かわいいものが好きなボクは、ボクを否定する王子を「ざまぁ」して胸を張って生きていきます。

さくしゃ

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私は……。

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「オルナ」

 ドアの外からエリザベスの声ーー。

「オルナ!」

 頭の中で何度も何度も謝り続けた。

 あの日、決別してから一度も聞くことのなかった声。

(……今さらエリーが私のところに来るなんてありえない。幻聴だな)

 眠くて、重くて、揺れる視界なのにも関わらず、意識だけは落ち着いていて、現実的に考えてあり得ないと私は思った。

(でも……)

 布団をどかして、ベッドから立ち上がる。

「……っと」

 立ち上がった瞬間、揺れる視界に平衡感覚が掴めず、背中からベッドに倒れた。

「……どんな光景だよ」

 グニャァァ、と歪みに歪んだ天井の木目を見つめていたらあまり体験したことない光景に思わず笑みが溢れた。

「オルナ!!」

 そしてドアの方からはエリーの幻聴が聞こえてくる。

(なに幻聴に喜んでるんだろ。ついに頭がおかしくなったのかな……)

 おでこに右腕を乗せて、片目を覆い、まぶたを閉じた。

「はぁ……」

 まぶたを閉じても目が回っている。グラグラと。

(ああー、でバカだってわかってるけど……)

 吸い込んだ息が肺から放出され鼻腔を通って喉を揺らす。吐く息と同時に、

「嬉しい」

 涙と共に言葉が漏れ出た。

「っ!……あ」

 涙が止まらない。とめどなくでてくる。

(ありがとぉ"ぉ")

 幻影だとしてもエリーがもう一度私の名前を読んでくれているこの現象に感謝の念しか湧いてこなかった。

 ひとしきり泣いたあと、

「オルナ!」

 私の名前を呼ぶ大切な人の元へ歩き出し、

「オルナ!」

 ドアを開き、

「エリー」

 その人物を抱きしめた。

「オルナ!オルナ!!」

 幻覚にしては、やけにリアルにエリーの体温や感触、匂いが伝わってきた。

「あははは!」

 しかしその後ろで、

「も、もうダメー!」

 と豪快に笑い転げるユリウスの姿を見て、

(やっぱりこれは夢だ……)

 私はそう思った。

(そっか。これは夢か)

 どこかリアルな夢に「現実なのではないか?」と期待していたのか、そう思ったら少しだけ緊張で固まっていた体から力が抜けた。

(なら……)

「オルナァァ!」

 私を激しく抱きしめるエリザベスの耳元で、

「約束していたのに嘘ついてごめん……ね」

 そう囁いた。

「え、ちょっと!オルナ!」

 遠のいていく意識の底で、慌てるエリザベスの姿と声だけが明瞭に聞こえた。

(やっと言えた……)
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