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第四十八話 勇者と賢者と魔王de師匠
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食事は、本当は私が色々と出したかったが……正直それどころじゃなかった。
なので作って貰った。ここで活躍したのがハジメ君である。
彼は両親共働きで、なんと一人で家で料理をして、お弁当まで作って持って行ってたのだとか。えっ凄くね?
それで浮いた食費を漫画やアニメへの投資としていたらしい。なるほどオタクあるあるである。
という訳で材料が何かは分からないので、その辺はギンシュなど皆さんにどういう食べ物か聞いて、その辺をうまーくアレンジして作ってくれた。
結論。めっちゃ美味しかった。
というか全員ベタ褒め。良かったねハジメ君。魔法なんて使えなくても料理人としての道が開けてるみたいだよ。
思わず【鑑定】したら【料理】スキル覚えてた。しかも既にレベル3だった。成長早すぎでしょ。
おまけに片付けも早いしお皿綺麗に洗ってたし馬への水とか餌やりもいつの間にか終わらせてたし……えっあれなにこの子、色々と高スペックじゃない?
なんか本人は『オタクだしクラスでも殆ど友達いなかったから』とか『家はいつも一人だったから家のこと全部やってた』とか言ってたけど……この子もしかしたら……もしかしたら主夫の才能があるのでは!?
……私がお金貯めていい感じのおうちに住んだ時には、執事長とかにしちゃる。
そんで魔法が使えて【賢者】の執事長! うーむ夢が広がるねぃ。
……色々と考えてはいるけれども、私は『お仕置き』の真っ最中である。ぶっちゃけ大したことは考えられない。
これらの思考も殆ど翌日のものを、後から抜粋している。
え? 現在の状況? えーっと……
馬車の中は凄い空気だった。
ミレイが目をハートにして私のを味わっており、そのおかげでね、えちちなにおいが幌の中に充満しているのである。
他の皆もぐずぐずなのだが、ミレイが完全にギアが入ってしまって『皆は動いてはならない』『自分でどうこうもだめ』『ミレイを見て興奮するですぅ』という『命令』が発動されており、そりゃあもう皆はねぇ……ぐじゅぐじゅのびちゃびちゃでした。私はびくんびくんしてた。あと気絶したままのアシンさんは匂いだけでびくんびくんしてた。あーこれやっちゃってるわー。ハジメ君には刺激が強すぎたようで、途中からおかしくなってた。
夜ですか? ヤバかったです。
もうなんか皆薬キメてるでしょ、ってくらいおかしくなってた。全員が。
馬車その辺に止めて皆でどうこうしてたしね。
一応私が【探査】を使って、周囲を警戒はしていたけれど。
あと魔物とか出たら、私がそこに【探査】のマップから直接場所を指定して、【光魔法】で電撃すれば大抵なんとかなった。
でもこれめっちゃ集中必要なの。で集中しようとすると……大変が大変で、それでタイヘンなんですよねぇ。
凄かった。多分魔法もおかしくなってたと思う。
でもまあ襲われなかったからいっかなって。
ちなみにですが、私は完全にミレイ専用機になってまして。
その他の方は……『一人でどうこうだけなら許可』ということなので、皆で私とミレイのをみながらぐっちゃぐちゃでした。
でもハジメ君だけ私のおしおきでどうにもならなくて血の涙流してたらしい。ごめん。
ってか正直私もあんまり記憶が無い。これ隠しカメラとかで撮影したかった感ある。
で翌朝。
皆がある程度正気に戻り、ミレイがもう満腹で食べられないですぅっつってて、私のは返してくれて。
それでちょっと落ち着いたらミレイも正気に戻ったらしく、朝ごはんの時にめっちゃ青い顔して皆に謝ってきた。
やっぱミレイは可愛いね。うむ。よしよし。
あっでもリンドゥーさんだけはまだそのままだったので、ガチで泣いて謝ってミレイに許して貰えた。
でもその後ミレイが、最後にもう一度反省するですぅって感じで私とリンドゥーさんをいいようにおもちゃにしてた。まあ怒られてたからしょうがないよね。
もっとも朝からは結構ハードだったけど。昨晩の影響もあって。
そういや流石にアシンさんも復活してたけど、私達のあれこれを見て凄い事になってた。
めっちゃ困った挙句、ちょっとトイレっつって茂みに行った。別にそのままでもいいのにぃ。
私とリンドゥーは一日おもちゃにされて、二人で何をしてたかを自白させられ、それらを再度ミレイにするように要求されたので、ミレイに私は丁寧にしてあげた。ミレイはめっちゃ満足そうな顔してた。
……でもいいの? 首の証だけじゃなくて、本当に肉体に証を付けちゃっても?
