26 / 34
第三章
密 十
しおりを挟む
お許し下さい。
龍彦様をお許し下さい。
そればかりを祈った気がする。沈みゆく目で、水面の明かりを見上げても、息が出来なくなってからも。
初めに感じたのは、寒さだった。
それからふわりと柔らかな草の気配である。顔の横にゆれる緑の草が揺れた。
みなほは、掌に土を感じた。小石と、草と。
土の匂いが濃い。木々の葉の色も淡く、若葉にもならぬ芽吹きの姿が見て取れた。
ゆっくりと身を起こす。身体が濡れた気配がない。髪も乾いている。湖水に落ちたはずなのに、不思議なことだった。
湖水、とみなほは思っているが、あの場所は本当に湖沼のたぐいであったのかどうか、定かではない。
水底に沈んだはずの身体は、生きていた。生きて、胸一杯に息を吸っていた。あの建物で感じていたように、身体に力はなくなっている。が、それは魂が消えるような心許なさではない。
かつて、ほんの一年ほど前まで慣れ親しんだ、空腹の感覚であった。
春なのか、と周囲を見渡してみなほは思う。
龍彦に出会ったのは夏の祭礼だった。春になるほどの月日を、龍彦と過ごしたようだ。
もう、会えないのだろう。
身を起こして、気付いた。祭礼の夜と同じ、白絹の小袖を纏っていた。今は昼であるらしい。日差しの下で、小袖が眩しいほど白い。
空も青い。
水の音がしていた。
みなほは、ちょうど祭礼の時に社が建てられた跡に横たわっていたらしい。
しばし、御子ヶ池を見つめる。澄んだ水が青い。空を映している。
魚影が揺れた。人の近寄らぬ御子ヶ池には魚が多く住んでいる。あの中に、鮎や鱒は居たのだろうか。神のものである御子ヶ池では誰も漁りする者はない。
寒いと感じる。龍彦のあの御殿では、感じたことがない。いつも肌に優しい温度が身体を包み込んでいた。
ここは、厳しい。
ようやく雪の覆いの取れた土が、蔵していた種子達を芽吹かせている。まだ春になったばかりの気配である。
そっと、掌で両方の肩から腕を撫で下ろす。少しは温まる。
この先どうしたらいいのだろう。
(あのまま、ずっと、本当は)
龍彦の側に居たかった。彼に抱かれて、甘やかな心地に酔い続けていたかった。
そっと御子ヶ池に近づき、掌を冷たい水に浸す。
「生きているわ。あゆ、ます、心配しないで」
御子ヶ池と、あの湖水が繋がっているのかどうかは知らぬ。確証はないが、水ならばあの場所の眷属には聞こえるのでは、とみなほは思う。半ば願いでもあった。
(生きています、どうか伝わって)
龍彦を捕らえたという眷属にも、伝わって欲しい。みなほはあの場所を出た。
「私は戻りました。龍彦様は何も罪を為していません。どうかもう、龍彦様をお許しください」
冷たい水を感じながら、みなほは訴えた。
龍彦様をお許しください。声に出し、胸に叫んだ。
届け、届け! と願う。開いた指を閉じ、水面を叩いた。お許しください。昂ぶるままに水面を叩いた。顔も髪も濡れた。
かみしめた奥歯が、ふと緩む。はあ、と吐いた息が空に消えた。
この先どうしたら、と考えると途方に暮れる。祭礼の夏から、少なくとも半年は過ぎたのだろう。
居なくなれば良い
帰ってこなきゃ良い
聞こえるはずのない声に、みなほは耳を塞ぐ。踏みしめた地面の先には、あの声が待っている。
それでも、この場所に留まっては居られない。雨風をしのぐ手立てもなく口にするべき糧もない。
村に帰るのは嫌だが、この場ではないどこかへ行かねばなるまい。さもなければ御子ヶ池の傍らに骸をさらす事になってしまう。御子ヶ池の風景を汚すのは、みなほは嫌だった。
身を起こし、何度も御子ヶ池を振り返り、振り返り、みなほはようやく歩き出す。
雨風をしのぐ場所を、と探す。
人里へ行かねばと考えたが、もしや屋根のある場所があるならそこで過ごせば良い。木のうろでも洞穴でも構わない。
過去に見知った景色がある。獣道のようなところをたどって、何度か御子ヶ池まで通った道だろうか。その道をたどると、村に帰ってしまう。
違うほうへと道を逸れた。迷うことは怖くない。
贄となるための長い支度の間に、宮司に聞いたのだ。御子ヶ池の麓六か村では池を神と崇めていると。そのために村で回り持ちで贄を立てると話していた。
ならば、下ったどこかに別の村がある。できるなら、見知らぬ人達のところで生き直したい。
(龍彦様……)
二度と会えないだろう。
語り合う誰もなく山の道を分け入りながら、みなほはただ龍彦の面影を心に抱いた。
この世の人ではなかった。
どこか、見知らぬ湖水を住処とする精霊の一族。御子ヶ池の神だった。みなほを救ってくれた、神だ。
贄となることとなって、みなは孤独ではなくなった。村長も真由も優しくしてくれた。偽りの優しさであったとしても、おかげでみなほは少し世間を広げることが出来た。
