まほろば堂~妖怪世界のパシリ生活~

響 颯

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第1話

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ふああぁぁぁ……

顎がはずれそうな勢いで
あくびをしながら階段を降りる。

夕べも遅くまで……いや今朝まで、
PCでFPSゲームをやっていた。

「ああ、ねみぃ……」

あかん。つい口に出してもうた。

「あんた、また遅ぅまでゲームやってたん?
 ほんまあほやなぁ! 
 変なとこお父さんそっくりやわ!」

やっぱり瞬時に小言が返ってくる。
この反射神経の鋭さは
ゲーマーの俺としては見習いたいところだ。

「ほら、二人ともはよぅ食べや!
 遅れるやろ!」

食卓にはすでに父が座っているが、
俺と同じく大あくびをしている。
父は父で、遅くまでネトゲをしていたのだろう。

俺は父の影響もあって、ゲームが好きになった。

子供のころは、父に格ゲー(格闘ゲーム)で
挑戦しては負けていた。
子供相手に手加減しない父もどうかと思うが、
俺も懲りずに何度でも挑戦して遊んでいた。

父はネット仲間の影響でFPSをやり始め、
俺も一緒にやるようになり、はまった。

……そういや今朝の夢は何やったんやろ?

妙にレトロな雰囲気の町並みを
銃を片手にさまよっていたような気がする。
今日は、俺がやっているFPSアプリの
祭り(イベント)がある。
大型アップデートに伴うものなので、
新マップを期待したせいだったのか。

アプデの朝に新マップの夢見るって、
今日はついてるんとちゃう?

なら無料10連ガチャの引きもええんちゃうん?

「二人して何ぼうっとしてんのや!
 はよぅ食べぇ言うてるやろが!」

ゲームのことを考えてにんまりしていたら、
また母の小言が飛んできた。

慌てて箸をおかずに伸ばそうとして
一瞬ひるむ。

朝から麻婆茄子かよ……

昨日の夕飯の残りだけど、
朝からこの重いメニューはないだろう。

思ったが、ぐっとこらえて箸を進める。
ここで不満を見せれば、
おかんの小言はさらにボルテージを増す。

「お父さん! なんで食べへんの?」

父は相変わらずスキル発動中らしい。
長年の所有スキルは、
迷子と二日酔いという
ぜひともリアルで持ちたくないもので、
前者は百歩譲って仕方がないが、
後者の二日酔いはそれはまずいだろう
というレベルのものだ。

「あんたまたゲームしながら
 深酒しとったんやろ。
 仕事いかなあかんのに、
 残るまで飲むなんて
 あほなんちゃう?
 いい加減にしぃや!」

当然母にはお見通しで、朝の食卓に
SMG(サブマシンガン)のごとく
弾丸(つば)が散乱する。

俺は自分の分の補給物資(おかず)だけは
手前に確保して、黙々と食べ進む。

おかんもしつこいなぁ……

と思いながらも決して声には出さない。

今はまだ火力の低いSMGだからいいが、
朝から近距離のショットガンで
クリティカルのヘッドショットを
食らったりしたらたまらない。

今日一日は
何とかこのつきを温存しておかなくては。
祭り(イベント)のためにも我慢だ。

「ちゃうねんちゃうねん。
 昨日はゲームやのうて
 チャットでなぁ……」

「なんやのん!?」

「いやぁ……」

言い訳を試みた父はあえなく黙らされ、
さらにマガジン一杯の小言を
浴びせられている。

おとん、すまん! 
タゲ(ターゲット)は任せた!
俺の身の安全のためにも……。

父を壁(タンク)にしておいて、
俺はそそくさと食卓を離れた。
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