私が後で怖いんですけど。がくがく。
とかなんとかこうね、いちゃらぶ空間でまったり馬車を進めていたのですが。
やってきましたよ。勇者が。
なんで? どして? いやね私にも分からないんですけどね。
なんか小型の竜に乗ってきましたよ。そして私に勝負しろだとさ。
いいの? 今の私ぐっちゃぐちゃだから……危険だよ?
なんでって? ミレイが色々気に入っちゃって、私にだけ追加オーダーしてるの。ヤバいの。
だから今回の私の語りもなんかちょっと淡泊なの。だってもう考えられないもん。はわわ。
そしたら奴隷で賢者のハジメ君がぶるぶる震え出した。どしたの?
なんかお互いに色々言ってたけど、要約するといじめっ子といじめられっ子の関係だったらしい。
あと飛ぶ時に一緒にいたのもあいつだったらしい。なるほどね。そりゃ苦手だろーね。
だったらハジメ君がやっちゃおうか。いいよ魔法教えてあげるよ。君主夫として優秀だし。
なんかよくわかんないけどいいよって言っちゃった。おかしいなぁもっとゆっくり教えるつもりだったんだけどなぁ。
勇者が喚いてる今のうちに、ハジメ君に教えちゃおう。
「魔力を練るのにはね、えっちな事を考えるんだよ」
「へ? そんな馬鹿な」
「昨日凄かったでしょ? ちょっと思い出して」
「いやでも」
「魔法使えるようになりたいでしょ? ほら、騙されたと思って。そもそも昨日のアレ、忘れたくても忘れられないんじゃない」
後ろから両手で目を抑えて胸うりうりしちゃる。うりうりぃー。私もおかしくなってるから多分ガード超ゆるくなってる。
「うっ……うわぁ……だめぇ……」
「ハイそこでこのへそのあたりにどろどろしたものあるじゃない? それ魔力だから」
「えっこれ性欲じゃ」
「この世界だと私達のいう性欲=魔力って認識であながち間違ってないっぽいんだよね」
「嘘……だろ……」
「で、あとは魔法のイメージしっかりして。あいつ殺すと危険だから……水鉄砲みたいなのにしようか。消防隊の人がホースから出すやつ。アレをイメージして……おっけー?」
「はい。だいじょぶです」
「じゃあそのイメージとこのどろどろを混ぜ込んで。練る感じで」
「こうかなぁ」
「でそれを発射。呪文はご自由にどーぞ」
「よし、じゃあかっこいいのを」
「余計なこと考えてると集中とかイメージ壊れて上手く出来ないから、シンプルに言うか無詠唱とかのがいいよ」
「ぐっ……じゃあ『水流発射』!」
その途端、彼の右手から勢いよく水流が飛び出し、勇者にバシャシャシャシャッ! と当たった。
勇者は水の勢いで一気に後ろに吹き飛ばされた。すげー。
「とりあえず今日は水をある程度自由に操れるようになるまで、勇者で練習してみよっか」
「はい!」
とゆーわけでめっちゃ的にしてやった。
めっちゃめちゃ怒ってたように見えたけど、知るもんか。
邪魔すんなよ。
そんで奴が今度なんか凄そうな武器だそうとしてたので、
「じゃあこれが魔法の師匠からのプレゼント。これが出来るとかっこいいかもね」
「はい師匠!」
「よく見ておくんだよ……」
私は勇者に向かって手を銃の形にして、一筋の稲妻を指から放出した。
あれよ、指の太さじゃないよ。指一本から、腕くらいの太さのをバリバリバリバリッ! って。
奴はびしょぬれだったからそれはもうそれはもう。
なんか凄い放電の音がしたあと、倒れてた。
お付きの竜に乗ってきた人が慌てて勇者に触ろうとしたけどびりびりしてて、でもその後落ち着いたらよいしょよいしょって運んで連れ帰ってた。
