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完!
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完!
オリビアside
ラルクがマイクを枝に吊るして1ヶ月。
「窮屈すぎる~」
あのあとマイクは三日間枝に吊るされて降ろされる頃には干からびかけていて弱々しくなっていた。そして負けたというショックから自分の部屋に閉じこもってしまった。
「もうすぐ終わることなんだから我慢しなさい!」
しかしマイクへの罰はそれだけでは終わらずマイクを真竜撃退の褒美で男爵にした国王だったが、本音は大きすぎる力を持ち独善的なマイクをいつか奴隷化して王国のコントロール下に置きたかったとのことでマイクは「王国転覆」を企てた罪で国王の奴隷となった。
「はぁ……何で俺なんだよ」
"いやだぁ!こんなことしたくない!誰かたすけてくれぇぇ!!"
と毎晩のように叫んでは鞭で打たれているという噂を聞いた。
そして使用人や一部の騎士達は屋敷のお金に手を出していたり、妻子ある身で不倫をしていたりと、このまま雇い続けていてはただでさえマイクの一件で信用が地に付したヴァイブラント家のことを考えて三十人全員を解雇した。
それから新しく十五人の優秀な人材を雇い入れた。その中には、
「あっしが執事とか……正気でやすか?」
「こら!あっしとか言わない!それに『やすか?』じゃなくて『ですか?』よ!」
私もラルクが信用する存在の姿もあった。と振り返っているうちに領民が階下の中庭に集まっているのが見えた。私とラルクは頷きあうと手をにぎ、
「あ、あれ?」
「こ、こうかしら?」
にぎ、にぎ……指が絡まったり、腕相撲をする時の握り方になってしまったりでうまく握れなかった。
「何してるんですか!みんな待ってるんですから早く手を握って挨拶して来てください!オリビア様!ラルク新領主!」
いつまでも手を握って挨拶へ行かない私とラルクを見かねたエミリアに注意されてしまった。
さすがは長年私に仕えているだけあって鋭い。一目で私とラルクが手を握り会えずにいる理由を見抜かれてしまった。
「ふぅぅ」
1ヶ月なんだかんだラルクはマイクの捕縛や使用人達への解雇通達や人員募集……全ての場面で隣にいてくれた。寝る、お風呂に入るということ以外ではほとんど一緒にいた。なのに「ラルクに触れる」ということは今だに私の中で心臓が弾けるほどに照れ臭くて……しかしそうも言ってられず気持ちを切り替えて、
「行こうか」
「うん」
私とラルクはお互いの手を握り頷きあうとバルコニーへと歩き出した。
(まあ、少しずつ慣れていけばいっか)
隣を歩くラルクを横目にチラリと見て、
(あっ……)
視線が交差して慌てて逸らした。
「はは」
「ふふ」
二人して。それから誤魔化すように笑った声が重なった。
オリビアside
ラルクがマイクを枝に吊るして1ヶ月。
「窮屈すぎる~」
あのあとマイクは三日間枝に吊るされて降ろされる頃には干からびかけていて弱々しくなっていた。そして負けたというショックから自分の部屋に閉じこもってしまった。
「もうすぐ終わることなんだから我慢しなさい!」
しかしマイクへの罰はそれだけでは終わらずマイクを真竜撃退の褒美で男爵にした国王だったが、本音は大きすぎる力を持ち独善的なマイクをいつか奴隷化して王国のコントロール下に置きたかったとのことでマイクは「王国転覆」を企てた罪で国王の奴隷となった。
「はぁ……何で俺なんだよ」
"いやだぁ!こんなことしたくない!誰かたすけてくれぇぇ!!"
と毎晩のように叫んでは鞭で打たれているという噂を聞いた。
そして使用人や一部の騎士達は屋敷のお金に手を出していたり、妻子ある身で不倫をしていたりと、このまま雇い続けていてはただでさえマイクの一件で信用が地に付したヴァイブラント家のことを考えて三十人全員を解雇した。
それから新しく十五人の優秀な人材を雇い入れた。その中には、
「あっしが執事とか……正気でやすか?」
「こら!あっしとか言わない!それに『やすか?』じゃなくて『ですか?』よ!」
私もラルクが信用する存在の姿もあった。と振り返っているうちに領民が階下の中庭に集まっているのが見えた。私とラルクは頷きあうと手をにぎ、
「あ、あれ?」
「こ、こうかしら?」
にぎ、にぎ……指が絡まったり、腕相撲をする時の握り方になってしまったりでうまく握れなかった。
「何してるんですか!みんな待ってるんですから早く手を握って挨拶して来てください!オリビア様!ラルク新領主!」
いつまでも手を握って挨拶へ行かない私とラルクを見かねたエミリアに注意されてしまった。
さすがは長年私に仕えているだけあって鋭い。一目で私とラルクが手を握り会えずにいる理由を見抜かれてしまった。
「ふぅぅ」
1ヶ月なんだかんだラルクはマイクの捕縛や使用人達への解雇通達や人員募集……全ての場面で隣にいてくれた。寝る、お風呂に入るということ以外ではほとんど一緒にいた。なのに「ラルクに触れる」ということは今だに私の中で心臓が弾けるほどに照れ臭くて……しかしそうも言ってられず気持ちを切り替えて、
「行こうか」
「うん」
私とラルクはお互いの手を握り頷きあうとバルコニーへと歩き出した。
(まあ、少しずつ慣れていけばいっか)
隣を歩くラルクを横目にチラリと見て、
(あっ……)
視線が交差して慌てて逸らした。
「はは」
「ふふ」
二人して。それから誤魔化すように笑った声が重なった。
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