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襲来①
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「アルスさん!狼煙です!狼煙が上がりました!」
遠距離部隊長が、アルスに報告する。
「わかった!みんな!聞いた通りだ!目標地点まで撤退!」
アルスは、魔物の軍勢に勝利して湧く、隊士達に指示。
「「「はい!」」」
アルスの指示に隊士達はすぐに反応し、武器をマジックバックにしまい、撤退していく。
(姉さん……日向殿……)
アルスは崩れたフレバンスの街を見つめ、隊士達の後に続き、撤退する。
******************
「……」
リナは、父の鎧を手に持ち、じっと鎧を見つめる。
「……」
次第に瞳からポタポタ涙が出てきて、止まらなくなる。
街のみんな、私や部下達を逃すために父さんは、1人で門の前に立ち、街から出てこようとするグールやオーガ達を相手に立ち向かっていった。
ーーリナやアルスは、本当に強くなった。俺の誇りだ。お前達が居てくれるから俺は最後の最後までこの街を守るという誇りを持って戦える。ありがとう。
最後に父さんが私たちに言った言葉。
(やっと……やっと解放させてあげられた!お父さん!)
リナはギュッとマイルズの鎧を抱きしめる。
ひとしきり泣いて、リナは、そっとフレバンスの地に鎧を置く。
「やはりお父さんは、フレバンスがよく似合うな」
マイルズがフレバンスの守護隊長になったばかりの頃、紺の全身鎧を照れながら着ていた時に、小さかったリナが言った言葉。
ーーははは。なら、もっと頑張らないとな
マイルズは笑って言っていた。
「隊長!狼煙を上げました!俺達も撤退しましょう!」
回復薬を飲み、動けるようになった隊士から声がかかる。
「ああ。今行く……それじゃあ。お父さん」
リナは、マイルズの鎧に背を向けて、隊士達の元へ向かう。
*******************
「勇者様!やりましたね!」
「喜んでる場合じゃないって!作戦通りにすぐ行動!」
怪力部隊(と呼ばれる予定)の2人が、日向に駆け寄る。
「はぁはぁ……」
日向は一気に魔力を使いすぎて体に力が入らず、その場で四つん這いになる。
(残りMP30か……やっぱり魔力を一気に使いすぎるとしばらくは体に力が入らなくなるな……ん!)
日向はなんとか立ち上がる。が、ふらふら。
「よいしょ!」
隊士の1人が、すかさず日向を肩に担ぐ。
「お!隊長!よかった!」
そこにリナ達がタイミングよくやってくる。
「ブハハハ!みんなボロボロですね!」
日向を担ぐ隊士が笑う。
「当たり前だ。誰を相手にしていたと思っているんだ!寧ろ、全員生きているんだから頑張った方だぞ!」
リナの横にいる隊士が怒り出す。
「喧嘩はそこまでにしておけ。予定地まで撤退するぞ!」
すかさず、リナは指示を出す。
「まあ、そう慌てることもないのではないか?ボロボロではないか。ゆっくりしていけ」
リナの指示に異をとなえる意見が飛ぶ。
(うちの隊士の中にこんな喋り方をするやつはいない)
リナは後ろを振り返る。
「ふむ。やはり太陽という奴はただ眩しいだけで何が良いのか……」
ピシッとしわの一つ無い白シャツ、黒のネクタイ、紺のスーツベスト、紺のスラックス、長年使ってそうなあじのあるダークブラウンの革靴と革のベルトを着こなした長い白髪、額には2本の角、青色の肌の野性味を感じる美男子が、瓦礫に足を組んで座り、陶器のティーカップとお皿を持って、優雅に紅茶を飲んでいた。
「その豚の肩にいるのが勇者か……ふむ」
その男は一瞬で姿を消し、気がつくとリナの背後にいた。
(な……全く反応できなかった……)
その男は、無防備にもリナと隊士達に囲まれた中で、担がれている日向を物珍しそうジロジロと見る。その様子は、商品を売り込まれた時に査定する商人のよう。
「なるほどな……レベルは40といったところか……この世界にきて日は浅そうだな。それでここまで強くなるとは……」
男は再び姿を消す。
「おい。勇者。起きているのだろう?」
今度は、上の方から男の声がした。
リナ達は一斉に上を見る。
男の声に反応して、担がれていた日向は、隊士の肩から降りて、男の方を向く。
「お前が……魔王?」
日向は、男を見てなんとなく感じたことを口に出す。
「そうだ。俺が魔王「ダークネス」お初にお目にかかる風の勇者よ」
男は優雅にお辞儀をする。
「俺はお前が気に入った。この世界で唯一オレと並び得る力を持った存在だろう。俺は久しぶりに気分がいい。久しく踊ることのなかった胸が高鳴っているほどだ」
魔王はそうは見えないテンションで話す。
「その礼と言ってはなんだが、お前の強さを1段階上げる手助けをしてやろう」
上機嫌?な魔王は、空中に手をかざす。その手に可視化するほどの闇の魔力が集まり、ピンポン玉の大きさにまとまる。
「今から、この黒い球をお前に向かって放つ。こいつはお前の前についた途端に、この街を飲み込むほどの大きさに一気に肥大化する。それを抑え込んでみろ。見事抑え込めたならば、「俺は」、王都に手を出さずにこのまま帰ってやる。だが、抑え込めなかったら、このまま王都へ行き、残っているゴミ共を俺自らの手で皆殺しに行く」
魔王から絶大な殺気が放たれる。
「あばば」
「ひ……」
殺気に耐えられずに隊士達は、次々と気を失っていく。
「ほら。ちょうど力が出しやすいように動けない者達も出たぞ?「闇穴(ブラックホール)」」
日向に向けて、絶望が飛んでいく。
遠距離部隊長が、アルスに報告する。
「わかった!みんな!聞いた通りだ!目標地点まで撤退!」
アルスは、魔物の軍勢に勝利して湧く、隊士達に指示。
「「「はい!」」」
アルスの指示に隊士達はすぐに反応し、武器をマジックバックにしまい、撤退していく。
(姉さん……日向殿……)
アルスは崩れたフレバンスの街を見つめ、隊士達の後に続き、撤退する。
******************
「……」
リナは、父の鎧を手に持ち、じっと鎧を見つめる。
「……」
次第に瞳からポタポタ涙が出てきて、止まらなくなる。
街のみんな、私や部下達を逃すために父さんは、1人で門の前に立ち、街から出てこようとするグールやオーガ達を相手に立ち向かっていった。
ーーリナやアルスは、本当に強くなった。俺の誇りだ。お前達が居てくれるから俺は最後の最後までこの街を守るという誇りを持って戦える。ありがとう。
最後に父さんが私たちに言った言葉。
(やっと……やっと解放させてあげられた!お父さん!)