はーすっきりしたねって。
ハジメ君はいじめられてた相手を倒したのだ。気持ちいいでしょうに。
「師匠! おれ師匠のおかげで強くなれました! これからも一生師匠についていきます!」
「そんな宣言しなくても、鎖であなたの自由はないからね!」
「はい! 構いません!」
「おーよしよし。かわええのう」
「へへっ」
とかやってたら、ミレイがじーーーーーーーっと見てた。
そしてゆっくりと近付いてきて、私とハジメ君の間にぬいっと頭を出した。
はいはい。やきもちやきなんだから。
私はミレイの頭をなでなで。
むふーんとして満足気になったミレイは、ハジメ君の方を見てにやっ、と勝ち誇った顔をして、去っていった。
「ミレイさんって……皆は色々あって怖がってましたけど、面白い人ですよね」
「ホント!? そう思ってくれる!?」
「え、ええ……」
「じゃあ今度、友達になってあげてね!」
「と、友達……ですか」
「難しいかな?」
「僕、オタクでコミュ障で女の子となんかもう随分と喋ったことないんですけど」
「私と喋ってるじゃない」
「喋らなきゃいけないからですよ。今もめちゃくちゃ緊張してます」
「そうなの?」
「そうです! だって目の前にエルフですよ!? 美少女おっぱいエルフですよ!? そんなの緊張しないわけないでしょう!?」
……あれ?
なんで? おかしいな?
私は元々……だよ?
男の子にときめくとか……あれ?
私は思わず彼をぎゅっとしてしまった。
「へ? し、ししょう?」
「もう大丈夫だから。この世界では私があなたを本物の【賢者】にしてみせるから」
「そ、それはうれしいですね でもはなしてもらいます? たっちゃうので」
「大丈夫。今はたたないから」
「そーだったぁあああ!! でも僕の心臓が大丈夫じゃないです!!」
「そう? じゃこれくらいで。あーあとね」
「なっ、なんですか!?」
「今日はいじめっ子を倒して魔法を覚えて。とっても頑張ったからご褒美あげる」
「ホントですか!? やったっ!」
「溜まってるのをスッキリさせてあげるから」
「うわぁそれめっちゃ嬉しい奴じゃないですか」
私は耳元で、囁く。
「忘れられない初体験、教えてあげる」
ゴクリ、と彼の喉がなる。
私はにやりと、捕食者の目をして、彼の目の前で、舌を出してくるりと一回転させた。
たまらず彼は大事なところを抑えるが、残念そこは反応しないのですよ。にしし。
……なんか私完全におかしくなっちゃってるな。どうしよう。
とかやらかしてミレイの方に歩いていったら、ミレイが再度私にこしょこしょ話をしてきた。
「おねーさまおねーさま」
「どしたの?」
「ごほうび、あげます」
先ほどから落ち着いていたのに。
すごい。えっすごい。サキュバスってそんなことできるの。
あっむり だめ でちゃう
あっあっあっあぁあぁああああああああああああああ
えっうそっつづきってつづかないつづかないからこれちょっとまってあぁあああああああああああああああああ
私は再度、ミレイに壊された。
これじゃあどっちが主でどっちが従か分かりゃしない。
『生まれながらの支配者』というのはあながち間違いじゃないかも。
……こんなことを考える思考力は私にはなかった。
何しろ私の足元は、さっきの【水魔法】を受けた勇者みたいにびっしゃびしゃになっていたのだから。
もう、戻れない。
なので作って貰った。ここで活躍したのがハジメ君である。
彼は両親共働きで、なんと一人で家で料理をして、お弁当まで作って持って行ってたのだとか。えっ凄くね?
