いじめられっ子の僕が

さくしゃ

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崩壊①

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 日向達は作品完成を祝うように空へと花火のようにブラックホールを打ち上げている聖都を背にして、湖の水を止めている3つ(西、東、南)ある水門の南へと来ていた。

 
 「派手にやっているな……」
 「そうだな……」

 「豊かな(アバンダス)」は海へと流れる河川「アテナ」へと通じている。その水路に人の手によって作られた上下スライド式の水門で湖の水量に合わせて流す量を調節している。

 その水門を言葉を流暢に話す4体のオーガ達が守り、管理している。主の作品の一部が少しでも流れ出ないように。

 日向達はそんな門を取り囲むように2手に別れ、日向とミカが西側、リナとエミが東側へと周りこみ、林の中から隙を伺う。

 「……行ってくる」
 「ああ……」

 両端の2体いるうちの1体ずつが、階段を登り、水門の上へと消えていった。

 (行きます!)

 日向は対岸にいるリナ達に向かって魔力の風を吹く。

 「縮地」

 高速で移動し、まずは階段に座り込もうと視線を下に向けたオーガの首を槍ではねる。

 「西側異常なし!」
 「東側も異常なし!」

 階段を登って行ったオーガ2体は向かい合い敬礼し、互いの点検報告を行う。

 ゴロロロロ……ポチャン……

 雷の轟音。その少し後に水に首が落ちた音。

 「どうでした?」

 水門の上で日向は剣を鞘に納めているリナに聞く。

 「3つの水門全てにいたオーガは、国境付近にいたオーガ達と変わらない実力ですね。少し知能が高いと言った感じでしたが、脅威にはならなそうです」

 通路に転がる2体のオーガを見る。

 「僕もそう思いました」

 日向はリナの背中の方を見る。

 (合流完了!)

 エミとミカが手を振っていた。

 「それでは作戦通りにいきます」
 「わかりました。後ほど」

 日向とリナは頷き、一瞬で姿を消す。

 「ミカ」
 「はい。作戦通りですね」
 「ええ。よろしくね」
 「はい。任せてください!」

 エミとミカは林の中に隠れて合図を待つ。

 *******************

 ーリーパーsideー

 「そろそろ目障りになってきたな……ジェット。やめさせろ」
 
 大聖堂の自室から外の光景を眺めるリーパーは側に待機するジェットにワイングラスを傾けながら命じる。

 「はい」

 ジェットは立ち上がり、部屋を出ていく。

 「ふぅ……お前も出ていけ。シーツも後で新しいのに変えておけ」

 ベッドの上ではだけた服を直すリア。

 「はい」

 しわくちゃになったシーツを持って、部屋を後にする。

 「血の湖、魔物、磔になっているグール達の声、厚い雲で昼間でもうっすらとだけ明るい景色……ははは!素晴らしい!どれか一つでもかけたら途端に崩れてしまうトランプのタワーのような絶妙なバランスでできた作品!改めてとんでもないものが出来上がったな!自分の才能が恐ろしい!」

 ローブ姿のリーパーはテラスへ行き、作品のパーツ一つ一つを眺めてニヤつく。

 「特に山から流れる水を別の川に通す水路を作るのには苦労したな……低知能な奴等のせいで2時間も仕事をさせられた……」

 感慨にふけるリーパーの耳に微かに何かが炸裂したような響きが届く。

 「リーパー様。報告です」

 ヴァッテンが部屋へとのしのし入室。

 「大橋の上を巡回中の数名の魔物達から湖の端で爆発するのを目にしたそうです。中には、水門の木片が弾け飛ぶのを目にしたという者達もおります」

 パリィン……

 ワイングラスが床に落ちて割れる。

 「!」

 リーパーは振り返り耳を澄ませる。

 ザザアザア……ゴロゴロ……ドボボボボボ!!

 雨が降る音、雷の轟音の中に微かに混じる水が勢いよく流れ出る音……

 「くそ!」

 リーパーは慌てて部屋に入り、ベッドの上に綺麗に畳まれた服を着る。

 (あいつ!)

 服を着替えるリーパーの頭の中には1人の人物の顔が浮かんでいた。

 「あの無能野郎!」

 リーパーの周囲に黒いオーラが漂う。

 「いかがいたしましょう?」

 ヴァッテンは指示を仰ぐ。

 「あ?馬鹿か!作品の復旧が先だろうが!さっさと水門に行って流れ出る水を止めてこい!」

 ヴァッテンの右太ももにナイフが突き刺さる。

 「かしこまりました」

 しかし、顔色ひとつ変えずに部屋を出ていく。

 「くそが!俺の作品を台無しにしやがってあの野郎!引き裂くだけじゃすまさねえ……ジェット!残りの馬鹿どもを捜索に当てろ!」

 リーパーの呼び出しにテラスの方からジェットが現れ、「はい」と返事をして、姿を消す。

 「リア!俺たちも作品を傷つけねえように街の外にいくぞ!」

 メイド服から戦闘服へと着替えたリアが姿を現し、リーパーの後を追って街の外へと橋を渡る。
 
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