リナはギュッとマイルズの鎧を抱きしめる。
ひとしきり泣いて、リナは、そっとフレバンスの地に鎧を置く。
「やはりお父さんは、フレバンスがよく似合うな」
マイルズがフレバンスの守護隊長になったばかりの頃、紺の全身鎧を照れながら着ていた時に、小さかったリナが言った言葉。
ーーははは。なら、もっと頑張らないとな
マイルズは笑って言っていた。
「隊長!狼煙を上げました!俺達も撤退しましょう!」
回復薬を飲み、動けるようになった隊士から声がかかる。
「ああ。今行く……それじゃあ。お父さん」
リナは、マイルズの鎧に背を向けて、隊士達の元へ向かう。
*******************
「勇者様!やりましたね!」
「喜んでる場合じゃないって!作戦通りにすぐ行動!」
怪力部隊(と呼ばれる予定)の2人が、日向に駆け寄る。
「はぁはぁ……」
日向は一気に魔力を使いすぎて体に力が入らず、その場で四つん這いになる。
(残りMP30か……やっぱり魔力を一気に使いすぎるとしばらくは体に力が入らなくなるな……ん!)
日向はなんとか立ち上がる。が、ふらふら。
「よいしょ!」
隊士の1人が、すかさず日向を肩に担ぐ。
「お!隊長!よかった!」
そこにリナ達がタイミングよくやってくる。
「ブハハハ!みんなボロボロですね!」
日向を担ぐ隊士が笑う。
「当たり前だ。誰を相手にしていたと思っているんだ!寧ろ、全員生きているんだから頑張った方だぞ!」
リナの横にいる隊士が怒り出す。
「喧嘩はそこまでにしておけ。予定地まで撤退するぞ!」
すかさず、リナは指示を出す。
「まあ、そう慌てることもないのではないか?ボロボロではないか。ゆっくりしていけ」
リナの指示に異をとなえる意見が飛ぶ。
(うちの隊士の中にこんな喋り方をするやつはいない)
リナは後ろを振り返る。
「ふむ。やはり太陽という奴はただ眩しいだけで何が良いのか……」
ピシッとしわの一つ無い白シャツ、黒のネクタイ、紺のスーツベスト、紺のスラックス、長年使ってそうなあじのあるダークブラウンの革靴と革のベルトを着こなした長い白髪、額には2本の角、青色の肌の野性味を感じる美男子が、瓦礫に足を組んで座り、陶器のティーカップとお皿を持って、優雅に紅茶を飲んでいた。
「その豚の肩にいるのが勇者か……ふむ」
その男は一瞬で姿を消し、気がつくとリナの背後にいた。
(な……全く反応できなかった……)
その男は、無防備にもリナと隊士達に囲まれた中で、担がれている日向を物珍しそうジロジロと見る。その様子は、商品を売り込まれた時に査定する商人のよう。
「なるほどな……レベルは40といったところか……この世界にきて日は浅そうだな。それでここまで強くなるとは……」
男は再び姿を消す。
「おい。勇者。起きているのだろう?」
今度は、上の方から男の声がした。
リナ達は一斉に上を見る。
男の声に反応して、担がれていた日向は、隊士の肩から降りて、男の方を向く。
「お前が……魔王?」
日向は、男を見てなんとなく感じたことを口に出す。
「そうだ。俺が魔王「ダークネス」お初にお目にかかる風の勇者よ」
男は優雅にお辞儀をする。
「俺はお前が気に入った。この世界で唯一オレと並び得る力を持った存在だろう。俺は久しぶりに気分がいい。久しく踊ることのなかった胸が高鳴っているほどだ」
魔王はそうは見えないテンションで話す。
「その礼と言ってはなんだが、お前の強さを1段階上げる手助けをしてやろう」
上機嫌?な魔王は、空中に手をかざす。その手に可視化するほどの闇の魔力が集まり、ピンポン玉の大きさにまとまる。
「今から、この黒い球をお前に向かって放つ。こいつはお前の前についた途端に、この街を飲み込むほどの大きさに一気に肥大化する。それを抑え込んでみろ。見事抑え込めたならば、「俺は」、王都に手を出さずにこのまま帰ってやる。だが、抑え込めなかったら、このまま王都へ行き、残っているゴミ共を俺自らの手で皆殺しに行く」
魔王から絶大な殺気が放たれる。
「あばば」
「ひ……」
殺気に耐えられずに隊士達は、次々と気を失っていく。
「ほら。ちょうど力が出しやすいように動けない者達も出たぞ?「闇穴(ブラックホール)」」
日向に向けて、絶望が飛んでいく。
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