学園最弱の僕。成り上がる

さくしゃ

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1ー②

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私はレン・ペンドラゴン。
騎士学園一年E組の担任教師をしています。
そんな私は今、

「お、お腹が……」

医務室にある来客用のお菓子を見てお腹を抑えています。

思い返せば……

「レン先生。すみません。ちょっと手伝っていただいてもいいですか?」

お弁当を食べようとしたら他の先生に資料制作のお手伝いを頼まれてしまったり、スイーツ仲間の先生と今月発売の「どんなスイーツ?こんなスイーツ!」というスイーツ紹介誌の最後の欄に書かれている140字恋愛小説の話で盛り上がってしまいお弁当を食べ損ねてしまった。

「くっ、君は悪くないんだ!悪いのはこんな面白い物語を書く作者:スイーツより甘くて1ヶ月くらい苦しむ酸っぱさをご堪能くださいさんのせいなんだ!」

その後はライリーくんとクロエさんによるまさかの決闘で魔力を使いすぎてしまい……

現在、ライリーくんに変わりクロエさんが目を覚ますまでの間、カーテンで仕切られたベッドルームの横にある応接スペースの椅子に腰掛けて膝丈の高さのテーブル中央に置かれたクッキーを凝視しています。

「なんでソファとセットの机ってこんなに低いものしかないんだろう」

クロエさんと私以外は誰もいないのに何故か声に出して喋ってごまかす。そんな私は右手を出したり引っ込めたりしています。

ーーだめ!今は勤務中よ!誘惑に負けちゃダメ!

左から話しかけてくる理性的な天使の私。

ーー誰もいないんだからいいじゃん。ほらほら。目の前にあるのはちょうど紹介誌に載っていた王都で話題のクッキーだよー。食べなくていいのかなー。

右からは的確な甘言で誘惑してくる悪魔の私。

「くぅぅ、食べだめ!」

クッキーに伸びかけた右手を左手で掴み誘惑に抗う。
天使と悪魔のせめぎ合い。
だめ!と主張する天使。
食べなよーと主張する悪魔。

「ぐぬぬ……」

一進一退の攻防が繰り広げられる中、前のめりになりすぎて膝で机を押してしまった。
机上のクッキーの箱がずれる。
その箱の下から一枚の紙が出てきた。
その紙には……

「お好きなだけお召し上がり下さい」

と書かれていた。

……

「ってあれ?私は何を?……え、机の上にあったクッキーがなくなってる!」

ぽろっと口から何かざらざらしたものが落ちた。
気になって口の周りを触ると何か粉っぽい物が、

「クッキーの食べカス!まさか私が全て……」

覚えがない。だけど、あんなに空いていたお腹が満腹になっている。
というか、食べたにしても一体どんな食べ方をすれば口の周りだけじゃなくて机の周りも食べかすだらけになるんだ?

「うぅ……私は出来損ないじゃない」

そんな時クロエさんのうなされる声が聞こえた。

「よし!口の周りOK!クロエさん!」

鏡で口の周りを確認し綺麗にしてクロエさんの元へ向かった。

その後、クロエさんに指摘されて口の端だけ残っていた。
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