲まれるカエルが羨ましくなるような酷い怯えを抱くかもしれないんだぜ。
 ってこんな風に思ってるとフラグが立つなんてのは定番で、どんどんと状況は悪くなるような気がする。
「…………分かった。入れてあげるよ」
 ………………はぁ。明日の俺、生きてっかな。
 青年の口調はただの子供だと思っているのだろう。子供に向けてなら正解なんだろうがコイツはただのロリではない、気がする。

 よくコイツは笑顔を浮かべてられるよ。圧を感じられなくてもこの無表情を見たら笑うのもバカらしくなるだろうに。

「時間だ。今三人組を組めてるやつは来てくれ」
 それなりに危なかった。自己紹介すらもする時間はなく、互いの顔しか知らないような状態でダンジョンに潜ることになる。
「自己紹介といこう。俺は真白冬弥だ」
 さすがに名前も知らんようではロクな連携も取れんだろう。うん、ナイス俺。
「オレはモストピア・ルーだ。魔物のことなら任せてくれ」
「ネスナ・ロリイタ」
 つい立ち止まってしまった。
 笑うところだったぜ。ロリの名前がロリイタか。なんだそら、偽名かよ。
 ……いや、それは良くないな。

 ロリのせいで青年の名前忘れた。
「もっかい言ってくれ」
「モストピア・ルーだ」
 あぁモストピアね。覚えた。……多分。
 ロリは歩みを止めていない。疲れも会話も関係ないらしい。呼吸をしているのかすら怪しい。
 くすんだ白い髪が軽く揺れるだけで動きはブレない。

 ……やはりおかしいのは俺の気配察知能力じゃなくてこのロリだ。
 魔物の気配がある。
「ストップ」
 青年、じゃなくてモストピアは気付いていないらしく不思議そうな顔を見せる。
「魔物だ」
 魔物好きなんだろ、今から出てくる魔物を当ててみろよ。俺は感じたことのない気配だぞ。
 一応ロリも止まった。正直今すぐ逃げ出して一人で攻略したほうが怯える必要はないがそんなことをしては失格にされるかもしれん。
「……こいつは、『デッドウルフ』だな。心臓部にある核を破壊すれば――――」
 説明を終える前に、というか聞く気もなしに、いや、聞いてないな。ロリが目にも止まらぬ速度でどこかしらからナイフを取り出し核を破壊した。
「…………な……」
 やっぱりこいつはただのロリではない。敵に回してはならん。かなり人知を超えた速度に火力だ。
「核ってのはそんな柔らかくない……そこらの岩よりも硬いはずだ」
 モストピアが正しいのかイマイチ分からない身振り手振りでその恐怖を露わにしている。
 圧だけで俺は超ビビってるんだがな。実際実力はケタ違いだ。
 俺と大きすぎる差はないくらいの基礎体力だろうがあまりにも躊躇がなさすぎる。その上小学生のクセして俺より技術が高い。
 少しは魔物に恐れを抱かないものか。
 ……抱かないんだろうな。俺だってコイツと戦うくらいなら魔物の群れに突っ込むさ。

 ナイフを何処かにしまうとこちらに向いて戻ってきた。
 落ちた魔核には興味を示していない。
「魔核は要らないのか」
 声を挟むというのは少し度胸が必要だったが。声をかけないというのも少し不自然かと思い、仕方なく労わずにそう言った。
「要らない」
 首を振った。テンションが低くどことなくこちらの生気すらも失われていくような声を小さく発する。
 いい声なんだがどうにも恐れのほうが多い。圧をどうにかしてくれよな。ロリにかわいいなんて言ってロリコン疑惑とかでもめんどくさいから言わないが。
「金になるぞ」
 あまり多く喋ってもリスクが増える。なるべく簡潔に短く。
「要らない」
 金が要らないやつなんて居るのか。別にいいんだがな。
「じゃあオレが貰っていい?」
 コイツはよくさっきの瞬殺を見てこの口調を続けれるよ。ただの子供じゃないことなんて見りゃ分かるだろ。
「構わない」
 俺は気をつけて短くしているというのに素で端的な言葉ばかりのやつは本当に短いなおい。
「ありがとう」
 そう言いながらショルダーバックのようなものに詰める。魔物好きってのは伊達じゃないのか。
 まぁいい。先に進むだけだ。
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