それで浮いた食費を漫画やアニメへの投資としていたらしい。なるほどオタクあるあるである。
という訳で材料が何かは分からないので、その辺はギンシュなど皆さんにどういう食べ物か聞いて、その辺をうまーくアレンジして作ってくれた。
結論。めっちゃ美味しかった。
というか全員ベタ褒め。良かったねハジメ君。魔法なんて使えなくても料理人としての道が開けてるみたいだよ。
思わず【鑑定】したら【料理】スキル覚えてた。しかも既にレベル3だった。成長早すぎでしょ。
おまけに片付けも早いしお皿綺麗に洗ってたし馬への水とか餌やりもいつの間にか終わらせてたし……えっあれなにこの子、色々と高スペックじゃない?
なんか本人は『オタクだしクラスでも殆ど友達いなかったから』とか『家はいつも一人だったから家のこと全部やってた』とか言ってたけど……この子もしかしたら……もしかしたら主夫の才能があるのでは!?
……私がお金貯めていい感じのおうちに住んだ時には、執事長とかにしちゃる。
そんで魔法が使えて【賢者】の執事長! うーむ夢が広がるねぃ。
……色々と考えてはいるけれども、私は『お仕置き』の真っ最中である。ぶっちゃけ大したことは考えられない。
これらの思考も殆ど翌日のものを、後から抜粋している。
え? 現在の状況? えーっと……
馬車の中は凄い空気だった。
ミレイが目をハートにして私のを味わっており、そのおかげでね、えちちなにおいが幌の中に充満しているのである。
他の皆もぐずぐずなのだが、ミレイが完全にギアが入ってしまって『皆は動いてはならない』『自分でどうこうもだめ』『ミレイを見て興奮するですぅ』という『命令』が発動されており、そりゃあもう皆はねぇ……ぐじゅぐじゅのびちゃびちゃでした。私はびくんびくんしてた。あと気絶したままのアシンさんは匂いだけでびくんびくんしてた。あーこれやっちゃってるわー。ハジメ君には刺激が強すぎたようで、途中からおかしくなってた。
夜ですか? ヤバかったです。
もうなんか皆薬キメてるでしょ、ってくらいおかしくなってた。全員が。
馬車その辺に止めて皆でどうこうしてたしね。
一応私が【探査】を使って、周囲を警戒はしていたけれど。
あと魔物とか出たら、私がそこに【探査】のマップから直接場所を指定して、【光魔法】で電撃すれば大抵なんとかなった。
でもこれめっちゃ集中必要なの。で集中しようとすると……大変が大変で、それでタイヘンなんですよねぇ。
凄かった。多分魔法もおかしくなってたと思う。
でもまあ襲われなかったからいっかなって。
ちなみにですが、私は完全にミレイ専用機になってまして。
その他の方は……『一人でどうこうだけなら許可』ということなので、皆で私とミレイのをみながらぐっちゃぐちゃでした。
でもハジメ君だけ私のおしおきでどうにもならなくて血の涙流してたらしい。ごめん。
ってか正直私もあんまり記憶が無い。これ隠しカメラとかで撮影したかった感ある。
で翌朝。
皆がある程度正気に戻り、ミレイがもう満腹で食べられないですぅっつってて、私のは返してくれて。
それでちょっと落ち着いたらミレイも正気に戻ったらしく、朝ごはんの時にめっちゃ青い顔して皆に謝ってきた。
やっぱミレイは可愛いね。うむ。よしよし。
あっでもリンドゥーさんだけはまだそのままだったので、ガチで泣いて謝ってミレイに許して貰えた。
でもその後ミレイが、最後にもう一度反省するですぅって感じで私とリンドゥーさんをいいようにおもちゃにしてた。まあ怒られてたからしょうがないよね。
もっとも朝からは結構ハードだったけど。昨晩の影響もあって。
そういや流石にアシンさんも復活してたけど、私達のあれこれを見て凄い事になってた。
めっちゃ困った挙句、ちょっとトイレっつって茂みに行った。別にそのままでもいいのにぃ。
私とリンドゥーは一日おもちゃにされて、二人で何をしてたかを自白させられ、それらを再度ミレイにするように要求されたので、ミレイに私は丁寧にしてあげた。ミレイはめっちゃ満足そうな顔してた。
……でもいいの? 首の証だけじゃなくて、本当に肉体に証を付けちゃっても?
