姫を守る剣〜あの日の誓いを果たすため最強へ〜

エリーゼの夢

アークとドクロの試合からしばらく経ったある日の夜のこと

「ねむったか……」
「ムフフ……エヘヘ」

エリーぜは嬉しそうな笑顔を浮かべ眠っていた。

「んん……アーク。もっと食べて」

天井へ向かって手を上げる。

「ふふ。どんな夢を見てるんだろうね」

幸せそうな顔をして寝言を言うエリーゼを見てエリは幸せそうに笑う。

そんなエリーゼの頭の中はと言うと……

春の野花が咲き誇る草原。気持ちの良い暖かな日が差す自然たちの真ん中で白い西洋風の丸テーブルの上には湯気が立ち上る紅茶が置かれ、それを優雅に味わう黒髪の少年。

「ふぅ……」

黒髪の少年の髪を微風がなびかせる。

「……」

少年は目を瞑り空を見上げる。

そんな優雅に過ごす横で、草原に不釣り合いな白を基調とした北欧風のキッチンがあり、エプロン姿のヒスイ色の髪をした少女が大量の料理を作っていた。

少女は料理が完成すると、

「アーク！あなたの好きなタケノコの揚げ物、汁物、イノシシのステーキを作ったわ！30人前くらいあるから遠慮なく食べて！」

アークが過ごすテーブルへと運ぶ。

「……」

アークはテーブルを埋め尽くすほどの料理を見て固まる。

「遠慮しなくていいのよ！どんどん食べて！」
「姫様。先程5人前を完食したばかりなのですが……」

冒頭のアークが紅茶を啜るシーンは実は食後のティータイムだった。

「細かいことは気にしない。さあ、どんどん食べて」
「ちょ！姫様！うっ！」

エリーゼは匙を手にし、アークの口へと無理矢理突っ込む。

「ひへしゅま……ひっぱい……まっへ！」

アークはエリーゼに必死に口の中がいっぱいだとアピールする。

「え？何？とても美味しい？喜んでくれてよかった！さあ！どんどん食べて！」

エリーゼは喜んでくれたことが嬉しくてどんどん運んでいく。

「う～ん……アーク……遠慮しないで」
「いい寝顔だね」

エリーゼは笑顔で眠る。

一方……

「うう……やめてください。もう食べられません。ひめさま」

アークは脂汗を流しうなされていた。

「お兄さん！うるさい！」

メイナスが怒鳴る。