姫を守る剣〜あの日の誓いを果たすため最強へ〜

さくしゃ

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メイナス最終戦①

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アークの3大魔との試合から3週間後……


「メイナス!いつものだ!見つかる前に受け取れ!」

メイナス以外の奴隷剣闘士が眠る夜更けに係員がメイナスに手紙を渡す。

メイナスは静かに受け取る。

「メアリ」

メイナスが受け取ったのは妹からの手紙。

「渡したからな」

係員はすぐにその場を後にする。

周囲を確認し、手紙の封を開ける。


親愛なるお兄様

お元気ですか?
先月よりもお手紙を出すのが遅くなり申し訳ありません。
あと一勝で、お兄様が自由になるという話を耳にしました。次の相手が強いということも……
どうか無理だけはなさりませんように!
お兄様の無事を祈っております。

                MRより

「よかった。元気そうだ……」

ホッと胸を撫で下ろす。

(だけどごめん。かなり無理するけど必ず勝って自由になって、お前の行きたがっていた学校に通えるように頑張るから!待っていてくれ)

妹からの手紙をお守りのように大事に懐にしまう。

その日から以前よりも特訓に気合が入り、1ヶ月前はあまり長く使えなかった瞬も最高速度を長時間維持して動き続けられるようになった。

さらに、突き技も磨きをかけ、1ヶ月前よりも鋭さと威力が上がった。

ー試合当日ー

「メイナス!出番だ!でろ!」

係員から声がかかる。

「……ふぅ」

精神統一をやめて目を開く。その目には、気負っている様子は見られず、いつも以上の力強さを感じた。

「お前は強い。逆に相手の方が気の毒になるくらいにな。だから、大丈夫だ」
「お兄さんのお墨付きなら大丈夫だね」

メイナスはいつものように笑い檻を出ていく。


********************


「さあ、この日がやってきました!すでに会場は超満員!入りきれなかった観客が建物をよじのぼり、客席の屋根から見下ろすように観戦しています!1ヶ月前のロイ選手以上の盛り上がりです!」

実況はいつも以上に興奮気味。

「シューベルト!」
「メイナス様!」

シューベルトを応援する野太い声とメイナスを応援する黄色い声援が会場が包み込まれる。

「西!錬金術で開発した独自の武器「火薬」を使い、どんな敵も一撃で消し炭にする3大魔「火薬使い」シューベルト!」

「シューベルト!」
「やっちまえー!」

ガラガラ……ザッザッ

西側の折が上がり、中背でガリガリ、頭頂部の肌色が特徴的な地味顔の男が埃まみれのマントを羽織り、闘技場に現れる。

「ひい!人がこんなにいっぱい!やだぁ!」

途中まで堂々と歩いていたシューベルトは、突然観客を見てビクビクし出す。

「対するは!東!闘技場において剣闘士の中で天使だと思うランキング1位!金髪天使!メイナス!」

闘技場にメイナスが登場する。

「キャー!好きー!」
「勝ってー!」
「メイナスー!」

女性客のボルテージは最高潮。

メイナスはその声援を受けシューベルトの前へと向かう。

「来ないで!ごめんなさい!ごめんなさい!」

シューベルトはメイナスが近づくと追い払うように手を横に振り、膝を抱えるように屈み顔を埋める。

(なんだ……これが3大魔なの?罠?)

噂に聞く3大魔は、3人とも悪魔のように強いと聞いていたメイナスは、噂と違う姿に戸惑う。

「両者!準備はよろしいですか?」

実況が問う。

メイナスは頷き、シューベルトは顔を膝に埋めたまま、フルフル震えているだけ。

「始めてください!」

ドオオオン!

試合開始の合図。

「始まっちゃった!殺さないでぇ!」

シューベルトは顔を埋めたまま怯えたように叫ぶ。

(……あの怯えようは演技には見えない)

「悪いけど、僕は勝たないといけないんだ。高速歩法「瞬」!」

メイナスは一瞬で距離を詰める。

シューベルトは反応できていないようで、フルフル震えたまま。

「フィフスバレット」

怯えるシューベルトに構わず、メイナスは必殺の突きを放つ。

「ひぃ……なんてな」

シューベルトの声音が低くなり、態度も落ち着いたものへと急激に変化する。

(演技だったのか。けど、僕の突きはあと一歩で届く。何のための演技かわからないけど、終わりだ)

メイナスの突きがシューベルトに届く瞬間……

「バァン」

と、シューベルトが舌を出して笑う。

すると……

ドガアアン!バァン!

シューベルトの前方が爆発する。
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