学園最弱の僕。成り上がる

さくしゃ

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1ー③

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「無理しない。いきなり40kmも走り切るなんてぼくでも無理だったから」

「ヒューヒュー」

保健室を後にした私はライリーにランニング勝負を挑みましたが、30km走ったら急に体が動かなくなってパタリと倒れました。
甘く見てました。
素振り一万回やった後だから5km、多くて10km走るのかと思っていたらまさかの40km……

「ははは!2人で走るってこんなに楽しいんだね!あ、2歩先に小石があるから気をつけて……ああ!なんか髪からいい匂いが!」

とりあえず勝てないにしても走り切る!と意気込んで走っていたら爽やか笑顔のライリーが並走して元気よく話しかけてきた。
しかも私に気遣ってちょっとした穴を埋めたり、小石を取ってくれたりとなんというか優しいんだけどうるさい。

しかし負けないと決めたので翌日からも挑み続けた。

「あははは!」

それでも結果は笑うトレーニングマンに敵わず過去の彼の記録を破ることに挑戦。
そして、トレーニングで勝てないなら他の所で勝てばいいと勝負を挑む。

①食事摂取量

ルームメイトとして3食食べる時間は同じなので毎日3回挑む。

しかし彼は意外にも

「サラダとささみでお腹いっぱい」

と小さな一皿を1時間かけてゆっくりと食べる。

私はその間に15kg食べる。

「そのうち牛一頭食べちゃうんじゃない?」

と、ライリーに言われた。

失礼な!私だってこれでも年頃の乙女だ!

「牛は100kgあるわ。一食でそんなに食べるなんて女としてはしたないから30kgで遠慮しておくわ」

と答えておいた。


②入浴時間

男性は入浴時間が短いと聞いたことがあるだけの私でもライリーの入浴時間は短いとわかる。

「じゃあ先に入るね」

パタンとドアが閉まる音。
入ったなと音で確認した私は洗面所に行き歯磨きを始める。
それから数十秒するともう出てくる。
芸術的な曲線美の肉体を隠そうとせ……

「きゃああ!洗面所に入る時はノックしてって言ってるでしょ!」

気づいていなかっただけでちゃんとシックスパックとふくらはぎを両手で覆い隠すライリー。

何故乳首とかじゃないの?と理由を尋ねると、

「最近トレーニング不足で弛んできた部位で恥ずかしいから」

なんて言っていた。

「私なんて……」

意識高いライリーの話を聞いてくびれを意識するようになった私の話は置いておいて。

とにかく異様に入浴時間が短い。
カウントしてみたら短い時で50秒、長い時で2分。

「負けてられない!」

私は入浴時間30秒を目指して奮闘した。
その結果……

「なんか最近クロエの臭いが……」

汗垂れ流しのライリーにトレーニングの休憩の時に鼻を摘まれた。
なんか心が傷ついた。

③読書量

プロミネンス騎士学園には部活動なるものが存在する。

演劇部、騎士道部、医学部、教育部、薬学部など生徒の数も多いのでさまざまな部活がある。

その中でライリーは攻撃魔力研究部なるものを昨年立ち上げ放課後のトレーニングが早く終わった日に夕食までの少しの時間に研究している。

「クロエ氏。君の魔力「イフリート」はとても興味深い。魔力は使用者本人の意思によって強くもなり弱くもなる。特に君の場合はそれがとても顕著だ……」

メガネの端を光らせてまくし立ててくるライリー。

その際に小脇に分厚い本をよく抱えているし普段からも寝る前の時間に速読という技術で図書館から借りてきた3冊の本を読んでしまう。

「3冊か……小さい頃眠れなかった時はいつもベッドの中で1人で絵本を読んで寝たなぁ。確かあの頃は4冊以上読んで……は、勝てる!」

その日から私は図書館で6冊の本を借りてきてライリーと同時に本を読み始め……

「タウロ……ス英傑ものが、zzz」

しかし活字をみると何故か寝てしまう。

「やっぱり今日も寝た……おやすみ」

ライリーにベッドへ運ばれて完全に夢の世界へ旅立つ。
読書量対決になるといつも勝てない。
私が寝ている間にライリーは800ページは読んでしまうので完敗。
しかしいいんだ。
最後の勝負。
④就寝時間対決では毎日のように勝利しているのだから。
そしてこれを機にライリーもライバルと認めてくれてクロエと呼んでくれるようになった。
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