美少女おじさん ~ちやほやされたいので異世界転移でカワイイ美少女になることにした~

Ell

文字の大きさ
54 / 57

第五十四話 東都

しおりを挟む
 国境の関所はそれなりにピリピリしていたけれど、まあなんとかなった。
 それよりも峠の一番上が関所なのかと勝手に思っていたが、随分とこちら側でやるのだな、とは少し思った。
 そして峠を登り終えると……確かにすぐだ。峠の上から一望が見渡せた。
「ここが東都、旧リップハイツァー王国王都、ダスミューンだ!」
 凄い。何がと言われると……音と煙だ。
 ゴウンゴウンという機械のような音、もうもうと立ち上る煙、カンカンカンと響く鉄の音。いや槌の音なのか?
「なんだ……ここ……」
「ここは鉱山、炭鉱の町さ。そういうの分かるか?」
 アシンさんにお馬鹿さん扱いされてる。それくらい分からぁ!
「鉄とか胴とか掘り出すんでしょ!? 流石に分かるよ!」
「いやエリィの常識は俺達には判別出来ないからな……」
「あくまでも異世界、こちらの常識が無いだけで、そういう常識はあるの!」
「だーから、そのこっちの世界とエリィが元いた世界と何が違うのかが分からないから困るんだって」
 あー……そっか。それはそうかも。
 思わず納得してしまった。常識が違うって難しいよね。
 食べる前に頂きますって言って食べた後にごちそうさまって言うのか、あるいは食べる前にごちそうさまって言って食べた後に頂きますって言うのか。
 同じ意味と言葉でも、常識が違ったらこうなるかもしれない。
 怖いねぇ。
「まあそんな訳で、ここではそういう風に鉱物を掘り出して、炉に放り込んで精製して、そんで精製されて出来たもんを加工して、っていう工程を全部やっちまうのさ。だから鍛冶屋とかも結構あると思うぜ」
「へぇ……面白そう。なんか魔法に便利な剣とか武器とか無いかなぁ」
と私が言うと。
「エリィにはそんなもの必要なかろう。魔法でなんでも出来るではないか」
「そうですぅ今更そんな武器なんて」
 そんな言葉をギンシュとミレイからぶつけられてしまった。
「確かに魔法で割となんでも出来るんだけど、万が一魔法が使えなくなった時とか、あるいは魔法の威力を増強してくれる武器とかあったら強いかなぁって」
「これ以上増強して一体何と戦うというのか……勇者は倒して賢者は味方で、最大の敵に思える魔王こそがそなたなのだぞ……」
 確かに。何と戦うんだろう。
 でもまあ武器って憧れるでしょ!?
 そんなこと言ったら微妙な顔された。ハジメ君はめっちゃ頷いてたけど。
「ま、まあとりあえずギルドに顔出して獲物を金に換えて、宿探しでもするか」
「はーい」
 私達はギルドへと向かった。

 ギルドって国を跨いでも変わらないのね。
 って思ったけどよく考えたら運営元は一緒だった。じゃあしょうがないか。
「そういえばギルドにもやっぱり本部とか総本部とかあるの?」
「あるぞ?」
 流石のギンシュ。
「ちなみにどこに?」
 この返事に答えてくれたのはシグさんである。なんと珍しい。
「ギケー皇国の都だ。今はあそこが一番古いし、なにより国が安定しているからな。戦乱期以前から変わらん」
「へーっ。やっぱり行ってみたいなぁ」
「でも今はとりあえず海を目指して西なんだろ」
「そうだね。西。本当は大陸中を回ってみたいんだけどね」
 そんな会話をしていると、唐突に足がもつれて思いっきり顔を打ち付けて転んでしまった。
 ドタンッ! っという恥ずかしい音が聞こえる。
「あいたたた……」
「おうどうしたエルフの嬢ちゃん!? ひ弱すぎてマトモに歩けねぇってか!?」
「やっぱしだぜ! エルフってぇのは軟弱でいけねぇよなぁ! ぎゃははは!!」
 どうやらこいつらが私に足をひっかけたらしい。前を見ていない私も良くなかったけれど、流石にどうなのさ。
 私の後ろにいた面子は凄くピリピリしてる。一触即発だ。
 なお、ハジメ君だけは「師匠もついにテンプレっすね!」とワクワクしている。このやろう他人事だと思って。
 私は後ろの人にさっと手を上げて、『大丈夫、私が何とかするから』と合図を送る。
「私を転ばして、何か用?」
「そうだなぁ、随分と女ばっかりの面子だからよ、俺達と一緒に『色々』しねぇかと思ってよぉ」
「お断り」
「そう邪険にすんなって」
 無理矢理腕を掴まれそうになるので、さっと後ろに下がる。
「おいおい待てよぉ」
 相手はにやにやしながら私に近付こうとしてくる。
 既に転ばされたし、多少色々やってもいいよね。
 とゆーことで魔法発動。
「えいっ、えいっ、えいっ」
 私は最初の『えいっ』で闇魔法を彼の両手首に放ち、硬化させて両腕を手錠のように胸の前にくっつける。次の『えいっ』では両足を同じように。そして両手両足を繋がれた彼は、全面に倒れ伏すようにして……最後の『えいっ』で頭を踏みつけながら股間に電撃を落としてやった。
「あんぎゃああああああああ!!」
「……さて、次をご指名の方はどちら?」
 回りを見渡すと、皆ぶるぶると震えながら股間を抑えていた。
 私は今踏みつけた彼を蹴飛ばして、うつ伏せからあおむけにさせる。
 彼は涙を流してびくびくとしていたが。
「ご指名がいないって。じゃあもう一度あなたにするわね」
 彼は震えながら
「わ、わるかったおれがわるかったからおねがいしますいまのだけは」
「あんたみたいなのが世の中の女を困らせてるんだから、もうそこ一生使えなくてもいいわよね?」
「おねがいしますごめんなさいほんとすみませんでした」
「反省するならそこもう要らないわよね」
「すみませんすみませんすみません」
「後悔するのが遅いのよ」
 私は再度電撃を食らわす。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 ……ふぅ、満足。
 流石に本気でどうこうはしていないけど、まあ当分はちょっかい出さないようになるでしょ。
 私は再度周りを見渡すと、皆一斉に私から視線を逸らした。
 そして最初にこの倒れた彼と一緒に騒いでたやつは、顔をぶるぶるとさせながら慌てて土下座をしていたので、頭を踏んづけただけで許してやった。
 もう二度とちょっかいかけないというので。でも次にもしちょっかいかけたらアンタの股間も同じようになるという呪いを股間に印してやった。
 ふぅ、満足。
 そんなことしてるとギンシュから
「エリィ……そなたこれで有名になってしまうぞ」
「えぇ……嫌だなぁ」
 変なあだ名とか二つ名とか付くの嫌なんですけど。『股間撃退エルフ』とか。
 ハジメ君だけは相変わらず「二つ名かっこいいじゃないですか!」とか言ってたけど。おいおい。
 とかやってたらアシンさんがきっちりと任務を果たしてくれた。
「おすすめの宿と鍛冶屋を聞いておいたぜ。お前ら遊んでないでさっさと獲物売ってこいよ」
「はーい」
 私達は売却場の方へと向かった。
 ちなみに最近は解体場に行かなくても、『アイテムボックス』に入れるだけで勝手に解体されてくれる。めっちゃ便利。これは【ステータス】のスキルレベルが上がったからなのかな? 称号のレベルとかは上がらないっぽいからね。多分そういうことだと勝手に認識している。

 という訳で当分の路銀も確保したし、宿へれっつらごー!
 ……いやお金はそれなりに持ってるんだけどね、やっぱりなんかあった時の為にそれなりに持ってても損はないかなって。
 とゆー訳で宿へ。いっちゃんええとこやーって感じのトコでした。
 いやだって明らかに他の宿より大きいし綺麗なんだもん。そしてそこの最上階を確保。よしよし。
 無駄遣い? いえいえそんなことは。お金あるんだし使わないとね!
 ……さっきと言ってること全然違う気がしなくもないけどー、気にしなーい!
 また稼げばよいのだ! この面子だと何やっても稼げそうな気がする。
 冒険者系の採取や討伐は勿論、ハジメ君の料理スキルとかでもなんとかなりそうだし。
 そして本日の最上階。前のホテル程ではないけれど、やっぱりここもとても綺麗だった。
 とゆー訳でごはんたべて、お風呂入ってー、そしてくんずほぐれつ。
 今日はついにシグさんの初日である。皆が期待してくれているので、私も頑張るつもりだ。
 シグさんは「どうしてアンタ達に見せないといけないんだい!?」と言っていたけれど、私が「私が見て貰いたいの。可愛いシグさんが乱れるところを」なーんて言っちゃったから、シグさんくねくねしながら了承してくれた。ああもうそういうとこだよホントかわええな。
 とゆーわけで。いただきまーす。

「あっ……その……はじめてだからぁ……」
「ぅんっ……いやだぁ……見られちゃうぅ……」
「ダメだってばぁ……そんなのぉ……」
「ふぇぇっ!? そんなことしたら……まるみえぇ……」
「はあんっ!? うそっ……へんなこえでちゃう……」
「だめだめそこ触っちゃだっっっ!? めっっ!?!?!? あぁっ!?!?」
「出ちゃうよぉ出ちゃうよぉ出ちゃ……ふぁああああんっっ!!」
「ふぅ……ふぅ……これで……えっまだまだ!? しょんなぁ……」

 ふぅ。堪能させていただきましたよ。ぺろりんちょですな。
 ってかなんでベッドの時だけ喋り方が女の子になるの? シグさん、それは反則でしょ。
 おまけに獣人がベースの肉体だから耳とか尻尾とか触ると反応が劇的に変わって、実にようございました。
 そして皆は見るだけだったのでぐずぐずでありますから、第二ラウンドです。
 こっちも堪能したぞい。満足。
 【クリーン】かけてもう一度お風呂入って、すやすーや。
 明日は鍛冶屋かな。きっと。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...