私が後で怖いんですけど。がくがく。
とかなんとかこうね、いちゃらぶ空間でまったり馬車を進めていたのですが。
やってきましたよ。勇者が。
なんで? どして? いやね私にも分からないんですけどね。
なんか小型の竜に乗ってきましたよ。そして私に勝負しろだとさ。
いいの? 今の私ぐっちゃぐちゃだから……危険だよ?
なんでって? ミレイが色々気に入っちゃって、私にだけ追加オーダーしてるの。ヤバいの。
だから今回の私の語りもなんかちょっと淡泊なの。だってもう考えられないもん。はわわ。
そしたら奴隷で賢者のハジメ君がぶるぶる震え出した。どしたの?
なんかお互いに色々言ってたけど、要約するといじめっ子といじめられっ子の関係だったらしい。
あと飛ぶ時に一緒にいたのもあいつだったらしい。なるほどね。そりゃ苦手だろーね。
だったらハジメ君がやっちゃおうか。いいよ魔法教えてあげるよ。君主夫として優秀だし。
なんかよくわかんないけどいいよって言っちゃった。おかしいなぁもっとゆっくり教えるつもりだったんだけどなぁ。
勇者が喚いてる今のうちに、ハジメ君に教えちゃおう。
「魔力を練るのにはね、えっちな事を考えるんだよ」
「へ? そんな馬鹿な」
「昨日凄かったでしょ? ちょっと思い出して」
「いやでも」
「魔法使えるようになりたいでしょ? ほら、騙されたと思って。そもそも昨日のアレ、忘れたくても忘れられないんじゃない」
後ろから両手で目を抑えて胸うりうりしちゃる。うりうりぃー。私もおかしくなってるから多分ガード超ゆるくなってる。
「うっ……うわぁ……だめぇ……」
「ハイそこでこのへそのあたりにどろどろしたものあるじゃない? それ魔力だから」
「えっこれ性欲じゃ」
「この世界だと私達のいう性欲=魔力って認識であながち間違ってないっぽいんだよね」
「嘘……だろ……」
「で、あとは魔法のイメージしっかりして。あいつ殺すと危険だから……水鉄砲みたいなのにしようか。消防隊の人がホースから出すやつ。アレをイメージして……おっけー?」
「はい。だいじょぶです」
「じゃあそのイメージとこのどろどろを混ぜ込んで。練る感じで」
「こうかなぁ」
「でそれを発射。呪文はご自由にどーぞ」
「よし、じゃあかっこいいのを」
「余計なこと考えてると集中とかイメージ壊れて上手く出来ないから、シンプルに言うか無詠唱とかのがいいよ」
「ぐっ……じゃあ『水流発射』!」
その途端、彼の右手から勢いよく水流が飛び出し、勇者にバシャシャシャシャッ! と当たった。
勇者は水の勢いで一気に後ろに吹き飛ばされた。すげー。
「とりあえず今日は水をある程度自由に操れるようになるまで、勇者で練習してみよっか」
「はい!」
とゆーわけでめっちゃ的にしてやった。
めっちゃめちゃ怒ってたように見えたけど、知るもんか。
邪魔すんなよ。
そんで奴が今度なんか凄そうな武器だそうとしてたので、
「じゃあこれが魔法の師匠からのプレゼント。これが出来るとかっこいいかもね」
「はい師匠!」
「よく見ておくんだよ……」
私は勇者に向かって手を銃の形にして、一筋の稲妻を指から放出した。
あれよ、指の太さじゃないよ。指一本から、腕くらいの太さのをバリバリバリバリッ! って。
奴はびしょぬれだったからそれはもうそれはもう。
なんか凄い放電の音がしたあと、倒れてた。
お付きの竜に乗ってきた人が慌てて勇者に触ろうとしたけどびりびりしてて、でもその後落ち着いたらよいしょよいしょって運んで連れ帰ってた。
はーすっきりしたねって。
ハジメ君はいじめられてた相手を倒したのだ。気持ちいいでしょうに。
「師匠! おれ師匠のおかげで強くなれました! これからも一生師匠についていきます!」
「そんな宣言しなくても、鎖であなたの自由はないからね!」
「はい! 構いません!」
「おーよしよし。かわええのう」
「へへっ」
とかやってたら、ミレイがじーーーーーーーっと見てた。
そしてゆっくりと近付いてきて、私とハジメ君の間にぬいっと頭を出した。
はいはい。やきもちやきなんだから。
私はミレイの頭をなでなで。
むふーんとして満足気になったミレイは、ハジメ君の方を見てにやっ、と勝ち誇った顔をして、去っていった。
「ミレイさんって……皆は色々あって怖がってましたけど、面白い人ですよね」
「ホント!? そう思ってくれる!?」
「え、ええ……」
「じゃあ今度、友達になってあげてね!」
「と、友達……ですか」
「難しいかな?」
「僕、オタクでコミュ障で女の子となんかもう随分と喋ったことないんですけど」
「私と喋ってるじゃない」
「喋らなきゃいけないからですよ。今もめちゃくちゃ緊張してます」
「そうなの?」
「そうです! だって目の前にエルフですよ!? 美少女おっぱいエルフですよ!? そんなの緊張しないわけないでしょう!?」
……あれ?
なんで? おかしいな?
私は元々……だよ?
男の子にときめくとか……あれ?
私は思わず彼をぎゅっとしてしまった。
「へ? し、ししょう?」
「もう大丈夫だから。この世界では私があなたを本物の【賢者】にしてみせるから」
「そ、それはうれしいですね でもはなしてもらいます? たっちゃうので」
「大丈夫。今はたたないから」
「そーだったぁあああ!! でも僕の心臓が大丈夫じゃないです!!」
「そう? じゃこれくらいで。あーあとね」
「なっ、なんですか!?」
「今日はいじめっ子を倒して魔法を覚えて。とっても頑張ったからご褒美あげる」
「ホントですか!? やったっ!」
「溜まってるのをスッキリさせてあげるから」
「うわぁそれめっちゃ嬉しい奴じゃないですか」
私は耳元で、囁く。
「忘れられない初体験、教えてあげる」
ゴクリ、と彼の喉がなる。
私はにやりと、捕食者の目をして、彼の目の前で、舌を出してくるりと一回転させた。
たまらず彼は大事なところを抑えるが、残念そこは反応しないのですよ。にしし。
……なんか私完全におかしくなっちゃってるな。どうしよう。
とかやらかしてミレイの方に歩いていったら、ミレイが再度私にこしょこしょ話をしてきた。
「おねーさまおねーさま」
「どしたの?」
「ごほうび、あげます」
先ほどから落ち着いていたのに。
すごい。えっすごい。サキュバスってそんなことできるの。
あっむり だめ でちゃう
あっあっあっあぁあぁああああああああああああああ
えっうそっつづきってつづかないつづかないからこれちょっとまってあぁあああああああああああああああああ
私は再度、ミレイに壊された。
これじゃあどっちが主でどっちが従か分かりゃしない。
『生まれながらの支配者』というのはあながち間違いじゃないかも。
……こんなことを考える思考力は私にはなかった。
何しろ私の足元は、さっきの【水魔法】を受けた勇者みたいにびっしゃびしゃになっていたのだから。
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