独りよりは物を知ることが出来たと思う。それもこれも、龍彦の贄となることが決まったからだ。
(会いたい)
脈絡もなく想いがわき上がる。会いたい。そして触れたい。あの腕に縋って、胸に抱かれたい。貫かれたい。
もう二度と叶わない願いなのだろう。
あるいはあの場所で過ごした日々のことは、全てが夢で会ったのかもしれない。
夢ではなかったと、信じていたい。
みなほはふと、手の下に触れた物を拾い上げた。
(ああ、夢ではなかった)
大切に握った。
上岡の村長の工兵衛が、その報せを聞いたのは二月も末であった。
「……みなほが?」
騙して、真由の代わりに神事の贄に差し出したみなほが、行方知れずになって半年が過ぎている。
贄を載せる輿の担い手達から、みなほが行方知れずになったと聞いて、どこぞの賊が入り込んで掠ったかと思っていた。そういった夜盗のたぐいは、いつでもうろついている。
もしくは、担い手の若者達がみなほを嬲るうちに殺してしまったかとも考えた。そう思う村の者は多く、担い手たちは村でいささか白い目を向けられている。
(みなほは帰らぬと思っていた。そのほうが楽で良かったのにな)
今まで一体どこに居たのか。それも解らないが、何より面倒なものが帰って来た。工兵衛は小さく舌打ちした。
みなほは上の屋敷に近い、神社に居る。上の屋敷と神社はほぼ並びのような位置で、神社の方が山を少し登る。御子ヶ池の祭礼について、取り仕切るのがそこである。麓六か村には同じように神社がある。
タラの芽やワラビを採りに山に入った村人が、御子ヶ池から下がった場所で見つけた。禁忌の地付近に立ち入った者を叩き殺すような、短絡に迷信を恐れる者ではなかった。それがむしろ残念だと工兵衛は思った。
ごく木訥な中年の村人は、岩陰にひっそり身を潜めたみなほを見つけたのである。力なく弱った姿を気の毒に感じたのだろう。
それに、祭礼で見た贄でもある。
祭りの後、いつの間にかいずこかへ姿を消したみなほは、かつてのように忌み嫌われるだけの存在ではなくなった。畏怖を帯びた神秘的な存在として語られるようになっている。
昨年の秋はかつてない豊作だった。社の下に美味い湧き水の池もできた。
だから神社に届けられた。
どんな顔をして帰って来たのか。工兵衛も気にはなる。
龍彦様をお許し下さい。
そればかりを祈った気がする。沈みゆく目で、水面の明かりを見上げても、息が出来なくなってからも。
初めに感じたのは、寒さだった。
それからふわりと柔らかな草の気配である。顔の横にゆれる緑の草が揺れた。
みなほは、掌に土を感じた。小石と、草と。
土の匂いが濃い。木々の葉の色も淡く、若葉にもならぬ芽吹きの姿が見て取れた。
ゆっくりと身を起こす。身体が濡れた気配がない。髪も乾いている。湖水に落ちたはずなのに、不思議なことだった。
湖水、とみなほは思っているが、あの場所は本当に湖沼のたぐいであったのかどうか、定かではない。
水底に沈んだはずの身体は、生きていた。生きて、胸一杯に息を吸っていた。あの建物で感じていたように、身体に力はなくなっている。が、それは魂が消えるような心許なさではない。
かつて、ほんの一年ほど前まで慣れ親しんだ、空腹の感覚であった。
春なのか、と周囲を見渡してみなほは思う。
龍彦に出会ったのは夏の祭礼だった。春になるほどの月日を、龍彦と過ごしたようだ。
もう、会えないのだろう。
身を起こして、気付いた。祭礼の夜と同じ、白絹の小袖を纏っていた。今は昼であるらしい。日差しの下で、小袖が眩しいほど白い。
空も青い。
水の音がしていた。
みなほは、ちょうど祭礼の時に社が建てられた跡に横たわっていたらしい。
しばし、御子ヶ池を見つめる。澄んだ水が青い。空を映している。
魚影が揺れた。人の近寄らぬ御子ヶ池には魚が多く住んでいる。あの中に、鮎や鱒は居たのだろうか。神のものである御子ヶ池では誰も漁りする者はない。
寒いと感じる。龍彦のあの御殿では、感じたことがない。いつも肌に優しい温度が身体を包み込んでいた。
ここは、厳しい。
ようやく雪の覆いの取れた土が、蔵していた種子達を芽吹かせている。まだ春になったばかりの気配である。
そっと、掌で両方の肩から腕を撫で下ろす。少しは温まる。
この先どうしたらいいのだろう。
(あのまま、ずっと、本当は)
龍彦の側に居たかった。彼に抱かれて、甘やかな心地に酔い続けていたかった。
そっと御子ヶ池に近づき、掌を冷たい水に浸す。
「生きているわ。あゆ、ます、心配しないで」
御子ヶ池と、あの湖水が繋がっているのかどうかは知らぬ。確証はないが、水ならばあの場所の眷属には聞こえるのでは、とみなほは思う。半ば願いでもあった。
