いじめの代償

凰雅柚月

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いじめの代償

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────

ある夏の日一人の少女が命を落とした。

何故、少女が命を落としたのか…

そこに正当な理由は無かった……

あるのは理不尽な理由だけ……







────


彼女はいじめにあっていた。
理由は大人からみれば下らない理由ではある。
だが、その時の彼等にしてみれば十分な理由になる。

何故、少女がいじめられたのか…


それは…少女の両親が離婚して片親になったからだ。
離婚は少女のせいではない。
父親に引き取られた少女はそのまま同じ地域に住まい学校へと通った。
狭い地域だからこそ親達から子供へと噂は拡がる。

片親になってしまった少女は格好のいじめの対象になった。

少女が触れた場所が有れば尽かさず

『汚えなぁ!腐るだろ(笑)』

と、言いふらし…

グループ学習をすれば仲間外れにすり。

持ち物を壊す。

持ち物を切り刻む。


そして……


最悪な事に窃盗の罪を捏ち上げ擦り付けたのだ。


その日、教材費の集金日で全員が集金袋を持参していた。
但し…少女以外は…。

少女は理由があり教材費を持参して無かった。

いじめグループのリーダー格は数人の集金袋を隠しクラスで集金袋が無くなったと吹聴して回った。

『アイツが盗んだんだ!アイツが盗ったんだ!』

少女を指差して大声で叫ぶ。

少女は否定するが誰も信じない。

そして…騒ぎは大きくなり学校中を巻き込んだ。
校長は騒ぎの収束させる為に警察を呼んだ。
学校内での醜聞を晒すのは恥にはなるが事が事だけに有耶無耶には出来ない。

警察が来て集金袋を盗まれた生徒たちに話を警官が聞く。

盗まれた生徒たちは言葉を揃えて答える。


『集金袋を盗んだのはアイツだ。
アイツんちは金がないから盗んだんだ!現に今日集金袋を持ってきてないから俺たちのを盗んだんだ!』


別々の聞き取りなのに同じ答えが返ってくる。
最後に少女から話を聞く。

何故、今日集金袋を持ってきてないのか?

少女は警官に話をした。

確認の為に担任教師と父親に話を聞いた。


そして…大勢の警官が教室内の捜索を始めた。
一人一人の荷物を確認していく。
いじめグループはニヤニヤしながらその様子を眺めていた。

少女の荷物を確認していた警官が数人の集金袋を見つけた。

それを見たいじめのリーダーが声を発した。

『ほらっ!やっぱりアイツが盗ったんだ!アイツんちは金がないから俺たちのを盗んだんだ!

警官が集金袋を持ち別の警官に渡した。
透明な袋に容れて別の部屋に行った。

警官の一人が生徒と教師に向かい説明を始める。

『これから、君達の指紋を一人一人取らせて貰う。
君達の親御さんには既に了解を貰ってます。
拒否は出来ません。』

いじめグループ達の顔が青褪めた…
昨今、テレビや映画で警察がどうやって犯人を見つけるのかは小学生でも知っている。

集金袋には少女の指紋が付いてないのは本人達が一番知っている。
今更、自分達の狂言とは言えない。
散々、少女が犯人だと声高に言っていたのは自分達だ。


全員が指紋を取り終わり資料を別室にいる警官に渡された。

担任と少女が警官に呼ばれて教室を出た。
担任と少女が教室を出て直ぐに校長と警官が入ってきた。

校長が説明を始めた。
その様子は全校生徒に聞こえるようにマイクが用意されていた。

『今回、このような事になってしまい非常に残念です。
ただ、お金が盗まれたとなっては学校内だけでは解決しない為警察に通報しました。』

校長が説明を始めた直ぐに生徒が校長に質問した。

『校長先生、犯人はアノ子じゃないんですか?
だって荷物から集金袋が出てきたんでしょ?』

いじめグループには加担はしてないが傍観していた生徒が言った、

『確かに彼女の荷物から集金袋が出ては来ました。
しかし、誰も彼女が盗んだ現場を見ていません。
もしかしたら、本当の犯人が彼女の荷物に隠したのかも知れません。
彼女が集金袋を盗んだ現場を見た人は居ますか?』

その問いに誰も応えられない。
応えられる筈もない。
窃盗は無かったのだから。
いじめグループによる狂言なのだから…。

続けてこう言った。

『今日、君達の指紋を取ったがこれは関係者指紋と言って関係者の指紋と犯人の指紋を明確に分けるために取ったものである。
指紋を取ったイコール犯人と言うわけではないので安心して下さい。』

校長から話を聞いて安心する者が多い中青褪めた顔をしたままの者もいる。

今になって自分達が犯した犯罪の大きさに戦いている。
それは…後に更なる事件へと繋がって行くのであった。




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