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ヴァレリアside
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"由緒ある私たちと同じだと思ってるの?"
ミスリル鉱脈を発見した功績から子爵となった私の家は他家から浮いた存在で、
"調子に乗るんじゃないわよ、平民だったくせに!"
学園へ編入した私をよく思う人はいなかった。
"みにくい"
"豚!"
しかし1人じゃなかった。学園には私と同じくらい浮いた人が、ノアがいた。話したことはなかったけど、なぜか1人じゃないと思うと胸が軽かった。
"新学年です。皆さんにも後輩ができます。なので手本となるよう心がけてください"
そんなノアと私は同じクラス、しかも隣の席同士になった。
「よろしくね」
興味もあったし、どんな人なんだろうと思ってあいさつしてみた。
「……」
無視。チラリと私をみて、すぐに先生に視線を戻した。
(……えっ)
何かしら反応があると思っていた私は、
(えっ?)
固まるしかなかった。それと同時に「冷たい人」なんだと思った。でも、
(ああ!魔法学の教科書わすれた!)
私が困ってたら
「……」
何も言わずにスッと教科書を開いて見せてくれた。
(……えっ)
てっきり冷たいと思っていた人の優しい一面に
(えっ?)
私はまたしても固まるしかなかった。でも。
「……」
今、授業がどこまで進んでいるのか指をさして教えてくれるノア
「ふふ」
胸がじんわりとした。
「ありがとお」
これをきっかけに少しずつ私のあいさつに返事をしてくれるようになった。
知人から友人へ関係が深まることに拒絶反応を起こしたノアに急に避けられて傷ついたこともあった。
(ああ、もう!急になんなのよ!)
理由を話してくれないことに頭にきた。けど、友達をやめる、なんて選択肢は私にはなかった。不思議ともっとノアのことを知りたいと強く思っていた。だから
「どうして避けるの?なんで?」
逃げようとするノアを捕まえて聞いた。
「……」
ノアは言い淀んでいたけど話してくれた。以前、仲良くしてくれた人たちがいた。だけど本当は違って、心を開いたノアを見た途端、みんなで笑いながら痛ぶり、
"なん、で"
そう聞いたノアを見て
"は?"
笑いながら、
"少し考えりゃわかんだろ"
ノアにいったという
"お前と友達になりたい奴なんていねえよ"
と。それからノアは人が怖くて、心を開いたらまた同じような目に遭うんじゃないかって思うと。
「ごめんなさい。でも、ありがとお」
話を聞いて私はノアにそう言った。それから私とノアは以前のよう……いや、それ以上に仲良くなれた。2人で遊びにいくようになって、いろんなノアの一面を見て強く惹かれて告白した。
口下手で、大事なことほど話してくれないノアだけど、そんな一面があっても
「一緒にいたい」
って思って、好きって伝えた。
………
……
…
「今日ってどんな練習するんだっけ?」
「そんなことはいいから早く!部活に遅れちゃうよ!」
ノアのいない日常。いつもなら私がくつを履くのを待っていてくれる。そんなノアがいない。
「……」
お待たせって私がいうと、ノアはいつもふりかえって微笑んでくれた。
(いつからあたりまえって思ってたんだろう)
その"いつも"が
(私って本当にバカだ)
今はない。
"もういい"
そういってしまった自分のせい。自業自得。
(……)
失って当然。そう行動したのは私なんだから。
(やだ)
けど、頭でわかっているのに
(やだよ、そんなの)
私の身体は
(やだ)
真逆の答えを選んだ。都合がいいことだということはわかってた。けど、
(そんなのいやだよ!)
私は走り出した。
ミスリル鉱脈を発見した功績から子爵となった私の家は他家から浮いた存在で、
"調子に乗るんじゃないわよ、平民だったくせに!"
学園へ編入した私をよく思う人はいなかった。
"みにくい"
"豚!"
しかし1人じゃなかった。学園には私と同じくらい浮いた人が、ノアがいた。話したことはなかったけど、なぜか1人じゃないと思うと胸が軽かった。
"新学年です。皆さんにも後輩ができます。なので手本となるよう心がけてください"
そんなノアと私は同じクラス、しかも隣の席同士になった。
「よろしくね」
興味もあったし、どんな人なんだろうと思ってあいさつしてみた。
「……」
無視。チラリと私をみて、すぐに先生に視線を戻した。
(……えっ)
何かしら反応があると思っていた私は、
(えっ?)
固まるしかなかった。それと同時に「冷たい人」なんだと思った。でも、
(ああ!魔法学の教科書わすれた!)
私が困ってたら
「……」
何も言わずにスッと教科書を開いて見せてくれた。
(……えっ)
てっきり冷たいと思っていた人の優しい一面に
(えっ?)
私はまたしても固まるしかなかった。でも。
「……」
今、授業がどこまで進んでいるのか指をさして教えてくれるノア
「ふふ」
胸がじんわりとした。
「ありがとお」
これをきっかけに少しずつ私のあいさつに返事をしてくれるようになった。
知人から友人へ関係が深まることに拒絶反応を起こしたノアに急に避けられて傷ついたこともあった。
(ああ、もう!急になんなのよ!)
理由を話してくれないことに頭にきた。けど、友達をやめる、なんて選択肢は私にはなかった。不思議ともっとノアのことを知りたいと強く思っていた。だから
「どうして避けるの?なんで?」
逃げようとするノアを捕まえて聞いた。
「……」
ノアは言い淀んでいたけど話してくれた。以前、仲良くしてくれた人たちがいた。だけど本当は違って、心を開いたノアを見た途端、みんなで笑いながら痛ぶり、
"なん、で"
そう聞いたノアを見て
"は?"
笑いながら、
"少し考えりゃわかんだろ"
ノアにいったという
"お前と友達になりたい奴なんていねえよ"
と。それからノアは人が怖くて、心を開いたらまた同じような目に遭うんじゃないかって思うと。
「ごめんなさい。でも、ありがとお」
話を聞いて私はノアにそう言った。それから私とノアは以前のよう……いや、それ以上に仲良くなれた。2人で遊びにいくようになって、いろんなノアの一面を見て強く惹かれて告白した。
口下手で、大事なことほど話してくれないノアだけど、そんな一面があっても
「一緒にいたい」
って思って、好きって伝えた。
………
……
…
「今日ってどんな練習するんだっけ?」
「そんなことはいいから早く!部活に遅れちゃうよ!」
ノアのいない日常。いつもなら私がくつを履くのを待っていてくれる。そんなノアがいない。
「……」
お待たせって私がいうと、ノアはいつもふりかえって微笑んでくれた。
(いつからあたりまえって思ってたんだろう)
その"いつも"が
(私って本当にバカだ)
今はない。
"もういい"
そういってしまった自分のせい。自業自得。
(……)
失って当然。そう行動したのは私なんだから。
(やだ)
けど、頭でわかっているのに
(やだよ、そんなの)
私の身体は
(やだ)
真逆の答えを選んだ。都合がいいことだということはわかってた。けど、
(そんなのいやだよ!)
私は走り出した。
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