(生きています、どうか伝わって)
龍彦を捕らえたという眷属にも、伝わって欲しい。みなほはあの場所を出た。
「私は戻りました。龍彦様は何も罪を為していません。どうかもう、龍彦様をお許しください」
冷たい水を感じながら、みなほは訴えた。
龍彦様をお許しください。声に出し、胸に叫んだ。
届け、届け! と願う。開いた指を閉じ、水面を叩いた。お許しください。昂ぶるままに水面を叩いた。顔も髪も濡れた。
かみしめた奥歯が、ふと緩む。はあ、と吐いた息が空に消えた。
この先どうしたら、と考えると途方に暮れる。祭礼の夏から、少なくとも半年は過ぎたのだろう。
居なくなれば良い
帰ってこなきゃ良い
聞こえるはずのない声に、みなほは耳を塞ぐ。踏みしめた地面の先には、あの声が待っている。
それでも、この場所に留まっては居られない。雨風をしのぐ手立てもなく口にするべき糧もない。
村に帰るのは嫌だが、この場ではないどこかへ行かねばなるまい。さもなければ御子ヶ池の傍らに骸をさらす事になってしまう。御子ヶ池の風景を汚すのは、みなほは嫌だった。
身を起こし、何度も御子ヶ池を振り返り、振り返り、みなほはようやく歩き出す。
雨風をしのぐ場所を、と探す。
人里へ行かねばと考えたが、もしや屋根のある場所があるならそこで過ごせば良い。木のうろでも洞穴でも構わない。
過去に見知った景色がある。獣道のようなところをたどって、何度か御子ヶ池まで通った道だろうか。その道をたどると、村に帰ってしまう。
違うほうへと道を逸れた。迷うことは怖くない。
贄となるための長い支度の間に、宮司に聞いたのだ。御子ヶ池の麓六か村では池を神と崇めていると。そのために村で回り持ちで贄を立てると話していた。
ならば、下ったどこかに別の村がある。できるなら、見知らぬ人達のところで生き直したい。
(龍彦様……)
二度と会えないだろう。
語り合う誰もなく山の道を分け入りながら、みなほはただ龍彦の面影を心に抱いた。
この世の人ではなかった。
どこか、見知らぬ湖水を住処とする精霊の一族。御子ヶ池の神だった。みなほを救ってくれた、神だ。
贄となることとなって、みなは孤独ではなくなった。村長も真由も優しくしてくれた。偽りの優しさであったとしても、おかげでみなほは少し世間を広げることが出来た。
独りよりは物を知ることが出来たと思う。それもこれも、龍彦の贄となることが決まったからだ。
(会いたい)
脈絡もなく想いがわき上がる。会いたい。そして触れたい。あの腕に縋って、胸に抱かれたい。貫かれたい。
もう二度と叶わない願いなのだろう。
あるいはあの場所で過ごした日々のことは、全てが夢で会ったのかもしれない。
夢ではなかったと、信じていたい。
みなほはふと、手の下に触れた物を拾い上げた。
(ああ、夢ではなかった)
大切に握った。
上岡の村長の工兵衛が、その報せを聞いたのは二月も末であった。
「……みなほが?」
騙して、真由の代わりに神事の贄に差し出したみなほが、行方知れずになって半年が過ぎている。
贄を載せる輿の担い手達から、みなほが行方知れずになったと聞いて、どこぞの賊が入り込んで掠ったかと思っていた。そういった夜盗のたぐいは、いつでもうろついている。
もしくは、担い手の若者達がみなほを嬲るうちに殺してしまったかとも考えた。そう思う村の者は多く、担い手たちは村でいささか白い目を向けられている。
(みなほは帰らぬと思っていた。そのほうが楽で良かったのにな)
今まで一体どこに居たのか。それも解らないが、何より面倒なものが帰って来た。工兵衛は小さく舌打ちした。
みなほは上の屋敷に近い、神社に居る。上の屋敷と神社はほぼ並びのような位置で、神社の方が山を少し登る。御子ヶ池の祭礼について、取り仕切るのがそこである。麓六か村には同じように神社がある。
タラの芽やワラビを採りに山に入った村人が、御子ヶ池から下がった場所で見つけた。禁忌の地付近に立ち入った者を叩き殺すような、短絡に迷信を恐れる者ではなかった。それがむしろ残念だと工兵衛は思った。
ごく木訥な中年の村人は、岩陰にひっそり身を潜めたみなほを見つけたのである。力なく弱った姿を気の毒に感じたのだろう。
それに、祭礼で見た贄でもある。
祭りの後、いつの間にかいずこかへ姿を消したみなほは、かつてのように忌み嫌われるだけの存在ではなくなった。畏怖を帯びた神秘的な存在として語られるようになっている。
昨年の秋はかつてない豊作だった。社の下に美味い湧き水の池もできた。
だから神社に届けられた。
どんな顔をして帰って来たのか。工兵衛も気にはなる。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる